2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    3,231名(単体) 25,692名(連結)
  • 平均年齢
    40.9歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.7年(単体)
  • 平均年収
    6,644,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社における状況

(2024年3月31日現在)

セグメントの名称

従業員数(名)

自動車用品

22,052

(1,800)

一般産業用品

2,746

(216)

全社(共通)

894

(196)

合計

25,692

(2,212)

 

(注) 従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(季節工、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除く。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

 

(2) 提出会社の状況

(2024年3月31日現在)

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

3,231

(709)

40.9

15.7

6,644

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

自動車用品

2,036

(447)

一般産業用品

301

(66)

全社(共通)

894

(196)

合計

3,231

(709)

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(季節工、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除く。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は、全日本ゴム産業労働組合総連合等に所属しており、労使関係は安定しております。

 

(4) 多様性に関する指標

当連結会計年度の多様性に関する指標について、女性活躍推進及び育児・介護休業法の規定に基づき以下のとおり算出しています。

 

管理職に占める

女性従業員の割合

(%)(注)1

男性労働者の育児休業等及び育児目的休暇取得率

(%)(注)2

男女の賃金格差(%)(注)3

正規労働者

非正規労働者

全ての労働者

当社

1.3

85.1

64.6

76.6

63.9

住友理工ホーステックス㈱

0.0

100.0

82.5

59.4

79.7

㈱住理工大分AE

0.0

東海化成工業㈱

42.0 (注)4

71.9

82.4

70.1

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

女性管理職比率の向上に向けて、採用の強化、研修の実施、制度整備等の施策を行っております。

2023年度に女性総合職を対象に実施したアンケート調査(回答率:75% 回答者数:98名)では、56%が管理職を望まないキャリア志向を持っていました。その大きな要因は、社内でのロールモデル不足と認識しています。女性がキャリアアップを目指せる環境づくりを進めるべく、基幹職の働き方改革の実行、女性管理職と幹部候補女性との交流、女性管理職候補者向け研修等の取組を推進します。

 

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業及び育児目的休暇(「出生時休暇※1・育児奨励休暇※2」:当社独自の特別休暇)を算出したものです。

出生時育児休業(産後パパ育休)を含んで集計しております。

※1 配偶者出産時に稼働日連続2日間の特別休暇を付与

※2 1歳未満の子を養育する社員に1回に限り稼働日連続5日間の特別休暇を付与

 

3.「労働者の男女の賃金の差異」について、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。

なお、賃金制度において性別による差はなく、次の3点が主な差異の要因であると分析しております。

a.勤続年数(男性:平均17年、女性:平均10年)

b.職掌(女性社員の約半数が事務職)

c.勤務状況(短時間勤務、深夜勤務、時間外手当の平均的な受給状況で男女間の差異がある)

 

4.東海化成工業㈱については、(注)2と異なり、集計に育児目的休暇は含まれておりません。

 

5.表中の「-」は、当該会社が、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定により、当事業年度における当該指標の公表を選択していないこと、又は当該会社が「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定により、当事業年度における当該指標の公表を要しないことを示しております。

 

<改善に向けた取組事例>

 a.仕事(ワーク)と家庭(ライフ)の両立支援施策及び女性活躍推進

2007年以降、女性の新卒採用や、契約社員・派遣社員からの社員登用を積極的に進めてきたことから、管理職候補であるグループリーダーや現場監督者として活躍する女性人数は徐々に増加しています。(図1参照)

合わせて、「在宅勤務の導入」「フレックスタイムのコアタイム廃止」「育児時短勤務制度の対象を小学校3年生までから小学校卒業前までに延長」等、従業員が仕事(ワーク)と家庭(ライフ)を両立しながらキャリアを継続できるよう様々な施策を実施してきました。

2023年度には、職場や会社全体で、これらの取組の意義を浸透し風土醸成すべく、階層別研修において、ダイバーシティ&インクルージョンについて研修を行い、中でも「女性活躍」の必要性について教育を実施しました。(167名が受講)

加えて、女性管理職比率引き上げは経営課題として経営層が中長期的な視点で議論し、2024年度より以下について重点を置いて活動していくことを確認しました。

 

① 各部門において女性管理職候補の個別育成計画を作成し、人事部門にて進捗をフォローする

② 女性管理職候補者向けキャリアアップ研修を開始する

③ 管理職の長時間労働削減に向けた働き方改革を推進する

 

上記の活動を確実に実行することで、女性管理職比率を2025年度には2.5%まで引き上げます。

  (図1.管理職、グループリーダー、現場監督者に占める女性人数と割合の推移)


 

 b. 男性育児休業取得率向上

男性が当たり前に育児休業を取得できるよう、2022年の法改正時に社長自ら積極的な取得を呼びかける全社メッセージを発信しました。また取得手続きをシステム化することでスムーズに従業員の意向をキャッチし、人事と相談できる体制を構築するなど社内の職場環境整備を行ってきました。

