リスク
3【事業等のリスク】
当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。
当社は各リスクについて発生可能性、影響度の観点から評価した結果を一元管理するために、同一のリスクマップに掲載しております。
リスクの認識、及びその管理についてはリスク管理委員会を中心に行っており、当該体制・枠組みについては「第一部 企業情報 第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 イ.企業統治体制の概要」に記載しております。
また、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項につきましても、投資者の投資判断の上で重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。当社はこれらのリスクの発生可能性を十分に認識した上で、発生の回避、及び発生した場合の適切な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があります。
なお、本項記載の将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
① 外部経営環境による影響について
当社が運営している延長保証事業は住宅・不動産・リフォーム市況に影響を受けます。そのため新築着工棟数やリフォーム市場の縮小、住宅流通件数の低迷等、事業環境が悪化した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合他社・新規参入について
当社が運営している延長保証事業は、大小様々な競合企業が存在します。当社では事業者並びにエンドユーザーのニーズをマッチさせる各種付加価値を付け加えたサービス展開により事業基盤の拡充を図っております。しかしながら、今後更なる競争の激化により各サービスの収益性が低下する場合や競合他社による類似のサービス展開により当社の柔軟性やスピード、また現在までの保証事業運営で培ったノウハウといった独自性が失われた場合には、当社の業務遂行及び経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③修理費用が業績に与える影響について
当社が運営する住宅設備保証サービスは、10年間の保証が中心であり、同サービスに関する売上高は保証期間にわたり計上しております。一方で、保証期間内に対象製品の故障等で修理が必要となる場合、会員の修理依頼に応じて、当社が修理の手配を行い、修理費用を支払っていることから、修理費用は、修理発生時に一括で売上原価として計上しております。当社は、修理費用の支出に備え、案件の一部に保険を付すことにより保証期間におけるコスト負担の平準化を図っておりますが、付保の効果と保険料負担のバランスを考慮し、対象案件全件に対しては付保を行っていないため、付保対象外の案件に対し修理が集中した場合に、費用が大きくなる可能性があります。
④ 損害保険会社との契約について
当社が運営している住宅設備保証サービスは、保証加入時に受領する保証料によって最長10年間の保証サービスを行っております。サービス提供期間が10年と長期間にわたるため、その間の社会情勢、環境の変化等による修理費用の負担に対するリスクヘッジとして、当社として取扱い実績のない製品に対する保証サービス、中古製品に対する保証サービス及び特定の業務委託元から受注した保証サービスに関して、保証期間と同一の保険期間の保険契約を損害保険会社と締結しております。
当社は、安定した付保率を保つことを前提としていますが、今後、付保率が大幅に上昇した場合には単年度の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、保険契約締結時の想定を超える修理件数の増加、修理単価の上昇等が発生した場合、将来の支払保険料増加に繋がる恐れがあり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 特定の取引先への依存について
当社は延長保証事業において業務委託契約時に業務受託料を全額受領した上で、保証期間に応じて売上を按分計上しております。株式会社ヤマダデンキに対する販売実績の総販売実績に対する割合は、2022年9月期25.3%、2023年9月期26.2%と高い水準にあります。特定の取引先に依存しないように、他の大手企業への営業展開を進めておりますが、将来的に同社からの会員登録が減少・消滅した際は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 風評等について
当社の属する延長保証業界に否定的な風評が広まった場合、又は競合他社の経営破綻、不祥事等によって業界の評判が悪化した場合には、当社の業務遂行及び経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)組織体制に関するリスク
① 個人情報の取扱いについて
