2023年9月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避、発生した場合の対応に努める方針であります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性のある全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1)事業環境に関するリスク

① インターネット広告・関連市場について

 2022年の日本の総広告費は通年で前年比104.4%の7兆1,021億円で、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大、ウクライナ情勢、物価高騰など国内外の様々な影響を受けつつも、1947年に推定を開始して以降、過去最高となりました。その中でインターネット広告市場は、引き続き数字を伸ばし、2022年において前年比114.3%となっております。(出典:株式会社電通「2022年 日本の広告費」)

 このようにインターネット広告市場は拡大しておりますが、景気の動向や広告主の広告戦略の動向に左右されるため、当社グループにおける業績もこれらの要因に影響を受け、当社グループが想定しない業績の変動が生ずる可能性があります。
 また、インターネット広告市場が何らかの要因によって、市場成長が阻害されるような状況が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 技術革新について

 当社グループが属する複数の市場において、急速な技術変化に伴い、クライアントのニーズも著しく変化しております。当社グループではこれらに対応すべく新しい技術習得に対し人的・資本的投資を継続しておりますが、新たな技術やサービスへの対応が遅れた場合や、競合する他社において革新的な技術が開発された場合、当社グループの競争力が低下する要因となり、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競合他社について

 当社グループは、不動産DX事業及びマーケティングDX事業を主たる事業領域としておりますが、当該分野は歴史が浅く、参入企業が増加する傾向にあります。今後、当社グループのサービスが十分な差別化や機能向上等ができなかった場合や、さらなる新規参入により競争が激化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 法的規制について

 現在のところ当社グループの事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、インターネットを規制する国内の法律として「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」等が存在しております。また、インターネット上のプライバシー保護の観点からクッキー(ウェブサイト閲覧者のコンピュータにインストールされ、ユーザーのウェブ閲覧履歴を監視するテキストファイル)に対する規制など、インターネット利用の普及に伴って法的規制の在り方等については検討が引き続き行われている状況にあります。

このため、今後、インターネット関連分野において新たな法令等の制定や、既存法令等の改正等により規制強化等がなされた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 自然災害等の発生について

 当社グループでは、自然災害や大規模な事故に備え、Amazon Web Services等のクラウドサービスの利用、定期的なバックアップ及び稼働状況の監視によりシステムトラブルの事前防止又は回避に努めておりますが、当社グループの本社は東京都内にあり、当地域内における地震、津波等の大規模災害の発生や事故により本社及びデータセンターが被害を受けた場合、事業を円滑に運営できなくなる可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業に関するリスク

① 新規事業について

 当社グループは今後も引き続き、積極的に新サービスないしは新規事業に取り組んで参りますが、これによりシステムへの先行投資や、認知度向上のための広告宣伝費の投下、人件費等の追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、当初の予測とは異なる状況が発生し、新サービス、新規事業の展開が計画通りに進まない場合、減損損失の計上が必要になる等、投資を回収できなくなる可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 継続的な事業投資について

 当社グループは、継続的な成長のため、事業に対する投資を積極的に実施していくことが必要であると考え、今後も事業成長のための投資を進めていく方針であります。

 不動産DX事業において、事業拡大のため、オンライン広告等を活用してユーザーの集客を行っております。費用対効果を検討の上、広告宣伝活動を行っておりますが、当初想定した費用対効果が得られない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 Data Platform事業については、ブロックチェーン技術自体が黎明期であるため、積極的に投資を強化しつつ協業や業務提携等についても検討を実施していく方針であります。

 しかしながら、投資期間が想定よりも長期に及ぶ場合や計画通りの収益が得られない場合等には、減損損失の計上が必要になる等、投資を回収できなくなる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ システムについて

 当社グループは、システムトラブルの発生可能性を低減するために、安定的運用のためのシステム強化、セキュリティ強化を徹底しており、万が一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できるような体制を整えております。

 しかしながら、システムへの一時的な過負荷や電力供給の停止、ソフトウエアの不具合、コンピュータウィルスや外部からの不正な手段によるコンピュータへの侵入、自然災害、事故など、当社グループの予測不可能な様々な要因によってシステムがダウンした場合、当社グループの信頼が失墜し取引停止等に至る場合や、当社グループに対する損害賠償請求等が発生する場合も想定され、このような場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 広告及びメディアに対する審査について