2023年度には、男性育休取得促進に向けた社内風土醸成のため、現場監督者以上の管理職を対象にした「男性育児休業取得促進」の講演会を開催し、250名が参加しました。現場の管理監督を担う参加者により自分事として受け止めてもらえるよう、外部講師による講演会の後には、社内の男性育休取得者とその上司及び社長が登壇し、パネルディスカッションを実施しました。登壇者の対話を通じて、男性育休のリアルな事例や必要性を発信することができたと考えます。講演会後のアンケートでは、84%の管理職が「積極的に取得させる」と回答し、一昨年の調査結果30%を大幅に上回る結果となりました。これらの活動により2023年度の男性育児休業取得率は50.0%(前期比28.7%増)となりました。

2024年度は、育児休業取得者と取得希望者を交えたワークショップを開催し、誰もが取得できる環境整備をさらに進め、2025年度までに男性育休取得率70%の実現を目指します。

区分

2021年度

2022年度

2023年度

男性の育児休業取得率(平均取得日数)(注)1

8.0%(88日)

21.3%(48日)

50.0%(45日)

男性の育児休業及び育児目的休暇取得率(注)2

74.7%

87.6%

85.1%

 

(注)1.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)第2条第1号に規定する育児休業(出生時育児休業(産後パパ育休を含む))

 

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業及び育児目的休暇(「出生時休暇・育児奨励休暇」:当社独自の特別休暇)取得率を算出したものです。出生時育児休業(産後パパ育休)を含んで集計しております。

「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 人的資本」も併せてご参照ください。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。

(1)気候変動への取り組みとTCFDへの対応

当社グループは、住友理工グループ経営理念の一つとして「地球環境に配慮し、よりよい社会環境作りに貢献します。」を掲げ、気候変動を重要な経営課題として位置づけています。また、2023年5月に公表した、創業100周年となる2029年に向けた長期ビジョン(2029V)では、「気候変動・自然資本に配慮した事業活動」をマテリアリティの一つとして掲げ、気候変動への対応を事業戦略に織り込んでいます。加えて、脱炭素対応をはじめとする環境課題解決にフォーカスした行動指針として、環境長期ビジョン2050及びそのバックキャストである環境2029Vision(環境2029V)を策定し、その達成に向けて全社一丸で取り組んでいます。

また、ステークホルダーの皆様とのコミュニケーションを促進する観点から、TCFD提言に沿った分析を行っており、下記の通り開示いたします。今後も、ISSB基準や企業サステナビリティ報告指令(CSRD)等の国際的なサステナビリティ開示基準の動向等も踏まえ、分析をより深化してまいります。

 

①ガバナンス

気候変動を含むサステナビリティ関連の事項については、社長が委員長、役付執行役員らが委員を務めるCSR・サステナビリティ委員会にて活動方針の承認や、活動推進状況のチェック及びフォローを行います。

CSR・サステナビリティ委員会で検討した内容等は、年2回以上取締役会で報告し指示を受けるなど、適切な監督体制を整えています。

 

(CSR・サステナビリティ委員会の概要)

委員

委員長:代表取締役 執行役員社長
委員: 社外取締役、役付執行役員、各部門の所管役員

事務局

経営企画部

開催頻度

会議開催:2回/年

取締役会への報告:2回/年

管掌テーマ

「環境」「安全衛生」「社会貢献」「ダイバーシティと人権」「サプライチェーン」等をテーマとした審議

気候変動関連

の直近議題

住友理工グループ環境長期ビジョン2050、環境2029Vの承認・目標のモニタリング等

 

 

また環境テーマに関する活動推進のため、環境分野所管の役付執行役員が協議会長を務める全社環境活動協議会をCSR・サステナビリティ委員会の下部組織として設置しています。加えて、当社の各製作所、グループ子会社の環境関連業務の代表者で地域環境部会を組織し、法令・条例改正情報・環境事故情報等を相互に共有することで、グループ一体での環境マネジメントの強化に取り組んでいます。

 

(全社環境活動協議会)

協議委員

協議会長:環境分野を所管する役付執行役員

委員  :「環境」テーマにおけるCSR・サステナビリティ委員

事務局

環境推進部、カーボンニュートラル推進室

開催頻度

1回/年以上

活動内容

・ 環境方針やそれに基づく環境課題及び目標について、CSR・サステナビリティ委員会への報告・提案・環境課題の解決、目標達成のために必要な専門部会の設置と改廃

・ 全社環境活動状況の実績の振り返り、情報展開と周知、各事業部門への活動展開

 

 

 

(地域環境部会)

部会員

住友理工㈱の製作所・事業所の環境代表、国内子会社の環境代表、事業部門環境責任者(子会社統括者)、グローバル推進室

事務局

環境推進部

開催頻度

4回/年

活動内容

・ 環境目標達成状況、法令条例改正情報・環境事故情報の共有

・ 地域への顕在・潜在の環境影響リスクを評価し、対策の必要性や対策手段について審議・提言する

・ 当社グループの環境事故情報を活用した再発防止・未然防止策を横展開する

 

