2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財務状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性として認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本資料並びに決算短信等の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)当社グループの営業エリアについて

当社グループは、葬祭事業及び婚礼事業においては福島県内に施設展開が集中しており、石材事業の小売部門及び互助会事業等においても同県内を中心とした事業展開を行っております。これらのことから、福島県内における景気及び消費動向、人口構成及び死亡者数・婚姻数の推移並びに冠婚葬祭に関する地域慣習とその変化等による影響を受けております。また、他商圏からの同業者の流入及び異業種からの新規参入等により、競争激化が進んでおります。

当社グループでは、葬祭会館の新規出店やM&A・アライアンス、石材事業のベトナムにおける事業展開等により営業エリアの拡大・分散及び既存の営業エリアにおける販路拡大に努めるとともに、婚礼事業の営業規模の適正化を進めておりますが、社会経済環境や地域慣習の変化等による影響が生じた場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)自然災害の影響について

地震等の大規模な自然災害が発生した場合には、事業用施設の稼働停止、事務所や附属設備の損壊等により重要な事業が中断し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対応するため、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短期間で復旧するよう、事業継続計画(BCP)を策定し、役職員に周知しております。また、事業継続マネジメント(BCM)ガイドラインに基づき、マネジメント活動を実践しております。

 

(3)感染症のまん延について

当社グループでは、事業継続計画において感染症のまん延をインシデントとして想定し、感染者や感染者の濃厚接触者等が発生した場合には、情報共有を図るとともに迅速な対応により2次・3次感染の発生防止に努めることとしております。

しかしながら、感染症の流行が長期化し、多数の従業員及びキーパーソンが出勤停止となった場合、及び消費行動が抑制された場合には、営業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症については、5類への移行に伴う行動制限の緩和や各種政策の効果等により、景気は緩やかな回復傾向にあります。当社グループでは、アフターコロナも見据えた商品開発等を進め、ニーズの多様化に対応してまいります。

 

(4)海外情勢の影響について

ロシア・ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化により、日本国内でもエネルギー価格や原材料価格の高騰、円安等の為替変動が継続しており、当社グループにおいてもその影響を受けております。

当社グループでは、販売価格の見直しや原材料の安定確保等により影響を最小限に抑えるよう努めておりますが、この軍事的対立が更に長期化し、地政学的リスクが日本にも及んだ場合や物価高騰等が進んだ場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)経営成績及び財政状態について

(M&A・新規事業等の不成功)

当社グループは、業容拡大の手段として、M&A及び新規事業等の開発を行うことを重要な経営課題の一つと考えております。M&Aを行う場合には、その対象企業の財務内容や契約内容について綿密なデューデリジェンスを行い、また新規事業等の開発を行う場合には、投資基準に基づき計画し、撤退基準を明確にしてモニタリングすることで、リスクを極力回避することとしております。

 

しかし、M&Aにおいては、偶発債務の発生や未確認債務が判明する可能性も否定できません。また、当社グループの経営方針及び経営戦略が対象企業に十分に浸透しない等の可能性もあります。

M&A・新規事業等が不成功となり、当初、期待した業容拡大や収益性改善が得られない場合には、当社グループの業績や成長見通し及び事業展開等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(債権等の回収不能)

当社グループは、売掛金及び貸付金・保証金等の回収状況を適切に管理し、リスク管理委員会において定期的に報告を行うこととしております。また、回収可能性の検討を行い、状況に応じて引当金を計上するなど、適切な対応を実施しております。

しかしながら、取引先の急激な業績の悪化等から、倒産及び廃業等による債権の貸し倒れが多数発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(資産価値の低下)

当社グループは、事業用施設の展開が重要な要素であり、営業対象地域の需要動向や競合他社の状況等を十分に調査したうえで、新規施設開設及び既存設備改築等の設備投資を実施しております。

しかしながら、事業環境の変化や経済的要因等により、事業用施設ごとの採算性が低下し、継続的に損失を計上した場合には、減損損失を認識する必要があり、当該状況により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)事業体制等について