 当社グループでは広告主による広告(提供物・サービスそのものだけでなく広告宣伝の文言を含みます。)、メディア(広告媒体)について、法令に則ったものであり、公序良俗に反しないものであることが重要であると考えております。

 このため当社グループでは、ネイティブ広告配信サービスを提供する際に、「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)等の法律の他、一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(JIAA)が定める「インターネット広告倫理綱領及び掲載基準ガイドライン」、当社グループ独自のガイドライン等に則って審査をすることにより、法令や公序良俗に反する広告やメディアに掲載されているコンテンツを排除するよう管理をしております。しかしながら、当社グループが取り扱う広告や掲載メディアが法令や公序良俗に反し、速やかに改善がなされないなどの事態が頻繁に発生した場合には、当社グループの信用が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)会社組織に関するリスク

① 人材の確保及び育成について

 当社グループは、今後想定される事業拡大や新規事業の展開に伴い、継続した人材の確保が必要であると考えております。特に、新規事業を立ち上げ、拡大・成長させていくための事業開発力・マネジメント能力を有する人材や、システム技術分野のスキルを有する人材、及び高度な専門性を持つコーポレート人材の確保に努めるとともに、教育体制の整備を進め人材の定着と能力の底上げに努めております。

 しかしながら、当社グループの求める人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や人材の流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び新規事業の拡大等に支障が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

② 事業体制及び内部管理体制について

 当社グループは成長途上にあり、今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、当社グループの事業体制及び内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。事業規模に適した事業体制及び内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは法令に基づき財務報告の適正性確保のために内部統制システムを構築し、運用しておりますが、内部統制システムの下で当社グループの財務報告に重大な欠陥が発見される可能性は否定できず、また、将来に渡って常に有効な内部統制システムを構築及び運用できる保証はありません。

 さらに、内部統制システムに本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制システムが有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制システムに重大な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。

 

③ 個人情報の管理について

 当社グループが運営する各サービスにおいては、氏名、電話番号、メールアドレス等の利用者個人を特定できる情報を取得しております。これらの個人情報については、「個人情報保護方針」に基づき適切に管理するとともに、社内規程として「個人情報取扱規程」を定め、社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。

 当社グループは、利用者の個人情報の保護に最大限の注意を払い、適切な情報管理を行っておりますが、何らかの理由で利用者の個人情報が漏えいする可能性や不正アクセス等による情報の外部への漏えいやこれらに伴う悪用等の可能性は皆無とは言えず、そのような事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが事業を運営する各領域における利用者の個人情報の保護に係る法規制に改正等があった場合にも、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 特定の人物への依存について

 当社グループの代表取締役大塚英樹及び当社創業者である取締役久田哲史は、経営戦略、事業戦略の決定及び新規事業開発において、重要な役割を果たしております。当社グループでは取締役会等において役員及び社員への情報共有や権限委譲を進めるなど組織体制の強化を図りながら、経営体制の整備を進めており、経営に対するリスクを最小限にすることを努めております。

 しかしながら、現状では両氏が当社グループの業務を継続することが困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他のリスク

① 投資に関するリスクについて

 当社グループでは、投資事業有限責任組合への出資を通してインターネット関連の企業に対して投資を実施しております。これらの投資は、それぞれの投資先企業と当社グループとの事業上のシナジー効果等を期待して実行しておりますが、投資先企業の今後の業績の如何によっては、これらの投資が回収できなくなること及び減損会計適用による評価損が発生することにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 配当政策について

 当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながるものと考えております。

 このことから創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面は内部留保の充実を図る方針であります。

 内部留保資金については、財務体質の強化と人員の拡充・育成をはじめとした収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に活用する方針であります。

 将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

③ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社グループでは、株主価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、当社の役職員に対して新株予約権を付与しております。

 2023年9月30日現在における新株予約権による潜在株式数は243,797株であり、発行済株式総数10,466,000株の2.3%に相当いたします。

 これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、財務体質の強化と事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながると認識しております。

このことから創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面は内部留保の充実を図る方針であります。

内部留保資金については、財務体質の強化と人員の拡充・育成をはじめとした収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に活用する方針であります。

将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

なお、剰余金の配当決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会でありますが、当社は期末配当として年1回行うことを基本方針としております。また、当社は中間配当を取締役会決議によって行うことができる旨を定款に定めております。