リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループでは、発生しうるリスクの未然防止及び発生したリスクの低減をするための管理体制を整備し、業務の円滑な運営に資することを目的としてリスク管理規程を制定しております。
リスク管理体制は、代表取締役社長を委員長とする「BCP・リスク管理委員会」を設置してグループ全体のリスクを総括的に管理することとしており、定期的にリスクの洗い出し及び評価を行っております。
当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性のあるリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。なお、本項に含まれている将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)特定顧客への依存度について
当社グループの当連結会計年度における売上高の64.2%が三菱重工業グループ、日本碍子グループ、川崎重工業グループ、LIXILグループの主要得意先4社グループで占められております。三菱重工業グループからは、主に産業用ガスタービン部品の放電加工及び、表面処理の業務並びに航空機エンジン部品を、日本碍子グループからは、自動車排気ガス浄化用のセラミックスハニカム担体を成形するためのセラミックスハニカム押出用金型を、川崎重工業グループからは、航空機エンジン部品の表面処理業務等を、LIXILグループからは、アルミサッシ等を成形するためのアルミ押出用金型をそれぞれ受託しております。
従って、これらの主要得意先の受注・生産動向や外注政策が大きく変動した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応として、顧客基盤拡大の取り組みや提供サービスの多様化などによりリスク顕在化の影響の緩和に継続的に努めてまいります。
(2)製品の欠陥について
当社グループは国際的品質管理基準であるISO9001などに基づいて品質の安定に努めております。しかし、すべての製品について欠陥が無く、将来に製造物責任賠償などが発生しないという保障はありません。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、大規模な製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応として、品質システム管理室及び品質管理部門を中心として品質マニュアルを定義して、社員向け教育など継続的な改善を進め、品質の徹底管理に取り組んでおります。
(3)自然災害等について
地震や台風等の自然災害によって、当社グループの生産拠点に甚大な被害を被る可能性があります。
当社グループの生産拠点は神奈川県に3箇所、愛知県に3箇所、岡山県、千葉県、福井県に各1箇所、また、海外においてはタイ国に1箇所、中国に1箇所あり、それぞれ定期的な災害防止活動や設備点検等を行っておりますが、これらの災害による影響を完全に防止又は軽減できる保証はありません。特に生産拠点が関東地区から中部地区に集中しており、大規模な東海地震などが発生した場合は、生産能力に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応として、当社グループでは、有事の際、代表取締役社長を本部長とする対策本部を設置し、被災状況の把握と対応の指示命令を行います。また、火災保険等に加入し、自然災害による損失リスクに備えております。顧客、取引先、従業員等の人命尊重を最優先とした上で、営業の継続又は早期の営業再開に向けて対応してまいります。
(4)生産性の向上、コスト削減が進まない場合について
当社グループは、加工技術・加工治具・専用機の開発などによって生産性の向上、コスト削減に努めておりますが、有能な人材の流出や原材料の高騰等があった場合に開発が進まず生産性の向上が図られない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応として、原材料高騰については、販売価格への適正な反映や調達ルートの多様化に取り組んでおります。人材流出については、当社グループでは新卒採用だけでなく、専門性の高い人材の中途採用を進めております。また、結婚や育児、介護等の理由により退職した人材を再度雇用する「ジョブリターン制度」の採用など多様な働き方に対応できる仕組みの整備にも努めております。
(5)資金調達
当社グループは、将来見通しも含めた金利動向を勘案して資金調達を実施しており、低利・安定資金の確保に努めておりますが、金利の大幅な変動をはじめとする金融市場の状況変化は、将来における当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応として、金利スワップ契約などにより固定金利と変動金利の変動に対応しております。
(6)財務制限条項について
コミットメントライン契約及び借入金のうち、タームローン及びシンジケートローンには一定の財務制限条項が付されております。これらに抵触した場合、該当する借入金の一括返済及び契約解除の恐れがあり、当社の資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応として、安定的な業績を確保するため、利益率の向上に努めてまいります。
(7)情報セキュリティ
当社グループは、事業の遂行を通して顧客等の機密情報に多数接しているほか、当社グループの技術・営業・その他事業に関する機密情報を保有しており、安全管理に努めておりますが、コンピュータウィルスの感染や不正アクセスその他不測の事態により、機密情報が滅失若しくは社外に漏洩した場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応として、「情報セキュリティ規程」に基づく積極的な情報セキュリティ活動(教育訓練含む)を展開するとともにセキュリティ関連の情報収集に努めてまいります。
(8)減損損失
当社グループの資産の時価が著しく下落した場合や事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により減損損失が発生し、当社グループの業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応として、有形・無形固定資産について減損の兆候判定と減損損失の認識及び測定を行うための手続きを整備・運用するとともに、投資時の投資回収等の検証やその後のモニタリングを通じて早期の兆候把握に努めてまいります。
(9)繰延税金資産の計上
「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおり、前提条件である利益計画が達成できないなど将来の課税所得の見積りについて見直しとなり繰延税金資産の減少が必要となる場合は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応として、将来の課税所得については、経営環境の変化などを踏まえ適宜見直しを行っておりますが、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり、基準とした利益計画の実現可能性について慎重に検討を行い、合理的に見積もった課税所得についてのみ繰延税金資産を計上することとしております。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ安定した配当を継続して実施していくことを、配当政策の基本方針としております。
また、剰余金の配当につきましては、当社の業績が得意先の受注・生産動向及び外注政策等により変動しやすいことから、年間利益の確定する期末(年一回)に配当を行うことを原則としております。
なお、当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めております。剰余金の配当の決定機関は、中間配当、期末配当ともに取締役会であります。
当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき1株当たり7円といたしました。
内部留保資金につきましては、当社の特化技術の拡充、生産性向上、新技術・新製品の開発など経営基盤の強化及び拡大を図るために有効に投資してまいりたいと考えております。
なお、基準日が当事業年度に属する取締役会決議による剰余金の配当は、以下のとおりであります。