リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
1.経営環境に関するリスク
(1) 経済動向による影響
当社グループの売上高の大部分は、国内の景気動向や需要動向に大きく影響を受けます。法律・制度の規制緩和や住宅政策の転換、金利動向などにより新築・リフォーム需要が大きく変動した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、業務効率化によるコストダウン等を実施し、強固な財務基盤を維持してまいります。
(2) 為替レートの変動
当社グループは、中国における子会社での現地生産による外貨建取引、また、同子会社の資産及び負債等は連結財務諸表作成時において円換算されるため、為替変動によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、上記以外の取引については円建取引を原則とすることで、為替リスクの回避・軽減に努めております。
(3) 金利の変動
当社グループは安定的に事業を継続するため、運転資金や必要な設備の新規投資の更新を毎年行っております。その際、有利子負債や自己資本比率について適正水準維持に努めつつも、必要な資金を主として銀行借入により調達しております。新たに借入を行う際に、借入金利が変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、金利変動リスクを回避・軽減する目的で、主に固定金利により資金調達を行っており、一定期間における金利変動による影響を軽微なものに抑えるよう努めております。
(4) 競争の激化
当業界における価格競争は、熾烈なものとなっています。当社グループは、市場ニーズにマッチした品質・機能・価格面において競争力を有する製品・サービスを市場投入できるメーカーであると考えておりますが、将来においても競争を優位に展開できる保証はなく、激しい価格競争にさらされた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、付加価値の高い製品の開発による競争優位性の確保、およびコスト削減に取り組んでいます。
(5) 原材料価格の高騰
当社グループは、銅合金などを使用した水栓金具を製造しております。原材料価格の上昇時におきましては、コスト削減・販売価格への転嫁などで吸収を図っておりますが、予想以上の原材料価格高騰によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、国内外の複数の調達先や協力業者との取引関係を強化することで、常に最適かつ安定的な調達ができる体制を構築しております。これらに全社一丸となり取り組んでまいりますが、全てを吸収することが困難な場合においては、原材料や副資材などの上昇分に対し、製品価格への転嫁に取り組んでまいります。
(6) 物流費の高騰
当社グループの事業活動においては、顧客への配送業務を伴うため、燃料価格の上昇や物流委託会社の人件費高騰により物流委託会社への支払いコストが増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、物流業務の効率化などにより費用低減を図り、複数の物流委託会社へ取引を分散することで物流コストの上昇を抑えるよう努めております。これらに全社一丸となり取り組んでまいりますが、全てを吸収することが困難な場合においては、物流費の上昇分に対し、製品価格への転嫁に取り組んでまいります。
(7) 自然災害、感染症等
当社グループは、製造ラインの中断による影響を最小化するために、生産設備などにおける定期的な災害防止点検を行っております。しかし、生産施設で発生する人的あるいは自然災害などによる影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。当社グループの工場は岐阜県(各務原市)・大阪府(大阪市)・中国大連と分散しているものの、当社グループを取り巻くサプライ・チェーンは中部地区に集中しており、当地方における大規模な地震やその他操業に影響する災害などが発生した場合、生産及び出荷が遅延することにより売上高が低下し、生産拠点等の修復のために多額の費用を要することとなる可能性があります。さらに、社会的な生産活動の停滞、原材料の供給不足、日本市場の需要低下といった間接的な影響を受ける可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、開発・生産拠点および調達先などに甚大な損害が生じた場合、生産や出荷が遅延するリスクに備え、BCP(事業継続計画)の策定を進め、リスクの回避・軽減に努めております。
ウイルスなどの感染症等につきましては、新型コロナウイルス等の感染症が想定を上回る規模で発生及び流行した場合、社会的な生産活動の停滞、原材料の供給不足、住宅設備業界における展示会等のイベント中止やショールームの休館・来場者制限、日本市場の需要低下といった影響を受ける可能性があります。特に住宅設備業界において経済活動・販売活動が制限される状況となった場合には、管工機材ルートやメーカールートにおいて売上高が減少するといった直接的な影響を受ける可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
幸いにも当社グループは、ホームセンターやEC向けのリテールルートや海外ルートといった複数のルートでも販売を行っており、販路の多角化を推進していることが当該リスクの回避・軽減につながっていると考えております。また、当社グループは、本社管理部門が中心となり、全ての従業員とその家族の健康維持を最優先とし、感染予防・拡大防止のための措置、勤務形態、顧客対応等を指示するなど、BCP体制を構築しております。加えて、各国、地域の行政の指針・ガイドラインに沿って、状況に応じた判断・対応をとるとともに各国法人の状況を適時に把握し社内外に情報を発信しております。
2.事業活動に関するリスク
(1) 新商材・新ブランドの企画・開発・販売
当社グループは、多様化するプライベート空間やパブリック空間にマッチする製品を提供するため、キッチンルーム・バスルーム・洗面ルームなどの水まわりにおける新商材や新ブランドの企画・開発・販売を行っております。
新商材・新ブランドの企画・開発・販売が想定通りに進まない場合には、先行投資が回収できなくなること、追加費用の発生、在庫の増加等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、新商材や新ブランドの企画・開発・販売におきましては、投資対効果を慎重に判断し、決定してまいります。
(2) 海外での事業活動
当社グループは、中国、台湾、インドネシア、タイ等のアジア諸国においても事業活動を行っており、法律・規制や租税制度の変更、テロ・戦争・内乱などによる政治的社会的混乱や予期し得ない経済情勢の悪化により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、日本本社の専門部門が各国の経済・社会・政治的状況や、各国法規制の動向について情報を収集するようにしております。また対応が必要な事象が生じた際には、現地の代理店等と連携して適宜対応をおこなう体制を整備しております。
