2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

継続企業の前提に関する重要事象等

当社は、第55期からの新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴う、政府による緊急事態宣言の発出、外出自粛要請や埋葬の選択肢の多様化等の影響を受け、お墓事業においては来園者(見学者)数の急減、葬祭事業においては会葬者が激減した結果、業績が急速に悪化しました。

さらに、宗教法人が納骨堂を開発する際の資金の一部を当社が債務保証しており、宗教法人との契約に基づく納骨堂の販売が計画通りに進捗しなかったため、債務保証の履行により、当社の資金繰りを圧迫しました。

そのため当社は、借入金の返済について取引金融機関と協議し、当面の返済について猶予を受けることで合意しました。

しかしながら、依然として手元流動性資金の確保に支障が生じる可能性があることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在するものの、このような状況を速やかに解消するため、より効率的且つ効果的な広告媒体の選定を含む営業施策を抜本的に見直すことにより、納骨堂の拡販を図り当該リスクに対処して参ります。

資金面につきましては、手元流動性資金の確保に努めるべく全ての取引金融機関と協議を行い、今後も継続的な支援が得られるよう交渉して参ります。

また、これらに限らず諸施策を遂行することにより、当該状況を早期に解消し、経営基盤の強化及び安定に努めて参ります。

この結果、当社には継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

(1)新型コロナウイルス感染症による影響について

新型コロナウイルス感染症の感染者推移は、世界的に減少傾向にあるものの、完全に収束してはおりません。

新たな変異株の発生や感染再拡大により消費者の外出自粛傾向が再燃しますと、お墓事業においては来園者(見学者)数の減少、葬祭事業においては会葬者の減少等が顕著化し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社が販売する墓石(石材)は、ほぼ100%中国より輸入しており、当国においてロックダウン等の措置により製造や輸出が制限されますと、国内にて仕入れることとなり、原価率の高騰が懸念されます。

当社は、感染防止に極力対応しておりますが、対応しきれなくなった場合は、当社の業績に多大な影響を及ぼすリスクがあります。

一方、コロナ禍は、消費者の価値観や行動様式の変化、死生観を醸成しており、完全収束までは一定の期間がかかると想定されるものの、新型コロナウイルス感染症の再燃を包含した新たな商品を開発できれば、シェアを拡大する好機となります。

 

(2)少子超高齢化について

少子超高齢化は、今後確実に進んで行く国家的課題であり、近い将来「人生100年時代」となることが想定されます。

この大きな変化への対応は不可欠であり、同、異業種を問わず競争激化が必至であることから対応が後手に回ればリスクになります。

一方、高齢者市場の拡大は確実であり、新たな顧客基盤の構築を図り、消費者のニーズに寄り添ったプランやサービスを提供できれば好機となります。

 

(3)霊園開発の法的規制等について

墓地埋葬等に関する法律や建築基準法、市区町村条例等により霊園や納骨堂の開発許認可は行われており、これらの法律、法令の改正は開発の進捗に大きな影響を及ぼします。

併せて、地域住民の開発反対等の可能性も包含しており、状況によっては開発が不可能になる場合もあります。

また、霊園や納骨堂は宗教法人等の非営利法人に限定されており、許認可制であることから、認可を受けて販売開始までに数年を要することが一般的です。

そのため、計画開始当初認識していた条件が様々な環境の変化から、販売開始時には当初の計画に比べ収益が減少する等のリスクがあります。

一方、好立地、好ロケーションを重視した開発予定用地の選定に係る情報収集と見極めをより慎重に且つ綿密に行うことや地域住民との良好な関係を築く機会になるものと従えております。

 

 

 

(4)開発資金の回収及び債務保証等について

宗教法人等が霊園や納骨堂を開発する際、通常5億~50億円の資金が必要となり、当社がその一部について一時的な資金負担をする場合や債務保証等を行うことがあります。

霊園や納骨堂の販売完了には規模によるものの、通常5年~20年程度を要し、宗教法人等との契約内容により販売が計画通りに進捗しない場合は、保証金を差し入れることになり資金負担が発生します。