(法令遵守)

当社グループは営業活動において、貨物自動車運送事業法、食品衛生法、割賦販売法、特定商取引に関する法律、個人情報保護法等の規制を受けております。法令遵守につきましては、コンプライアンス規程、リスク管理規程、内部通報ホットライン管理規程及びコンプライアンス行動規範等に則り法令遵守を浸透させております。また、コンプライアンス委員会及びリスク管理委員会を開催するとともに、定期的なコンプライアンス勉強会の開催とeラーニングによる理解度確認テスト等の実施により、法令遵守の徹底を図っております。

しかしながら、法改正への未対応や法令違反等が発生した場合には、多額の費用負担の発生及び社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(企業不祥事)

当社グループは、コンプライアンス規程及びコンプライアンス行動規範を制定し、法令、社内規則及び企業倫理を遵守するとともに、社会人としての良識と責任をもって業務を遂行することとしております。また、コンプライアンス委員会において、コンプライアンス体制の構築・運用を推進するとともに、定期的に開催するコンプライアンス勉強会を通じて、コンプライアンスの強化及び企業倫理の浸透を図っております。

しかしながら、役職員等による重大な不正・不祥事が発生した場合には、社会的信用の失墜により、営業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(システム・ネットワーク障害)

当社グループは、事業活動をコンピュータシステムに依存しており、販売・購買・在庫管理及び会計処理等については、外部委託業者のシステムを使用しております。

そのため、運営上の安全性・効率性・拡張性等を考慮し、外部バックアップシステムやクラウドサービス利用等の対策を講じており、ネットワーク回線の冗長化等の対策強化を検討しております。

しかしながら、自然災害や事故等により設備が甚大な損害を被った場合、または人為的ミスによる大規模なシステム・ネットワーク障害等が発生した場合には、事業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(情報セキュリティ)

当社グループは、事業上の機密情報及び事業の過程で入手した顧客の個人情報等を保有しております。

日頃の営業活動に加え、リモートワーク等の多様な働き方により、情報の紛失、漏洩等のリスクは高まっております。また、それらの情報に関して、当社グループの想定を超えるウイルス感染やサイバー攻撃等により、重要データの破壊、改ざん、流出及びシステム停止等を引き起こす可能性もあります。

当社グループでは、これら情報の取扱いに関するルールを整備し、全役職員がルールを遵守することで情報漏洩等の回避に努めております。また、高度化する社外からの脅威に対しては、情報セキュリティが万全な外部バックアップシステムやクラウドサービス利用等の対策を講じております。

 

しかしながら、予期せぬ事態により情報漏洩等が発生した場合には、損害賠償の発生及び社会的信用の失墜により、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(人財の確保及び育成)

当社グループは、人事戦略を重要な課題と位置付けており、積極的な採用による人財の確保に取り組むとともに、ニューノーマル時代の働き方への適応による人財の定着に努めてまいります。また、業界における各種資格取得を奨励し、各事業におけるサービス及び業務品質の向上に努めるとともに、継続的にリーダー人財を輩出する枠組み構築と風土醸成に注力してまいります。

しかしながら、事業展開に必要な優秀な人財の確保及び環境変化に迅速に対応できるリーダー人財の育成が困難となった場合、または人財流出が生じた場合には、当社グループの事業展開に影響が生じること等により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)葬祭事業について

(葬儀ニーズの変化)

葬祭事業においては、高齢化もあり今後における死亡者数は増加が予測されており、葬儀施行件数は増加が見込まれております。一方で、小家族化や近隣とのコミュニケーションの希薄化、葬儀に係る価値観の変化等により業界全体として葬儀の小規模化及び葬儀施行単価の低下が生じております。

