2023年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりです。必ずしもリスク要因に該当しないと考えられる事項についても、投資判断上重要であると考えられる事項は、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、開示しています。

 なお、文中の将来に関する事項は当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)外部要因に関するリスク

①ユーザー獲得数の動向について(発生可能性:中、時期:中期、影響度:大)

 インターネットにおいては、ユーザーは検索エンジンを利用することが一般的であり、「OpenWork」においてもユーザー獲得は検索エンジンサイトからの自然検索流入が主たる経路になっています。

 検索エンジンサイトから当社サービスへの流入は、検索結果の表示内容によって左右されますが、検索結果の表示に関する仕様は各検索エンジンの運営者によって異なります。

 当社でも、検索エンジンの検索結果の表示内容が適切になるよう必要な対策を講じていますが、各検索エンジンの運営者側の仕様変更によるサイト訪問者数の減少や競合他社の認知度向上により、ユーザー獲得数の増加ペースに影響が発生した場合、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 また、当社が事業を展開する人材サービス業界は多数の競合他社が存在し、競合他社の中には、資金力、価格競争力、認知度、顧客との関係性、人材の確保、営業力、マーケティング力、技術力等の点において、当社より優位に立つ企業も存在します。

 加えて、ユーザーがサービスを切り替えることが容易で、新規参入障壁が低いという特徴があるため、競争は激しい状況にあります。

 「OpenWork」は、2007年12月より社員クチコミサイトを運営しており、2023年12月末時点で約605万人の登録ユーザーと約1,620万件の社員クチコミと評価スコアデータを有していますが、認知度が高く資金力のある総合人材サービス企業が大規模なプロモーションを展開した場合や、当社より低い価格で同水準のサービスを提供した場合は、新規ユーザー、顧客の獲得効率の低下や、既存ユーザー、顧客の離脱を招く可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②技術革新について(発生可能性:中、時期:中期、影響度:中)

 インターネット業界は技術革新や顧客ニーズの変化のサイクルが極めて早いことから、当社が競争力を維持するためには、急速な技術革新に適時に対応していく必要があります。当社でもAIによるクチコミ審査機能の実装などの新規技術の開発を積極的に進めていますが、

・当社が採用又は開発する新技術等が、想定した効果を発揮しない、使用可能となった時点では陳腐化、競争力低下等が生じる

・高度の専門性を有する技術者を確保又は育成できない、係る技術者の確保又は育成に多額の費用が発生する

・端末や業界標準技術の多様化及び進化に対応した改良が行えない、既存のシステム又は設備等の改良や新たな開発等により多額の費用が発生する

・新技術を適用したサービスに、想定していない障害、欠陥又は不備がある

・新技術をいち早く導入した企業や、新技術をより効果的に利用する企業との間で新たな競争が生じる

等のリスクが顕在化し、当社が技術革新に適切かつ迅速に対応することが困難となる場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)当社事業内容及びサービスに係るリスク

①サービス別営業収益構成比率の変化について(発生可能性:小、時期:長期、影響度:小)

 2023年12月期におけるサービス別営業収益構成比率は、「OpenWork」が34.8%、「OpenWorkリクルーティング」が63.9%、「その他」が1.2%です。

 今後の経営戦略においては、「OpenWork」サービスの収益を安定的に維持しながら、より成長可能性が高い「OpenWorkリクルーティング」の収益拡大に注力するため、サービス別営業収益構成比率の変化が想定されます。

 当社は、投資家の投資判断において重要であると考えられる事項については、財務情報だけでなく経営方針などの非財務情報もIR情報として積極的に開示していく方針ですが、過去の業績トレンドを活用して当社の将来の業績を予想することは、その有用性が限定的となる可能性があります。

 なお、2022年12月期及び2023年12月期の営業収益は以下のとおりです。

 

(2022年12月期)

(単位:千円)

サービスの名称

第1四半期会計期間

(自2022年1月1日

至2022年3月31日)

第2四半期会計期間

(自2022年4月1日

至2022年6月30日)

第3四半期会計期間

(自2022年7月1日

至2022年9月30日)

第4四半期会計期間

(自2022年10月1日

至2022年12月31日)

OpenWork

272,676

293,144

280,414

255,706

OpenWorkリクルーティング

172,970

189,302

243,897

312,600

その他

1,350

1,844

4,831

8,348

合計

446,997

484,291

529,143

576,654

 

