人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数49名(単体)
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平均年齢38.3歳(単体)
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平均勤続年数12.1年(単体)
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平均年収7,832,000円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)提出会社の状況
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(2024年3月31日現在) |
従業員数(名) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
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49 |
(9) |
38.3 |
12.1 |
7,832 |
(注)1 従業員数は就業人員であります。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外給与を含んでおります。
3 従業員数欄の( )は、臨時従業員の年間平均雇用人員であり、外数で記載しております。
4 当社は単一セグメントのためセグメント毎の記載はしておりません。
5 当社は常時雇用される従業員が100名以下の事業規模であり、女性活躍推進法等の規定による公表をしておりません。そのため、女性管理職比率、男性育児休業取得率及び男女賃金差異等の記載を省略いたします。なお、当社においては、同様な労働条件(学歴、年齢、勤続年数等)における男女間の賃金差異はないものの、開発型企業の特徴として、従業員の約8割が理系分野出身者で占めており、採用段階から女性の母集団が小さいことは否めません。女性の活躍を促進していくために、女性従業員の積極採用、長く働ける職場環境づくりに取り組んでおります。
(2)労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組みは以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
気候変動が加速していく中、世界各地において自然環境・人々の暮らし・企業活動に様々な影響や被害が現れ始めています。気候変動への取り組みとしてパリ協定が採択され、各国がネットゼロに向けた対応を行っており、日本政府はNDCの目標(2030年度における温室効果ガス(GHG)削減目標)を26%から46%(2013年度比)に引き上げることを表明しています。こうした中、企業による事業を通じた脱炭素社会への貢献が求められています。当社は、事業を通じて気候変動の緩和と適応を行いながら持続的成長を目指します。企業に対して気候関連課題に関する情報開示要請も高まっており、情報開示の重要性を認識し、開示に向けた取り組みを進めています。
また、当社は知識集約型・開発型の企業であるため、人的資本が企業価値向上の源泉であり、「能動型自律人材」の多寡により会社の経営が左右されると考えております。当社の中・長期ビジョンを実現するためには「人的資本経営の推進」が欠かせず、①企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成、②能動型自律人材の採用と育成、③働きやすくやりがいを感じる職場環境の整備、という3つの考え方に基づき人材育成方針並びに社内環境整備方針を策定いたしました。これらの方針をもって、全従業員が主体的に経営に参画する組織風土を醸成し、人的資本経営の実現を目指します。
当社はサステナビリティ基本方針に基づき中長期的に、主に気候変動と人的資本の観点から、当社が重要と考える課題(マテリアリティ)について行動計画を下記の通り策定しています。
(1)-①当社のマテリアリティ
マテリ アリティ |
方針 |
目標 |
KPI |
行動計画(概略) |
環境に やさしい 製品づくり |
①環境負荷低減につながる製品開発及び事業活動の推進 |
環境配慮型製品について、個別の開発テーマごとに設定した製品化計画の達成 |