当社は会員及び従業員の個人情報を取り扱っております。当社は個人情報保護法等の法令及び当社が定める個人情報保護方針に則った情報セキュリティ体制を構築しております。また、プライバシーマークに基づく正社員、パートタイマーその他従業員の教育を徹底し、各所管部署内の自主点検、内部監査の実施等、コンプライアンス面における情報管理体制の充実に注力しております。しかしながら、万一、外部からの不正アクセスや社内管理体制の瑕疵等による情報の外部流出が発生した場合、当社に対する損害賠償請求や社会的信用の失墜により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社のみならず関係会社、受託企業等における類似の事態が発生した場合も、当社に対する信用失墜に繋がり、当社の業務遂行及び経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② システム障害について
当社は顧客との会員管理を中心に自社システムでのサービス運用を行っております。システム障害に対する防御やセキュリティ強化を行っておりますが、万一、自然災害、事故、外部からの不正アクセス等によりシステム障害が発生した場合は、当社の業務遂行及び経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 組織体制について
当社は本書提出日現在、取締役6名、監査役3名、従業員33名と小規模な組織体制であります。今後は事業拡大に伴い新たな人員確保及びITシステムへの投資等による業務効率化を推進して参りますが、優秀な人材の確保及び育成が適切に行えず、また十分な人的・組織的対応が行えない場合、当社の業務遂行及び経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 特定の人物への依存について
当社の代表取締役社長庄司武史及び取締役小田則彦は当社の創設メンバーであり、延長保証に関しての詳細なノウハウ及び顧客とのリレーションといった重要な役割を担っております。当社は人材確保・育成、ITシステムへの投資等組織による業務遂行を進めておりますが、提出日現在において両名が何らかの理由により業務の遂行ができない場合、当社の業務遂行及び経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 特定の商品への依存について
当社の売上の9割以上は延長保証事業となります。現在延長保証以外のサービス展開を進めておりますが、今後市場環境の変化等で保証事業に対するニーズが減少・消滅した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ コンプライアンスについて
当社は、自らが事業を展開する国又は地域の法令等を遵守する必要があります。その対応策として、当社は、様々な利害関係者及び社会に対して健全な業務遂行を行うことを目的として、コンプライアンス規程を制定し全従業員が各種法令、倫理、社会通念、社内規程等に準拠した業務遂行を行うよう定期的な研修教育及び日常的な確認を行っております。これまで法的規制について問題は発生していませんが、万一現在の法的規制に違反した場合、又は今後何らかの法的規制が加えられた場合には、当社の業務遂行及び経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)その他のリスク
① 親会社グループとの関係について
(ⅰ)親会社グループ内の当社の位置づけ
当社はJBRの子会社であります。JBRグループは、「困っている人を助ける」という経営理念のもと、日常生活に関わる、あらゆるトラブル解決を可能にする総合サービスを展開しており、本書提出日の前月末現在で各社の事業及びサービスは以下のとおりであります。
a ジャパンベストレスキューシステム株式会社
鍵・水回り・ガラスの緊急駆けつけサービス、生活トラブル相談
b ジャパンワランティサポート株式会社
住宅設備機器の長期保証サービス
c レスキュー損害保険株式会社
損害保険(法人向け約定履行費用保険)
d ジャパン少額短期保険株式会社
少額短期保険(家財保険、通勤通学保険等)
(ⅱ)親会社グループ内の他社との競合
当社はJBRグループにおいて、住宅設備機器のメーカー保証終了後の延長保証事業の運営を行っております。JBRグループの中で住宅設備機器の延長保証事業を取り扱っているのは当社のみであることから、JBRグループにおいて競合となるサービスはありません。
(ⅲ)取引関係
当社と当社の親会社であるJBRとの間には当社からの外注取引として、当社サービス「あんしん住宅サポート24h」での緊急駆け付け、生活相談の業務をJBRへ委託があります。当該取引の取引条件については、独立第三者間取引と同様の一般的な取引条件を参考に、交渉の上決定しております。なお当該取引は当社の主要商品であるあんしん修理サポートの追加プランであり、取引額としても僅少であることから、当該サービスに相互依存している状況ではありません。
(ⅳ)人的関係
