2023年8月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)フランチャイズ契約について

 当社は、全国に個別指導塾「明光義塾」のフランチャイズチェーン展開を図るために、加盟者とフランチャイズ契約を締結し、教室開設及び継続的な教室経営指導並びに教室用備品、教室用機器、教材、テスト及び広告宣伝物等の商品販売を行っております。

 当社といたしましては、フランチャイズ加盟者への経営指導により、顧客満足度の向上、生徒募集及び教室数の増加に注力しております。また、フランチャイズオーナー・教室を定期的に巡回し、教室運営オペレーションの徹底を図るとともに、フランチャイズ加盟者とその社員に対する遵法意識の向上を目的とした現場指導を行っております。

 しかしながら、何らかの事情によりフランチャイズ加盟者は、当社とのフランチャイズ加盟契約を解消する可能性があります。また、当社の指導の及ばない範囲で、フランチャイズ加盟者の契約違反等が発生する可能性があります。

 上記のような事態が発生した場合、当社の経営成績に影響を及ぼすだけでなく、ブランドイメージにも影響を与え、事業展開及びフランチャイズ展開に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 なお、フランチャイズ契約の内容は、「5 経営上の重要な契約等」をご参照下さい。

 

(2)業界動向について

 当社が属する学習塾業界は、大都市圏と、少子化の進行が著しい地方との事業環境の格差が広がりを見せる中で、市場規模としては概ね横ばいの推移となっており、今後もこの傾向は続くものと予想されております。

 このような状況下、業界の最近の動向として、個別最適化された学びのニーズの高まりにより、集団指導塾から個別指導塾へシフトする学習塾が増加しており、今後も個別指導塾の需要は高まるものと予想されております。

 また、個別指導塾においては、当社が経営する「明光義塾」、株式会社東京個別指導学院が経営する「東京個別指導学院」、株式会社リソー教育が経営する「TOMAS」、株式会社スプリックスが経営する「森塾」等が有力塾とされており、その他に集団指導塾が併営する個別指導塾等があります。

 当社は小学生・中学生・高校生・既卒生まで全学年を対象としており、全国47都道府県すべてに教室を展開する業界シェアトップの個別指導塾として、一人ひとりの目的・目標に合わせたオーダーメイドの対話型個別指導を提供することで、優位性を維持できるものと考えております。また、先般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大のような事業環境の急速な変化が発生した場合においても、状況に応じた施策を柔軟かつ迅速に実施してまいります。

 しかしながら、今後、少子化が更に進行した場合や、競合他社の事業拡大、他業種からの新規参入等により、当社個別指導へのニーズが低下した場合には、教室数及び在籍生徒数の減少等により業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)個人情報管理について

 当社は、学習塾を経営するとともに、独自のフランチャイズシステムに基づき、加盟者とフランチャイズ契約を締結し、継続的な教室運営指導を行っております。なお、教室運営の過程において、生徒、保護者及び講師等の個人情報を入手する立場にあります。当社では、これらの個人情報はデータベースにて管理しており、万全の管理体制の下、個人情報の漏洩防止に努めるほか、「個人情報保護規程」に則り、「リスク管理委員会」による情報漏洩未然防止策の検討、施策の運用状況の検証等を行い、個人情報の保護に努めております。また、全従業員に定期的に個人情報保護の重要性や情報の取り扱いについて指導を行っております。

 しかしながら、様々な要因によりこれらの個人情報が漏洩する可能性があります。

 上記のような事態が発生した場合、顧客からの信用が失墜するとともに、営業機会の損失及び損害賠償の請求等、業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)有価証券の価格変動リスクについて

 当社グループが所有する有価証券の会計処理については、「金融商品に係る会計基準」を適用しております。

 市場性のあるその他有価証券は時価評価を行い、時価と取得原価との差額については、税効果会計適用後、純資産の部にその他有価証券評価差額金として表示しております。

 満期保有目的の債券、関連会社株式及び市場性のないその他有価証券は、償却原価法又は原価法等により連結貸借対照表価額としております。

 市場性のあるその他有価証券は、市場価格の変動リスクについて、定期的に把握された時価が取締役会に報告されております。また、市場性のないその他有価証券については定期的に財務諸表を入手し、財政状態等を把握しております。

 満期保有目的の債券は、格付の高い債券のみを対象としているため、信用リスクは僅少であります。

 なお、これら有価証券の将来における市場価額及び実質価額が著しく下落し、回復可能性があると判断できないものについては、減損処理が必要となります。

 

(5)人材の確保・育成について

 当社グループは、競争が激化する教育業界において継続的に事業を成長させるには、多様化した顧客ニーズに合致した質の高い教育サービスを提供する人材の確保・育成こそが最も重要な経営資源であり、コミュニケーション能力等に優れた人材の獲得、育成を推進していくことが重要であると捉えております。

