リスク
3 【事業等のリスク】
以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1) 旅行市場について
旅行市場は、国内では観光庁主導のもと市場拡大へ向けた様々な施策が行われております。当社グループは、日本及び急速に成長するアジアをはじめとする世界の旅行市場は今後も中長期的に拡大していくものと想定しております。
しかしながら、日本を含めて世界的な感染症の発生・蔓延、天候の変動、及び景気の悪化等により社会的に消費者の旅行に対する意欲が減退した場合、テロや戦争などの世界情勢の変化や自然災害、事故等による観光インフラへの被害が起きた場合、急激な為替相場変動による世界情勢の混乱等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 電子商取引の普及について
世界における電子商取引は、インターネットの普及及びスマートフォンやタブレット型端末機器の普及による利便性の向上に伴い市場規模が拡大し、当社グループでは今後も電子商取引が発展するものと考えております。
国内旅行会社のインターネット販売比率は上昇傾向にあり、世界の旅行市場でもオンラインの販売比率は高い傾向にあります。当社グループは、今後も当該傾向は継続し、益々インターネット販売比率が高まっていくものと見込んでおります。
しかしながら、電子商取引に関する新たな規制の導入や何らかの予期せぬ要因により、当社グループの期待どおりに電子商取引の普及が進まない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(3) 競合他社の影響について
クルーズ旅行は、大手を含めた総合旅行会社の多くが、数ある旅行商品の一部として販売を行っております。そのような中、当社グループは、旅行商品の中でもクルーズ旅行に専門特化して多くの商品提案を行うことにより、顧客の選択肢を広げ、専門的なサポートを提供し、顧客からの評価を獲得してまいりました。また、船会社との協力関係により、独自の仕入れルートも構築しております。
しかしながら、有力な競合企業や新興のベンチャー企業が、その資本力、営業力、技術力等を活用してクルーズ商品の販売に取り組み、当社の想定している以上に競争が激化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(4) インターネットの直販化について
当社グループは、主に船会社から乗船券を仕入れて販売を行っております。近年のインターネットの発達により、航空券予約やホテル予約などでは、エンドユーザーへの直販が年々増加傾向にあります。一方、国内のクルーズ乗船券販売においては、商品認知も低いことから、旅行代理店のサポートを前提とした販売がその多くを占めています。
そのような中、当社グループでは、船会社横断での検索や一覧、圧倒的な選択肢の数など、直販サイトでは実現が難しい部分での利便性を高め、成長を図ってまいります。
しかしながら、他の旅行商品に見られるように、クルーズに習熟した旅行者が増え、船会社サイトでの直接購入を嗜好する旅行者が増えた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) システム障害について
当社グループのサービス提供は主にインターネット環境において行われております。そのため、当社グループはサービスの安定供給を図るためのセキュリティ対策と、コンピューターウイルス等の侵入やハッカーによる妨害等を回避するために必要と思われる対策をとっております。
しかしながら、あらゆる可能性を想定して対策を施すことは困難であり、当社グループの想定しないシステム障害やサービスの妨害行為等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(6) 個人情報保護について
当社グループは、当社グループのサービスを提供するに当たり、顧客の個人情報(氏名、メールアドレス、生年月日、性別、住所、電話番号)を取得し、サーバーに記録しております。
これらの個人情報の管理は、当社グループにとって重要な責務と考え、顧客に安心かつ快適にサービスを利用してもらうため、顧客のプライバシーとその保護について「プライバシーポリシー」、「個人情報保護規程」を定め、適切な保護措置を講じる体制の整備を進めてまいりました。結果、2019年5月には日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)より、「プライバシーマーク」の認定を受けております。
しかしながら、これらの情報が何らかの理由によって外部に流出した結果、当社グループの信用力の低下を招いた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(7) 既存事業拡充及び新規事業展開について
当社グループは今後、既存サイトの機能追加や、他社との提携による顧客基盤の拡大、国内旅行事業やフィンテック関連事業等の新分野においての事業拡大を図ることを予定しておりますが、安定して収益を生み出すには、一定の時間がかかることが予想されるため、結果として当社グループ全体の収益が一時的に悪化する可能性があります。また、これらの事業が必ずしも当社グループの目論見どおりに推移する保証はなく、その場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(8) 在庫リスクについて
当社グループが行う取引は、顧客の予約に対して仕入を行う受注発注型がメインではございますが、今後、在庫を伴うチャータークルーズの催行や船会社主催クルーズのキャビン買取等により、独自商品の企画やリピーターの囲い込みを積極的に行うことを、成長戦略のひとつとしております。
実施においては、過去の販売統計分析から十分な計画を基に仕入を行い、当社のマーケティングや販売ノウハウを駆使した販売を行いますが、予測不能な市場環境の変化等により、計画を大きく下回る販売となった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9) 法的規制について
当社グループの運営しているオンライン旅行サイトは旅行業法第2条に定める旅行業に該当し、当社は、第一種旅行業者の登録を行っており、5年毎の更新が義務付けられております。当社が旅行業法第6条で定める登録拒否事由に該当して更新を行うことができない場合、または、旅行業法第19条で定める登録取消事由に該当した場合には、登録の取消しもしくは営業の停止等を命じられる可能性があります。当社には、現時点において登録の取消し等の事由となる事実はないと認識しておりますが、何らかの理由によりこの資格の登録拒否事由等が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社の旅行業に関する登録事項は以下の通りです。
また、当社グループの行うオンライン事業においては、知的財産法、不当景品類及び不当表示防止法、特定商取引に関する法律等による法的規制を受けております。
当社グループは、社内の管理体制の構築等によりこれら法令を遵守する体制を整備しておりますが、万一、これら法令に違反する行為が行われた場合若しくは、やむを得ず遵守できなかった場合あるいは行政機関によって当社グループ事業に関わる法令等による規制の改廃や新設が行われた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(10) 特許等知的財産権について