2030年度までの製品化計画に基づく進捗度 |
サステナビリティ委員会や経営会議における開発テーマの進捗管理 |
②めっき工程におけるエネルギー使用量削減 |
1.GHG排出量削減: 2030年スコープ1・2に関するカーボンニュートラルの達成 2.エネルギー使用量: 2030年度エネルギー使用量の2022年度比20%削減 |
・GHG排出量
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・建物の遮熱化や空調機器の更新
・J-クレジット等の使用 |
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③めっきで培ったコア技術の応用によるエネルギー分野への貢献 |
2030年度までの電池市場への参画 |
2027年度までの電池材料・電解液メーカーとの共同開発合意 |
展示会出展などを通じた提携先の選定と共同開発合意 |
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人的資本 経営の推進 |
①企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成 |
会社の目指す姿にエンゲージしている従業員の割合を一定水準以上とする(過半を目標) |
従業員エンゲージメントスコア |
・エンゲージメントスコアの計測と目標値の設定 ・スコア向上につながる諸施策の継続的な実施 |
②能動型自律人材の採用と育成 |
能動型自律人材に必要な教育機会・カリキュラムの整備と従業員全員の受講 |
育成プログラム(役職別)の受講率 |
能動型自律人材として求められる資質・スキルセットに必要なカリキュラムの充実化と受講率向上 |
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③働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備 |
1.職場環境等、会社の風土・制度に満足している従業員の割合を一定水準以上とする(過半を目標) 2.希望する全員の育児休業取得
3.2030年度末時点の女性管理職比率15%達成 |
・従業員エンゲージメントスコア
・育児休業取得率
・女性管理職比率 |
・エンゲージメントスコアの計測と目標値の設定
・育児休業制度の継続的な周知・浸透 ・女性を対象としたキャリア支援プログラムによるサポート |
(1)-② マテリアリティに関する行動計画
当社のマテリアリティに関する主な行動計画は、以下の通りです。
環境にやさしい製品づくり
①環境負荷低減につながる製品開発及び事業活動の推進
・環境配慮型製品(穀物由来原料代替、ニッケル不使用、シアンフリー)について、個別の開発テーマごとに設定した製品化計画を達成(製品リリース)することを目標としています。
②めっき工程におけるエネルギー使用量削減
・「GHG排出量削減:2030年スコープ1・2に関するカーボンニュートラルを達成する」ことと、建屋の遮熱化や空調機器の更新など様々な省エネルギーへの取り組みを行い「エネルギー使用量削減:2030年度エネルギー使用量を2022年度(167t-CO2)比で20%削減する」ことを目標としています。
・上記のエネルギー消費量削減施策のみではカーボンニュートラルは達成できないため、J-クレジット等の使用によるカーボンニュートラル実現を計画しております。
③めっきで培ったコア技術の応用によるエネルギー分野への貢献
・展示会出展などを通じて提携先の選定を進め、2027年度までに電池材料・電解液メーカーとの共同開発に合意し、2030年度には生産・販売開始することを目指します。
人的資本経営の推進
①企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成
・本中期経営計画期間中(~2024年度)に現状の従業員エンゲージメントスコアを計測し、次期中期経営計画(2025~2027年度、2028~2030年度)における目標スコアを設定のうえ、従業員のエンゲージメント向上につながる施策(諸制度の見直し、働き方の選択肢の拡大、1on1等の対話機会の拡充等)に継続的に取り組んでいきます。
②能動型自律人材の採用と育成
・「能動型自律人材」に必要な教育機会・カリキュラムを整備し、従業員全員が受講することを計画しております。