 

(2023年12月期)

(単位:千円)

サービスの名称

第1四半期会計期間

(自2023年1月1日

至2023年3月31日)

第2四半期会計期間

(自2023年4月1日

至2023年6月30日)

第3四半期会計期間

(自2023年7月1日

至2023年9月30日)

第4四半期会計期間

(自2023年10月1日

至2023年12月31日)

OpenWork

272,958

270,889

247,583

226,900

OpenWorkリクルーティング

396,013

491,302

494,490

485,807

その他

5,259

12,533

7,044

11,644

合計

674,231

774,726

749,118

724,352

 

 

②特定の取引先への依存について(発生可能性:小、時期:長期、影響度:小)

 「OpenWork」では、ユーザーを送客している特定の提携顧客(送客先サービスサイトの運営会社)との取引金額が高い割合を占めています。2023年12月期においては、株式会社リクルートとの取引金額が当社営業収益の9.26%を占めており、特定の取引先への依存度が高い状態にあります。特定の取引先への依存を解消するため、「OpenWorkリクルーティング」の事業規模の拡大を進めています。

 しかしながら、「OpenWorkリクルーティング」の収益拡大が達成できなかった場合、高い割合を占める特定の取引先との関係が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③「OpenWorkリクルーティング」の市場動向による業績推移について(発生可能性:中、時期:中期、影響度:大)

 「OpenWorkリクルーティング」では、雇用環境の変化や求人企業の人員計画の変更により、大きく業績が変動する可能性があり、不確実性の高い市場環境において、将来の業績や市場環境の正確な予測及び有効な戦略の策定は困難な状態にあります。

 当社では、雇用環境や市場環境の変化に対応するため、「OpenWorkリクルーティング」の顧客企業・販路の拡大を進めていますが、予測とは異なる状況が発生した場合や各種施策の効果が想定を下回った場合、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④新規事業の開発について(発生可能性:中、時期:中期、影響度:小)

 ワーキングデータプラットフォームの拡充を基軸とし、主力サービスである「OpenWorkリクルーティング」の成長の加速と、新規サービスの拡大を経営戦略の基本方針として、新規サービス、事業の拡大に取り組んでいます。

 これらを推進するための広告宣伝費、人件費などの先行投資は、回収可能性を検討したうえで実施していますが、安定的な事業基盤の構築と収益化にはある程度の期間を要することが見込まれるため、この期間においては、先行投資によって一時的に利益率が低下する可能性があります。

 事業基盤の構築と収益化までの期間が長期化した場合や、想定していた成果を上げることができず撤退コストが発生した場合には、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤「OpenWork」サイトにおける社員クチコミ投稿について(発生可能性:小、時期:長期、影響度:小)

 「OpenWork」サイトにおいて、ユーザーによって投稿された社員クチコミが、第三者の名誉、プライバシー、その他の権利の侵害行為や法律違反行為など、不適切な投稿が生じる可能性があります。

 社員クチコミはユーザーが自らの体験に基づいて会社に対する主観的な意見として投稿されたものです。当社が掲載内容の正確性、最新性、有益性など、あらゆる点に関して内容を保証できるものではありません。

 当社としては、ユーザー向けの利用規約に第三者を誹謗中傷する内容の投稿を行うこと等を禁止行為として規定し、投稿時の画面に注意事項として明示のうえ、レポート回答ガイドラインに明示する等の対応を行うことで、ユーザーへの注意喚起に取り組んでいます。加えて、すべての投稿内容に対してAIを活用した機械審査と専任スタッフによる目視審査を行い、法令違反や誹謗中傷に該当する投稿を発見した場合は、速やかに当該投稿を非公開とする措置を取っています。

 しかしながら、ユーザーの投稿に起因するトラブルが生じた場合は、当社が法的責任を問われる可能性がある他、サイトに対するレピュテーションが低下し、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥「OpenWorkリクルーティング」における採用決定報告に関する不正行為について(発生可能性:中、時期:中期、影響度:小)

 「OpenWorkリクルーティング」は、ダイレクトリクルーティングサービスであり、当社は選考活動に直接関与しないため、採用決定事実は利用企業からの報告によって把握していますが、採用決定の事実を報告せず採用決定時報酬の支払いを回避しようとする不正行為が発生する可能性があります。