 教育サービスならではの価値を訴求し人材確保に努めておりますが、今後、少子高齢化に伴い労働人口が減少するなかで、競合他社との人材の獲得競争が激しくなることも想定され、計画通りの人材確保が困難となる場合や、優秀な人材が社外に流出してしまう可能性があります。人材の安定的な確保が困難になった場合、教育サービスの質が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 今後は、更に人的資本投資に注力して、従業員の「スキルと能力開発」、「リーダー育成とサクセッション」、「DXとCXの推進」、「ダイバーシティ&インクルージョン」、「Well-being」の充実を図りエンゲージメントを高めてまいります。また、ワークライフバランスを支える各種制度を整備し、多様な働き方に対応できる仕組みを構築して人材の定着を推進してまいります。

 

(6)自然災害等のリスク

 当社グループが展開している地域において、大規模な地震等の自然災害や、新型コロナウイルス感染症及びインフルエンザ等の感染症の大規模な流行が発生した場合、業務遂行が困難になる可能性があります。当社グループにおきましては、感染症の感染拡大防止策を徹底しておりますが、非常事態が発生した場合においては、生徒・保護者及び従業員の安心・安全を最優先として、オンラインによる生徒と講師間の双方向での個別指導による授業を展開し、自宅に居ながら対面授業と変わらない個別指導サービスの提供も出来る体制を採用しております。また、チェーン内で実施している各種研修会・フランチャイズオーナー会議などもオンラインで実施し、提供する情報の質と量についても、従前と変わらない体制を整えております。

 当社グループでは、このように有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、これら自然災害等が想定を大きく上回る規模で発生した場合には、教育サービスの提供が困難となり、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)労務関連について

 当社グループはアルバイト・パート社員を多数雇用しております。

 昨今の労働行政を鑑みると、労働基準法等の法令や労働条件等諸制度の変更等や長時間労働等に対する監督官庁による指導・監督の強化への対応が必要不可欠であり、雇用者へのよりきめ細やかな労務管理と衛生管理等が企業に求められております。

 更に、ハラスメントの防止やSNS等を介した個人情報の流失事故を未然に防ぐことを目的として「危機管理コンプライアンスマニュアル」を制定し、チェーン内に配布の上、定期的に教育を実施しております。このように当社グループとしては、現在、法令等に抵触する事実は無いものと認識しておりますが、今後の規制強化等があった場合、当社グループの人件費等が増加し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)外国人留学生受入れにかかる法的規制及びカントリーリスク

 当社グループが展開している日本語学校事業において、日本語教育機関の運営に関する基準や在留資格など、外国人留学生受け入れにかかる厳格な法的規制が存在しております。

 コンプライアンスを重視し法的規制を厳守しておりますが、出入国在留管理庁及び国により法的規制が強化された場合、計画通りの外国人留学生の受け入れが認められず、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今般の新型コロナウイルス感染症のように想定外の事態が顕在化した場合においても、入国制限及び行動制限措置を受けて事業の存続に大きな影響を与えることがあります。

 世界情勢が複雑化しているなかで継続的に事業を推進していくために、オフラインでの教育サービスの質を向上させるだけでなく、オンラインでの提供など、新たな教育サービスの開発に努めてまいります。

 

(9)投資の減損について

 当社は、企業価値向上のため事業領域の拡大や新規事業の開発を経営上重要な施策としており、その一環としてM&Aを推進していく方針であります。M&A実施に際しては、対象企業の財務・法務・事業等について詳細な事前審査を行い、リスクの把握や正常収益力を分析した上で決定しております。

 しかしながら、買収後の事業環境の変化等により、当初想定した事業計画どおり進まなかった場合、のれんの減損損失や株式の評価損が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は,事業基盤の強化及び成長投資に必要な自己資本の充実と、株主の皆さまに対する安定的かつ持続的な利益還元を通じて、中長期的に企業価値を高めていくことを資本・配当政策の基本方針としており、配当政策につきましては、年間配当性向35%以上を基本として、業績に連動して最適なバランスを勘案した上で決定いたします。

 また、剰余金の配当の回数は、中間配当及び期末配当の年2回を原則的な基本方針としております。

 配当の決定機関は、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めております。なお、自己株式の取得・消却、剰余金その他の処分については、事業環境、市場価格への影響、財務状況を総合的に勘案し、柔軟かつ機動的に判断することを基本方針といたします。

 この基本方針に基づき、当事業年度につきましては、資金状況等を踏まえ、2023年10月12日開催の取締役会において、次のように剰余金の処分に関する決議をいたしました。

 

期末配当に関する事項

(1)株主に対する配当財産の割当てに関する事項及びその総額

当社普通株式1株につき金  12円 総額304,145,904円

 

(2)剰余金の配当が効力を生じる日

2023年11月20日

 

 この結果、当事業年度の配当につきましては、中間配当金12円を含め、1株当たり年間配当金を24円とさせていただきました。当事業年度の配当性向につきましては152.63%となりました。

 内部留保資金につきましては、財務構造の強化を勘案しつつ、将来の新たな事業展開、明光義塾事業の教務力の強化並びに業容の拡大に伴うインフラ整備に充当する等、有効投資してまいりたいと考えております。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年4月13日

304

12

取締役会決議

2023年10月12日

304

12

取締役会決議