 

②戦略

a. シナリオ分析

当社グループでは、気候変動が事業にもたらすさまざまなリスクと機会について具体的に把握するために、シナリオ分析を実施しました。シナリオ分析は、2030年の時間軸を中心に、移行面で影響が顕在化する「カーボンニュートラルな世界」に向かうシナリオ(1.5℃シナリオ)と、物理面で影響が顕在化する「悲劇の世界」に向かうシナリオ(4℃シナリオ)の2つにより、実施しています。

(参考)参照した主なシナリオ

 「カーボンニュートラルな世界」に向かうシナリオ(1.5℃シナリオ)

・IEA,「World Energy Outlook 2023」: Net zero emissions by 2050 Scenario(NZE),Announced Pledges Scenario(APS)

・Inevitable Policy Response,「Supply Chain Analysis (SCA)」:

・IPCC,「第6次評価報告書」 : SSP1-1.9/SSP1-2.6

「悲劇の世界」に向かうシナリオ

(4℃シナリオ)

・WRI Aqueduct Water Risk Atlas 4.0 : SSP5-8.5

・IPCC,「第6次評価報告書」 : SSP3-7.0,SSP5-8.5

 

 

 

b. リスク・機会の特定、分析

上記シナリオを前提に、下表の通り当社グループが想定するリスク・機会の整理を行いました。

特定したリスク・機会については、当社財務数値への影響度も評価の上、各項目について対応の方向性を設定いたしました。

 

(移行リスク・機会)

カテ
ゴリ

重要
テーマ

リスク

顕在
時期

影響度

機会

顕在
時期

影響度

対応の方向性

規制

GHG

規制

カーボンプライシングの導入によるコスト増加

中期

生産効率向上による製造コスト低減

短~中期

●環境長期ビジョンに基づく着実なGHG排出削減
・太陽光発電の導入等、再エネの積極活用
・生産プロセスの改善や新設備の導入
  による省エネ活動の推進
・低排出な製法や設計の開発
・設備投資検討への内部炭素価格活用
●DXを活用したスマート工場
・AIによる製品検査の自動化等、工程の
  自動化・省人化
・デジタル化による設計開発期間短縮及び
  エネルギー集計システム構築
 

排出量報告義務の強化による労力コスト増加

短期

市場/技術

原材料

天然ゴム価格上昇によるコスト増加や供給減少による調達懸念

短~長期

顧客の選好変化に対し、低環境負荷材料の積極活用を通じた競争力の強化

短~長期

●資源の有効活用による材料調達の削減
・不良品削減による材料ロス(廃棄)の低

 減

・微生物を活用した廃棄物の再原料化によ

 る資源の循環利用推進
●低環境負荷材料の活用拡大に向けた
サプライヤーとの連携
・バイオ由来材料や、リサイクル材料の適

 用に向けた対話

石油由来原材料の代替によるコスト増加

中期

金属の需給逼迫や低炭素金属への代替による調達コスト増加

中~長期

EV

シフト

内燃機関向け製品の需要減少や、機構の簡素化による部品使用量の減少

短~長期

EV向け高性能製品の需要増加

短~長期

●顧客要請や市場動向に合わせた適切な製品ポートフォリオの構築
・転換期における内燃機関向け製品需要

 の確実な取り込み

・EV向け高性能製品の市場投入
●海外自動車メーカーへの拡販に向けた体制整備

・グローバルネットワークを活かし、現地

 に合わせた開発・生産体制を構築

・市場や技術動向への迅速な対応に向け

 た新規研究開発拠点の検討

新興EVメーカーの台頭等に伴う、当社既存顧客の市場シェア低下による売上減少

短~長期

当社技術力を背景とした、海外自動車メーカーへの拡販による当社市場シェアの拡大

短~長期

 

 

カテ
ゴリ

重要
テーマ

リスク

顕在
時期

影響度

機会

顕在
時期

影響度

対応の方向性

 

市場/技術

新技術 対応

次世代技術対応に伴う開発投資コスト増加

中期

次世代技術を活用した脱炭素関連の新製品開発による競争力向上

 

脱炭素社会への移行に伴い成長が見込まれる市場への進出

短~長期

●低環境負荷材料を利用した製品の生産技術確立・植物由来原料(バイオヒドリンゴム)を活用した商品開発

・EV向けの冷却ホース部品へのバイオマス
 材料活用

●EVニーズに対応した高性能な製品開発
・モーターが発する高周波振動や騒音の抑

 制に資する防振製品の開発
・高度な熱管理や軽量化等、電費向上に資
 する製品の開発
・密閉性の高い水素ホース等、燃料電池車

 向け製品の開発
●自動車向け先端技術の他用途への拡大
・クリーンエネルギー化に伴うインフラ刷

 新需要に向けた開発
・防振技術を活用した、インフラ補修や大

 規模木造建築等への免制振製品拡販
・熱マネジメント需要に対応した新商品の

 用途展開

評判

ステークホルダー

投資家や従業員等、ステークホルダーからの要請への対応コスト増加

短~中期

気候変動対策が認められることによる資金調達コストの低下

中期

●ステークホルダーとの信頼関係構築
・多様なステークホルダーとの対話を踏ま

 えた気候変動対策の着実な進展
・資金調達におけるサステナブルファイナ

 ンスの活用

 