当社グループでは、小規模葬祭会館から大規模葬祭会館まで施設面での充実を図るとともに、各種パッケージプランの開発及び提供を行い、ニーズの多様化に対応しております。

しかしながら、葬儀ニーズの変化に対して十分な対応が困難となった場合、または想定以上の儀式の簡素化及び小規模化により葬儀施行単価の低下が進んだ場合には、売上高の減少により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(競争激化)

葬祭事業において、特段の法的規制がないことから、参入障壁は低い業界であります。また、高齢化による死亡者数の増加予測から市場成長を見越し、業界各社における事業所拡大、Web系葬儀業者の攻勢や異業種からの新規参入等により競争は激化しており、価格競争による葬儀施行単価低下の一因となっております。

当社グループでは、既存葬祭会館のシェア向上、葬祭会館の戦略的新規出店、サービス品質の向上及び各種パッケージプランの開発等に注力しておりますが、今後において、更なる新規参入及び競争激化が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(株式会社JAライフクリエイト福島との取引)

当社グループは、葬祭事業の一部において、株式会社JAライフクリエイト福島より葬儀施行に係る一部業務を受託しており、その売上高は、当社グループの連結売上高の10%以上を占めております。なお、同社はJA全農福島及び福島県内のすべてのJAが出資する企業であり、各JAが組合員等より申込みを受けた葬儀施行を事業の一つとしております。

当社グループは、これら取引先との良好な関係を維持し、受託業務を継続していく方針でありますが、将来において同社及び各JAの事業戦略や方針等に変更が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)石材事業について

(墓石ニーズの変化)

石材事業の墓石販売においては、宗教観やライフスタイル、顧客の購入意欲の主因となる経済環境の変化等の影響を受けております。近年においてはこれらに加え都市部における屋内納骨堂(永代使用権)の浸透、また霊園における墓地区画面積の縮小化、更には縦長の和型石塔から横置き等の洋型石塔への志向の変化といった、ニーズの多様化に伴う石材使用量の減少が進んでおります。

当社グループでは、墓石商品の独自仕入ルートの構築や設計部門の設置により、高品質な石材の調達と付加価値の高い商品や耐震構造工法等を開発・提案することでニーズに応え、受注件数の確保に努めております。

しかしながら、墓石ニーズの変化に対して十分な対応が困難となった場合には、受注件数の減少により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(商品仕入及び商品品質)

石材事業においては、中国・インド・ベトナム等を中心とした海外から墓石・石材加工商品を輸入しております。特に、依存度が高い中国については、政府が環境保護政策や外資規制等の産業規則に係る広範な裁量を有していること及び規制内容とその運用・解釈についての重大な変更が頻繁に行われること等から、円滑な商品仕入や安定した商品品質に少なからず懸念があるものと認識しております。

当社グループでは、中国福建省厦門市に事務所を設置し、中国国内の情勢・情報の収集に努めるとともに、仕入取引先との密接なコミュニケーションを図ることにより、商品仕入業務の円滑化及び商品品質の維持向上に努めております。

しかしながら、当該各国及びその他近隣諸国において、予期せぬ政治・経済・社会情勢の変化、テロ・戦争・暴動・ストライキ、自然災害及び感染症のまん延等が生じた場合並びに原材料価格や人件費及び物流費の高騰による仕入価格の上昇等が生じた場合には、石材事業における商品仕入及び商品品質に影響が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(為替変動)

石材事業における商品仕入は、米ドル建ての決済取引を基本としております。

為替変動による仕入価格変動については基本的に販売価格に反映することにより、その影響を低減していく方針であります。

しかしながら、大幅な為替変動が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(保証金)

石材事業においては、宗教法人等が開発・経営する霊園での建墓工事の権利や屋内納骨堂での販売代行の権利を取得し、販売促進活動を行っております。霊園・屋内納骨堂の経営は宗教法人等非営利法人に限られており、当社グループは当該権利を確保するため、開発段階において保証金等(一部は寄附形態)を差し入れ、他社との共同または単独で指定業者となっております。

