2023年9月期有価証券報告書より

リスク

3 【事業等のリスク】

当社の事業展開上のリスク要因となる可能性をもった主な事項を開示し、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載いたします。また、当社として必ずしもリスク要因とは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

当社はこれらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避・分散及び発生した場合の対応に最大限努力する方針であります。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。

なお、文中における将来に関する事項につきましては、本書提出日現在において判断しております。

 

(1)法的規制について

 主力事業である設計開発アウトソーシング事業のうち労働者派遣業務は労働者派遣法により規制されております。2015年9月30日に厚生労働省より施行された労働者派遣法改正法では、施行日以降、特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別は廃止され、すべての労働者派遣事業は新たな許可基準に基づく許可制となりました。従来の特定労働者派遣事業者は新たに許可証取得が必要となったため、当社は2016年3月1日付にて厚生労働省より労働者派遣事業許可証[許可番号:派13-306330]を取得いたしました。
 設計開発アウトソーシング事業のうち、請負業務については受託者である当社が、委託者である顧客企業から請負契約に基づいて業務委託され、当社の管理と責任のもとで仕事を完成し、成果物を納品するものであり、民法第632条に規制されております。

 また、当社は、水素水の製造及び個人向けの通信販売等を行っており、食品衛生法、特定商取引に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法等により規制されております。関連法令の遵守を徹底しておりますが、仮に関連法令に違反するような事態が生じた場合には、事業の継続に支障が生じる可能性があります。

 なお、関係諸法令は、情勢の変化等に伴い、継続的な見直しが行われています。その結果、関係諸法令の改正内容が当社の事業に重大な影響を及ぼす場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)競合について

 労働者派遣業界、特に設計開発アウトソーシング業界内での競合状況が、市場の縮小や周辺業界からの新規参入等により激化した場合には、派遣技術者数の減少や単価の下落、設計請負金額の減少など、業績の悪化要因となります。当社は、過度な価格競争等には巻き込まれないように、設計技術者集団を目指し、優秀な技術者の確保及び社員教育に力を入れておりますが、競合状況の悪化が急激かつ深刻なものである場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (3)人件費の上昇について

 主力事業である設計開発アウトソーシング事業では、売上原価の90%以上が労務費であり、労働者の賃金上昇は収益性の悪化に繋がります。世界的な物価上昇が続く中、政府や経団連の賃上げの呼びかけもあり、国内の平均賃金は上昇しています。賃金上昇率が大幅かつ急激である場合には業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)社会保険料率の上昇について

 当社では、請負業務はもとより、派遣業務におきましても、全ての社員が常用雇用者となり社会保険に加入しております。そのため、年金制度や健康保険制度などの改正により社会保険料率が上昇しますと、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5)人材の確保について

 当社は機械・機械部品・電子等の設計開発、システム・ソフトウエア設計開発等の技術を提供する設計開発アウトソーシング事業を展開しているため、技術者は重要な経営資源であり、技術者の確保は事業拡大のための重要な要素であります。

 技術者の確保につきましては、採用管理部を設置し、技術系社員の新卒採用と中途採用を実施しております。全国の理工系大学、高等専門学校への学校訪問・学内セミナー・インターンシップへの積極的な取り組み等を実施し、求人ウェブ、ホームページ等ネット媒体の活用及びハローワークを中心に積極的に技術者の採用活動を行っております。

しかしながら、万が一当社がこれらの技術者の確保を充分にできなかった場合や、技術者の退職数が当社の予想を大きく超えた場合には、取引先企業からの技術者の要望に対応できず、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)請負業務における瑕疵担保責任及び製造物責任について

当社の設計開発アウトソーシング事業のうち請負業務は、顧客企業から業務を請負い、その業務の指示や設計技術者の労務管理等について当社が一切の責任を負い、業務の遂行・完成を約し、その成果物を納品するものであり、その業務の成果に対し対価を受け取る形態になっております。当社はこの請負業務の売上構成比率を維持し、安定的な事業の柱とすることを目指しています。

請負業務において成果物に対する瑕疵担保責任や製造物責任等の追及を受けるリスクがあり、それによる賠償責任による費用が発生した場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)情報の取り扱いについて

 当社は、顧客企業に関する情報を大量に取り扱っておりますが、情報セキュリティマネジメントシステム(ISO/IEC 27001、登録組織:本社・東京支店(受託型請負業務に限る)、登録活動範囲:顧客要求に基づいた三次元CADによる設計業務)を認証取得したことで、万全の情報セキュリティ体制を確立するとともに、万が一の場合に備え、IT業務賠償責任保険にも加入しております。

 しかしながら、特に請負業務における顧客企業の製品開発等の機密性の高い情報、ノウハウが何らかの原因により外部に漏洩した場合、当社の社会的信用を失墜させるだけでなく、損害賠償につながるリスクが存在し、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)自動車関連分野への依存について

