リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業環境に関するリスク
① 市場環境について
(顕在化の可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、各種製品軽量化を主眼においた金属製品鋳造及び加工を行っております。各メーカーにはそれぞれの開発サイクルがあり、特に精密機器メーカーにおける開発予算の圧縮、開発スケジュールの変更やモデルチェンジサイクルの変化等の影響を受ける可能性があります。当社では、精密機器分野以外の、特に自動車分野のような裾野の広い産業からの受注を高めることで、リスクを低減したいと考えております。
② 特定分野への依存について
(顕在化の可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低)
当社グループは、精密機器分野の受注が多く、複数の顧客と取引を行うこと、取扱分野を広げることでリスク分散を図っておりますが、感染症等による影響により、当該分野の景気が悪化した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
③ 顧客の財務状況について
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、顧客について信用調査をした上で取引を行っておりますが、係る調査が効果的ではない可能性があり、事業環境の変化等により、当社の顧客が支払不能、倒産等に陥った場合、係る顧客から売掛債権を回収できず、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
④ 法的規制について
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低)
当社グループの事業においては、製造物責任法等の各種法令やガイドライン等による規制を受けております。
こうした法令の制定や改正等、当社グループの事業に関する事項が規制を受けた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
⑤ 為替変動について
(顕在化の可能性:大、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、関係会社を通じて、グローバルに原材料の調達及び製品の供給を行い、事業を展開しております。当社グループは連結財務諸表を作成するにあたり、在外子会社の財務諸表を円貨に換算する必要があるため、当該子会社の財務諸表の各項目は、換算時の為替レートの変動の影響を受けます。過去の為替レートと比較し、円高となる場合には、円換算額が表面上減少することになります。
また、為替レートの変動は、外貨建てで取引されている原材料、製品の販売価格等にも影響を与える可能性があります。このため、当社グループでは、各生産拠点での取引は、できるだけ現地通貨建てとし、為替変動リスクの削減に注力しています。
⑥ 海外事業展開について
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、アジアを中心に海外事業展開をしております。海外においては、政治、経済情勢の変化、関税(貿易協定や環太平洋パートナーシップ(TPP)協定)等の国際取引情勢の変化、予期しえない法規制の変更、自然災害、テロ、戦争、伝染病の流行等による社会的又は経済的な混乱、労働賃金のコストアップ、慣習等に起因する予測不可能な事態の発生等、それぞれの国や地域固有のリスクが存在します。係るリスクに関して、当社グループでは、政治・経済情勢のモニタリングを継続している他、事業に関連する各国法制度の状況をグローバルで把握し適宜対応を図っていますが、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑦ 原材料価格について
(顕在化の可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低)
当社グループの製品は、マグネシウム合金及びアルミニウム合金を主原料としております。原材料の市場価格が変動した場合、一般的には取引先との合意により販売価格に転嫁することになっています。しかしながら、販売価格への転嫁は後追いとなるため、市場価格の上昇局面においては、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業の運営体制に関するリスク
① 特定経営者への依存について
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の代表取締役である佐藤輝明は、当社の経営方針や戦略の決定をはじめ、営業、製造技術の各方面の事業推進において重要な役割を果たしており、その決定により当社の事業が左右される可能性があります。当社グループでは、過度に特定の人物に依存しない体制を構築すべく組織体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏の当社グループでの業務執行が困難になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材の確保・育成について
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、事業の拡大に応じて従業員の育成や採用を行っております。また、多くの生産拠点が海外にあるため、海外人材の採用・育成も積極的に行っています。しかしながら、当該施策が適時適切に進行しなかった場合、もしくは業務執行上重要な役割を担う役職者が予期せず退社した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 内部管理体制について
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループでは、コーポレート・ガバナンスの充実を図る多様な施策を実施しております。また、業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
④ 限定的な取引先に依存している取引について
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループの金属部品鋳造及び加工事業における原材料仕入先及び外注加工依頼先に関して、海外企業を含む限定的な取引先に依存している取引があります。取り扱い企業が少ないマグネシウムに関しては、原材料の仕入れを、主として日本マテリアル株式会社及びOMM(THAILAND)CO.,LTD. からの仕入れに限定しており、両社とは、良好な関係を築いております。当社グループは、基本的に品質が安定し、価格が安い原材料を選択しているため、一時的に特定の取引先の仕入依存度が上昇することがあります。
外注加工については、適正な品質等を確保できる技術力をもった協力企業に良好な関係のなか依頼を行っております。過度に依存している外注先や、代替ができない外注先はありません。
しかしながら、これらの取引先との取引が何らかの事情で継続できなくなった場合、一時的な混乱が生じ、事業の効率的な運営に悪影響が生ずる可能性があります。
⑤ 機密保持について
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、事業の性格上、新製品開発に関する顧客の機密情報を取り扱う機会が多いことから、機密保持を経営上の最重要課題と認識しております。ハードとソフトの両面から総合的な管理を行うとともに、定期的な社内教育の実施により当社グループの機密保持レベルの向上に努めております。しかしながら、不測の事態により、万一、機密情報が外部へ漏洩するようなこととなった場合、当社グループの信用失墜に伴う受注の減少や損害賠償による費用の発生等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
⑥ 製品の品質について
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、品質管理活動に継続的に取り組んでおります。また、当社グループの過失により製造物の欠陥が発生した場合に備え、賠償責任保険に加入しております。しかしながら、製造物の欠陥が生じた場合は、損害賠償による多額の費用発生や社会的信用の低下により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
また、難易度の高い製品については、生産過程における製造ロスが発生することがあり、多くの場合、リサイクルを行いますが、大量の製造ロスが発生した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
⑦ 工場の環境整備について