 当社は、利用企業に対する進捗確認の徹底や、利用規約に不正行為が発生した場合の違約金の設定、入社後アンケートを活用したユーザーからの入社報告の促進等の不正行為の発生を防止するための対策を講じていますが、悪質な利用企業の不正行為が発生した場合には、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)システムに関するリスク(発生可能性:小、時期:特定時期無し、影響度:中)

 当社のサービスはインターネットを介して提供しているため、自然災害、事故等による通信ネットワークの障害、ハードウエアやソフトウエアの欠陥や事故によるシステム障害、第三者による不正アクセス等が生じる可能性があります。

 当社は、定期的なバックアップや稼働状況の監視、システム開発・運用に関する各種規程、マニュアルの整備や不正アクセス対策を講じていますが、これらの対策を講じているにも関わらず、システム障害等が発生し、サービス提供に障害が生じた場合、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)法的規制に関するリスク

①当社の事業及びサービスに関連する法的規制について(発生可能性:小、時期:特定時期無し、影響度:中)

 当社の事業及びサービスに関連する法律として「個人情報の保護に関する法律」、「職業安定法」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」といいます)」、「電気通信事業法」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定商取引に関する法律」、及び「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等があります。

 当社では、これらの法律で要求される事項を遵守し、適法な事業及びサービス運営を行うため、顧問弁護士等とも連携のうえ、最新の法規則に関する情報の取得及びモニタリングを行い、その結果を「リスクマネジメント委員会」で検証し対応を実施する等の管理体制を構築しています。

 また、コンプライアンス研修等を通じて、社内のコンプライアンス意識向上を図ると共に、「内部監査規程」に基づき内部監査で法令遵守状況の監査も実施し、継続的な法令遵守体制の強化に努めています。

 しかしながら、今後新たな法令等が成立することで追加の規制を受ける可能性があります。また、今後の法律改正又は規制の動向によっては、当社の事業活動に支障をきたすとともに、事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性がありますが、当事業年度末現在において当社の事業活動に支障を来す要因は発生していません。

 

 当社の事業における許認可の状況は以下のとおりです。

取得年月

許認可等の名称

所管官庁等

許認可等の内容

有効期限

法令違反の要件及び主な許認可取消事由

2016年5月

有料職業紹介事業

厚生労働省

13-ユ-307725

2024年4月30日

利用者の均等待遇に反し、差別的な取り扱いを行った場合や労働条件の明示義務に違反した場合などが法令違反となる。

主な許認可取消事由としては禁固以上の刑に処せられること、健康保険法等の規定により罰金の刑に処せられること等が挙げられる。

 

②個人情報の取り扱いについて(発生可能性:小、時期:特定時期無し、影響度:中)

 当社では、「OpenWork」サービス会員の氏名や職務経歴書、応募情報等の個人情報を保持し、利用しているため「個人情報の保護に関する法律」に定められた個人情報の漏洩、改ざん等を防止するための措置を講じ、管理を徹底することを事業及びサービス運営上の重要課題の一つとして捉えています。

 適正な個人情報管理を実現するための「個人情報保護方針」を定め、「個人情報保護基本マニュアル」や「情報システム管理規程」、「秘密情報管理規程」等の社内規程及びマニュアルを整備すると共に、日本工業規格「JIS Q 15001:個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」に適合して、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備している事業者等を認定するプライバシーマークを取得しており、高いレベルの個人情報保護マネジメントシステムを確立及び運用しています。

 また、社内の個人情報の取り扱いに関する研修を通じて、社内の個人情報管理意識の向上を図っています。

 しかしながら、不正アクセス等により個人情報が流出するなどの問題が発生した場合には、損害賠償請求や信用の低下等により、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③「OpenWorkリクルーティング」サービスについて(発生可能性:小、時期:特定時期無し、影響度:大)

 当社が運営する「OpenWorkリクルーティング」サービスは、「職業安定法」が定める有料職業紹介事業に該当するため、厚生労働大臣の許可を受け事業を行っています。

 当社では、法律で要求される事項を遵守し、顧問弁護士等との連携や、最新の法規則に関する情報の取得及びモニタリング等を行うことで、有料職業紹介事業においても適法な事業及びサービス運営を行うための体制を構築し、体制の強化を図ってまいります。

