2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 4,817 100.0 1,476 100.0 30.6

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社の事業は、金融商品取引業を中核とする投資・金融サービス業を主な内容とし、顧客に対して資金調達、資産運用の両面で幅広いサービスを提供しております。

また、当社の事業は、投資・金融サービス業という単一セグメントであります。

主たる業務は次のとおりであります。

(1) 有価証券の売買、市場デリバティブ取引又は外国市場デリバティブ取引(以下「有価証券の売買等」という。)

(2) 有価証券の売買等の媒介、取次ぎ又は代理

(3) 取引所金融商品市場(外国金融商品市場を含む。)における有価証券の売買等の委託の媒介、取次ぎ又は代理

(4) 有価証券の引受け

(5) 有価証券の募集又は私募

(6) 有価証券の売出し

(7) 有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募の取扱い

(8) 投資一任契約の媒介

上記のほか、金融商品取引業に付随する業務、保険販売等を営んでおります。

事業の系統図は次のとおりです。

 


 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

なお、当社の事業は投資・金融サービス業という単一セグメントであるため、セグメントごとの分析については記載を省略しております。

 

(1) 財政状態の分析

① 資産

当事業年度末における総資産は前事業年度末に比べ32億68百万円増加し、219億42百万円となりました。

預託金が16億29百万円、現金・預金が13億22百万円、短期差入保証金が86百万円、未収収益が37百万円それぞれ増加し、信用取引資産が1億90百万円、募集等払込金が1億24百万円、約定見返勘定が64百万円それぞれ減少したこと等により流動資産は27億11百万円増加し、171億36百万円となりました。投資その他の資産が6億87百万円増加し、有形固定資産が1億30百万円減少したこと等により固定資産は5億57百万円増加し、48億6百万円となりました。

② 負債

預り金が16億62百万円、受入保証金が7億16百万円、未払法人税等が2億29百万円、未払金が1億77百万円、繰延税金負債が1億2百万円、役員賞与引当金が43百万円それぞれ増加し、信用取引負債が6億1百万円減少したこと等により負債合計は23億96百万円増加し、100億5百万円となりました。

③ 純資産

自己株式の増加2億28百万円により純資産が減少した一方で、利益剰余金が8億23百万円、その他有価証券評価差額金が2億77百万円それぞれ増加したことにより純資産は8億72百万円増加し、119億37百万円となりました。

 

当社は、金融機関等からの借入れは、信用取引にかかる借入れ及び一時的な資金繰りに必要な借入れを除いて行わない方針であります。信用取引でのお客様への金銭等の貸付は、証券金融会社から借り入れるほか、自己資金を充てています。固定資産の取得についても自己資金で賄っております。当事業年度は大型の設備投資はなく、有形固定資産が1億30百万円の減少(前事業年度は、49百万円の減少)となりました。一方、投資有価証券の取得等に伴って投資その他の資産が6億87百万円の増加(前事業年度は、2億38百万円の増加)となり、その結果、固定資産は5億57百万円の増加(前事業年度は、1億85百万円の増加)となっております。

また、利益剰余金の増加等により純資産は119億37百万円となりました。

 

(2) 経営成績の分析

当事業年度における我が国経済は、世界的な金融引締めによる海外景気の下振れや、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化、中国経済の先行き不安といった懸念材料はあるものの、国内の個人消費や雇用及び所得環境が改善する等、景気は緩やかな回復基調が続きました。

国内の株式市場では、日本銀行が金融緩和策の維持を表明したこと等から日経平均株価は4月から6月中旬まで上昇基調が続きました。しかしながら、米国債格付けの引下げ等によりリスク回避姿勢が強まったことで上値の重い展開となり、イスラエル情勢や米長期金利上昇に対する警戒感も高まったことから、10月4日に30,487円の安値を付けました。その後は、日本銀行が引き続き金融緩和姿勢を維持したことで11月に日経平均株価は反発し、国内外の長期金利低下や国内企業の好決算を受けて上げ幅を広げました。2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震により、年明け初日の日経平均株価は下落しましたが、国内の好調な企業業績等を受け上昇に転じました。加えて、円安・ドル高の進行、米国株の上昇、海外投資家の買越し、新NISA(少額投資非課税制度)への期待と、好材料が重なりその後も大幅上昇を続けました。2月以降も上昇の勢いは衰えず、日経平均株価は2月22日に史上最高値を34年ぶりに更新し、3月4日には遂に40,000円の大台に乗せました。米株式市場の下落や円高・ドル安の進行により、日経平均株価は38,200円台まで下落する場面もありましたが、日本銀行が金融緩和策の終了を決定し17年ぶりの利上げに踏み切ると、当面緩和的な金融環境が継続するとの見方が広がり、再び40,000円を突破し、3月22日に41,087円の高値を付けました。その後も堅調な展開が続き、当事業年度を40,369円で終えました。

このような状況の中、当社は地域密着型の対面営業を行う証券会社として、株式営業や債券販売、投資信託販売を中心に営業を展開しました。株式営業においては、「情報シャトル特急便」、「Imamura Report」等当社作成の情報誌や専門調査機関の作成するレポートを活用した投資情報の提供のほか、お客様向けセミナーの開催等、お客様のニーズにお応えする提案・サポート等を積極的に行いました。債券販売においては、第1四半期会計期間では他社株転換条項付円建社債や日経平均株価連動円建社債を販売しました。第2四半期会計期間以降は米ドル建て社債等の販売に注力するとともに、福井県債、石川県債や北陸電力債も取り扱いました。投資信託販売においては、米国株式配当貴族(年4回決算型)の販売が好調であったほか、新しく取扱いを開始した投資信託も好調で前年同期の販売額を大きく上回りました。また、定時定額に投資信託を買い付ける投信積立、旧NISAにおけるつみたてNISAや新NISAにおけるつみたて投資枠の活用を積極的に提案し、顧客層の拡大と証券投資普及を図りました。加えて、7月より若年層向けのネット専用サービスとして投資一任運用サービス「かんたん!今村ゴールナビ」の取扱いを開始いたしました。

