2023年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況経理の状況に関する事項のうち投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがありますなお文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日(2024年3月21日)現在において当社グループが判断したものです

当社グループではリスクマネジメント委員会を設置しリスクの把握・対策の実施・被害の最小化に向けた取り組みを継続的に行っています具体的には、個々のリスク要因につき、発生の可能性、損害の大きさ、事業の継続性等の観点から分析評価し、その対応としてリスクの軽減、移転後の残余リスクを把握しています。ここでは、当社グループが上述した要素を考慮した上で、比較的大きいと考えるリスクを記載します。

 

(1)車載事業大口顧客への高依存度

当社グループの売上収益のうち車載関連の顧客への依存度が高く(売上収益の約60%)当該顧客の動向により売上収益が大きく変動する可能性があります

欧米や中国をはじめ世界中が地球環境保全省エネ化の動きを強めガソリン車からxEVへとシフトする機運の中車載関連の売上収益比率が高いことは当社グループの強みでもありますしかし新車販売台数の低迷等車載関連の事業環境の変化等によって当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります

当社グループは大口顧客グループと長期にわたる緊密な取引関係を通じ生産及び販売の見通し事業戦略に関する方向性を共有することで当社グループの投資・事業戦略の判断に活用し業績向上に取り組んでいます

 

(2)技術革新と価格競争競合環境の変化

当社グループの製品は、コイルとその応用部品です。現在までのところ民生機器、産業機器及び車載機器の電源周りに多く使用されています。特に車載機器は、使用されるコイルの数が著しく多くなることが予想され、今後拡大していくxEVにおいても数多く使用されます。その結果、当社グループの製品に求められる技術要素は、今まで以上に高い耐電圧の要求を満たし、小型化を実現し、高い品質基準を確保することが求められています。当社グループとしては、今まで培った要素技術をさらに強化し、顧客に当社グループの製品を選んで頂けるように対応しています。

xEV化の市場が拡大していることから競合他社も多く参入してきており、価格面でも競争環境が厳しくなってきています。当社グループとしては、製品品質の向上とグローバル体制の強化を図り競合他社との差別化を図っています。また、顧客の初期開発段階から当社グループが参画し、顧客とともに製品開発を行っていくというビジネスモデルの構築も進めています。家電製品市場では、顧客の製品採用基準が、製品品質よりは価格重視へ変容してきていることから、最適価格での提供を目指し、製品設計は当社グループで担当し、製造委託先の活用も行い、厳しい価格競争においても最適な販売価格で対応できる体制の構築も行っています。

 

(3)品質管理

当社グループは常に製品の品質向上に尽力し製品の品質確保に万全を期していますが当社グループ製品の要求仕様への不一致や欠陥により供給先である顧客の製造ラインが停止する事態や欠陥を含んだ当社グループの製品を利用した電子機器に不具合が生じる事態も考えられます欠陥又はその他の問題が発生した場合は当社グループの売上収益の減少市場シェアの低下当社グループブランドに対する信頼又は評価の低下市場認知度開発などへの重大な影響が生じる可能性がありまた顧客からは市場回収処理を行うこと等に伴う賠償請求の可能性もあり当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります

 

(4)製造拠点の賃金上昇

当社グループは日本のほかアジアヨーロッパ及び北米に生産拠点を有しグローバルに事業展開しています

当社グループの生産において人件費社会保険料の上昇並びに制度変更等による生産コストアップが当社グループの事業展開財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性がありますそのため生産においては自動化を進めることで労働生産性の向上に継続的に取り組んでいます

 

 

(5)地政学上のリスク(米中経済摩擦等)

当社グループは中国ヨーロッパ等海外に多くの生産拠点を持ち海外営業拠点を通じて製品をグローバルの顧客に供給していますそうした中米中貿易摩擦米国国防権限法の動向等より生産物流営業活動が制限を受け顧客への製品供給に支障をきたす場合当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります

当社グループは各国の関税の引上げや安全保障貿易管理に基づく輸出規制新興技術等に対する取引制限等の政策に対して分析を行い必要に応じて取引形態やサプライ・チェーンの見直し等も行うことにより事業への影響の低減を図っていますまた複数の生産拠点で製品を生産することでリスクの分散を図っています

中長期的には開発・製造・販売を同一地域にて対応できるよう地産地消の方針で製造拠点を見直していきます今後上記のようなリスクを回避できるようタイ・ベトナムにおいての製造能力を増強していく予定です

 

(6)銅価格原材料価格等の変動インフレ等による物流費エネルギー価格の高騰

当社グループは多くの原材料を外部調達しており主要な原材料である銅原油等の価格は国際市況に連動していますその購入価格を決定する際の取引価格は国際的な需給だけでなく投機的取引の影響も受けながら常に変動していて市況の変動に伴い業績に影響を与える可能性があります

また経済状況により物流コンテナ不足や世界の港湾における流通の混乱からの物流費高騰や急激なインフレによる原油・電力等のエネルギー価格の高騰は当社グループの業績に影響をもたらす場合があります

当社グループは、価格変動の激しい銅価格の変動によるリスクを最小限に抑えるため、顧客との契約に銅価格連動の仕組みを織り込むこと等に努めていますが、製品価格への転嫁が困難な場合や相場が大きく下落する局面では損失が発生し、当社グループの業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。また地産地消を進め物流費を抑制するとともに再生可能エネルギー等の活用で急激なインフレによるエネルギー価格高騰の影響を最小限に留めるための取り組みを進めていますがその進捗によっては当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります

