2023年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    8,199名(単体) 34,257名(連結)
  • 平均年齢
    41.1歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.6年(単体)
  • 平均年収
    8,024,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

2023年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

[臨時雇用者数(人)]

 

ハイジーン&リビングケア事業

9,677

[3,827]

 

ヘルス&ビューティケア事業

8,045

[2,447]

 

ライフケア事業

1,157

[256]

 

化粧品事業

10,450

[1,220]

コンシューマープロダクツ事業

29,329

[7,750]

ケミカル事業

3,984

[197]

全社(共通)

944

[246]

合    計

34,257

[8,193]

 

(注)1.従業員数は就業人員(当社グループ〔当社及び連結子会社〕からグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含んでおります。)であります。[ ]内は臨時雇用者数の年間平均人員であり、外数で記載しております。

2.従業員にはフルタイムの無期化した非正規雇用の従業員等を含めております。

3.臨時雇用者は、パートタイマー及び有期の嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。

4.全社(共通)は、特定のセグメントに区分できない管理部門等の従業員数であります。

 

(2)提出会社の状況

2023年12月31日現在

従業員数(人)

平均年令(才)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

8,199

41.1

17.6

8,024

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

 

ハイジーン&リビングケア事業

2,510

 

ヘルス&ビューティケア事業

1,898

 

ライフケア事業

275

 

化粧品事業

1,362

コンシューマープロダクツ事業

6,045

ケミカル事業

1,302

全社(共通)

852

合    計

8,199

 

(注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含んでおります。)であります。

2.従業員にはフルタイムの無期化した非正規雇用の従業員等を含めております。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4.全社(共通)は、特定のセグメントに区分できない管理部門等の従業員数であります。

 

(3)労働組合の状況

当社の一部の事業所及び一部の連結子会社には、労働組合が組織されております。

労働組合との間に特記すべき事項はありません。

 

 

(4)多様性に関する指標

当連結会計年度の多様性に関する指標は、以下のとおりであります。

①女性活躍推進法、育児・介護休業法に基づく開示

 

管理職に占める
女性従業員の割合(%)

男性の育児
休職取得率

(%)

男女の賃金格差(%)

全従業員

従業員

臨時雇用者

当社

23.9

102.1

88.9

88.0

82.7

花王グループカスタマーマーケティング㈱

17.8

96.3

66.0

63.1

72.1

花王プロフェッショナル・サービス㈱

13.6

100.0

69.2

68.3

59.2

花王ロジスティクス㈱

2.8

100.0

52.7

80.8

69.6

花王サニタリープロダクツ愛媛㈱

150.0

73.1

76.6

69.9

花王ビューティブランズカウンセリング㈱

91.0

*

51.0

51.5

*

㈱エキップ

74.4

100.0

59.1

58.2

65.5

花王コスメプロダクツ小田原㈱

37.5

66.7

72.8

74.9

69.0

 

(注)1.従業員は、正規雇用の従業員及びフルタイムの無期化した非正規雇用の従業員を含んでおります。

2.臨時雇用者は、パートタイマー及び有期の嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。

3.全従業員は、従業員と臨時雇用者を含んでおります。

4.管理職に占める女性従業員の割合については、出向者を出向元の従業員として集計しております。

5.男性の育児休職取得率については、育児・介護休業法に基づき以下の通り算出しております。出向者は出向元の従業員として集計しております。
2023年に1回目の育児に伴う休業を取得した男性社員数 ÷ 2023年に子が生まれた男性社員数 × 100当社の制度においては算出対象である有給育児休暇、及び育児休職は子が1歳4月末まで取得可能なため、分子と分母の対象となる社員は異なる場合があります。

6.「*」は男性の育児休職取得の対象となる従業員が無いことを示しております。

7.男女の賃金格差については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。なお、同一労働の賃金に差はなく、等級別人数構成の差によるものであります。出向者は、出向先の従業員として集計しております。

 

②連結会社の状況

 

管理職に占める
女性従業員の割合(%)

男性の育児
休職取得率

(%

男女の賃金格差
(%)

当社及び連結子会社

31.1

*

87.0

当社及び国内連結子会社

24.6

100.3

67.4

 