 しかしながら、新たな法規制の制定や改正が行われ、又は既存法令等の解釈変更等がなされ、当社の事業及びサービスが新たな法規制の対象となる場合、許可の追加取得が必要となる場合、又は許可の取消し、業務停止命令若しくは業務改善命令の対象となる場合等には、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④「OpenWork」サービスについて(発生可能性:小、時期:特定時期無し、影響度:小)

 当社は「プロバイダ責任制限法」に定める「特定電気通信役務提供者」に該当し、当社が企業又は個人から請求された発信者情報の開示請求に応じなかったことで、当該企業又は個人から損害賠償を請求される可能性があります。

 また、企業又は個人から「OpenWork」に投稿された社員クチコミ等により権利が侵害されたとして、当社に対して損害賠償が請求される可能性があります。

 「(2)当社事業内容及びサービスに係るリスク⑤「OpenWork」サイトにおける社員クチコミ投稿について」に記載のとおり、当社では会員への注意喚起を行うと共に、すべての投稿内容に対して審査を行い、法令違反や誹謗中傷に該当する投稿を発見した場合は速やかに当該投稿を非公開とする措置を取り、トラブルの未然防止に努めています。

 しかしながら、仮処分や訴訟等でプロバイダ責任制限法に定める損害賠償責任の制限要件を満たしていないとされた場合には損害賠償義務が発生し、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤秘密情報の取り扱いについて(発生可能性:小、時期:特定時期無し、影響度:中)

 当社は「電気通信事業法」に定める「電気通信事業者」に該当するため、同法で定められた「検閲の禁止」、「秘密の保護」、「利用の公平」の義務が課せられており、総務省に対して同法に基づく届出を行っています。

 当社では、前述のとおり法律で要求される事項を遵守し、顧問弁護士等との連携や、最新の法規則に関する情報の取得及びモニタリング等を行うことに加え、「情報システム管理規程」、「秘密情報管理規程」等の社内規程及びマニュアルを整備し、社内研修を実施することで社内の秘密情報管理意識の向上を図り、電気通信事業法においても適法な事業及びサービス運営を行うための体制を構築しています。

 しかしながら、新たな法規制の制定や改正が行われ、又は既存法令等の解釈変更等がなされ、当社の事業及びサービスが新たな法規制の対象となる場合、許可の追加取得が必要となる場合、又は業務停止命令若しくは業務改善命令の対象となる場合等には、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥不正アクセスについて(発生可能性:小、時期:特定時期無し、影響度:中)

 当社は「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」に定める「アクセス管理者」に該当するため、「識別符号等の適正な管理」、「アクセス制御機能の検証」、「不正アクセス行為から防御するための措置を講じること」等の努力が課せられています。

 当社では、「情報システム管理規程」、「秘密情報管理規程」等の社内規程及びマニュアルを制定し、外部からの不正アクセスを防止するためのファイアウォールやセキュリティソフトの導入等といった対策をとっており、また定期的なバックアップや稼働状況の監視を行うことで、不正アクセスの事前防止又は回避に努めています。

 しかしながら、こうした対応にもかかわらず、不正アクセスが発生し、サービス提供に障害が生じた場合や復旧遅延が生じた場合、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦日本国外の法規制について(発生可能性:小、時期:特定時期無し、影響度:小)

 当社が行う「FIS」サービスは国内外のヘッジファンド等向けのサービスであり、EU諸国にて施行された「一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:以下「GDPR」といいます)」など、取引先の国で適用される法律により規制が行われる可能性があります。

 日本国外の顧客との契約においては、準拠法を日本法にするなど顧問弁護士と連携のうえ契約書を作成し、契約交渉も顧問弁護士関与のもと、慎重な対応を行っています。

 しかしながら、取引先の国の法制度が変わり、「FIS」を含めた事業の展開に支障をきたした場合には当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)訴訟等によるリスク(発生可能性:小、時期:特定時期無し、影響度:小)

 当社は当事業年度末現在において、重大な訴訟を提起されている事実はなく、前述の法令遵守体制を構築するとともに、サービスの適正な運営や情報管理に努めています。

 しかしながら、当社並びに役職員の法令違反等の有無にかかわらず、取引先、その他第三者との予期せぬトラブル、訴訟等が発生する可能性があり、これらに起因した損害賠償の請求、訴訟を提起された場合、当社の社会的信用が毀損され、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)知的財産権に関するリスク(発生可能性:小、時期:特定時期無し、影響度:小)

