2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)HRソリューション事業(人材派遣・受託)に関するリスク

①人材の確保について

(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社グループは、クライアントのニーズに対応したクリエイター人材の派遣を主要な事業として手掛けているため、優秀なクリエイター人材の確保が事業拡大の必要条件であります。昨今のゲーム業界における採用市場は、ゲーム業界におけるクリエイター人材の需要は引き続き高い水準で推移しており、各企業とも即戦力人材の採用を積極化していると考えております。当社においては安定的な即戦力人材の確保に向けて、福利厚生、プログラミングやゲーム開発に関する研修制度、社員交流制度等を充実させる対策を講じております。しかしながら、人材の確保が十分に行うことができない場合、顧客企業からの人材ニーズに対応できないことから配属数を伸ばすことが出来ず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②派遣先での業務遂行及び機密情報の取り扱いについて

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

 HRソリューション事業(人材派遣・受託)は、当社グループ社員が派遣先での業務遂行に際して、過失による事故や顧客企業との契約違反が生じる可能性があります。また、顧客企業における新製品開発等の機密情報に触れる事業であるため、当社グループ社員の故意や過失の有無にかかわらず機密情報の漏洩の恐れがあります。そのため、当社グループは社員入社時に派遣先での就業における注意事項の周知や企業機密保持の重要性を認識させるための指導・教育を行っており、入社後も定期的に指導・教育を行っております。しかしながら、過失による事故、顧客企業との契約違反及び機密情報が漏洩した場合には、社会的信用の低下に加え、取引解消及び訴訟の提起またはその他の請求を受ける可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)HRソリューション事業(紹介)に関するリスク

①求職者の確保について

(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

 人材紹介事業において、その事業の性格上、求職者の確保が非常に重要であり、当社では他社データベースの活用やWebマーケティングにより求職者の募集を実施しております。求職者の確保について、求職者の満足度を高めるためにきめ細やかな対応と個々の求職者の希望に合った就業機会の提供を行っております。しかしながら、雇用情勢や労働需要の変化により、人材の確保が意図した通りに進まなかった場合や、求人企業の要望に対して十分な人材の確保が実施できなかった場合には、求職者及び求人企業双方に雇用マッチングサービスを提供できず、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

②他社データベースの利用について

(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

 人材紹介事業における求職者の募集については、Webマーケティングや口コミによる集客の他に他社データベースを活用しております。データベース提供企業とは友好な関係を維持するとともに、複数のデータベース提供企業と連携して情報源を多元化するとともに当社独自の求職者データの蓄積を行っております。しかしながら、データベース提供企業の方針転換が行われ、当社が他社データベースを利用できなくなった場合には、求職者の獲得ができず、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(3)メディア&ソリューション事業に関するリスク

①求職者の確保について

(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

 メディア&ソリューション事業において、求人情報に対する求職者の確保が非常に重要であり、当社が運営する求人サイト、インターネット広告及びWebマーケティングを中心に求職者の募集を実施しております。当社が運営するサイトの利用者の多くは、特定の検索エンジン(「YAHOO!JAPAN」、「Google」等)からの集客であり、検索エンジンからの集客をより強化すべく、SEM(Search Engine Marketing)対策及びSEO(Search Engine Optimization)対策を実施しております。しかしながら、検索エンジンの検索結果のアルゴリズムの変更等によりこれまでのSEM対策及びSEO対策が有効に機能しなかった場合、当社の運営する求人サイトへの集客に支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、求職者が希望する求人情報に応募し、就業機会を得るためにきめ細やかな対応を行っております。しかしながら、雇用情勢や労働需要の変化によって意図した人材の確保ができず、求人企業の要望に応えることができない場合には、雇用のマッチングサービスを提供できず、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

②求人企業の景気動向について

(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社の求人メディアサービスは、顧客企業の採用に関連するサービスであり、顧客企業の採用計画に大きく左右されます。そのため、当社の求人メディアを利用する顧客企業が属する業界の景気動向に大きな影響を受けることから、特定の業界に依存しないよう顧客企業の開拓を図っております。しかしながら、当社の想定を超える景気動向の悪化により顧客企業の採用意欲が著しく低下した場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

③セキュリティについて

(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社が運営している求人メディアにおいては、当社のサーバーに求人企業情報並びに求職者情報をはじめとする様々な情報が蓄積されるため、これらの情報の保護が極めて重要になります。そのため、当社ではこれらの情報の消失や外部への漏洩がないよう、ファイアーウォールやデータベースの暗号化による不正アクセスの防止を行うとともに、サーバー監視を24時間体制で行っております。また、定期的にバックアップを実施し、データの消失を防いでおります。しかしながら、不測の事態により情報の消失や外部への漏洩事故が発生した場合には、当社の信用が失墜し、企業イメージが低下することにより、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)許認可・法的規制に関するリスク

(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループが運営する人材サービスは、労働者派遣法に基づく労働者派遣事業や職業安定法に基づく有料職業紹介として厚生労働大臣の許可を受けています。また、職業安定法に基づく募集情報等提供事業を営んでおります。当社グループは、業務の健全かつ適正な運営のため、コンプライアンス委員会によって法令遵守の各種施策の検討を行うとともに、コンプライアンス研修の定期的な実施によって各種法令の遵守を徹底しております。また、リスク管理委員会によってリスクの識別、評価、対応を検討することで体制を強化し、継続的に内部監査を実施することで法令違反を未然に防ぐよう努めております。しかしながら、労働者派遣事業、有料職業紹介事業及び募集情報等提供事業の許可等の取消しや当該業務の全部または一部の停止の命令を受けた場合には当社グループの事業運営に重大な影響を与える可能性があります。

 

 