 

 

(物理的リスク)

カテ
ゴリ

重要
テーマ

リスク

顕在
時期

影響

対応の方向性

慢性

気温

上昇

気温上昇による労務環境の悪化

中~長期

●生産設備・工程の改善
・熱源を使用する加硫工程の自動化等による暑熱環境

 下での重筋作業の廃止

降水の

変化

降水パターン変化に伴う天然ゴム供給の不安定化
によるコスト増加・調達懸念

中期

●資源の有効活用による材料調達の削減
・不良品削減による材料ロス(廃棄)の低減
・微生物を活用した廃棄物の再原料化による資源の循

 環利用推進

水ストレスの高い地域を中心とした水資源の
需給逼迫による利用コストの増加

中期

●水資源の保全
・生産工程改善や排水のリサイクルによる水使用量の

 削減
・地域ごとの水リスクの定期的なモニタリング

急性

洪水等

洪水の発生による操業停止や復旧費用コストの増加

中~長期

●BCPの高度化
・複数拠点間でのブリッジ生産体制の整備
・高リスク拠点を中心とする海外拠点BCP対応強化

台風等の災害に伴う輸送リスクの増加

長期

 

※顕在期間 …短期:2025年度(中期経営計画の最終年度)、中期:2029年度(2029Vの最終年度)、

             長期:2050年

※影響度   …小:売上50億円/費用5億円未満、中:売上50億円~300億円未満/費用5億円~50億円未満、

       大:売上300億円/費用50億円以上

            (2029年度時点の想定。移行リスクは1.5℃シナリオ、物理リスクは4℃シナリオを想定。)

 

c. 戦略のレジリエンス

2030年の世界では、世界平均気温の上昇1.5℃以下を目指して脱炭素に移行させる「カーボンニュートラルな世界」への動きがさらに進むと考えました。その際に顕現化するリスクは主として移行リスクであると考えており、GHG規制強化への対応コスト増加や天然ゴムをはじめとする原材料の調達コスト増加、EVシフトに伴う内燃機関向け製品の売上減少といった影響が生じる可能性があります。中でも、自動車市場を主戦場とする当社グループにとって、EVシフトは事業への影響が特に大きい項目であると認識しています。

しかしながら、EVシフトにおいて当社の主力製品の防振ゴムは、現状の「エンジンマウント」用製品から、従来以上の静粛性を有する「モーターマウント」用製品等への置き換えが進むとともに、ウレタン製品はEV 駆動ユニットから発生する特有の音等を抑える「制遮音製品」等製品の更なる付加価値化が可能になります。

また、EV においては不必要となる「燃料用ホース製品」に代わり、EVのサーマルマネジメントに必要不可欠である「ホース製品(冷却系ホース)」や、EVの心臓部であるリチウムイオン電池の安全性を確保する「電池セル間断熱材」等、電費の向上に資する製品の需要増加が見込まれます。

このような市場ニーズの変化を捉え、素材の配合・合成・改質により高機能な製品を生み出す「高分子材料技術」や、製品の信頼性を精緻に評価・検証する「総合評価技術」をはじめとする当社技術を活かした新製品開発を行うことで、EVシフトへ柔軟に対応することが可能と考えています。

また、非自動車の事業分野では、建設機械や鉄道車輛のクリーン動力源への移行や、防災・減災のための社会インフラの強靭化、熱対策が必要な電子機器、住宅・構造物等幅広い用途での断熱対策等、脱炭素社会への移行に伴って生じる市場ニーズの変化を捉え、自動車向け先端技術のノウハウと産業用の独自技術を活かし、対応商品の開発を進めてまいります。

なお、「悲劇の世界」に向かう場合(4℃シナリオ)は、主として物理的リスクが顕現化し、異常気象の激甚化等により、操業停止等の影響が生じる可能性があります。当社グループは、このようなリスクも認識の上、リスク評価を継続するとともに、各拠点における災害発生後の「初動対応」と「復旧対応」の毎年の見直し等、BCPの運用管理のしくみを継続的に更新することで、着実に対応の高度化を進めています。

 

今後も、社会や市場環境の変化を注視しながら分析をアップデートしつつ、各種対応策の推進をより効果的なものとしていくことで、気候変動の影響に対する更なるレジリエンスの強化を図ってまいります。

 

③リスク管理

当社グループは、グループ全体のリスクを横断的に管理する体制として、社長を委員長とするリスク管理委員会を設置するとともに、同委員会の事務局機能を務めるリスク管理専任組織であるリスク管理センターを設置しています。