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、廃棄物削減、地球温暖化や大気汚染防止、有害物質の処理等に関して様々な環境規制の適 用を受けております。当社グループは、環境整備活動を重要な方針の一つとして掲げ、工場の環境整備を進めております。しかしながら、自然災害や事故により不測の環境汚染が生じる場合、当社グループが現在稼動させている工場用地等において汚染物質が発見された場合、新たな環境規制の施行によって多額の費用が発生した場合、環境規制を遵守できない場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
⑧ 工場における火災等について
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、原材料の保管を厳格に行い、それに起因する火災等の発生を防止する体制を整備しております。これは、過去に同業他社で爆発事故などが多く発生したためです。しかしながら、着火しやすいマグネシウム切粉など、原材料の特性から火災等が万一発生した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
⑨ 工場の安全対策について
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループの事業においては、切断用機械等、従業員の作業上、危険を伴う設備を数多く保有しております。従業員の安全を守るための作業上の基準を設けておりますが、不慮の事故等が発生した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
⑩ 資金調達に関するリスクについて
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループでは、運転資金や設備投資資金の一部を金融機関からの借入により調達しており、有利子負債額は2023年3月末時点で2,727百万円(負債及び純資産合計に対する割合は53.72%)、2024年3月末時点で2,874百万円(同48.80%)となります。
今後、新たな設備投資の実行に伴い負債が増加する可能性があり、金利の急激な変動や金融情勢の変化によって資金調達コストが増大し、計画どおり資金調達ができなかった場合には、設備投資や新規事業が制約される等当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
⑪ 新規事業について
(顕在化の可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループでは、新規事業の必要性を十分検討した上で、事業開発をおこなってまいりますが、市場環境の影響で顧客の獲得や製品の販売に結びつかなかった場合、当社グループの事業、経営成績及び財務状態に影響が及ぶ可能性があります。
このため当社グループでは、顧客ニーズに対して、製造方法、素材を拡充するなど、より幅広い分野の顧客を開拓することを目的として、新規事業の創出を検討しております。
⑫ 海外での慣習等に従った事業運営リスクについて
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループの海外子会社における事業活動については、特に労働環境において、社会制度の違いにより、従業員の採用、解雇、退職などに関わる人事問題、また、賃金、残業等に関わる給与問題、不正行為等について、対応が困難な局面が生じる可能性があると考えています。当社グループは、これら労務管理上の諸問題を事前に回避すべく最大限努力する所存ですが、当該事象が顕在化し解決までに長期間を要す場合、又は多額の費用が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
なお、本書提出日現在において、労働環境に関する規制当局による指導・是正命令および罰金等の行政処分が科されたことはありません。今後、規制当局の運用に変更が生じ、行政処分等がなされた場合にそなえ、労働環境の改善に努めるとともに、各国間での多元的な生産体制の構築に努めてまいります。
(3)自然災害、事故災害、感染症等に関するリスク
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループでは、主要工場の操業停止の影響を最小限にするため、生産拠点を分散するとともに、全拠点において一定規模の災害を想定して建物、機械装置等の安全性確保、各種防災機器の設置等の施策を講じておりますが、想定を超える大規模な災害や感染症の流行等が発生した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(4) その他のリスク
① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、企業価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、当社の業績向上に対する役職員の意欲を高めることを目的として、ストックオプション(新株予約権)を発行しております。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式総数は92,000株であり、発行済株式総数1,034,400株の8.89%に相当します。今後、これらの新株予約権が行使された場合、当社グループの1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
② 配当政策について
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、経営成績及び財政状態を勘案しながら、株主への利益配当を実現することを基本方針としております。
今後も、内部留保を積み上げ、将来的な経営成績及び財政状態を勘案しながら、継続的な株主への剰余金の配当を目指していく方針でありますが、当社の事業が計画通りに進展しない場合や、業績が悪化した場合には配当を行わない、或いは公表している配当の予定額を減ずる可能性があります。
③ 資金使途について
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
調達資金の使途については、製造設備の拡充等に充当する予定であります。しかしながら、急速に変化する経営環境により当初の計画に沿って資金を充当したとしても、想定どおりの投資効果を得られない可能性があります。また、市場環境の変化により、当初の計画を変更し、調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があり、その場合には、速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。
④ 固定資産の減損について
(顕在化の可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、工場建物、生産用の機械装置等の固定資産及びソフトウェア資産を保有しております。固定資産の貸借対照表計上額につきましては、当該資産から得られる将来のキャッシュ・フローの見積りに基づく残存価額の回収可能性を定期的に評価しております。しかしながら、競合やその他の理由によって事業収益性が低下し、当該資産が十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合、減損の認識が必要となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ M&Aや戦略的事業提携に関するリスク
(顕在化の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、製造拠点を確保するため、M&Aや戦略的事業提携を行うことも、事業戦略上の選択肢の一つと認識しております。
M&Aや事業提携の個別案件については、事前に充分な検討や資産査定を行い、各種リスク要因の低減に努める方針ですが、事前に想定されなかった事象が発生した場合、又はM&Aや事業提携に見合う効果が創出されなかった場合には、今後の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして認識しており、経営基盤の強化、将来の事業展開に必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。
当社の配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
第42期事業年度の剰余金の配当につきましては、継続的な安定配当の基本方針のもと、1株当たり25円としております。
今後につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために、必要な内部留保を優先的に確保しつつ、毎期の利益水準を勘案した上で、安定した配当を継続して実施することを基本方針としております。また、株式分割、株主優待制度等による利益還元についても今後検討を行ってまいります。
なお、当社は定款において、取締役会の決議により、毎年9月末日の株主名簿に記載または記録された株主もしくは登録株式質権者に対し、中間配当を行うことができる旨を定めております。
(注)基準日が第42期事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。