 当社は当事業年度末現在において、他社の知的財産権を侵害している事実は認識しておりません。しかしながら、当社の認識していない知的財産権がすでに成立していることにより、当社の事業運営が制約を受ける場合や第三者の知的財産権侵害が発覚した場合などにおいては、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)広告宣伝活動に関するリスク(発生可能性:中、時期:中期、影響度:中)

 当社及び当社サービスの認知度向上及び集客力強化を今後の事業拡大における重要課題の一つとして捉え、インターネット広告やテレビCMの出稿をはじめとした広告宣伝活動を実施しています。

 出稿媒体や実施タイミング及びその内容について費用対効果を検討したうえで、広告宣伝活動を行っていますが、広告宣伝効果が十分に得られない場合、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)組織運営に関するリスク(発生可能性:中、時期:中期、影響度:小)

 当社が競争上の優位性を確保し、事業環境の変化へ対応し継続的に成長していくためには、優秀な人材の確保、育成が重要課題の一つであると考えています。

 優秀な人材を確保し育成するため、採用予算の確保や各種研修の充実等の対応を実施していますが、採用活動が想定どおりに進捗せず人材を十分に確保、育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)親会社に関するリスク

①当社株式の流動性について(発生可能性:小、時期:長期、影響度:中)

 当社の株主構成は株式会社リンクアンドモチベーション、当社役員及び元役員等であり、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は2023年12月31日現在において33.4%にとどまっています。

 今後は、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

②親会社が株主総会の決議事項に関する支配権又は重大な影響力を有することについて(発生可能性:小、時期:長期、影響度:中)

 2023年12月31日現在において、当社発行済株式総数のうち51.44%は株式会社リンクアンドモチベーションが保有しており、同社は当事業年度末現在において東京証券取引所に上場しています。現時点では、今後も引き続き当社の株式の過半数を所有する方針であると聴取しています。その結果、当社取締役の選任・解任、合併その他組織再編の承認、重要な事業の譲渡、当社定款の変更及び剰余金の配当等の基本的事項決定権又は拒否権に関して、他株主の意向にかかわらず同社が影響を与える可能性があります。なお、当社が同社に対し事前承認を必要とする事項はなく、当社は独自に経営の意思決定を行っています。

 

③役員の兼任について(発生可能性:小、時期:長期、影響度:小)

 当社の役員(取締役4名、監査役3名)のうち、監査役大野俊一は株式会社リンクアンドモチベーション及びその複数子会社の取締役を兼任しています。兼任状況は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(2)役員の状況」に記載のとおりです。これは、当社の主力サービスである「OpenWork」「OpenWorkリクルーティング」は、人材ビジネスであり、長年人材ビジネスを営んできた株式会社リンクアンドモチベーション等における経営に係る知見を当社の経営体制強化に活かすことを目的としていることによります。

 

④親会社グループとの取引関係について(発生可能性:中、時期:中期、影響度:小)

 2023年12月期における当社と親会社グループとの主要な取引は以下のとおりです。

 

取引先

取引内容

取引金額(千円)

取引条件等の決定方法

株式会社リンクアンドモチベーション

システムの利用

1,800

他の取引先に設定している条件と同条件であり、特に有利な条件は設定されていません。

OpenWorkリクルーティングの販売

2,000

株式会社リンクエージェント(現:株式会社リンク・アイ)

OpenWorkリクルーティングの販売

4,717

他の取引先に設定している条件と同条件であり、特に有利な条件は設定していません。

出向社員の給与

4,253

出向契約に基づき全額当社負担としています。

株式会社リンク・アイ

OpenWorkリクルーティングの販売

1,020

他の取引先に設定している条件と同条件であり、特に有利な条件は設定していません。

人材の紹介

2,500

株式会社リンクコーポレイトコミュニケーションズ

業務の委託

1,600

他の取引先に設定している条件と同条件であり、特に有利な条件は設定されていません。

株式会社リンク・インタラック

OpenWorkリクルーティングの販売

400

他の取引先に設定している条件と同条件であり、特に有利な条件は設定されていません。

 当社の独立性の観点を踏まえ、親会社グループ会社との取引については、当該取引の経済合理性について社内規程に定められた承認を得ることとし、取引の健全性及び適正性を確保する体制を構築しています。