(注)1正規雇用の従業員及びフルタイムの無期化した非正規雇用の従業員を含めて算出しております。

2.管理職に占める女性従業員の割合については、出向者を出向先の従業員として集計しております。

3.男性の育児休職取得率については、育児・介護休業法に基づき以下の通り算出しております。出向者は出向元の従業員として集計しております。
2023年に1回目の育児に伴う休業を取得した男性社員数 ÷ 2023年に子が生まれた男性社員数 × 100
当社の制度においては算出対象である有給育児休暇、及び育児休職は子が1歳4月末まで取得可能なため、分子と分母の対象となる社員は異なる場合があります。

4.「*」は海外関係会社の男性の育児休職取得率の集計を実施していないため、記載を省略していることを示しております。

5.男女の賃金格差については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。なお、同一労働の賃金に差はなく、等級別人数構成の差によるものであります。賃金は、基本給及び賞与等のインセンティブを含んでおります。出向者は、出向先の従業員として集計しております。

 

詳細については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本」を参照ください。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)ESG戦略(Kirei Lifestyle Plan)

王は、「2030年までに達成したい姿」である「グローバルで存在価値ある企業『Kao』」を達成するため、経営の中核にESGの視点を導入しています。花王のESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」は、生活者のこころ豊かな暮らしの実現を目指す花王らしい戦略で、19の重点取り組みテーマより構成されています。

「Kirei Lifestyle Plan」に基づき、事業成長と社会のサステナビリティへの貢献を実現していきます。

 

① ガバナンス

花王は、グローバルの大きな変化に対する迅速な対応を強化するとともに、事業機会の拡大を目指し柔軟で強靭なESGガバナンスを構築しています。社外委員が参加する組織が経営層に監督・助言する機能や、経営判断がイノベーションや取り組みに変換され、的確かつ迅速に実行に移される機能が備わっていることが特徴です。取締役会がリスクや機会を含むESGに関する監督の責任を持ち、そのもとで社長執行役員及び配下の各組織体が業務執行を担っています。

取締役会は、ESGの監督に適切な知識・経験・能力を確保しています。多角的な視点から経営全体を監督するため必要な専門性のバランスを考慮した構成ですが、ESGも重要な専門性として位置付け、ESGに精通した多くの取締役、監査役を選任しています。取締役会へのESGに関する執行状況の報告は、ESGコミッティから、年に2回の定期報告に加え、適宜議題内容に応じて報告しています。報告内容は、方針や戦略から目標、KPIや活動の進捗状況に及びます。ESGに関するKPIの報酬方針への反映に関しては、取締役・執行役員報酬諮問委員会で審議し、取締役会で決議されます。取締役及び執行役員の報酬に含まれる長期インセンティブ報酬(各役位の基本報酬の30 ~ 50% 程度)には、ESG経営の推進度を測る「ESG力評価指標」をウエイト40%で設定し、外部指標による評価及び社内目標の達成度等を基準に、支給率を決定しています。

ESG全体の業務執行については、ESGコミッティを最高機関とした体制が担っています。ESGコミッティは、ESG戦略に関する活動の方向性を議論、決定し、取締役会に活動状況を報告します。社外の視点を反映させるため外部有識者で構成されるESG外部アドバイザリーボード、ESG戦略を各部門で遂行するためのESG推進会議、4つの重点課題について確実かつ迅速にESG戦略を遂行するESGステアリングコミッティがあり、各部門の活動を推進しています。

中でもESG外部アドバイザリーボードは、ガバナンスにおいて重要な役割を果たしています。世界の動向、花王の取り組み状況に関する助言は、各分野、世界の各地域で活躍されている委員ならではの活きた知見・観点から生み出されるものであり、ESG視点の経営の意思決定に効果的に反映されています。環境分野の2名、社会分野の2名、ガバナンス分野の1名で構成されています。

ESGに関するリスク管理は内部統制委員会(年2回開催、委員長は代表取締役 社長執行役員)で、機会管理はESGコミッティ(年6回開催、議長は代表取締役 社長執行役員)で実施しています。

 


 

各組織体の役割、構成、開催頻度、審議事項等

組織体

役割

構成

実績 (2023年)

開催頻度

主な審議事項等

ESGコミッティ

花王全社に関わる下記項目の審議・議論、又は報告:

・ESGの基本的な考え方や方針

・ESGに関する方針の展開、戦略、活動、社外コミュニケーション等

・ESG活動の推進に関する投資の決裁

・社会のサステナビリティやESGに関する潮流、課題と機会

・ESGコミッティメンバーによるステークホルダーとの積極的なエンゲージメント

 

議長:代表取締役 社長執行役員

委員:専務執行役員、常務執行役員等

アドバイザー:会長

オブザーバー:社内監査役

年6回

・DE&I方針の審議・承認

・「花王サステナビリティレポート2023」での開示方針、KPI進捗及び中長期コミットメントの開示内容の審議・承認

・新財団設立の審議・承認

・ESG投資案件の審議・承認

・消費者志向宣言改定の審議・承認

・2024年度ESGファンド全体予算の審議・承認

・ESG外部アドバイザリーボードの答申事項の確認

・Kirei Lifestyle Plan各テーマの進捗に関するレビュー

・外部有識者による講演(1回)

ESG

外部アドバイザリーボード

・ ESGコミッティの諮問に対し社外の高い専門的視点から、答申・提言

・ESGコミッティに対し、世界レベルの計画策定・実行ができるような情報の提供

・外部との協働や連携の機会の提供

・花王のESG活動に対する評価

委員:社外有識者

・末吉 里花氏

 一般社団法人エシカル協会代表理事ほか

 専門:エシカル消費等

・Ruma Bose氏

Chief Growth Officer, Clearco

 専門:人権、起業家支援等

・Jalal Ramelan氏  

 ESGインドネシア 会長

 専門:持続可能な開発分野

・Helmut Schmitz氏

 Der Grüne Punkt - Duales System Holding GmbH & Co. KG  広報部長

 専門:包装容器リサイクルシステム等

・Laura Palmeiro氏

 Sustainable Finance

 Director, Danone

 専門:サステナビリティ、金融等

年2回

・社会情勢を踏まえた花王への期待とリスク提言

・Kirei Lifestyle Planの進捗に関する評価と課題提言

ESG推進会議

・ESGコミッティで決定した方針、提言に基づき、ESG戦略と事業の一体化に向けて具現化

・重要ESGアクション実行へ向けた監督・検証

・各部門、リージョンのESG活動推進の課題を吸い上げ、ESGコミッティへ提案

議長:取締役 常務執行役員 ESG部門統括
委員:事業部門、機能部門、コーポレート部門、リージョンの責任者等

年8回

・ESG投資戦略の策定

・生物多様性の今後の活動方針案の策定

・Kirei Lifestyle Plan中長期目標の見直し案策定

・Kirei Lifestyle Plan各テーマの進捗と今後の計画の確認

・各部門、リージョンのESG活動に関する進捗の確認

・外部有識者による講演(1回)

 

 

組織体

役割

構成

実績 (2023年)