 当社では、設計開発アウトソーシング事業に占める自動車関連の売上高構成比率が51.3%(2023年9月期)と高く、自動車関連企業の業績の影響を受けやすい状況にあります。そのため、EV普及やモジュール化による、自動車部品点数の減少の影響を受けにくい、自動車ランプや内装等をコア技術領域として技術者シフトを行い、環境変化への対応力の向上を図っています。また、顧客企業の動向を把握し、その変化に対応できるよう十分注意して営業活動を行っています。

 しかしながら、当社の想定を超えて、依存度の高い顧客企業の業績不振や設計・開発部門への投資の減少、また当該部門の海外へのシフト等が起きた場合には、当社技術者の稼働率が低下し、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)特定取引先への依存について

 当社の主たる取引先業界は自動車・輸送機器分野であり、なかでもトヨタ自動車株式会社向け売上高は、当社の全売上高の22.3%(2023年9月期)を占めております。

 当社は、同社及び関連部品メーカーの設計業務において欠かすことのできない存在となるべく、これまで以上に設計技術者の技術力向上に注力していくとともに、当社の技術力を生かせる新たな分野、新たな取引先への売上拡大にも積極的に取り組んでまいります。しかしながら、同社及び関連部品メーカー向けの売上高が大きく減少した場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)稼働率について

 当社の設計開発アウトソーシング事業では、全ての社員が常用雇用者となり、顧客企業に派遣していない期間や請負業務に配属していない期間でも技術者に対する労務費(原価)は発生いたします。そのため、技術者の稼働率が低下した場合は、売上高が減少すると同時に原価率は上昇し、利益率の低下を余儀なくされます。当社は、技術者の研修を充実してスキルアップを図り、顧客企業の需要・ニーズ・信頼に応え、高い稼動率を確保できるよう努めております。また大規模地震などの災害時に備え、事業継続・早期復旧を図るための事業継続計画を定めておりますが、経済環境の変化や顧客企業の動向、他社との競合の激化、大災害等により稼働率が低下した場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)システム障害について

 システム障害によるリスクを十分に認識した事業継続計画を定め、サーバーの安定的運用環境の確保や通信回線の冗長化等の施策を施しておりますが、自然災害・コンピューターウイルスあるいはサイバーテロ等によりITインフラが停止・破損した場合は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)新規事業への進出について

 中長期的な企業発展を目指し、新規事業にも積極的に取り組んでまいりますが、その遂行過程において事業環境の急激な変化や、事後的に顕在化する予測困難な問題等によりリスクが発生する可能性は否定できず、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)美容・健康商品製造販売事業について

 当社では、美容・健康商品製造販売事業において、水素水などの飲料製造販売に取り組んでおります。飲料業界は比較的景気の波に左右されにくいものと考えておりますが、個人向け通信販売あるいは企業向けOEM販売が計画通りに進まない場合には、工場建設等に係る投資資金を回収できず、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、同事業では、飲料水等に関する製造も行っているため、製造、保管、運搬、販売の各過程において、衛生面の管理には万全を期しておりますが、顧客の健康被害等が生じるような事故が発生した場合は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)感染症拡大及び自然災害発生等について

 当社は、感染症拡大や自然災害等が発生した場合に備えて、取引先、従業員及びその家族の安全及び健康の確保を最優先として、リモートワークの実施等による勤務形態の見直しやWeb会議の促進、オフィスの消毒徹底など事業活動を継続しつつ感染拡大防止のための措置を講じております。新型コロナウイルス感染症の影響については、軽微になりつつありますが、今後新たな感染症の流行が顧客企業の活動に影響を及ぼすことや、技術社員が業務に従事することができない状況が発生した場合に、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置づけ、継続的かつ安定的な配当を実施することを基本方針としております。配当政策につきましては、内部留保の確保と配当の安定的拡大を念頭におき、財政状態及び利益水準を勘案した上で当期純利益の35%以上(配当性向35%以上)を毎期配当していくこと(業績連動の配当方式)を原則としております。

なお、経営環境の変化や不測の事態が生じた場合でも、機動的な資本政策及び配当政策を図るため、剰余金の配当等を取締役会決議により行うことが可能となる定款変更は2023年12月22日開催の第18期定時株主総会で承認可決されました。

当期の剰余金の配当につきましては、当事業年度の業績を鑑み、継続的な安定配当の基本方針のもと1株当たり102円を実施させていただく予定です。この結果、当期の配当性向は56.6%となります。

内部留保資金の使途につきましては、今後の事業展開の備えと設備投資資金として投入していくこととしております。

(注)  基準日が当事業年度に属する配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2023年12月22日

定時株主総会決議

405,917

102.0