リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を以下記載しております。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資家の判断にとって重要であると当社が考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営環境の変化に関するリスク(顕在化可能性:低/影響度:大)
当社グループが事業を展開するモビリティDX市場は、コネクテッドカーによる業務の効率化や新規事業の開発に対する企業の期待や社会全体の注目度の高まりに伴って急速に成長しております。当社グループはこの傾向が今後も持続すると予測しており、新規製品及びサービスの研究開発を積極的に展開していく計画であります。しかしながら、経済情勢や景気動向の悪化により、企業の情報化投資が低迷し、モビリティDX市場の成長が鈍化するような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 競合に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中)
当社グループが提供するIoTデバイスによる自動車などの移動体にまつわるデータの収集・解析については、大手・中小問わず競合企業が存在しております。当社グループのサービスは、これらのデータを単に収集・解析するだけでなく、それらのデータをリアルタイムに可視化するとともに、ビッグデータを自由に活用可能なプラットフォームを提供することにより差別化を図っております。しかしながら、競合企業の技術力の向上や予期しないサービスの登場などにより競争が激化する場合には、当社グループの新規契約数が鈍化する可能性や既存契約先の解約数が増加する可能性など、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 情報管理体制に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:大)
当社グループでは、事業を通じて個人情報及び顧客企業の情報資産を取り扱っており、個人情報の保護に関する法律が定める個人情報取扱事業者に該当いたします。このため、「個人情報の保護に関する法律」等に則った個人情報保護方針及び情報セキュリティ基本方針を策定するとともに、2017年2月にISO/IEC27001:2013(情報セキュリティマネジメント)の認証を取得しております。しかしながら、何らかの理由により重要な個人情報又は情報資産が外部に漏洩するような場合には、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 製品・サービスの不具合の発生に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:大)
当社グループでは、製品・サービスの設計・開発の段階から社内の品質確認作業に加えて外部専門機関による信頼性試験・品質評価を実施しております。また、製品の製造委託にあたっては、ISO9001(品質マネジメント)認証企業を委託先選定の要件として委託開始後も認証取得状況を定期的に確認するとともに、完成品に対してJIS9015に基づく検査を実施しております。さらに、これらの品質マネジメントに対する取組み全体を社内に設置したリスクマネジメント委員会においてモニタリングを行うことで不具合等の発生防止に最大限の注意を払っております。しかしながら、当社グループ製品・サービスの不具合により顧客が損害を被った場合、損害賠償の被請求や当社グループに対する信頼性の喪失により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) システムトラブルに関するリスク(顕在化可能性:低/影響度:中)
当社グループのサービスは、その特性上、移動体通信事業者のネットワークを経由して提供しております。このため、移動体通信事業者の提供する電気通信サービスに障害が生じ、サービスが長時間にわたり中断する等の事態が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 半導体を中心とした電子部品の需給逼迫(顕在化可能性:高/影響度:小)
車載デバイスの調達について 世界的に半導体を中心とした電子部品の需給が逼迫している状況にあり、これら電子部品の需給逼迫の長期化によって、車載デバイスの入手が困難な状況が発生した場合、または調達先からの購入価格が高騰した場合、当グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループではマルチデバイス対応を進めており複数の調達先を確保しているため、現時点における影響は軽微であると判断しております。
(7) 技術革新に関するリスク(顕在化可能性:低/影響度:大)
当社グループの属するモビリティDX関連産業においては、技術革新のスピードが早く、先端のニーズに合致させたシステムソリューションの構築を行うためには、常に先進の技術ノウハウを把握し、当社グループの技術に取り入れていく必要があります。
このため、エンジニアの採用や創造的な職場環境の整備等を通じて、最新の技術ノウハウの獲得に注力するとともに、開発環境の整備等を進めております。しかしながら、これらの対応に困難が生じ、技術革新に対する当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。このような場合には、当社グループの技術力低下、それに伴う製品・サービスの質の低下、そして競争力の低下を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります
(8) 知的財産に関するリスク(顕在化可能性:低/影響度:中)
当社グループは、提供する製品及びサービスにつき、商標登録を行うなど知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知的財産権を侵害しないように顧問弁護士等と連携し必要な措置を講じてまいります。しかしながら、万が一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者が損害賠償請求や使用差止請求等の訴えを起こすことにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 法的規制に関するリスク(顕在化可能性:低/影響度:大)
本書提出日現在では、当社グループが行う事業の継続に直接的に著しい影響を及ぼす法規制はないものと認識しております。しかしながら、今後、当社グループが行う事業を規制する法令等が制定され、当社グループがそれに抵触するような事態が発生した場合には、当社グループの社会的信用が低下し事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 内部管理体制に関するリスク(顕在化可能性:低/影響度:小)
当社グループは、今後の事業拡大に対応するため、内部管理体制をさらに強化する必要があると認識しており、人材採用及び育成等により内部管理体制の強化を図っていく方針であります。しかしながら、事業の拡大ペースに応じた内部管理体制に遅れが生じた場合、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 小規模組織であることに関するリスク(顕在化可能性:低/影響度:小)