⑤人材ビジネスにおけるグループ会社内の関係について(発生可能性:小、時期:長期、影響度:小)

 親会社グループでは、「組織と個人に変革の機会を提供し意味のあふれる社会を実現する」ことをミッションに掲げ、3つのセグメントにて事業を展開しており、当社はその中で成長セグメントであるマッチングディビジョンに属しています。マッチングディビジョンでは、求人ニーズのある組織とキャリアアップをしたい個人のマッチングを目的とした人材サービスを展開しています。当社はマッチングディビジョンの2023年12月期の売上収益の15%以上を占めています。

 当社と同じくマッチングディビジョンに所属する株式会社リンク・アイ、株式会社リンク・インタラックと当社は、人材ビジネスという広義のビジネス領域では共通しますが、それぞれ異なる事業を展開しています。

 

社名

事業内容

競合関係が生じない又は軽微である理由

株式会社リンクエージェント(現:株式会社リンク・アイ)

人材紹介事業

企業の要望に沿った求職者のあっせんや、求職者に対するキャリアアドバイスまで行う人材紹介事業者であり、ダイレクトリクルーティングサービスを展開する当社とはビジネスモデルが異なります。

株式会社リンク・アイ

新卒採用を主とした人材紹介事業

企業の要望に沿った求職者のあっせんや、求職者に対するキャリアアドバイスまで行う人材紹介事業者であり、ダイレクトリクルーティングサービスを展開する当社とはビジネスモデルが異なります。

また、特定分野に特化した人材紹介事業者である点も当社ビジネスとの相違点であり、重大な競合関係は生じていません。

株式会社リンクジャパンキャリア(現:株式会社リンク・インタラック)

外国籍人材の中途採用を主とした人材紹介事業

同上

 上記のとおり、マッチングディビジョンに属する親会社グループ会社とは重大な競合関係は生じていませんが、今後、当社が経営方針及び事業内容を変更した場合、又はグループ会社が経営方針及び事業内容を変更した場合には、将来的に競合する可能性があり、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)その他

①新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発生可能性:大、時期:短期、影響度:小)

 当社では、株主価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、新株予約権を付与しています。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。2023年12月31日現在における新株予約権による潜在株式数は440,560株であり、発行済株式総数の2.1%に相当しています。

 

②配当政策について(発生可能性:小、時期:長期、影響度:小)

 当社は、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議によって定めることができる旨を定款で定めています。これは、株主への機動的な利益還元を行うことを目的とするものです。

 当社は、財務基盤の強化と成長過程にある事業の持続的な拡充を目指していくために、内部留保資金の充実と事業推進に必要な投資活動を積極的に行っていくことが重要と考えています。

 利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のため必要な内部留保を確保しつつ、経営成績に応じた株主への利益還元を継続して実施していくことを基本方針としています。

 現時点では、財務体質の強化及び事業拡大のための内部留保の充実を図り、事業拡大のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元に繋がると考えており、今後の経営成績及び財政状態を鑑みつつ、事業・投資計画、事業環境等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりつつ配当について検討していく方針です。このことから、当面の間、財務体質の強化及び事業拡大のための財源として利用していく予定です。

 将来的には、経営成績・財政状態を勘案しながら、配当による株主への利益還元を行うことを検討してまいりますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定です。

配当政策

3【配当政策】

(1)配当の基本的な方針

 当社は、将来の事業展開に即応できる財務体質の強化を重要課題として位置づけています。現在は成長過程にあると考えていることから、経営基盤の安定化を図るために内部留保を充実させ、新規事業の早期展開、事業拡大、事業効率化のために投資を行い、企業価値向上を図ることが、株主に対する最大の利益還元につながると考えています。

 

(2)毎事業年度における配当の回数についての基本的な方針

 当社は内部留保の充実を図り、再投資していく方針であるため、現時点において配当実施の可能性、その実施時期及び回数については未定です。

 

(3)配当の決定機関

 配当の決定機関は取締役会です。

 

(4)当事業年度の配当決定に当たっての考え方及び内部留保資金の使途

 当社は、上記(1)の方針に従い、当事業年度において剰余金の配当は実施していません。

 内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応するため、企業体質の強化及び将来の事業展開のための財源として利用していく予定です。

 

(5)剰余金の配当について

 会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めています。