開催頻度

主な審議事項等

E

S

G

脱炭素

・GHG削減計画の策定

・2040年カーボンゼロ達成に向けた脱炭素対応策と緩和・適応のビジネス機会を一元的に議論し、迅速な脱炭素活動を推進

・シナリオ分析結果に基づいた気候変動リスクの適切な管理

オーナー:常務執行役員 研究開発部門統括

委員:研究開発部門、購買部門、SCM部門、CP事業統括部門、ケミカル事業部門、ESG部門の社員

年5回

・2030年GHG削減戦略に関する議論

・機会とリスクの再整理

・脱炭素関連KPIの進捗と課題に対する対応についての議論

プラスチック包装容器

・循環型社会の実現に向け、KLPアクション「ごみゼロ」の重点課題であるプラスチック包装容器にかかわる活動を一元的に議論し、強力かつ迅速に活動を推進

・脱炭素ステアリングコミッティ・水保全・生物多様性との連動を図りながら活動を推進

オーナー:執行役員 研究開発部門副統括
委員:事業部門、研究開発部門、購買部門、ESG部門、コーポレート戦略部門の社員

年5回

・リサイクルイノベーション活動(回収・再資源化)の方針案策定、活動の審議・承認

・リデュースイノベーション活動(使用量削減、再生材使用)の方針案策定、活動の審議・承認

・「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」への対応

人権・DE&I

・ESGコミッティの監督のもと、花王人権方針に基づき、人権デュー・デリジェンスを含む当社グループの人権に関する活動の一元的な推進、管理

・ESGコミッティの監督のもと、当社グループのDE&I方針に基づく活動の一元的な推進、管理

オーナー:上席執行役員 人財戦略部門統括
委員:人財戦略部門、ESG部門、購買部門、SCM部門、CP事業統括部門の社員

月1回

・DE&I方針策定

・DE&I方針の理解と実践に向けた社員啓発施策提案、実行

・人権リスクワークショップを含む人権デュー・デリジェンス推進、リスクアセスメントにより当社グループにて特定されたリスクの更新、関連部門・子会社での活動促進

・広告表現における人権侵害リスク低減に向けた取り組み強化

・バリューチェーン全体(特に社員、ビジネスパートナー、社会)での人権尊重とDE&I推進・マネジメント

化学物質管理

・SAICM推進委員会による製品ライフサイクルを通じての化学物質自主管理の推進

・製品原料方針策定会議による、規制動向や科学の進展等を踏まえた製品原料の使用方針、及び、削減計画の策定

・化学物質の使用の考え方や安全性評価結果に関する情報開示、ステークホルダーとのコミュニケーション

オーナー:執行役員 品質保証部門統括

委員:ESG部門、研究開発部門、品質保証部門の社員

月1回

・EUグリーンディール政策をはじめとする製品原料に関わる規制動向の把握と対象原料・製品の特定

・製品に含まれる成分(マイクロプラスチック、プロピルパラベン、ブチルパラベン等)の削減計画の策定

・社会的関心の高い成分について、花王の考え方を公開する取り組みの推進

・SAICMの後継であるGlobal Framework on Chemicals (GFC)において、目標策定のための国際会議に行政とともに議論に参画

 

 

 

② 戦略

花王はコンシューマープロダクツ事業から、ケミカル事業まで、幅広い事業領域を有しています。そのため、花王が社会のサステナビリティに影響を及ぼす範囲は生活者の「暮らし」、「社会」、「環境」に加え、「事業基盤」に整理できます。

「暮らし」は、生活者のニーズに応え、こころ豊かな暮らしの実現を目指す花王ならではの側面です。「社会」については、グローバルに広がるバリューチェーンを通じた社会との関わりや、ケミカル事業による多様な産業を通じた社会との幅広い関わりを持つことからも、重要な側面です。「環境」については、製品が世界中の生活者に提供され、使用され、廃棄されることから、大きな影響を及ぼしている側面です。これらの側面に対して、的確に対応するために欠かせないのが、人財開発や人権の尊重・擁護、DE&I活動の推進、化学物質管理等による「事業基盤」の強化です。

 

花王が関わる社会のサステナビリティに関するリスクと機会、及び対応する戦略は次のとおりです。これらのリスクと機会は、花王の事業特性に起因するものであり、リスク回避と機会創出につながる戦略を推進していくことが事業特性を踏まえた企業価値向上と事業成長につながることを示しています。

 


 

上述した4つの区分を踏まえて作成した具体的な戦略が、花王のESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」です。「Kirei Lifestyle Plan」は、生活者を主役としたESGの具体的な活動の方向性と将来への意欲的な意気込みを表したもので、「花王のESGビジョン」と、それを実現するための戦略である3つのコミットメントと19のアクションから構成されています。この戦略に基づき、生活者のこころ豊かな暮らしや社会のサステナビリティの実現を目指して展開した花王のESG活動が、リスク回避や事業機会の創出につながり、ひいては持続的な事業の発展に貢献していくと考えています。

 

 


 

重点取り組みテーマの選定プロセスについては「花王サステナビリティレポート 2023」(p.13)を参照ください。

https://www.kao.com/content/dam/sites/kao/www-kao-com/jp/ja/corporate/sustainability/pdf/sustainability2023-all.pdf

 

中期経営計画「K27」において掲げるビジョン「Sustainability as the only path」を実現する戦略的アプローチとして、「持続可能な社会に欠かせない企業になる」があります。これはパートナーとともに、複数の社会課題を同時に解決するビジネスモデルの構築を目指すものです。社会の役に立つことを目的に事業を展開し、その結果として事業成長を果たすという考え方に基づいています。その考え方を象徴するのが、花王が社会に存在する意義(パーパス)を「豊かな共生世界の実現」としている点です。生活者のこころ豊かな暮らしや社会のサステナビリティの実現を目指して展開した花王のESG活動が、結果として事業成長につながり、生まれた利益がステークホルダー、生活者や社会に還元されていくサイクルを形成していくと考えています。「Kirei Lifestyle Plan」が経営ビジョンを達成するための土台であり、ESG活動は未来に向けた投資であり、財務と連動する取組みと位置づけているのはそのためです。