当社グループは第三者の知的財産権を侵害しないように常に留意するとともに、必要に応じて弁護士等の専門家を通じて調査しておりますが、第三者の知的財産権を侵害する結果が生じる可能性は皆無ではありません。
そのため、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求及び使用差止請求等の訴えを起こされ、結果として当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(11) 訴訟発生リスクについて
当社グループでは、コンプライアンス規程及びリスク管理規程を制定し、役職員に対して当該規程を遵守させることで、法令違反等の発生リスクの低減に努めております。しかしながら、当社グループ及び役職員の法令違反等の有無に関わらず、当社グループが扱う乗船券やクルーズツアーにおいてトラブルが生じ、訴訟に発展する可能性があります。提起された訴訟の内容及び結果によっては、多大な訴訟対応費用の発生や企業ブランドイメージの悪化等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 代表者への依存について
当社グループの代表取締役である澤田秀太は当社グループ創業者の実弟であり、当社グループの経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。
当社グループでは取締役会や、役員及び従業員との情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を行うことが困難となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(13) 小規模組織であること並びに優秀な人材の確保及び育成について
当社グループは人数規模が小さく、内部管理体制もこのような規模に応じたものとなっております。
当社グループは、今後の事業拡大及び事業内容の多様化等に対応するために、人員の強化及び内部管理体制の充実を図る予定ではありますが、人材の採用等が予定どおり進まなかった場合、または既存の人材が社外に流出した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは未だ成長途上にあり、会社運営を円滑に遂行する上で、優秀な人材を適切な時期に確保し、育成する必要があります。そのような人材が適切に確保できなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(14) 為替リスクについて
当社グループは、旅行商品の中でも海外旅行の取扱いを主としており、旅行代金の決済に際し外貨建ての取引を行っていることから、外国為替の影響を受けます。仕入価格決定時の為替を基に旅行代金を確定するなど、為替リスクの軽減に努めていますが、完全に回避できるものではありません。
① 円貨換算の変動
具体的には、円高になった場合、仕入価格、売上ともに円貨換算の価格は減少し、売上総利益も減少するため、マイナスの影響を与える可能性があります。逆に円安となった場合は、仕入価格、売上ともに増加し、売上総利益も増加することから業績改善につながる可能性があります。
② 予約傾向による影響
円高時には旅行代金が値下がりすることから、海外旅行の申込みが増加する傾向にあり、当社グループの業績改善につながる可能性があります。逆に円安時には海外旅行の申込みが低調となる傾向があり、業績にマイナスの影響が生じる可能性があります。
(15)業績の季節変動について
当社グループは、旅行商品を取扱っているため、お客様が長期休暇を比較的に取得しやすい季節に売上高が集中する傾向があります。クルーズ旅行の特性上、欧州や日本発着クルーズのオンシーズンは毎年4月から9月であり、特に、5月のゴールデンウィーク期間及び7月から9月の夏休み期間に取扱い数が集中する傾向にあります。
このため、4月から9月における受注機会の逸失が起きた場合には、業績に影響が生じる可能性があります。
(16) 広告宣伝費について
当社グループの事業では、広告を掲載することで集客が図られ売上が増加することから、広告宣伝費は重要な投資であると認識しております。当社としましては、広告宣伝費の支出に関しては、費用対効果を測定し、最適な広告宣伝を実施するように努めておりますが、市場動向、競合動向などの事由により広告宣伝費に対する費用対効果を期待通り得られない場合には、収益性を低下させるなど、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(17) 配当政策について
当社グループは、経営基盤の長期安定化に向けた財務体質強化及び事業の継続的な発展を目指すべく、内部留保の充実を重要な課題ととらえ、これまで金銭による配当を実施したことはありません。今後株主への配当につきましては、内部留保とのバランスを保ちながら、収益の増加に連動した配当を行うことを基本方針としております。しかしながら、現時点においては、配当の可能性およびその時期については未定であります。
(18) のれんの減損に関するリスク
当社グループは2023年7月末時点で36,616千円ののれんがございます。「固定資産の減損に係る会計基準」では、減損の兆候が認められる資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回った場合に帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減額した当該金額を減損損失として計上することとされています。今後事業の収益性が著しく低下し減損損失の計上が必要になった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(19) 新型コロナウイルス感染拡大に関するリスク
新型コロナウイルス感染症による日常生活における活動の制限が撤廃され、クルーズ運航においてもようやく正常化いたしました。しかしながら、依然、感染者数が減少しておらず、今後の感染状況次第では、国内外問わずクルーズへの送客数が変動し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性も考えられます。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を目指すため、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以来、第18期事業年度を含め配当は実施しておりません。しかしながら、株主利益の最大化を重要な経営目標のひとつとして認識しており、今後の株主への剰余金の配当につきましては、業績の推移、財務状況、今後の事業・投資計画などを基に総合的に勘案し、内部留保とのバランスを取りながら検討していく方針であります。ただし、現時点では実現可能性及びその実施時期等については未定であります。
内部留保金については、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させるための資金として、有効に活用していく所存であります。
なお、当社の剰余金の配当につきましては、期末配当は株主総会が、中間配当は取締役会が決定機関となっております。中間配当につきましては、取締役会の決議によって、毎年1月31日を基準日として中間配当をすることができる旨を定款に定めております。