同委員会は事務局のリスク管理センターを通じて「リスク管理規定」及び「グループ危機ガイドライン」に基づき、国内外のグループ会社において毎年リスク調査を実施しています。「重要なリスク」として認識・特定されたリスクを同委員会で共有し、グループ全体でのリスクの把握に努め、その分析・評価に基づき、対応すべき選別・対応方法を選択し、事業運営への影響の極小化に取り組んでいます。

 

④指標と目標

当社グループでは、燃料の燃焼等によるCO2の直接排出「Scope1」、購入した電力等の使用に伴う間接排出「Scope2」といった当社グループ自身の事業活動による排出量だけでなく、原材料の製造・調達や販売した製品の使用・廃棄による排出等サプライチェーン全体で発生する間接排出 「Scope3」をGHG プロトコルに従って把握し、CO2排出削減活動に取り組むことが重要と認識し、目標を明確にして活動しています。

 

 a. 2022年度目標と実績

当社グループでは、2022年度を最終年度とする中期経営Vision(2022V)にてCO2の排出量の削減目標を設定していました。

太陽光発電設備の導入等、各種の削減活動により、2022年度原単位削減目標(Scope1+2 2017年度比)-8%に対して、実績は-32.4%、総量削減の社内目標(Scope1+2 2017年度比)-5%に対して-21.1%と大幅に目標を達成いたしました。

 

項目

目標年

CO2排出削減 目標

2022年度実績

2022年中期経営Vision

2022年

Scope1+2 原単位削減 -8%

(2017年度比)

-32.4%

Scope1+2 総量削減※ -5%

(2017年度比)

-21.1%

 

※社内目標値

 

 

 b. 2025年度目標、2029年度目標

2050年カーボンニュートラルを見据えた中間目標として、2029年度を最終年度とする長期ビジョン(2029年住友理工グループVision)及び2025年度を最終年度とする中期経営計画(2025年住友理工グループ中期経営計画)においてもCO2排出削減目標を設定し、取り組みを実施しております。

 

項目

目標年

CO2排出削減 目標

2022年度実績

2025年住友理工グループ

中期経営計画

2025年度

Scope1+2 -20% (2018年度比)

Scope1+2

-20.5%

 

Scope3

+1.8%

2029年住友理工グループ

Vision

 

2029年度

Scope1+2 -30% (2018年度比)

Scope3 -15%   (2018年度比)

2050年

カーボンニュートラルの達成


 

 

目標のうち、自社排出の削減(Scope1+2)に対しては、(1)省・少エネ活動、生産性向上、(2)新技術開発(革新製法、新商品)、(3)事業構造改革、(4)再エネ・創エネ活用を四本柱とし、CO2排出削減推進人材の育成とともに取り組んでおります。

上記取組の推進により、削減率実績は既に2025年度の目標並みの進捗である一方、今後の売上成長による生産量増加に伴い、成行では排出量の増加が見込まれますが、取組の更なる進展により、目標達成を目指します。

また、当社グループではサプライチェーン全体でのCO2排出量のうちScope3が90.3%を占めることから、環境配慮型製品の提供や技術進化・新製品開発等を通じた排出量削減の取り組みを行っていきます。

 


 

 

(2)人的資本

①考え方

当社グループは創立100周年を迎える2029年に向けて「2029年 住友理工グループVision」(以下2029V)を策定しました。(詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題」を参照ください。)

長年に亘り「人材育成に優る事業戦略なし」の考えのもと、人材を単なる経営資源ではなく価値創造の主体と位置付け、社会環境や経済状況といった幾多の時代変化に対応してまいりました。環境変化が常態化し、将来予測が困難な現代においても、素材と製品の両方を扱うことができる当社グループの特徴を発揮しながら、社会課題の解決に貢献し、そして持続的な成長を達成するという想いが2029Vには込められています。

経営戦略である2029Vの実現に向けて、これからの100年も当社グループの総合力を支える重要な経営基盤の一つである人的資本を持続的・総合的に向上していくために、4つのテーマの掛け合わせからなる「人的資本向上の方程式」を人材戦略の中心に位置づけ活動を推進しております。(図1参照)

 

(図1:人的資本の考え方)


 

②方針

テーマ

方針

住友事業精神

住友事業精神に基づく高い企業倫理のもと公正な事業活動を行う

ダイバーシティ&インクルージョン

(D&I)

多様な人材が安心して働き新たな価値を創造し続ける

人材育成

高い志を持ち 未来を切り拓く自律型人材の育成

エンゲージメント

経営理念やビジョンへの共感を高め 従業員と会社がお互いに選び・選ばれる自律的な関係の構築

 

 

 

③取組

a. 住友事業精神

当社グループの従業員にとって住友事業精神は、全ての事業活動における拠り所であり判断基準です。

事業環境が目まぐるしく変化する中においても、「萬事入精(ばんじにっせい)」「信用確実」「不趨浮利(ふすうふり)」という理念のもと、社会から信頼され、持続的な成長を実現する企業として発展を目指します。