 

現代の深刻な社会問題に対応し、サステナブルな社会を実現するためには技術革新が必須だと言われています。花王はイノベーション提案に基づく、“よきモノづくり”に注力しており、本質研究に立脚した革新的技術を組み込んだ“ESG視点でのよきモノづくり”は、大きな力になります。さらに花王は技術に留まらないイノベーションを引き起こすことができると考えています。イノベーションによって、花王の持続的な成長と同時に、人、社会、地球に大きなインパクトを与えていくことを目指します。

 

「Kirei Lifestyle Plan」は、花王のコーポレートブランド価値、及び製品ブランド価値向上にも貢献します。「Kirei Lifestyle Plan」の精神は製品、キャンペーン、プログラム、コミュニケーション等の取り組みに組み込まれています。生活者のこころ豊かな暮らし、社会や環境のサステナビリティへの貢献は、生活者やさまざまなステークホルダーから信用やレピュテーションを獲得でき、コーポレートブランド価値の向上に貢献すると考えています。

「Kirei Lifestyle Plan」のアクションのひとつ「パーパスドリブンなブランド」は、ブランドの存在意義を強化し、生活者の共感を獲得することで、ブランドロイヤルティ向上に貢献します。経営方針の柱に、パーパスドリブンのブランド育成を掲げているのは、このためです。ロイヤルティ・マーケティングにより生活者との強い絆を育むことで、高収益体質を強化していきます。

 

このようにESGが組み込まれた経営戦略のもと、パーパスに根差した“ESGよきモノづくり”を一層強化しています。

 

③ リスク管理

花王は、強靭なESGガバナンスのもと、リスク低減と事業機会創出を確実にするため、リスク管理及び機会管理を強化しています。

リスク管理においては、リスクの重要性をリスク・危機管理委員会で定期的にモニタリングしています。その中でも経営への影響が特に大きく、対応の強化が必要なリスクは「コーポレートリスク」として、経営会議でリスクテーマとリスクオーナーを選定し、リスク・危機管理委員会で進捗管理をしています。各部門やグループ会社で管理可能なリスクは、各組織が中心となって対応しています。機会管理においては、当社グループ全体で重点テーマを管理し、優先順位の設定とESG投資を促進する仕組みを構築し、戦略的な事業展開につなげています。

 

④ 指標と目標

花王は、野心的な指標と目標を設定することで、ESG戦略の方向性を明確にし、的確な進捗管理を可能とすることで、ESG戦略を着実に実行しています。花王のESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」の19のアクションごとに指標と目標を設定しています。上記ESGガバナンスにおいて各指標の進捗状況がモニタリングされ、結果に基づき取り組みに反映しています。

 

19の重点取り組みテーマの中長期目標


詳細については2024年5月に発行予定の「花王サステナビリティレポート 2024」を参照ください。

https://www.kao.com/jp/sustainability/pdf/sustainability-report/

 

(2)気候変動への対応(TCFD提言への取組)

気候変動は、現在並びに将来世代が豊かな生活文化Kirei Lifestyleを実現することに対する大きなリスクとなっています。「花王ウェイ」において「豊かな共生世界の実現」を使命として掲げる当社グループでは、地球温暖化の緩和と適応の両面から積極的に活動を推進しています。当社グループはTCFDに賛同し、気候変動に関する情報開示を積極的に実施し、投資家との対話を行っています。パリ協定が示す「平均気温上昇を1.5℃に抑えた世界」を実現することが将来の生活者のKirei Lifestyle実現に必要だと認識し、「Kirei Lifestyle Plan」の重点取り組みテーマの一つとして「脱炭素」を掲げ活動を進めています。

※TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース

 

① ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、ESG戦略のガバナンスに組み込まれています。詳細については「(1)ESG戦略(Kirei Lifestyle Plan) ①ガバナンス」を参照ください。