(5)M&Aや資本提携に関するリスク

(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループでは、通常の営業活動による取引規模の拡大や新規事業の推進に加え、事業の拡大への経営資源を獲得し、既存事業とのシナジー効果を得るために、M&Aによる企業買収や資本提携等を活用することを検討しております。それらを実施する場合、子会社である株式会社Dolphinの買収にあたって短期間でのれんを減損したことを踏まえ、対象企業の属する業界の市場規模、業界環境及び対象企業の競争力の源泉を調査し、財務内容や事業についてデューデリジェンスを行うことに加えて、対象企業の株主を慎重に調査することで、事前に投資リスクを把握し、対象となる企業の収益性や投資の回収可能性について慎重に検討することとしております。

 しかしながら、国内外の経済環境の変化や対象企業の属する業界の市場規模が想定よりも拡大しない場合や対象企業の競争力の源泉が衰えた場合等の理由から、当社グループがM&Aや資本提携等を行った企業の経営、事業、資産等に対して、十分に活用することが出来ない可能性があります。また、買収した企業の人材や顧客基盤が流出する可能性もあり、当初に期待したシナジーを得られない可能性もあります。これらの場合、当社グループの投資額を十分に回収できないリスクが存在し、当初の期待どおりに事業を展開できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社は2023年8月1日に株式会社インターワークスを吸収合併しており、当該取引により2024年3月時点でのれんとして1,539百万円を計上しております。

 さらに、当社グループがビジネスパートナーと事業提携等を行う場合において、当社グループが投資先と期待した協業関係を築くことが出来ないことによって、重要な意思決定を迅速に行うことが難しい、または当社グループの意思決定を経営に反映することが出来ないリスクが存在し、当初の期待どおりに事業を展開できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)組織体制及び外部環境に関するリスク

①代表取締役への依存について

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社代表取締役社長澤岻宣之は人材事業における豊富な経験を有し、2015年8月の就任以来、事業を牽引し、2016年3月期の売上高188百万円(単体)から2024年3月期の売上高7,488百万円(連結)に大きく成長をさせて参りました。現在も当社グループの経営戦略、各事業の連携、組織運営の推進において重要な役割を担っておりますが、当社グループにおいては、以前より組織体制の整備、業務の標準化及びマネジメント機能の強化を図るなど、特定の経営者に過度に依存しない体制の確立に努めております。しかしながら、何らかの理由により、同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

②当社の大株主について

(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社の筆頭株主である株式会社アミューズキャピタルは発行済株式総数の21.07%を保有しており、同社、株式会社アミューズキャピタルインベストメント(保有比率17.29%)、中山隼雄氏(保有比率6.10%)及び株式会社A.C企画(保有比率1.54%)の合計で46.00%を保有しております。株式会社アミューズキャピタルインベストメントは中山晴喜氏の資産管理会社、株式会社アミューズキャピタルは中山隼雄氏の資産管理会社であります。また、株式会社アミューズキャピタルの代表取締役社長である藤森健也氏が当社の監査役となっております。なお、株式の保有比率については、提出日時点において当社が確認できた内容にて記載しております。

 株式会社アミューズキャピタル、株式会社アミューズキャピタルインベストメント、中山隼雄氏及び株式会社A.C企画は、現時点では、当社株式を純投資として中長期的に保有する方針と理解しておりますが、今後の株価の推移によって売却を行う可能性があり、その場合には、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針であると理解しております。また、市場での売却ではなく特定の相手先への譲渡を行った場合には、当該譲渡先の保有株数や当社に対する方針によって、当社グループの事業戦略等に影響を与える可能性があります。なお、株式会社アミューズキャピタル、株式会社アミューズキャピタルインベストメント、中山隼雄氏及び株式会社A.C企画のいずれかが主要株主となっている会社との取引において、当社の売上高の10%を超える取引を行っている会社はありません。

 

 

③個人情報管理について

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社グループは主力である人材事業において膨大な個人情報を取り扱うため、「個人情報の保護に関する法律」に従い、個人情報に触れ、取得した担当者は、被取得者に対して利用目的の特定と明示を行い、そのうえで、個人情報が漏洩しないように取扱部署毎に保存・管理しております。また、「個人情報保護規程」を定め、教育研修等を実施して漏洩防止に努めております。しかしながら、このような対策にも関わらず、万が一、個人情報の漏洩や不正使用等の事態が生じた場合、損害賠償請求等の金銭補償や企業イメージの悪化等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④自然災害、事故等について

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループでは自然災害、事故等発生時には、速やかに対策本部を設置し、事業継続に向けて対応をするよう準備を行っておりますが、本社所在地である関東圏において、大地震、台風等の自然災害や事故等により設備の損壊や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生した場合、本社における事業運営が出来なくなる可能性や当社社員の就業先での勤務が困難になる可能性があることから当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営における重要課題の一つと位置付け、将来の事業拡大と財務体質の強化のために必要な内部留保を行いつつ、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としております。

 これらの基本方針に基づき、当事業年度の配当につきましては、当社普通株式1株当たり期末配当金を30円といたしました。この結果、年間配当金は当社普通株式1株当たり中間配当金25円と合わせて55円となり、当事業年度

の連結配当性向は45.1%となりました。

 内部留保資金につきましては、財務体質の強化を図るとともに、更なる成長に向けた事業拡充や、人材の確保及び社員定着率の向上に向けた財源として有効活用を図りながら、市場の動向、財務状況等を総合的に勘案したうえ、株主の皆様への利益還元に努めてまいります。

 当社は、「剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める」旨を定款に定めております。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月10日

165,120

25.00

取締役会決議

2024年5月10日

199,466

30.00

取締役会決議