従業員は、何事にも心を込めて一生懸命向き合うことの大切さを胸に刻み、日々の活動に邁進してまいります。

 

(図2:住友事業精神に関する教育受講者累計人数)


 

○ 別子銅山探訪

 2023年度は、住友の歴史と住友事業精神の理解を深める目的で、次世代経営幹部候補者16名が愛媛県新居浜市にある 別子銅山や住友家初代総理人広瀬宰平(ひろせ さいへい)の業績をたどる広瀬歴史記念館の見学会を実施しました。住友のルーツに触れ、住友事業精神を体感したリーダー達が、自らの職場で住友事業精神の伝道師として理念浸透を牽引していくことを期待しています。

(右の写真は別子銅山 登山の様子)

 

 


 

 

 

b. ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)

当社グループでは、経営理念に「従業員の多様性、人格、個性を尊重し、活力溢れる企業風土を醸成します」と掲げ、多様な人材がいきいきと働ける環境づくりに向けてD&Iを深化させる取組を推進しています。

 

○ 女性活躍推進

採用の強化、研修、制度整備等の施策を行い、女性が安心して継続就業し、キャリアアップを目指せるよう取組を推進しております。

 

分類

施策例

制度整備

柔軟な働き方支援

・事業所内託児所「コアラぽっけ」設立 [2009~]

・在宅勤務制度導入 [育児介護対象2017~/制限撤廃※12020~]

・短時間フレックス勤務制度導入[2017~]

・フレックスコアタイム廃止 [2020~]

・育児時短勤務の対象を小学校6年生まで延長 [2022~]

キャリア継続支援

・ジョブリターン制度導入[2017~]

・配偶者帯同休職制度の導入 [2019~]

意欲醸成

相互研鑽・ネットワーキング支援

・住友電工グループ女性社員ネットワーキング「SWING」フォーラム参画 [2017~]

・社内メンター制度の導入 [2021~]

自己研鑽

・各種通信教育の補助

・教育コンテンツの拡充 [IT基礎教育・Eラーニング導入等]

環境改善

・管理職長時間労働への対策推進(社長面談実施等)[2023~]

風土醸成

社内風土醸成

職場理解推進

・各種社内研修/外部講師セミナーの実施

・仕事と介護の両立支援ガイドブック作成[2020~]

・出産・育児支援制度の手引きを刷新[2022~]

・女性活躍推進に特化した全社階層別教育を実施 [2023~]

・職制向けアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)研修動画配信 [2023~]

・基幹職昇格試験にD&I推進を審査項目に追加 [2023~]

個別育成強化

・女性管理職候補の個別育成計画策定/フォロー [2024~]

・女性管理職候補者向け研修開始 [2024~]

 

※1 育児・介護理由に限定した許可要件を撤廃し、政府の提唱する「新しい生活様式」で示される「働き方の新しいスタイル」に対応しました。

 

「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (4)多様性に関する指標」も併せてご参照ください。


 (事業所内託児所「コアラぽっけ」外観)

 

 

○ 障がい者雇用の推進

当社グループでは、各部門で障がい者の雇用及び就労を支援しており、受入れ職場との対話を通じて、それぞれの適性に合った職務を割り当てています。2013年11月に障がい者雇用促進と社会貢献を目的として、特例子会社「住理工ジョイフル」を設立し、障がい者の積極的な雇用確保と個性を活かした就労支援に努めています。

今年度は2029Vの策定を受け、国内グループ全体での雇用率向上を目指して目標を立てました。2025年度には2.70%、2029年度には3.00%の雇用を目指し取組を進めてまいります。

 

(図3:障がい者雇用率の推移と今後の目標)

厚生労働省「高年齢者雇用状況等報告及び障害者雇用状況報告」の算出条件に基づく数値


 

分類

施策例

基盤づくり

・特例子会社「住理工ジョイフル」設立[2013~]

・「障がい者雇用推進会議発足(部門連係強化)」[2018]

・「障がい者雇用推進PJ開始(グループ会社を含めた活動の実施、支援)」[2023~]

 

採用強化

・採用経路の開拓(大卒インターンシップ、コーポレート部門採用)[2020~]

・グループ会社採用活動支援[2022~]

定着推進

・障がい者受入部門のサポート体制強化(ジョブコーチや労務担当がサポート)[2020~]

職域拡大

・特例子会社ジョイフルから当社への出向受け入れ[2019~]

 

 

 

○ グローバル人材の活躍促進

当社グループの全従業員の約8割は海外地域で働いており、もとより外国人と日本人をとりわけ区別して取り扱うことはありません。多種多様なバックグラウンドを持つ従業員がそれぞれの強みを発揮することで、共創による新たな価値創造を目指しています。

2023年7月にはGMM(Global Management Meeting)を開催し、14ヶ国から84名が来日し対話や交流を行いました。

また「リーダーシップ開発」「住友事業精神の理解促進」「ネットワーク形成」を目的に、親会社である住友電気工業㈱が主催するグローバル・リーダーシップ開発プログラムに参加しております。世界各地から集まった海外事業会社の幹部がワークショップやディスカッションを行い、また、400年を超える歴史を体感するため住友ゆかりの地を視察します。このプログラムを通じてグループ全体で人材育成と人材交流を進めています。