 

② 戦略

気候変動により平均気温が4℃上昇することは、社会に非常に大きな影響を及ぼすことから、世界全体が気温上昇を1.5℃に抑えることを目指していることに意味ある貢献をすることが、重要であると認識しています。

花王は1.5℃、2℃、4℃シナリオでシナリオ分析を実施しています。なお、1.5℃と2℃のシナリオにおいては、リスク・機会の傾向は同じですが、1.5℃の方が2℃よりも移行のスピードが速くなり、活動レベルが高くなると認識しています。

 

(主な事業リスクと機会)

 

 

1.5℃/2℃

4℃

当社グループの戦略

移行

炭素税の導入・引き上げ

炭素税が世界中で導入され、負担コストが上昇

炭素税の導入はほとんど進まない

1.5℃シナリオに沿った、Scope1+2 CO2排出削減量目標を設定

プラスチック規制の導入

再生プラスチック需要増により再生プラスチック単価が上昇し、調達コスト増

再生プラスチック需要は大きく増加しない

プラスチック循環型社会に向けた活動を継続・強化

原材料価格の上昇

化石由来原材料の使用が制限され調達コスト増

化石由来原材料需要が増加し、調達コスト増

化石由来原材料の使用量の最少化を継続・強化、売価への転嫁

生物多様性の保全

新規農地開発の制限、認証品調達規制等によりパーム油やパルプの調達コスト増

過剰な農薬・化学肥料による水質・土壌汚染の浄化等によりパーム油やパルプの調達コスト増

生物多様性を損なう原材料の使用量の最小化を継続・強化

消費行動の変化

エシカル製品の需要が全世代で拡大し、売上増

エシカル製品の需要が一部世代で拡大し、売上増

エシカル製品を開発・上市、生活者への啓発

物理

自然災害

被害が大きくなる

被害が甚大化する

拠点リスク調査と対策

平均気温の上昇

日やけ止め、制汗剤、感染症対策製品の需要が大きく増加し、売上増

日やけ止め、制汗剤、感染症対策製品の需要が大きく増加し、売上増

需要伸長の開発強化

 

 

③ リスク管理

気候変動に関する主なリスクは、ESG戦略のリスクに含めて管理しています。詳細については「(1)ESG戦略(Kirei Lifestyle Plan) ③リスク管理」を参照ください。

 

 

④ 指標と目標

2021年、当社グループは「2040年カーボンゼロ、2050年カーボンネガティブを目指す」という方針のもと、2030年目標を設定・更新しました。

・スコープ1+2 CO2排出量(絶対量)削減率

-55%(対2017年)※1

・使用電力における再生可能電力の比率

100%※2

・ライフサイクルCO2排出量(絶対量)削減率

-22%(対2017年)

・削減貢献量※3、※4

10,000千トン-CO2

 

※1 1.5℃水準に沿った目標として、SBTイニシアティブ(企業が気候変動分野において野心的な活動を促進するために設立されたイニシアティブ)の認定を取得

※2 RE100(企業が自らの事業で使用する電力を再生可能エネルギー100%化することを目指す国際的イニシアティブ)に加盟

※3 気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17)及び京都議定書第7回締約国会合(CMP7)で合意された7種の温室効果ガス

※4 当社グループの製品によって社会全体で削減された排出量

 

当社グループのCO2排出量推移は以下のとおりです。2023年は生産拠点のあるタイ工場での購入電力の再生可能エネルギー比率100%の達成やベトナム、インドネシア、メキシコでの再生可能エネルギー電力の購入開始といった取り組みに加え、温水ヒートポンプなどの低炭素設備の導入や需要に応じた生産対応の影響により2017年比削減率35%を達成しました。引き続き、低炭素設備の導入や再生可能エネルギーの活用に取り組んでまいります。

 


 


 

なお、上記の表で記載しているCO2排出量情報については、欧州の非生産拠点の一部において2017年から再生可能エネルギーによる電力を購入していることが判明したため、「花王サステナビリティレポート 2022」に開示している「スコーブ2 CO2排出量の推移」の情報を一部更新して記載しております。

 

詳細については2024年5月に発行予定の「花王サステナビリティレポート 2024」を参照ください。

https://www.kao.com/jp/sustainability/pdf/sustainability-report/

 