③働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備
・「従業員エンゲージメントスコア」「育児休業取得率」「女性管理職比率」を指標とし、会社の風土・制度に満足している従業員の割合が一定水準(過半)以上となっていることを測るために、エンゲージメント調査を実施することを計画中です。調査項目の詳細は、2024年中に策定する予定です。
・育児休業については、現状、希望者は全員取得しております。今後も当社の福利厚生制度の説明の機会等において、育児休業制度の周知と一層の浸透を図っていきます。
・上記のエンゲージメント向上施策の継続のほか、女性管理職については、キャリア採用と併せてキャリア支援プログラムによるサポートを検討・実行します。
(2) 気候変動への取り組み
気候変動は、当社にとってリスクであると同時に新たな収益機会につながる重要な経営課題であると認識しています。気候変動の取り組みを積極的にまた能動的に行うことは、中長期的な当社の企業価値向上につながるものであると考え、ステークホルダーと適切に協働し、自社のみならず社会全体に利益をもたらすことを目指します。また、こうした取り組みを通して、当社はSDGsやパリ協定で掲げられた目標達成への貢献を目指します。
当社は気候関連の財務情報開示の重要性を認識し、以下の移行計画を策定し、TCFD提言に則した情報開示を行っていきます。
①気候変動に関するガバナンス
・取締役会は、サステナビリティ委員会から経営会議を経て報告される気候関連事項のうちの移行計画の策定と更新、及び目標と指標を、自社の戦略・事業計画等に照らしてその妥当性を検証し、承認します。本移行計画及び関連する気候関連目標は、2024年3月の取締役会にて承認されました。
・サステナビリティ委員会は、定期的に(原則年4回)開催され、取締役会に承認された移行計画に関する各目標の進捗度合いを、指標を軸にレビューします。また、移行計画の進捗及び対応策など重要事項については、定期的に(原則年2回)経営会議に報告し、経営会議より取締役会に報告します。取締役会では、自社の戦略・事業計画やリスクマネジメント方針等との整合性に留意しつつ、移行計画に関する目標の達成度合い等を確認した上で移行計画の修正の必要性を検討するなどして、移行計画を監督します。
・代表取締役社長は、気候関連事項における自社の経営責任を負っています。この責任には、気候関連事項の評価や移行計画実施のためのマネジメントが含まれています。具体的には、代表取締役社長は経営会議並びにサステナビリティ委員会の主催者兼議長であり、参加メンバーから直接報告を受け、重要課題について討論する等の手法で、移行計画の効果的な実施を確保するための十分な権限と情報へのアクセス権を保持しています。
②戦略
当社は、2023年6月に環境への取り組みの一環として気候変動対応についてTCFD提言に即した情報開示を行い、その中で移行リスク・物理的リスク及び機会を特定し、関連する指標及び目標を策定しました。具体的には、「GHG排出量削減:2030年スコープ1・2に関するカーボンニュートラルを達成する」ことと、建屋の遮熱化や空調機器の更新など様々な省エネルギーへの取り組みを行い「エネルギー使用量削減:2030年度エネルギー使用量を2022年度(167t-CO2)比で20%削減する」ことの2点を目標としています。
当社の掲げている「2030年スコープ1・2に関するカーボンニュートラル達成」という目標は、パリ協定の目的やIPCCの報告書にある「今世紀後半のカーボンニュートラルを実現」するという目標と整合しており、また日本政府の2050年までにカーボンニュートラルを目指すという宣言とも整合しています。
当社のGHG排出量は極めて少なく当社の製造におけるコストへの影響は非常に限定的ですが、移行リスクが加速する1.5℃シナリオ(IEA WEO NZE 2050シナリオ)に則り、GHG排出量を削減するために省エネ対応及び再生可能エネルギーの導入を進めることは、当社ステークホルダーが要請する低炭素社会への移行に向けた取り組みとして重要な課題と認識しています。 また、低炭素社会への移行が進むことにより、当社の顧客からエネルギー使用量削減に寄与する製品が求められることや、当社の技術を活用した新たな製品開発の可能性があると考えています。
