リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において当社が判断したものであります。
当社グループは、リスク管理の推進とリスク管理に必要な情報の共有化を図るため、取締役社長を委員長とする「グループリスク管理委員会」を設置し、当社グループ内のリスク管理推進施策を決定し、その推進状況を点検しております。
(1) 原材料の市況変動に関するリスク
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループの主要製品である鉛蓄電池は、主要原材料に鉛を使用しておりますが、鉛相場が変動した場合もただちに製品価格に反映することができず、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても常にあるものと認識しております。当社グループでは、生産体制の全体最適を推進し、さらなるコストダウンを目指すとともに、最適な供給体制を構築していきます。
(2) 価格競争の激化
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、各事業を展開するそれぞれの市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって有利な価格決定をすることが困難な状況になっております。国内の同業他社に加え、低コストで製品を供給する海外の会社も加わり、競争が激化しているため、将来的に市場シェアの維持、拡大、収益性保持が容易でない可能性があります。これにより事業の収益性が低下した場合、固定資産の減損リスクなど当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても常にあるものと認識しております。当社グループでは、当該リスクへの対応策としてあらゆるコスト削減、営業力強化のための諸施策を推進しております。
(3) 為替レートの変動
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、日本、アジア、北米、欧州等で事業を行っております。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
また、当社グループが生産を行う地域の通貨価値の上昇は、それらの地域における製造と調達のコストを押し上げる可能性があり、中長期的な通貨変動により、計画された調達、製造、流通及び販売活動を確実に実行できない場合があるため、為替レートの変動は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても常にあるものと認識しております。当社グループでは、通貨ヘッジ取引を行い、為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしております。
(4) 国際的活動及び海外進出に関するリスク
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは生産及び販売活動を日本、アジア、北米、欧州等で行っております。これらの海外市場での活動には以下に掲げるようなリスクが内在しており、これらの事象は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
① 予期しない法律又は規制の変更
② 人材の採用と確保の難しさ
③ 未整備の技術インフラが、製造等の当社グループの活動に影響を及ぼす、又は当社グループの製品に対する顧客の支持を低下させる可能性
④ テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。当社グループとしては、本部と各拠点間におけるコミュニケーション強化により、世界各地のニーズに沿った製品やサービスを迅速に提供できる仕組みを構築してまいります。
(5) M&Aに関するリスク
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、将来の事業拡大においてM&Aは重要かつ有効な手段であると考えております。M&Aを実施する場合においては、対象企業の財務状況等の調査や当社グループの事業への相乗効果など、様々な観点から十分に検討しております。しかしながら、事業環境の著しい変化等により、買収事業が当初の計画どおりに推移せず、投資資金の回収ができない場合やのれんに減損損失が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性を、相応に認識しておく必要があります。当社グループでは、業績モニタリングを毎月実施しております。
(6) 気候変動について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
気候変動は国や地域を超えて大きな影響を及ぼす問題であり、世界共通の解決すべき社会課題であります。当社グループは、気候関連課題が重要な経営課題の1つであると認識し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明するとともに、事業活動における温室効果ガス排出量の削減を進めています。しかしながら、将来、環境規制への適応が極めて困難な事象や不測の事態が発生する場合には、想定以上の環境対応に関するコストの増加や風水害等による施設損害、事業活動の制限など、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
気候変動によるリスクは完全に予測することは困難ではありますが、当社グループの蓄電池技術を用いた再生可能エネルギー普及等により、社会全体の温室効果ガス排出量の削減に努めるとともに、今後はTCFDの提言に沿った情報開示をさらに推進してまいります。
気候変動への対応の詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 気候変動への対応」に記載しております。
(7) 災害・事故について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
地震・風水害・大雪等の自然災害や当社グループの事業所において火災・爆発・損壊等の事故が発生した場合、不測の事態が発生するリスクが考えられます。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても常にあるものと認識しております。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、地震・水災・大雪対応マニュアルの構築及び「防火管理」「防災管理」の充実化に取り組んでおります。
(8) 金利変動について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループの有利子負債には、金利変動の影響を受けるものが含まれております。したがって、金利上昇により資金調達コストが増加する可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。当社グループでは、第六次中期経営計画においては、成長投資を積極化するために有利子負債は増加することを想定しておりますが、債務償還年数については3年以内にとどめ、成長と財務規律の両立に努めてまいります。