(3)人的資本

「人」は会社にとって最大の資産です。中期経営計画「K27」の実現に向けて、メリハリのある人的資本投資を通じたグローバル・シャープトップな人財/組織運営を進めています。多様な人財一人ひとりが持つ無限の可能性を引き出し、その活力を組織として最大限に活かすことで、個人と企業がともに成長する環境と風土をつくります。

 

① ガバナンス

人財戦略に関しては、取締役会における経営視点での方針の議論を経て、経営トップを委員とする「人財企画委員会」にて具体的な課題や施策(重要な組織の新設・改編、主要ポジションの任免、人員・人件費に関する計画や重要な人事施策の新設・改廃等)に関する検討と決裁、進捗状況の共有を行っています。

また活動をグループ全体で推進するために、グローバル共通の仕組みを導入し、活用しています。たとえば、グローバル人財情報システムによる人財情報の活用、グローバル共通のOKR・等級制度・評価制度・教育体系・報酬ポリシーによる人財マネジメント・育成の強化等です。

これらの活動は、人財戦略部門統括を責任者とし、国内外グループ各社の人財開発部門と連携をとりながら進めています。

また、日本においては主要部門に人事機能を設置するとともに、現場の社員一人ひとりの育成とキャリア開発を担当するキャリア・コーディネーターを配置しています。

主要部門及び国内子会社の人財開発責任者による会議を定期的に開催し、当社グループ全体の人財開発の方針、国内子会社の活動状況等について共有・議論しています。

 

人財開発の推進体制


 

 

② 戦略

「平等から公平へ」、「相対から絶対へ」、「画一・形式から多様・自律へ」という3つの基本方針を掲げ、人財開発活動を進めています。

 

この方針に基づき「グローバル・シャープトップ」戦略のもと「よきモノづくり」をさらに進化させ、投資して強くなる事業への変革を図り、持続可能な社会に欠かせない企業になるために、その原動力となる人的資本に関しては、対話を軸として、より前を向くアグレッシブな人財への投資を進めています。「意欲ある人財をとがらせる」「脱マトリックス型組織運営」「挑戦・成果重視の環境創り」とその基盤となる「公平な機会の提供」を人財戦略として定め、グローバル・シャープトップな人財/組織運営の実現による社員活力の最大化に取り組んでいます。

 

経営戦略と連動した人財戦略


 

人財戦略全体像

 


 

それぞれの施策は都度効果を確認すると共に、社員エンゲージメントサーベイを定期的に実施することで社員意識の確認を行っています。2023年は、海外子会社も含めたグローバル規模での社員活力最大化に向けて、社員エンゲージメントサーベイの内容を大きく見直して実施しました。今後、各現場単位での結果確認・検証とそれに対応した改善への取り組みを積み重ねることで、長期目標達成につながる働きやすい仕事環境の実現をめざします。

 

a.意欲ある人財をとがらせる:先端教育

イノベーションの源泉となる高い専門性と創造性を持ち、花王ウェイをベースに多様性の理解・連携・協働を通じて当社グループのポテンシャルを最大限に発揮できる人財の育成を強化しています。自己啓発プログラムでは9,000を超える通学・通信教育・eラーニングがあり、いつでも、どこでも学べる機会を提供しています。また、製造業から「UX(顧客体験)創造企業」への変革をめざすために、社員に各種DXラーニングの機会を提供しています。2022年までは、各部門のデジタルリテラシーの高いコアメンバーを中心にDX教育を推進し、育成した約1,000人のシチズン・ディベロッパーが各部門で活躍しています。2023年秋からは「DXアドベンチャープログラム」を導入し、DX人財の裾野を当社グループ内の全社・全部門へと広げ、新しい価値づくりと、ビジネスプロセスの変革を加速させています。これにより、2027年度末までに累計で、全社DXリーダー150人、部門DX推進者300人、シチズン・ディベロッパー2,000人の育成を計画しています。