こうした考えの下、当社は以下の通り、ア GHG排出量削減、イ 環境配慮型めっき薬製品開発の促進、ウ めっきコア技術の応用 の3分野について行動計画を策定しました。
ア GHG排出量削減
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2022年度 |
2023年度 |
2027年度 |
2030年度 |
GHG排出量 |
(t-CO2) |
167 |
171 |
187 |
200 |
削減後GHG排出量 |
(t-CO2) |
167 |
154 |
150 |
134 |
上表のとおり、様々な省エネルギーの取り組みにより、2030年度に2022年度比△20%(中長期経営計画に即したBAU比では△33%)のエネルギー使用量削減を達成する計画を策定しました。
なお、こうしたエネルギー使用量削減施策だけではカーボンニュートラルは達成できないため、J-クレジット等の使用によるカーボンニュートラル実現を計画しております。今後J-クレジット価格は高騰が予想されますが、当社のGHG排出量は極めて少ないため、クレジット購入による財務インパクトは殆ど発生しないものと考えられます。
※BAU(Business as Usualの略称)…日常的な業務やプロセス。企業・組織が通常行っている業務や日常運営のこと
イ 環境配慮型めっき薬製品開発の促進
当社が開発してきた薬品は、「環境負荷低減(穀物由来薬品の代替製品開発)」「めっき工程エネルギー節約(めっき浴の低温化、時間短縮等)」「省貴金属(限りある貴金属の節約)」といった、環境に配慮した優れた性能を有しています。現在も多数の開発テーマがあり、それぞれを担当した技術者が、製品化計画に基づきフィージビリティ・ステージ(実現可能性の検討段階)とデベロップメント・ステージ(開発段階)の間で試行錯誤を繰り返しつつ開発を進めています。各開発テーマとも、サステナビリティ委員会・経営会議にて進捗状況を管理しながら、2030年度末までに対象製品すべての上市(デベロップメント・ステージの完了)を目指しています。
ウ めっきコア技術の応用
当社は1971年の創業から50年を越えた今日まで、エレクトロニクス分野を事業フィールドの核と捉え、半導体パッケージやコネクター用途を中心に一貫して当社独自技術としての「Redox=(酸化還元反応)制御技術」に磨きをかけ、これを礎に多様な貴金属めっき薬品の開発・製造を行ってきました。
コロナ禍・DX化など社会の変容に相俟って、貴金属めっきという既存市場以外の場においても自社のRedox技術を応用することで解決できる社会課題があるものと考えております。当社はそうした課題の一つとして、「二次電池(充電式電池)」に着目しました。電池の充放電反応は即ちRedox反応です。これに当社が培ってきた独自技術を応用し、従来より圧倒的に優れた性能の電池材料を実現できれば、低炭素経済への多大な貢献を果たすとともに当社の付加価値も飛躍的に高まるものと期待されます。具体的には、展示会出展の機会等を通じて2027年度末までに提携先となる電池材料・電解液メーカーを選定の上共同開発を開始し、2030年度末から製品として生産・販売を開始することを目指します。
・シナリオ分析
当社は、本移行計画の達成可能性を検証するにあたり、以下の2つのシナリオを選択し、TCFDの枠組みに沿って当社事業に対する気候関連のリスクと機会を特定し、「低炭素製品市場の進展」「脱炭素政策の進展」という2つの軸から、当社のレジリエンスを検証しました。詳細は下表をご参照ください。
<気候変動政策が強化されているシナリオ:WEO NZE 2050シナリオ>
世界が低炭素経済に移行するという傾向が最も顕著であるシナリオとして、国際エネルギー機関(IEA)が策定したWEO NZE 2050シナリオを選択しました。本シナリオは、2050年にネットゼロを達成するために各国が気候変動政策を積極的に導入・強化することを念頭においたシナリオです。
<気候変動政策が停滞しているシナリオ: IPCC RCP8.5シナリオ>
上記シナリオと対極にある世界の低炭素経済への移行が停滞しているシナリオとして、IPCC RCP8.5シナリオを選択しました。本シナリオは、21世紀末の世界の平均気温が、産業革命前と比べて3.2℃∼5.4℃上昇すると予測するものであり、各国が気候変動政策を積極的に導入・強化することはなく、停滞していることを想定したシナリオです。