当該保証金については、霊園や屋内納骨堂(永代使用権)の販売に伴い回収されることとなりますが、完売には長期間を要し、保証金の回収が滞るおそれがあります。

当社グループでは、参入した霊園や屋内納骨堂(永代使用権)の販売促進活動に注力し、早期の保証金回収を図っておりますが、霊園や屋内納骨堂(永代使用権)の販売不振その他の要因から保証金の回収が困難となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)婚礼事業について

(婚礼ニーズの変化)

婚礼事業においては、時流の変化による婚礼需要の減少、コロナ禍以降における事業環境の変化等を踏まえ、婚礼会場の閉館及び営業規模の適正化を進めております。また、結婚披露宴を行わず入籍だけで済ませるカップルの増加や晩婚化の背景により、フォトウエディングや家族・親族だけの少人数結婚式等のニーズ増加は継続することが予測されます。

当社グループでは、多様な婚礼ニーズに対応した各種婚礼プランの充実、顧客に対する提案力の強化等により、顧客層の拡大及び掘り起こしに努めております。

しかしながら、婚礼ニーズの変化に対して十分な対応が困難となった場合、または想定以上に婚礼市場の縮小が進んだ場合には、受注件数及び売上高の減少により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(衛生管理)

婚礼事業においては、結婚披露宴及び宴会等において料理を提供しており、また、葬祭会館等に対して仕出料理等の提供も行っております。これらは食品衛生法の規制を受けており、食品衛生責任者を配置するとともに、衛生管理に係る自主検査の実施及び衛生コンサルタントによる外部検査を実施し、当該法令の遵守及び料理提供に係る食中毒等の事故発生防止に努めております。

しかしながら、何らかの理由で衛生管理に係る問題の発生や食品衛生法への抵触等の事態が生じた場合には、行政処分または社会的信用の失墜により、営業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)生花事業について

(仕入数量及び価格の変動)

生花事業において、生花商品は気候や天候等に影響を受けやすい特性があり、その商品価格は季節要因に加えて当該影響により変動しております。また、異常気象や台風等の自然災害により、その収穫・出荷量が著しく減少し、市況価格の高騰が生じる場合があります。

当社グループでは、仕入数量の確保と仕入価格の安定化等を強化するため、複数の生花市場及び生産者との仕入ルートの構築を図っております。

しかしながら、極端な収穫・出荷量の減少や市況価格の高騰等が生じた場合には、生花事業の事業展開に影響が生じることに加えて、葬祭事業等への生花商品の供給に影響が生じること等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)互助会事業について

(会員獲得)

当社グループにおける互助会会員による葬儀・婚礼施行件数は、葬祭事業の約5割、婚礼事業の約1割を占めており、当社グループの顧客戦略において重要な役割を有しております。

しかしながら、互助会事業においては、葬儀・婚礼の小規模化及び顧客ニーズの変化等により会員数が減少傾向にあります。

当社グループでは、施行後の顧客の再加入や営業エリア内での新規会員募集等の推進により会員数の維持・増加に努めております。

しかしながら、更なる会員数の減少が進行した場合には、将来における葬儀・婚礼施行件数の減少により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、剰余金の配当等の決定につきましては、当社を取り巻く経営環境や以下の方針によって実施することとしております。

当社は、株主に対する利益還元を経営上の重要課題の一つとして位置付け、安定した配当を継続的に実施することを基本方針とし、内部留保資金については、財務体質の強化、今後成長が見込める事業分野への投資、設備投資、研究開発投資、人的資本への投資等、今後の事業展開に備えた経営基盤の強化に活用いたします。

当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本としております。

また当社は、「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行う事ができる。」旨を定款に定めておりますが、期末配当については株主総会または取締役会、中間配当については取締役会にて決定しております。

当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき、普通配当として1株当たり30.00円の配当(うち中間配当15.00円)を実施することを決定いたしました。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の合計額(千円)

1株当たり配当額(円)

2023年11月10日

56,573

15.00

取締役会決議

2024年6月25日

56,573

15.00

定時株主総会決議