本書提出日現在、当社の役員9名(取締役6名、監査役3名)のうち、JBRの役員を兼務するものは1名であり、その者の氏名、当社及びJBRにおける役職は以下のとおりであります。なお、当該兼務は、JBRが親会社としての子会社管理の一環として親会社から取締役を派遣しているものであり、取締役会の意思決定に特別な影響力を持たせている等の状況はなく、当社の自由な事業活動が阻害される状況にはありません。
氏名 |
当社における役職 |
JBRにおける役職 |
若月 光博 |
取締役 |
取締役執行役員 |
(ⅴ)資本関係
当社は、JBRグループにおいて独立した事業経営を行っておりますが、当社の親会社であるJBRは本書提出日現在においてJBRは当社株式の総議決権数の63.3%を保有しており、同社は当社の株主総会における取締役の任免等の議決権行使を通じて当社の経営判断に影響を及ぼし得る立場にあることから、議決権の行使に当たり、同社の利益が当社の将来の他の株主の利益と一致しない可能性があります。
またJBRグループ内において、財務内容、信用力、業績等に関するマイナスイメージが生じた場合には、当社も同様であるとの風評が生じ、当社の業績に悪影響が生じる可能性があります。
(ⅵ)親会社からの独立性の確保について
当社は、JBRの承認を必要とする取引や業務は存在せず、事業における制約もなく、独立した意思決定による独自の経営を行っております。また、当社の役員には、上場取引所の定めに基づく独立役員として指定する独立社外取締役1名及び独立社外監査役2名が就任しており、取締役会における審議に当たっては、より多様な意見が反映され得る状況にあり、事業運営の独立が確保されていると認識しております。
② 激甚災害等について
当社は、自然災害や事故に備え、コールセンター機能の一部を業務委託先の提携会社に委託することでリスクを回避しております。またコールセンター以外の役割に関しても決議事項のデジタル化、テレワーク体制の整備等、様々なリスクに対応できる体制の整備を進めております。しかしながら、地震やパンデミック等の大規模災害の発生等により想定を超える事象が発生した場合は、当社事業の継続に支障をきたし、当社の業務遂行及び経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 新型コロナウイルス感染症拡大について
新型コロナウイルス感染症の感染拡大については、感染症法上の位置づけが5類感染症となり、日常生活の行動制限が撤廃されるなど一定の収束はみられたものの、新たな感染症等の拡大が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 新株予約権行使による株式価値の希薄化について
当社は当社役員、従業員等に対し、当社の業績向上への意欲や士気を高めることを目的として、新株予約権付与によるストック・オプション制度を採用しております。本書提出日の前月末現在における新株予約権にかかる潜在株式数は351,400株であり、発行済株式総数の15.3%に相当しております。なお、今後につきましても、当社役員及び当社従業員の士気向上と優秀な人材確保を目的としてストック・オプションによる新株予約権の発行を検討しております。
これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があります。
⑤ 配当方針に係るリスクについて
当社の利益配分につきましては、今後の長期的・安定的な事業展開に備え、企業体質の強化のために内部留保を高めつつ、株主各位に対して、安定的かつ継続的な配当と利益還元を行うことを基本方針としております。しかしながら、外部環境等様々な要因により、想定どおりの収益を確保することができない場合、配当方針に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策については、「第一部 企業情報 第4 提出会社の状況 3配当政策」に記載しております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、利益配分につきましては、今後の長期的・安定的な事業展開に備え、企業体質の強化のために内部留保を高めつつ、株主各位に対して、安定的かつ継続的な配当と利益還元を行うことを基本方針としております。
当社は、中間配当(基準日3月31日)と期末配当(基準日9月30日)の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、会社法第459条第1項各号に掲げる事項については、株主総会の決議によらず、取締役会の決議によって定めることのできる旨を定款に定めております。
当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき、当事業年度より1株当たり33円の配当(うち中間配当15円)を実施することを決定いたしました。
内部留保資金につきましては、当社事業の拡大に向けた事業基盤強化のための投融資に有効活用いたします。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年5月10日 |
34,345 |
15.00 |
取締役会決議 |
||
2023年11月10日 |
41,451 |
18.00 |
取締役会決議 |