選択した |
特定したリスク・機会 |
ドライバー |
時間軸 |
財務インパクト |
対応の内容 |
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種類 |
概要 |
影響度 |
||||
1.5℃ シナリオ WEO NZE 2050 |
移行リスク(政策・法規制) |
GHG排出規制や炭素税の強化 |
GHG排出規制 |
長期 |
ほとんどない |
全社LED化、エアコンの買替などの環境投資策 |
移行リスク(評判) |
ステークホルダーからのGHG排出量削減要請 |
ステークホルダーからのGHG排出量削減要請 |
長期 |
やや高い |
サステナビリティ委員会にて、環境に貢献する製品の開発、環境投資策、シナリオ~リスク・機会分析等を推進し、サステナビリティ情報として開示 |
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機会(製品/サービス・市場) |
ニッケルを使用しないプロセスとする製品の開発 |
ステークホルダーからのGHG排出量削減要請 |
短期・中期・長期 |
高 |
顧客個別要求仕様に迅速に対応できる設備投資の実施、展示会出展 など |
|
機会 (市場) |
電池市場への参画 |
政府主導の投資促進策 |
中期・長期 |
高 |
2030年に二次電池分野のビジネスモデルを立ち上げるべく、電池材料・電解液メーカーとの共同開発等を模索中 |
|
4℃ シナリオ IPCC RCP8.5 |
物理的リスク |
(急性)台風や洪水による生産拠点の被災 |
台風や洪水の頻度・程度 |
長期 |
ほとんどない |
受容できるリスクと捉え、対応策(投資)不要と考える |
(慢性)平均気温の上昇 |
平均気温 |
長期(5年~35年) |
||||
物理的リスク(急性) |
サイクロンや洪水による当社顧客の工場が被災(国内外) |
サイクロンや台風の頻度・程度 |
長期 |
高 |
当社BCPに当該リスク・地政学的リスク等を編入して再計画を構築 |
|
機会(製品/サービス・市場) |
穀物由来原料の代替製品の開発 |
異常気象 |
中期・長期 |
中~高 |
新製品開発と既存製品改良の2アプローチで2030年に主要原材料の20%以上の入替を目指す |
選択したシナリオ ・国際エネルギー機関(IEA)が策定したWEO NZE 2050シナリオ
・気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が策定したRCP8.5シナリオ
時間軸:短期=1年(単年度計画と同期間)、中期=3年(中期経営計画と同一期間)、
長期=2030年(日本のNDCにおける中期目標と同期間)
・シナリオ分析結果
WEO NZE 2050シナリオにおいては、2050年ネットゼロに向けて低炭素経済への移行が急速に加速しており、GHG排出量削減やエネルギー使用量削減に向けて各社が取り組みを進めていることが想定されます。こうした状況下においては、当社が製品化を進めるめっき工程エネルギー節約技術のニーズが高まることが予想されます。また、電化が進むことで蓄電池の需要が増加することが想定されるため、当社のめっきコア技術の応用へのニーズも高まることが考えられます。
IPCC RCP8.5シナリオにおいては、低炭素経済への移行が停滞しており、GHG排出量削減やエネルギー使用量削減に向けて各社の取り組みの進み具体合は鈍化していることが想定されます。こうした状況下においては、当社が製品化を進めるめっき工程エネルギー節約技術のニーズはあるものの、横ばいであることが予想されます。また、電化の進み具合も鈍化し、蓄電池の需要も大きな伸びは想定されないため、当社のめっきコア技術の応用へのニーズは現状維持かが低調になることが考えられます。
・目標の達成可能性
WEO NZE 2050シナリオを想定した場合、当社の各技術の活用・製品化への需要が高まることが考えられるため、そうした需要増を追い風として、計画よりも早い段階での技術開発製品化の可能性も見込めます。
一方でIPCC RCP8.5シナリオを想定した場合、当社の各技術の活用・製品化への需要の高まりは期待できませんが、 競合他社製品からの優位性を確保し、今後の環境問題の激甚化にも柔軟に対応し得る知見を獲得するため、当社のさらなる発展と地球環境への貢献を目指し、計画通り技術開発・製品開発を行う予定です。