当社グループの組織規模は小規模であり、業務執行体制及び内部管理体制もそれに準じたものとなっております。当社グループは今後の事業展開に応じて、採用・能力開発等によって業務執行体制及び内部管理体制の充実を図っていく方針であります。しかしながら、当社グループの事業領域の環境や競合状況が急変する場合、対応に要する経営資源が不十分となることにより、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 人材の採用・育成に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中)
当社グループは、今後急速な成長が見込まれる事業の展開や企業規模の拡大に伴い、継続的に幅広く優秀な人材を採用し続けることが必須であると認識しております。質の高いサービスの安定的な提供や競争力の向上にあたっては、開発部門を中心に高度な技術力・企画力を有する人材が要求されていることから、一定以上の水準を満たす優秀な人材を継続的に採用するとともに、成長ポテンシャルの高い人材の採用及び既存の人材の更なる育成・維持に積極的に努めていく方針です。しかしながら、当社グループにおいて優秀な人材の確保や人材の育成が計画通り進まなかった場合には、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 社歴が浅いことに関するリスク(顕在化可能性:低/影響度:小)
当社グループは、2013年10月に設立された社歴の浅い会社であります。さらに、当社グループが事業を行うモビリティDX関連の市場自体も近年急速に拡大した流動的な状況であるため、当社グループにおける経営計画の策定には不確定事象が含まれざるを得ない状況にあります。
(14) 特定の経営者等への依存に関するリスク(顕在化可能性:低/影響度:中)
当社代表取締役社長北川烈は、当社グループの創業者であり、経営方針・経営戦略の策定や、業界における人脈の活用等、重要な役割を果たしております。当社グループは、経営管理体制の強化、経営幹部の育成等を図ることにより、同人への過度な依存の脱却に努めておりますが、現時点においては、未だ同人に対する依存度は高いと考えております。今後、何らかの理由により同人の当社グループの業務遂行が困難になる場合には、当社グループの事業展開等に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 配当政策について(顕在化可能性:低/影響度:小)
当社グループは現在成長過程にあり、財務体質の強化及び積極的な事業展開に備えるための内部留保の充実を優先させるため、当事業年度までの過去において配当を行っておりません。また、将来的には、毎期の経営成績並びに財政状態を勘案しつつ、配当による株主への利益還元を継続的に実施する方針ではありますが、現時点における当社グループの配当実施可能性及びその時期につきましては未定であります。
(16) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化(顕在化可能性:低/影響度:中)
当社グループは役員及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして新株予約権を付与しております。また、今後も優秀な人材確保のため新株予約権を活用したインセンティブプランを活用していく方針であります。これらの新株予約権が行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
なお、本書提出日時点でこれらの新株予約権による潜在株式数は558,420株であり、発行済株式総数6,207,390株の9.0%に相当しております。
(17) 過年度の経営成績及び税務上の繰越欠損金について(顕在化可能性:低/影響度:中)
当社は、過年度において、親会社株主に帰属する当期純損失を計上していたため、第10期事業年度末において税務上の繰越欠損金が3,409,076千円存在しております。現時点において、税務上の繰越欠損金は、将来の課税所得から控除することにより将来の税額を減額することができるものの、今後の税制改正の内容によっては、納税額を減額できない可能性があり、その場合は当社グループの経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。また、上記繰越欠損金が解消された後は、通常の税率に基づく法人税等が発生するため、現時点よりも税額負担が増加するという観点で、当社グループの経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
(18) 過年度における継続的な損失計上について(顕在化可能性:中/影響度:中)
当社グループは、過年度において、継続的な事業成長を図るため、積極的な人材採用と既存のサービス強化と新しいサービス・ソフトウェア開発等への投資、顧客基盤拡大のための積極的な広告宣伝活動を実施しており、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 1主要な経営指標等の推移」に記載のとおり、2020年9月期(第7期)から最近事業年度である2023年9月期(第10期)において、継続的な売上高拡大が図られたものの、先行投資と位置付けられる研究開発費や一部の人件費、広告宣伝費の計上により、利益面で損失計上が継続しておりました。一方で、当社グループのサービスは主に顧客企業の利用期間やユーザー数等に応じてサブスクリプションとして課金され継続して利用されることで収益が積みあがるストック型の収益モデルであるため、上記広告宣伝費などの顧客獲得費用や研究開発費用の比率が減少し、利益は改善傾向にあります。
結果としての経常損失額も2022年9月期の302,118千円から2023年9月期の26,796千円に大幅に改善しております。
(19) 特定の取引先への依存について(顕在化可能性:低/影響度:中)
当社グループは国内AO事業として、モビリティデータを活用して自社の既存事業の高付加価値化や新規事業創出を目指すパートナー企業に向けて、SmartDrive Fleet をOEM提供するなど、パートナー企業における新規事業の立上げ支援を行っております。その中で、主要顧客であるスズキ株式会社・住友三井オートサービス株式会社との取引が当社グループの総売上高に占める割合は高い水準にあり、2023年9月期(第10期)においては約3割の依存関係となっております。当社グループとこれらの特定の取引先とは、現時点においては緊密かつ良好な関係にあり、今後もこれまでの取引関係を維持・発展させていく方針でありますが、特定の取引先の今後の経営方針が当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
これに対応するために、国内FO事業の拡大や新規顧客の開拓など上記主要顧客以外の顧客との間の取引比率の上昇や提供サービスの多様化等を推進することで、収益基盤の安定化と上記主要顧客への依存度の低減につとめております。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主に対する安定的な利益還元を重要な経営課題と認識しております。しかしながら、当社は現在、成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、なお一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら、都度適正な経営判断を行い、配当を実施していく予定でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその開始時期については未定であります。
なお、当社は、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。