その結果、当事業年度の営業収益は48億16百万円前年同期比25.7%増)、純営業収益は47億96百万円同25.7%増)、経常利益は15億3百万円同64.9%増)、当期純利益は10億9百万円同66.1%増)となりました。

当事業年度における主な収益及び費用の状況は次のとおりであります。

① 受入手数料

当事業年度の受入手数料の合計は44億40百万円前年同期比17.4%増)となりました。その内訳は次のとおりであります。

イ 委託手数料

株券に係る委託手数料は29億45百万円(同104.1%増)となり、受益証券を含めた委託手数料の合計は29億64百万円同102.5%増)となりました。

ロ 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は4億53百万円同74.7%減)となりました。

ハ 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料

募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は6億75百万円同112.5%増)となりました。

ニ その他の受入手数料

その他の受入手数料は3億46百万円同66.5%増)となりました。

② トレーディング損益

トレーディング損益は3億30百万円(前年同期は12百万円)となりました。

③ 金融収支

金融収益が45百万円前年同期比25.0%増)、金融費用が20百万円同18.2%増)となった結果、差し引き金融収支は25百万円(同31.2%増)となりました。

④ 販売費・一般管理費

販売費・一般管理費は33億20百万円前年同期比13.3%増)となりました。

⑤ 営業外損益

営業外収益は、受取配当金等39百万円前年同期比37.5%増)、営業外費用は、為替差損等12百万円(同909.7%増)となりました。

⑥ 特別損益

特別利益の計上はありませんでした(前年同期は0百万円)。特別損失は、金融商品取引責任準備金繰入れ等12百万円(前年同期比237.2%増)となりました。

 

当事業年度の受入手数料の合計は44億40百万円(前年同期比17.4%増)で、その商品別内訳は、株券29億49百万円(同103.4%増)、債券4億54百万円(同74.6%減)、受益証券9億77百万円(同90.5%増)、その他59百万円(同98.8%増)であります。当事業年度は、日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新し、その後も40,000円の大台に乗せる等、国内の株式市場は前事業年度に比べ堅調な展開が続き、株券部門及び受益証券部門においては手数料が大きく増加しました。一方、債券部門においては、当第2四半期会計期間以降、他社株転換条項付円建社債や日経平均株価連動円建社債の販売を行っていないため前事業年度に比べ手数料が減少しました。その結果、当社が採用する経営指標である経費カバー率は56.1%(前事業年度は81.1%)となり、目標とする80%超を達成することはできませんでした。

また、当社は経営戦略の一つとして「新たなお客様の獲得」を掲げ、その指標として5年間で15,000口座の新たなお客様の獲得を目指し、単年度においては3,000口座以上の獲得を目標としております。当事業年度は4,440口座(前事業年度は、4,272口座)となり目標を48.0%上回りました。堅調な株式相場や2024年1月から始まった新NISAが追い風となり、新たに多くのお客様を獲得することができました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

当事業年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、期首残高に比べ13億22百万円増加し、81億96百万円となりました。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、20億25百万円の資金増加(前事業年度は、6億36百万円の資金増加)となりました。これは、税引前当期純利益14億90百万円、減価償却費1億46百万円を計上したことに加え、預り金の増加16億62百万円、受入保証金の増加7億16百万円、信用取引資産の減少1億90百万円、未払金の増加1億73百万円、募集等払込金の減少1億24百万円、約定見返勘定の減少64百万円、役員賞与引当金の増加43百万円等により資金が増加する一方、顧客分別金信託の増加16億30百万円、信用取引負債の減少6億1百万円、短期差入保証金の増加86百万円、法人税等の支払額2億78百万円等により資金が減少した結果であります。

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出2億76百万円等により3億6百万円の資金減少(前事業年度は、3億54百万円の資金減少)となりました。

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出2億29百万円、配当金の支払額1億86百万円等により3億98百万円の資金減少(前事業年度は、1億86百万円の資金減少)となりました。

 

当事業年度の日経平均株価は34年ぶりに史上最高値を更新し、その後も40,000円の大台に乗せる等、堅調な展開が続き、国内の株式市場は活況を呈しました。その結果、税引前当期純利益、減価償却費を計上したことに加え、預り金や受入保証金の増加等により、営業活動によるキャッシュ・フローでの資金増加額は20億25百万円となり、前事業年度に比べ拡大しました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、自己資金による投資有価証券の取得による支出が前事業年度に比べ増加したものの、設備投資による支出が減少したことにより、資金減少額は3億6百万円となり、前事業年度に比べ縮小しました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得を実施したため、資金減少額が前事業年度に比べ拡大しました。

これらの結果、当事業年度末の資金は期首に比べ増加し81億96百万円となり、依然として高水準を維持しております。また、当社では資金を手許現金及び要求払預金に限定しているため、その流動性に懸念はありません。

なお、現時点においては、重要な資本的支出の予定はありません。

当社の業績は経済情勢及び市場環境の変動による影響を大きく受けることから、将来に対する予測が困難であります。そのような状況のもと、当社は、今後の事業展開の資金需要及び一時的な業績不振に陥った場合にも柔軟な営業戦略の推進を維持できるよう備えるとともに、株主の皆様への継続的かつ安定的な利益還元を目指してまいります。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り及び仮定の設定を必要とします。経営者は、過去の実績やそれぞれの状況等を勘案し合理的と考えられる仮定を用いて見積りを行っておりますが、見積り及び仮定については特有の不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。