 

<参考リンク:当社ホームページ特設サイト>  

・ダイバーシティ&インクルージョン 

https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/inclusion/  

・働きやすい環境に向けた制度や仕組み 

https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/improvement/work.html

 

 

c. 人材育成

 当社グループでは「人材育成に優る事業戦略なし」との考え方のもと、当社グループの従業員として相応しい人格と知識を持ち、グローバルに活躍できる人材の育成を目指しています。その実現に向け、従業員の各キャリアステージで求められる知識やスキルを習得できる教育コンテンツを拡充し、様々な学習機会を提供しています。

 

○ 全社教育体系の整備

「次世代幹部候補者の選抜型教育」「グローバル人材育成」「各部門の専門教育」「全社共通教育」の4領域からなる全社教育体系を整備し、幅広く社員に教育研修を実施しています。(図4参照)

2023年度は、次世代経営幹部候補者の育成に注力しました。これまでに100人以上の卒業生を輩出している「経営塾」を全面刷新し、学習範囲はリベラルアーツを含む経営リテラシー全般に広げました。変化の激しい時代においても、当社の将来像を描き、牽引していく人材づくりを目指しています。

また、近い未来の役員候補者を育成するプログラム「Executive Management Program(略称:EMP)」に加え、2023年度は経営の次代を担う社員を対象とした「若手人材育成プログラム」を新たにスタートしました。抜擢された15名のメンバーが、経営戦略やマーケティング等の研修を受講しました。

今後もこれらの選抜型教育プログラムによる経営幹部候補者育成をはじめとする、全社教育体系をベースとした人材教育の継続的な実践を通じて「未来を開拓する人づくり」を推進してまいります。

 

(図4:全社教育体系図)


<参考リンク:当社ホームページ特設サイト>

  ・人材育成

https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/improvement/upbringing.html

 

○ DX人材の育成

デジタル化による変革を牽引するDX人材の確保及び育成は当社グループにとって重要な課題の一つと位置付けており、2023年度はDX人材の定義と教育体系の構築に注力しています。

DX人材を「DXコア人材」と「DXデータ人材」に層別し、それぞれに求められるスキルを設定しました。

次に座学と実践を組み合わせた当社独自の教育体系を構築し、2024年度から選抜メンバーを対象にDX人材の育成を本格始動し、2025年度までに当社グループ全体で「DXコア人材200名」「DXデータ分析人材700名」の育成を目標に活動を推進してまいります。

また、全社のDX推進を目的に、選抜社員と有志社員で構成される「DX推進プロジェクト」が主催する勉強会を定期的に開催しています。2022年5月に始まった勉強会はこれまでに87回開催され、延べ約8,000人が参加しました。勉強会では、DX推進に求められる思考法や知識を学ぶほか、デジタル活用の成功事例の共有や、これからの会社の在り方についての討論を行っています。

加えて、ITリテラシーの底上げをすべく、約80個の動画コンテンツを全社公開しております。(例:Office操作、DX基礎理解、機械学習概論、AI学習、データサイエンス講座等)

さらに、モノづくりとITの融合についても、情報システム部門による支援サービスとして16個のコンテンツを用意しており、画像処理を利用した外観検査システムの導入支援等、生産現場においてもIT基礎教育とDX推進が実際の改善に繋がるように取組を推進しております。

 

d. エンゲージメント

エンゲージメントが高い組織やチームでは、従業員やメンバーが意欲的に仕事に取り組むことができ、生産性や創造性が促進されると当社グループでは考えています。そのため、誰もが自分の能力を十分に発揮できるよう、各々の心身の安定を図り、互いにコミュニケーションをとりながら事業を進められる環境づくりを推進しています。

 

○ ビジョン浸透の取組

GMM(Global Management Meeting)の中で、2029V策定において中心的な役割を担った中堅メンバーが、国内外のグループ会社の幹部層に対してビジョン策定に込めた想い等を直接説明しました。その後も、社長やビジョン策定メンバーが、国内外の事業所やグループ会社を個別に訪問し、各地で2029Vに関する説明と対話を積み重ね、ビジョン浸透の取組を推進しております。

 

○ 健康経営

当社グループは、2017年に制定した住友理工グループ健康経営宣言に基づき、経営トップを健康経営責任者として全社一体で健康経営を推進しています。

健康経営で解決したい経営課題は主に二つで、一つ目は「従業員の心身両面における健康状態の向上」です。当社グループ従業員のプレゼンティーズム※1やアブセンティーズム※2の数値を最小限に抑えるため、国内グループ各社の産業保健窓口と健康経営方針・健康KPIを共有し、メンタル不調対応に関するグループ共通のガイドラインづくり、動画ツールを活用した健康教育の展開等、グループ一体となった取り組みを強化しています。