当社のGHG排出量は極めて少ないため、いずれのシナリオを適用した場合であっても、当社のGHG排出量削減への対応に影響を及ぼすものではなく、目標は達成できる見込みです。
③リスク管理
・移行リスク及び機会
低炭素経済への移行により当社グループが直面するリスク及び機会を以下と特定しました。
ア 移行リスク(政策・法規制):GHG排出規制や炭素税の強化が想定される。
イ 移行リスク(評判):当社ステークホルダーからのGHG排出量削減要請の高まりが想定される。
ウ 機会(製品/サービス・市場):ニッケルを使用しないプロセスとする製品の開発
エ 機会(市場):電池市場への参画
・移行計画の課題と不確実性
当社のGHG排出量は極めて少ないため、GHG排出量削減に係る移行計画における課題や不確実性は想定されず、計画通り目標を達成できる見込みです。
「環境配慮型めっき薬製品開発の促進」及び「めっきコア技術の応用」に関しては、大規模な投資が必要です。当社は、人的資源、設備、作業環境等に余力がある状況ではないため、これら2つの技術開発を計画通り進めるためには、まず十分な資金の確保、人材の配置等が前提となります。
④指標と目標
本移行計画における当社の目標・測定基準は以下のとおりです。
目標1:GHG排出量削減
目標:2030年スコープ1・2に関するカーボンニュートラル達成
指標:GHG排出量
目標2:エネルギー使用量(省エネ等)
目標:2030年度エネルギー使用量20%削減(2022年度比)
指標:エネルギー使用量
当社は、財務面での影響、目標に対するパフォーマンス、組織のビジネスへの影響などに関する移行計画に係る目標とパフォーマンスを有価証券報告書や自社ホームページのサステナビリティサイト等において外部のステークホルダーに報告します。詳細は当社ホームページ(https://www.netjpc.com/)ご覧ください。
(3)人的資本経営の推進
当社は知識集約型・開発型の企業であり、人的資本が企業価値向上の源泉であるため、従業員のエンゲージメントを高め、従業員の健康・安全衛生や多様性といった人的資本を活用する上で基礎となる取り組みを実施することが必要であると考えます。
当社が望む「能動型自律人材」(*1)を育成し、その能力が会社の経営戦略と一致する方向で発揮されることで、製品開発や営業活動をはじめとする事業活動が活性化され、当社事業が成長する機会になります。一方でこれが損なわれると成長機会を失うリスクとなります。また、従業員が安心して働くことのできる健康的で安全な職場環境の整備を行うことが従業員のエンゲージメントを高める基礎となるため、これを推進することが当社事業の成長につながる機会となります。一方でこれを怠ると成長機会を失うリスクとなります。
よって、当社の企業理念に基づく中長期ビジョンを実現するためには「人的資本経営の推進」が欠かせません。
この人的資本経営の推進を実現させるために、①企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成 ②能動型自律人材の採用と育成 ③働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備 という3つのテーマに沿って人的資本方針を策定いたしました。この方針をもって、全従業員が主体的に経営に参画する企業風土を育み、人的資本経営の実現を目指します。
①「人材採用・育成方針」
一人ひとりが当事者意識をもった「能動型自律人材」(*1)の採用・育成に加え、スキル・経験・知識を備えた人材(性別・年齢・国籍を問わない)の登用等を通じた人材の多様性の確保を推進します。
(*1)当社は、「能動型自律人材」を以下の3つに定義づけております。
・好奇心をもって挑戦する人材
~社会の変化を先取りし、好奇心と探求心をもって果敢に新しいことに挑戦します~
・当事者意識をもってやり遂げる人材
~自ら考えて行動し、常に全体最適の視点で最後まで責任をもってやり遂げます~
・多様性を尊重し周囲と協働できる人材
~人を思いやり、つながりや個性を大切にすることで組織の可能性を最大化します~
②「労働・安全衛生方針」(社内環境整備方針)
ア 労働慣行について
当社は、従業員の人権を含む各種の国際規範を尊重し、従業員に対して尊厳をもって扱います。
イ 安全衛生について
