リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業環境に係るもの
当社グループの主力製品である片面・両面プリント配線板は、自動車や家電製品をはじめ、事務機、電子部品・電子機器等の幅広い用途に使用されています。これら最終製品は、景気動向のほか、それぞれの業界の状況よって生産台数が変動するため、需要が減少した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループはこのような状況に対応するため、幅広い用途向けに販売するとともに、同じ用途向けであっても特定の顧客に依存しないよう、一社当たりの販売シェアは10%を目安にするなど複数の販売先を確保することで、需要変動によるリスクの軽減に努めております。
(2) グローバルな事業活動に係るもの
当社グループの特徴は、主に自動車や家電製品関連の電子機器メーカーであるユーザーの需要動向に対応して、国内外に生産拠点を有し、ユーザー各社に対しグローバルな体制でタイムリーな製品提供が可能な点にあります。
生産拠点が分散しているため、リスクも分散される反面、各国及びグローバルでの政治情勢、税制、雇用環境やサプライチェーン体制、電力等インフラ、賃金の上昇、衛生及び治安情勢の変化等、海外での事業展開に伴うリスクがあります。
現時点でこれらを合理的に予測することはできないため、万一発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するため、当社は、グループ各社との密な情報共有を行うと共に、各国の外部コンサルタント等からの情報収集を通じ、その予防や回避に努めております。
(3) 主材料価格の変動に係るもの
当社グループの主力製品である片面・両面プリント配線板は、材料仕入先、製品販売先いずれも大手企業中心であり、厳しいコスト対応が要求されます。原油、ガラス、銅、パルプ等基礎素材価格の上昇は、当社グループが使う主材料価格に敏感に反映される一方、製品販売先である自動車や家電製品関連の電子機器メーカー等は、最終製品価格の低減に努めていることから、プリント配線板は安定価格を要求されており、主材料価格が急激に上昇した場合は上昇分を販売価格に即座に転嫁できないことがあります。この場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は、これらに対応するため、基礎素材価格の変動をグループ各社間で情報共有し、販売価格の適正化を速めるとともに、共同購入により価格交渉力の強化に努めております。
(4) 為替レートの変動に係るもの
当社グループは、国内外で事業を展開しており、主にグループ間の取引に関して外貨建の取引があります。また、国内で生産する片面プリント配線板の主材料は輸入の割合が高く、為替相場が大きく変動した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社はこれらに対応するため「デリバティブ取引のリスク管理規程」により為替予約等によるリスクヘッジに努めております。
(5) 新製品の立上げに係るもの
当社グループは、環境配慮の総合的な活動である「Kyosha-ECOMAP」の理念のもと、ものづくりにおける環境負荷の低減活動並びに、電気自動車(大電流)、新エネルギー(太陽光、風力)、LED光源といった環境配慮型商品へ供給される環境対応技術を活かしたプリント配線板製品群の研究開発を行っており、早期市場導入を図っております。
これら新製品の立上げが計画どおり進展しなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するため企業間連携を活用した開発スピードの向上や、市場導入の早期化に努めております。
(6) 自然災害・事故等に係るもの
当社グループの製造拠点は、国内5拠点と海外4拠点に分散しております。
大地震等の自然災害や火災等の突発的な事故が発生した場合には、生産設備の損傷が発生し、復旧に多大な時間と費用が発生する可能性があります。また、新型コロナウイルス等の感染症の世界的な蔓延により当社グループ及び取引先の操業中断が発生するなど、サプライチェーンが影響を受ける可能性があります。これらを合理的に予測することはできないため、万一発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するため各拠点では、安全衛生活動を実施し、BCP(事業継続計画)を策定し、バックアップ体制を整えるとともに、各種保険にも加入することでリスクの軽減に努めております。
(7) 品質に係るもの
当社グループは、「品質第一」の品質方針を掲げ製品の品質向上に取組んでおります。一方で、顧客の品質要求や技術レベルは高度化が続いており、製品の使用環境も多様化していることから、顧客の使用時に予期せぬ品質問題が発生する可能性があります。このような品質問題が発生した場合には、製品の再生産、返品や交換、受注の喪失等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのような問題の未然防止の取組みとして、顧客と品質目標を共有した改善活動及び受注・量産時のデザインレビューの強化を行っております。また、検査項目の見直しや検査体制の強化を通じて品質管理の強化を図るとともに、各種保険等にも加入することで、リスクの軽減に努めております。
(8) 情報セキュリティに係るもの
当社グループは、生産・販売活動においてコンピュータシステム及び通信ネットワークを利用しております。このため通信ネットワークの障害やコンピュータ機器の故障、ソフトウェアの不具合等による機能停止、また、不正アクセス等によるデータ改ざん、破壊、情報漏洩などの不測の事態が発生し、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのような事態に対処するため、情報セキュリティ委員会を設置し、情報セキュリティに関する規程に基づき、コンピュータ機器の管理や不正アクセスを未然に防止するための社員教育を実施し、情報セキュリティに係るリスクの軽減に努めております。
(9) 損失の危機管理に係るもの
当社グループの損失の危険の管理に関しては、組織規程、職務権限規程、関係会社管理規程等に従った、当社の各部署及び担当執行役員、並びにグループ会社における自主的な管理を基礎とし、グループ横断的なリスク管理を強化してまいりました。しかしながら、取引先の急激な信用悪化など、従来想定していなかった世界的リスクの発生により、損失や引当金の計上が必要となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらに対応するため、グループ各社との横断的なリスク管理に関する諸規程等について、リスクの再評価、対応策の構築、及び日常業務における管理方法の明確化などに加え、取引先の与信管理の強化及び生産委託先から自社グループへの生産移行を進め、リスク管理体制の更なる強化に努めております。
(10) 人材の確保、育成に係るもの
当社グループの成長には、人材の育成と確保が不可欠であり、重要な経営課題の一つとして認識しておりますが、少子高齢化が進む日本では、労働人口の減少により、計画通りに人材育成と確保が出来なかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはこのような状況に対応するため、経営理念である「人間尊重の精神で人材の育成に力を注ぎ明日を担う企業を創る」のもと、人材の育成と確保を進めるとともに、デジタル技術(DX)の活用や生産の自動化等により業務の効率化を加速させることで、これらリスクの軽減に努めております。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、収益力をより強化し企業価値を高めることにより、株主及び投資家の期待に応えることが重要な経営課題の一つであると考えており、安定的かつ継続的に株主へ利益を還元することを基本とし、業績の進展状況や配当性向等を勘案し、利益配分に取組んで行く方針であります。
また、内部留保金につきましては、中長期的な経営戦略を推進するため、既存事業の充実と強化を目的とした投資とともに、新規事業の発掘や育成を行うための投資に活用してまいります。
なお、当社の剰余金の配当は、期末配当の年1回としておりますが、中間配当につきましても行うことができる旨を定めております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。