(9) 訴訟その他の法的手続について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、事業を遂行する上で、取引先や第三者から訴訟等が提起され、又は規制当局より法的手続がとられるリスクを有しております。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。当社グループでは、他社権利及び特許等の調査を継続実施し、社内での情報共有強化によりリスクの極小化に努めております。
(10) 経済状況
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループの製品の需要は当社グループが製品を販売している様々な市場における経済状況の影響を受けます。したがって、日本、アジア、北米、欧州を含む当社グループの主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。当社グループとしては、品質重視の基本姿勢に基づいた事業運営によりお客様に安心と信頼を提供するとともに、「革新と成長」の企業理念のもと、企業価値の向上と将来の持続的成長に向けた事業基盤の構築に努めてまいります。
(11) 市場環境について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、日本、アジア、北米、欧州等で事業を行っており、これらの事業の売上及び損益は各国の市場環境や景気動向に大きく影響を受けます。当社グループはトルコ共和国に連結子会社を有しておりますが、トルコ共和国では、大幅なインフレやトルコ・リラ安が進行しております。今後、インフレの継続等により、トルコ・リラ安が進行した場合、現地における海外販売、調達による債権債務・取引高のバランスによっては多額の為替差損が発生し、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。当社グループは、本部と拠点間における情報共有強化に努め、市場環境の変動リスクに対して迅速かつ柔軟に対応してまいります。
(12) サプライチェーンについて
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、日本、アジア、北米、欧州等で事業を行っており、サプライチェーンもグローバルに展開しております。各国・各地域におけるサプライチェーンが混乱することにより、部材の調達や、販売が滞り、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、常にあるものと認識しております。当社グループとしては、本部と各拠点間におけるコミュニケーションの強化、生産体制の全体最適を推進し、最適な供給体制を構築していきます。
(13) 情報セキュリティについて
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、事業活動において技術や経営、営業情報等の重要、機密情報を保有しております。情報機器の不適切な取り扱いによる情報漏えいや、外部からのサイバー攻撃による情報流出、改ざんがあった場合、事業活動の停止につながる恐れがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、常にあるものと認識しております。当社グループでは、エンドポイントのマルウェア感染などを防止すると共に、万が一に備えて、迅速に検知、対応できる体制を強化しております。また、通信の常時監視や不正接続検知システムで、不正アクセスを防止しております。従業員に対しては社内規則を遵守するよう啓発活動、教育を行う等、従業員の情報セキュリティレベルを向上するための取組みを実施しております。海外グループ会社に対しては国内の基準をもとにセキュリティ対策状況を調査し、脆弱な部分の指導に努めております。
(14) 製品の品質に関わるリスク
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、品質基本方針に基づき、グループ全体でお客様に提供する製品とサービスの質向上を目指した活動を推進しています。しかしながら万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、また、その欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。当社グループは、ISO9001をベースにした「GSユアサ品質マネジメントシステム」を定め、事業部門を横断した品質マネジメント体制を経営トップ主導で推進し、製品・サービスの質向上につなげています。
(15) BEV用電池開発及び生産について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、2027年度よりBEV用リチウムイオン電池の生産ラインを稼働し量産体制に入ることを目標としておりますが、BEV用リチウムイオン電池は未だ開発段階にあり生産を開始しておらず、現時点で同年度に量産が開始される保証はなく、BEV市場全体の動向及び市場内での競合状況にも左右され、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しておりますが、当社グループは、2023年4月に策定した「第六次中期経営計画」においてBEV用電池開発を事業構造変革に向けた施策の一つとして掲げており、2023年8月より高容量・高出力なリチウムイオンバッテリーの研究開発を目的として設立した株式会社Honda・GS Yuasa EV Battery R&Dがその事業を開始しております。HEV、PHEV及びEV用リチウムイオン電池で培った知見を活用し、新たな成長戦略の柱として、競争力のあるBEV用リチウムイオン電池の開発を推進してまいります。また、当社グループ及び本田技研工業株式会社の共同出資並びに政府による補助金の活用によりBEV用電池の生産工場を建設し、早期の生産ラインの稼働と生産能力の拡大を目指しております。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営の最重要政策のひとつに考えておりますが、それと同時に配当は原則として、連結の業績動向を踏まえ、財務状況、配当性向等を総合的に勘案して決定すべきものと考えております。一方、内部留保は今後の業績拡大のための投資や競争力の維持、強化を図るべく活用したいと考えております。これらにより、将来にわたる成長を続け、長期安定的な株主の利益を確保することを基本方針としております。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、中間配当については取締役会、期末配当については株主総会であります。
当期の配当金については、親会社株主に帰属する当期純利益が期初の利益目標を達成できましたことから、1株当たり70円(第2四半期において中間配当15円を実施済のため、期末配当金は55円)とする予定であります。この結果、連結での配当性向は18.9%となります。
なお、当社は、「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として会社法第454条第5項に定める剰余金の配当(中間配当)をすることができる」旨を定款に定めております。
基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。
(注) 配当金の総額1,207百万円及び5,519百万円には、信託が保有する自社の株式に対する配当金0百万円及び2百万円を含めております。