当社は、労働関連の負傷や疾病を最小限に抑えることに努め、安全で健康な職場環境により、製品・サービスの質の向上や従業員の定着とモラルの向上を目指します。
また、当社は、職場の衛生と安全問題を特定し解決するために、継続的な従業員への情報提供と教育を実施します。
③人権の尊重に関する取り組み(「人権の尊重に関する基本方針」)
当社は「化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる」を企業理念とし、「社会課題と向き合い多様な視点と独自の発想力を発揮し、エレクトロニクス業界を牽引するファインケミカル企業となる」ことを目標としております。
そして、当社は事業活動を通じて様々なステークホルダーの人権に負の影響を引き起こし、または助長する可能性があることを認識しており、前述した目標の達成のためにもこうした人権侵害を回避し、全ての人々の人権が尊重されなければならないことを理解しております。
そこで、当社は「人権の尊重に関する基本方針」を以下の通り定め、当社の全ての役員と社員にて遵守してまいります。
「人権の尊重に関する基本方針」
ア 人権に対する基本的な考え方
当社は、人権尊重の取り組みを推進し、その責務を果たすため、すべての人々の基本的人権を規定した国連の「国際人権章典」及び「ビジネスと人権に関わる指導原則」、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」などの人権に関する国際規範を支持・尊重し、それらを踏まえて実践に努めます。また、事業活動を行う国や地域の法令を遵守し、国際的に認められた人権と各国や地域の法令との間で相反する要請がある場合は国際的に承認された人権の原則を追求します。
イ 人権尊重
当社は多様性を尊重し、出生、国籍、人種、民族、信条、性別、年齢、職業、雇用形態、学歴、性的指向、性自認、婚姻、妊娠、疾病、障害、社会的身分または門地などいかなる差別、ならびにパワーハラスメント、セクシャルハラスメント等のあらゆるハラスメント行為を行いません。また、強制労働や児童労働は認めません。
ウ 適用範囲
本方針は、当社の全役員・全従業員(正社員・契約社員・派遣社員を含む)に対して適用されます。また、当社のサプライヤーやビジネスパートナーに対して本方針を支持し、人権尊重に努めるよう働きかけ、協働して人権尊重を推進します。
エ 取り組み
・デューディリジェンス
当社は、人権デューディリジェンスの仕組みを構築し、これを継続して実施することで人権への負の影響の特定・評価を行い、その影響を防止・軽減することに取り組みます。
・救済
当社が人権への負の影響を引き起こした、あるいはこれを助長したことが判明した場合、適切な手続きを通じてその救済に取り組みます。
・教育
当社は、本方針の実効性を担保するため、当社の役員・従業員に対して適切な教育を行います。
・苦情処理メカニズム
当社は人権への負の影響を含む懸念を早期に発見し、対処するため通報制度を設けています。通報においては、通報者の匿名性や通報内容の秘匿性を担保します。また通報者に対し通報を理由とする不利益な取り扱いは行いません。
・情報開示
人権尊重の取り組みの進捗状況及びその結果について、当社ホームページ等を通じて報告していきます。
④人的資本方針に関する指標と目標・具体的な取り組み
当社は人的資本方針に関して以下の取り組みを行っています。いずれの取り組みも、次期中期経営計画の実行期間においても指標と目標を設け達成度合いを測定する予定です。
・能動型自律人材となりうる人材を豊富に獲得するため、2023年度採用より各部門長が部門最適な人材像を確立し主体的に採用活動を展開する採用方式を導入しました。
・人材育成については、従業員全員が参集し経営方針の浸透と組織風土の醸成等を図る全社方針説明会の半期毎の開催をはじめ、各部門にて毎月1on1ミーティングを開催する等の活動により、当社に必要な人材像の理解の深化を図りました。また、コンプライアンス等の人権関連課題についての当社取り組みについても全従業員への周知徹底を図っています。
・労働安全衛生について安全衛生委員会を中心に各ガイドラインの順守と質的向上を図る一方で、働き方の選択肢の拡充にも取り組んでおります。なお2023年度時点で育児休業取得希望者は100%取得を達成しております。
・人権方針に関する取り組みについては、以下の人権デューディリジェンスをご参照ください。
⑤人権デューディリジェンス