 

(7)サイバーセキュリティ

コンピューターウイルスの高度化や巧妙化が進みますます脅威が高まっているサイバー攻撃等により当社グループの技術上営業上等の秘密情報が流出や改ざん生産設備等が被害を受け生産に影響が生じる等のリスクがありますまた盗難・紛失などを通じて第三者が不正流用する可能性もあります

当社グループはInformation Security Officeを組織しセキュリティ方針や計画を策定しています定期的なデータバックアップウイルス対策ソフトの利用強固なパスワードの利用送信ドメイン認証の活用多要素認証の導入各システムへのアクセス権限管理に加えフィッシング対策などの啓発を目的とした継続的なe-ラーニング入社時研修やBCP対策を行っており近年増加しているランサムウェアに対しても有効な対策を講じています

 

(8)大規模災害

当社グループは中国・アジアをはじめとして海外にも生産拠点を持ち各国の営業拠点等を通じて製品をグローバルの顧客に供給していますが大地震洪水津波竜巻などの自然災害感染症などの疾病の流行戦争及びテロ内乱現地従業員のストライキ等の労働問題電力やエネルギーの使用制限に加え近年の気候変動に伴う想定を超える災害の大規模化やこれまでに類を見ない対応策に決め手のない感染症の発生などによる広い範囲での社会機能の停止などの発生も考えられますこれらが発生した場合には原材料や部品の調達生産販売に遅延や停止を生じる可能性がありそうした混乱などが当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります

 

 

(9)公的規制とコンプライアンス

当社グループは国内及び諸外国・地域において法規制や政府の許認可等な公的規制の適用を受けていますこうした公的規制に違反した場合監督官庁による処分訴訟の提起さらには事業活動の停止に至るリスクや企業ブランド価値の毀損社会的信用の失墜等のリスクがあります

当社グループでは公的規制の対象領域ごとに主管する部門を決めて対応していますまた公的規制に対応した社内ルールを定め未然に違反を防止するための対応をとっていますこれらの取り組みに加え法令遵守のみならず役員及び従業員が共有すべき倫理観遵守すべき倫理規範等をスミダの経営に関する諸原則・行動規範として制定し当社及び関係会社における行動指針の遵守並びに法令違反等の問題発生を全社的に予防するとともにコンプライアンス上の問題を報告する内部通報制度を設けていますまた法令遵守の周知徹底の機会を設けるとともにカルテル等の反競争的行為や贈賄をはじめ企業倫理・コンプライアンスに関して役員及び従業員への定期的な研修等を行っていますしかしグローバルに事業を展開する中で国や地域において公的規則の新設・強化及び当社グループが想定しない形でこれらが適用されること等により当社グループが公的規制に抵触することになった場合には事業活動が制限され公的規制の遵守に係る費用が増加する等当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります

 

(10)M&Aにより認識したのれんの減損リスク

当社グループは技術力の強化や販売網の拡充を目的に当社グループ以外の会社との事業提携合併及び買収(以下M&A等)を行うことがありますM&A等の対象となる会社の選定と検討は積極的に継続し、良い候補先が見つかった場合は、実行していきます。

M&A等の実施にあたっては事前に相乗効果の有無を見極めてから実施を決定し完了後は相乗効果を最大にするように経営努力をしていますしかしM&A等の完了後に対象会社との経営方針のすりあわせや業務部門における各種システム及び制度の統合等に当初想定以上の負担がかかることにより予想されたとおり相乗効果が得られない可能性がありますまたM&A等に係る費用等が一時的に当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性もあります

当社グループはM&A等に伴うのれん及びその他の無形資産等の資産を有していますのれん及びその他の耐用年数を確定できない無形資産についても少なくとも年に一度あるいは減損の兆候が認められる場合はその都度減損テストを行っていますM&A等により発生したのれんと耐用年数を確定できない無形資産は年次で減損テストを実施していますが拡販施策に伴う将来収益拡大の計画は不確実性を伴い予想した相乗効果が得られない場合減損損失の発生により財政状態及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります

配当政策

3【配当政策】

 当社は株主の皆様に対する利益還元として、配当による利益の配分を最優先に考えており、連結配当性向30%以上を勘案した配当を実施することを基本方針としています。この連結配当性向は、2024年2月8日に開催した取締役会の決議により、従来の「25~30%」から「30%以上」へと変更したものです。なお、実際の連結業績により、この基本方針による配当が適切でない場合には、株主資本配当率(DOE)等も考慮した上で、剰余金分配可能額の範囲で株主還元の充実を図っていきます。

 当社は取締役会の決議により剰余金の配当をすることができる旨を定款に定めており、中間及び期末の年2回の配当を行うことを基本方針としています。また、期末は実際の連結業績を勘案した上で、上記の配当方針に適応した年間配当額となるように期末配当をお支払いする方針です。

 内部留保資金は、財務体質の強化、並びに将来の成長力の維持のために活用していく方針です。

 当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりです。

 

決議日

決議

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

基準日

2023年7月31日

取締役会

750

23.00

2023年6月30日

2024年2月22日

取締役会

913

28.00

2023年12月31日

(注)当社は会社法第459条に基づき、6月30日及び12月31日を基準日として、取締役会の決議により剰余金の配当をすることができる旨を定款に定めています。