(3) 人材確保等に関するリスク
当社グループにおいては、継続的な成長のためには、優秀な人材の確保が重要であると考えておりますが、採用が計画通りに進まなかった場合、人材の流出があった場合や人材確保等のために人件費が上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、これらのリスクを低減する目的で、中長期的に安定した企業収益を確保し、企業収益の投資先として積極的な求人活動の実施、長期的な雇用維持に向け従業員の福利厚生の充実に充てるなどして、人材確保による影響の低減を図っております。
(4) 製品の欠陥
当社グループは、品質管理基準に従い製品を製造しておりますが、全ての製品について欠陥がなく、将来においてリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。万一、大規模なリコールが発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、開発段階からの仕様品質の熟成や製造工程内品質保証体制の構築に努めるとともに、ISO9001等の国際標準規格に基づく品質マネジメントシステムを運用する等、製品欠陥の発生予防に努めています。また、製造物責任賠償に繋がるような製品欠陥の発生に備え、影響範囲を速やかに把握するトレーサビリティ(製造履歴の追跡)システムを導入する等、迅速な対応を可能とする品質管理体制の強化に努めています。
3.法的規制及び訴訟等に関するリスク
(1) 環境法規制
当社グループは、気候変動や天然資源の枯渇、廃棄物問題、有害化学物質による汚染などの環境問題を自社の存続にも関わる問題と捉え、環境理念を掲げ、環境に配慮をした事業活動を行っております。しかしながら、災害、事故及びトラブル等による環境汚染が生じた場合や関連法令の改正等によって新規設備投資等によるコストの増加が生じた場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、開発・生産拠点および調達先などに甚大な損害が生じた場合、生産や出荷が遅延するリスクに備え、BCPの策定を進めており、気候変動の緩和に向け、サプライチェーン全体での温室効果ガス削減に取り組んでいます。また、関係部署担当者の教育などを実施することで、管理体制を強化するほか、規制の変更などのタイムリーな把握と対応に努めています。
(2) 知的財産権の保護
当社グループは、知的財産権が当社製品の優位性の確保にあたり、重要な役割を果たしていると認識し、知的財産権を厳しく管理すると同時に、他社の知的財産権を侵害しないための社内体制を構築しております。しかしながら、当社グループが保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合や当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、専門の部署を設置し特許の調査や出願、社内への啓発活動、社内規則の制定等、発生防止に努めています。
(3) 情報システムに関するリスク
当社グループは、会社運営の全般にわたり情報システムを利用しております。情報システムの信頼性の維持には、万全を期しておりますが、災害、事故及びトラブル等によるハードウェアやネットワークの損傷、外部からの不正アクセス、コンピューターウイルス感染によるシステムトラブルや情報漏洩等の問題が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを可能な限り回避するために、適切なシステム障害の復旧プランを策定し訓練するとともに、情報セキュリティ専門部署によるモニタリングの実施と定期的な報告を行うことで、リスクの低減を図っております。
(4) 訴訟の提起
当社グループは、事業活動を進めていく中で様々な訴訟等を受ける可能性があります。訴訟が提起された場合には、結果によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、法令遵守と倫理に基づいた企業活動を行う旨を宣言し、当社グループの取締役および従業員が事業遂行にあたって、各種法令や倫理基準並びに社内コンプライアンス行動規範等から逸脱した行為を行うことがないよう、従業員に周知を行う等の徹底を図っております。また、自浄機能として内部通報制度を導入するなどコンプライアンス・リスクへ対応しております。
4.その他のリスク
(1) 資産価値の変動
当社グループは、有形固定資産を保有しており、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しておりますが、今後、業績動向によっては減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが所有する棚卸資産、投資有価証券等の投資その他の資産についても、評価額の引き下げを行う必要が生ずる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して、当社グループは取締役会や経営会議等における投資計画、投資金額の適切性に関する審議を行うほか、投資後の定期的なモニタリング及びフォローアップによる投資価値の定期的な検証を行っております。また、時価のある有価証券・投資有価証券については月次でモニタリングを実施して時価及び損益の把握に努め、時価のない有価証券・投資有価証券については、適時、財務状況等の把握に努めることで、それぞれ投資先の状況を定期的に確認しております。
(2) 退職給付債務
当社の従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。このため、実際の金利水準が悪化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 繰延税金資産
繰延税金資産の計算は、将来の課税所得など様々な予測・仮定に基づいており、経営状況の悪化や税務調査の結果等により、実際の結果が予測・仮定とは異なる可能性があります。従って、将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額され、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、資本コストや株価を意識した経営を強化し、株主価値の最大化に努めています。その中で、株主に対する利益還元を経営の重要政策の一つとして位置づけ、業績や将来の資金需要などを総合的に考慮しつつ、年2回の累進配当を実施することを基本方針としております。
第64期事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき当期は1株当たり108円の配当(うち中間配当49円)を実施することを決定しました。この結果、2017年3月期より8年連続の増配となっております。
また、内部留保資金につきましては、競争力を高め、将来の事業拡大を図るための設備投資や研究開発などに有効活用してまいります。
当社は、剰余金の配当は取締役会の決議により行うことができる旨及び中間配当を行うことができる旨、定款に定めております。
第64期事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。