当社は、当社の人権方針に則り、当社事業活動によって影響を受ける人々を対象とした人権デューディリジェンスを実施し、顕著な人権課題を特定しています。人権デューディリジェンスの実施にあたっては、「国連指導原則 報告フレームワーク」及びUNDP のアジアにおけるビジネスと人権「HRDD 研修進行ガイド」(2021 年)を参考にしています。
具体的には、当社事業活動によって影響を受ける主要なライツホルダーを自社従業員・サプライヤー・顧客/エンドユーザー・地域住民の4つのカテゴリーに分け、当社にとってのリスクではなく、影響を受けるこれらのカテゴリーの人々へのリスクに着目し、潜在的な人権リスクの洗い出しを行いました。その上で、リスクの深刻度とリスクの発生可能性という2つの観点から優先順位を判断し、下記のヒートマップに整理しました。その際、発生可能性よりも深刻度に重きをおいた評価を行っております。
ア 顕著な人権課題の特定
上記ヒートマップにおいて優先度が高いと位置づけられた以下の人権課題を当社の事業活動における顕著な人権課題として特定しました。
a.紛争鉱物
b.自社従業員に対する公平・公正な処遇
また、顕著な人権課題と比べると優先度は低くなるものの、以下の人権課題についても、そのリスクを認識し、取り組みを進めてまいります。
c.職場における安全衛生(自社従業員)
d.健康被害(顧客/エンドユーザー・地域住民)
当社は、今後も定期的に人権デューディリジェンスを実施し、顕著な人権課題の見直しを行ってまいります。
イ 対応策
当社は、顕著な人権課題に対して、次のように取り組んでいます。
a.紛争鉱物
・当社は、貴金属めっき薬品の製造において貴金属を使用します(金、パラジウム、白金等)。
・紛争鉱物不調達の取り組みを進めるため、貴金属の調達にあたっては、事前にLBMA認定(*1)を受けた企業であることを確認しています。
・当社の調達方針・CSRガイドライン等において、サプライヤーへの遵法のお願い事項を定め、取引先に対して定期的に調査を行っています。調査の結果、問題があると判断した場合には、改善要請を行うと共に、十分な改善が行われない場合は、取引を中止する等の措置を講じることとしています。
(*1)LBMA(ロンドン地金市場協会)認定とは、金融市場における金や貴金属の取引に関連する重要な認証であり、金やその他の貴金属が紛争鉱物ではないということを証明することが可能となります。LBMA認定は金や貴金属が紛争鉱物ではないことを証明するための重要なメカニズムとなっており、国際的な金融市場において、責任ある取引の基準を確立しています。
b.自社従業員に対する公平・公正な処遇
・当社は、少人数体制の下、業務の属人性に伴う長時間労働が散見されている現状に対応し、従業員のワークライフバランスを改善するための取り組みに着手しています。
①育児休業 希望者全員の取得
②柔軟な働き方(勤務時間、勤務場所)の導入検討
・当社の女性活用に関する取り組みは以下の通りです。
①女性管理職の養成(キャリア採用とキャリア支援プログラムによるサポート)
c.職場における安全衛生(自社従業員)
・当社は少人数でありながら正社員・パートタイマー・派遣社員からなる製造部門を有しており、労働安全衛生法において定められている第一種衛生管理者が複数名在籍し各職場における安全衛生を管理監督するとともに、各職場の代表で構成する安全衛生委員会が委託産業医とともに定期的な職場巡視等を行い労働環境の維持改善に努めております。
①第一種衛生管理者の資格取得奨励(2024年6月現在2名在籍)
②安全衛生委員会メンバーと産業医による職場巡視(年3回実施)
d.健康被害(顧客/エンドユーザー・地域住民)
・当社では様々な薬品を取り扱っており、中には劇物毒物に該当するものがあります。劇毒物の取扱いに必要な資格・免許は当然取得済みであり、薬品の取扱いについて関連法規、ISO9001/14001などの国際規格、更に顧客要請等に準拠した厳格な手順を確立し、各ステークホルダーに及ぶ健康被害を決して出さないよう誠実に事業運営しております。
①薬品取扱い等に関する関連法規の更新情報の定期確認(毎月実施)
②緊急事態訓練の励行(毎年実施)
※当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みの詳細は、当社ホームページ(https://www.netjpc.com)をご覧ください。