当該差入保証金は霊園や納骨堂の販売に伴って回収されるものの、その回収は長期に亘ることになります。

また、経済環境の変動により金融機関の融資姿勢が変化することや、霊園や納骨堂の販売が芳しくない場合、債務保証の履行を余儀なくされ、当社の資金繰りを圧迫するリスクがあります。

一方、納骨堂は、現状において計画通りの販売基数には到達していないものの、霊園も含め、より効率的且つ効果的な広告媒体の選定を含む広告宣伝活動等営業施策の強化を図ることにより受注件数を伸ばし、当該リスクに対処して参ります。

 

(5)為替相場の変動について

当社の販売する墓石(石材)は、ほぼ100%米ドル建てで主に中国より輸入されており、地政学リスク、主要国の利上げや貿易摩擦による為替の変動が、売上原価に影響する可能性があります。

一方、仕入先のポートフォリオを適切に行うことにより、変動リスクを最小限に抑えることが可能となります。

 

(6)競合他社との事業競争力について

当社は、いずれの事業におきましても、一般消費者を顧客としていることから、常に商品やサービス、価格に関して、競合企業との間において激しい競争状態に晒されております。

そのため、消費者が当社以外の競合他社を選択すること等により、事業競争力が相対的に低下した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

一方、綿密なマーケティングを実施し、より良い商品開発に繋げ、効率的な広告宣伝を行うことが出来れば、業績の向上に寄与することが可能となります。

 

(7)減損について

当社は、事業性質上、店舗用土地、建物をはじめとする事業用固定資産等を保有しております。

これらの資産につき経済状況の悪化や競合状況の激化等により、収益性の低下や地価の下落が発生した場合は、減損を認識する必要が生まれ、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

一方、事業活動を推進するにあたり、減損リスクを意識することで、資産収益性を高める取組みを加速し、結果としてキャッシュ・フローの向上に繋げることが可能となります。

 

(8)資金調達について

当社は、現在及び将来に亘って必要な営業活動及び有利子負債の返済等に備えるため、資本の増強をはじめ、営業活動により得られたキャッシュ・フロー、金融機関等からの借入や社債の発行等により調達しております。

金融市場の変化やその他の要因により、金融機関が貸付枠や信用供与枠額等の条件を変更した場合や当社の財政状態が悪化し格付機関が信用格付を大幅に引き下げた場合、若しくは経済不況により投資家の意欲が減退した場合等には、当社が必要な資金を必要な時期に適切と考える条件で調達出来ず、資金調達が制限されると共に調達コストが増加する可能性があります。

また、シンジケートローン契約に係る財務制限条項があり、通常事項及び特記事項に示す状況になった場合は、期限の利益を失い、一括返済することとなっております。

一方、業績の向上と同時に資金管理を的確に行うと同時に、機動的且つ効率的に使用することに加え、有形固定資産や投資その他の資産の流動化を推し進め財務基盤の改善に繋げることにより、効果的な資金調達を実現することが可能となります。

 

(9)金利の変動について

当社は、有利子負債や金融債権を保有しており、それらの金利の変動は、支払利息や受取利息、金融資産や負債の価値に影響し、当社の業績及び財務状況が悪化する可能性があります。

一方、長期金融や有利子負債のポートフォリオマネジメントを適切に行うことにより、支払利息の削減や受取利息の増加、金融資産の拡大に繋げることが可能となります。

 

(10)情報管理について

当社は、お客様からお預かりしている個人情報やその他企業の機密情報を受け取ることがあり、これらの情報が不正又は過失により外部に流出する可能性があります。

また、当社の営業機密が不正又は過失により流出する可能性もあり、その結果、当社の信用、業績及び財務状況に多大な影響を及ぼす可能性があります。

一方、情報管理の徹底について厳しく役職員に指導することは勿論のこと、コンピュータシステムのセキュリティ強化、教育体制の構築、業務の改善に繋げて参ります。

配当政策

3【配当政策】

当社は、利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、期末配当の年1回の剰余金の配当を継続して実施していくことを基本方針としております。

これらの剰余金の配当等の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に対し、会社法第454条第5項に定める剰余金の中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。

当事業年度の配当につきましては、手元流動性の確保と財務体質の改善並びに売上高拡大に向けた投資や積極的なプロモーション活動等の事業資金確保が最優先であると判断し、誠に遺憾ながら期末配当は見送らせていただきました。