二つ目は「従業員の生産性、エンゲージメントの向上」です。毎年4月に実施するストレスチェックで測定する「活き生き度※3」の改善に向けて役員と共に改善策を検討し、定期的に経営レベルで活動をモニタリングする等会社全体でPDCAのサイクルをまわすべく、健康投資の戦略マップや健康KPIを策定しました。

現在、健康経営優良法人に8年連続で認定を受けていますが、2025年度までにホワイト500に選出されることを目標に活動を推進しています。

※1 プレゼンティーズム:何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し業務遂行能力や労働生産性が低下している状態

※2 アブセンティーズム:病欠、病気休業している状態

※3 活き生き度:ストレスチェックで測定している職場の活性度を示す当社独自の指標

 

<参考リンク:当社ホームページ特設サイト>

    ・健康経営

     https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/health/

 

 

○ 働き方改革

従業員が「活き生き※1」と働くことが組織の活性化につながり、ひいては業績の向上に繋がるという考え方のもと、当社では2017年度より「活き生き5(ファイブ)活動」を実施しています。

 


 


 


 

「活き生き5活動」では、従業員一人ひとりの状況に合わせ、柔軟な働き方が可能な環境の整備に努め、「働きやすさ」の制度を拡充してきました。2023年度からは次のステージに進むべく、従業員の「働きがい」に関する情報収集や高負荷者の負荷軽減にターゲットを絞り、「活き生き5 Ver1.5」を展開しています。(図5参照)

 ※1 「活き生き」とは、活力あふれる「活き活き」と健康的な「生き生き」を重ねた当社独自の造語

 

(図5:活き生き5活動のロードマップ)


 

「活き生き5活動」の結果について、総労働時間は一定の効果が出ています。2023年度は経済活動がコロナ禍から正常化し、一部生産現場において高稼働な状況が続いたことから、平均総労働時間は微増の見込みですが、活動を始めた2017年度と比較し、6%の総労働時間低減を達成することができました。また有給休暇の平均取得日数についても年々取得日数が増加しております。(図6参照)

 

(図6:総労働時間の推移及び年次有給休暇の平均取得日数)


 


<参考リンク:当社ホームページ特設サイト>

 働きやすい環境に向けた制度や仕組み

 https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/improvement/work.html

 

○ 柔軟で強い製造現場づくり

モノづくりの会社である当社グループにとって製造現場の人材力・組織力は生命線です。様々な事業領域を抱える当社では、現場の課題も多種多様であるため、人事勤労部門を中心に、個々の現場課題に寄り添った活動を推進しています。

 

分類

施策例(直近施策のみ開始年度を付記)

採用力強化

(技能職)

 

外国籍従業員採用の強化

・語学/生活サポート担当員の配置(中国語・ポルトガル語)

・警察/市役所/専門機関による定期研修実施 [2024~]

女性採用の強化

・施設改善(休憩室やトイレの増設)

・強度作業のオートメーション化

・教員向け工場見学及び現場作業体験の実施 [2023~]

大卒採用の開始

・初任給の新設等制度整備 [2023]

組織開発

人材育成

(職場単位)

 

監督者の育成

・監督者の業務内容や職責の定義

・最適労務構成の中長期目標策定(社員比率等)[2022]

・監督者95名と面談を実施し職場ごとの課題を抽出 [2022]

・育成候補者の選出と個別育成計画の策定 [2023]

・個人別の成長観測指標の設定 [2023]

コミュニケーションの促進

・コミュニケーションに特化した360度サーベイ実施 [2022]

・監督者による「はじめる行動※1」の宣言/掲示 [2022]

組織風土の改善

・人事ローテーションの促進

 

これらの取組の結果、インライン率※2が57%改善、活き生き度が24%改善する等の効果が出始めております。

※1 はじめる行動:コミュニケーション改善に向けた具体的な行動を監督者がメンバーに宣言し、実行に移すことで活気のあふれる組織を目指す活動

 ※2 インライン率:監督者が製造ラインに入る割合を示す当社独自の指標

 

③目標及び進捗状況

 

重点領域

主な指標

実績値

(2023年度)

目標値

(2025年度)

住友事業精神

幹部理念教育実施率

()内は単体数値

2024年度調査開始

(568名 88%)

100

ダイバーシティ&

インクルージョン

 

女性管理職比率

()内は単体数値

14.7%

(7名 1.3%)

15%

(2.5%)

障がい者雇用率

住友理工(特例子会社含む)

2.70%

2.70%

(国内グループ会社平均)

国内グループ会社平均

2.54%

人材育成

幹部研修受講数

31名

100名

(2023-2025年度累計)

DX人材育成実績

 

コア人材

2024年度

育成開始

 

200名

(2024-2025年度累計)

データ分析人材

700名

(2024-2025年度累計)

エンゲージメント

健康経営関連指標

当社ホームページ特設サイト参照

働きがい

2024年度調査開始予定

 

(注)特に記載がない限り、当社グループの数値を示しております。