 

b.意欲ある人財をとがらせる:最適配置

当社グループでは、従来から能力・キャリア開発支援とキャリア・コーディネーター制度をベースに、社員の育成の方向性や本人のキャリア志向をふまえ、計画的に社員のローテーションを実施しています。これに加え2024年度からは、グローバル・シャープトップ実現に向けた新規事業やプロジェクトのメンバーを、広く当社グループ内から募る社内公募制を全社に拡大し、挑戦意欲を持ち変革を牽引する人財を該当組織やプロジェクトにタイムリーに結集させます。これにより、経営戦略実現のために必要な組織体制を強化するとともに、挑戦意欲のある社員が自らキャリアを形成できる機会を拡大し、自律的なキャリア開発に向けての組織風土を整えていきます。

 

c.脱マトリックス型組織運営:権限委譲

事業部門と機能部門の自由度を活かしたマトリックス体制を進化させて、優先されるタスクに関する目的達成の最速・最大化をめざした「スクラム型運営」を進めています。大きな組織で起こりやすいサイロ化や画一化を避け、決断実行の現場化を進めています。

 

d.脱マトリックス型組織運営:次世代リーダーの持続的育成

当社グループの不連続な成長の実現に向けて、変革や新たな価値創造を牽引するビジネスリーダーを計画的に育成し、サステナブルな組織運営の実現を進めています。シニアマネジメント・スペシャリストに当たる重要ポジションの将来の後任候補となる基幹人財をキャリアステージの早い段階から見出し、計画的で積極的な教育・配置任用・課題付与を行い、当社グループをリードする人財を育成しています。

 

e.挑戦・成果重視の環境創り:透明性のある評価

マネジメント層の成長を支援すると共に組織運営の透明性・信頼性向上を目的に、2024年から当社及び国内子会社において360度評価を導入します。上位職層からのみではない多方向からのフィードバックを得ることで、マネジメント層の社員がより客観的に自身の能力やリーダーシップの発揮度合いを確認し、能力開発につなげるとともに、マネジメント層の評価への透明性と信頼性を高めることをめざします。

 

f.挑戦・成果重視の環境創り:承認・処遇

多様な挑戦を認めることで、社員一人ひとりの成長を支援し、最大値を引き出すことを目指しています。

当社グループでは、各ポジションの役割責任を明確にし、年次ではなく社員一人ひとりの能力や適性に応じて配置・任用し、その役割の大きさに応じた挑戦と成果を適正に評価した上で処遇しています。

2022年に大きな目標を掲げ日々挑戦する社員に報いる制度として表彰制度をリニューアルしました。2023年はリニューアル前の過去5年間平均に比べて3.8倍の案件数、3.6倍の社員が表彰され、社員のさらなる挑戦と成長につながっています。

 

g.公平な機会の提供:対話の徹底

全ての施策において重要な要素となる対話の徹底に取り組んでいます。

経営戦略の実現に向け、現場牽引の要となるミドルマネジメント層に対しては、リーダーシップ力開発のための執行役員との対話型プログラム「KURUMAZA」を実施しています。多様な役員との直接対話により、経営戦略や方針を深く幅広く理解し、リーダーとしてより効果的にチームの活動を会社のめざす方向に結集できる力を育成すること、自分と異なる部門に在籍するミドルマネジメント層とのネットワークを構築し、イノベーションに向けた連携を加速すること、多様な参加者同士で対話し、目標達成のために違いを活かして新たな方向性を導き出す重要性を経験・認識することをめざしています。

対話の質の向上に向けては、対話マインド・対話スキル向上プログラム「対話フェス」を当社及び国内子会社で毎年実施し、自由闊達な組織風土の醸成を進めています。対話フェスでは、対話の重要性を周知しながら、対話スキルを高めるためのオンライン学習ツールやウェビナー、心理的安全性や企業理念である花王ウェイを学ぶためのワークショップなど、社員が自由に参加できるプログラムを提供しています。対話フェス参加者で自らの意識や行動・コミュニケーションが変化したと感じる人は60%。マネジャー層では70%となっています。

 

h.公平な機会の提供:OKR活用

社員の挑戦を活性化するための代表的な取り組みとして、2021年よりOKR(Objectives and Key Results)を導入しています。当社グループのOKRでは、「世の中をより良くするために、当社グループをより良い企業にするために、仕事を通して達成したいこと」について、「事業貢献」「ESG」「ワンチーム&マイドリーム」の3つの軸で、社員一人ひとりが自ら目標を掲げて取り組みを進めています。高く挑戦的な目標を設定すること、結果だけでなくプロセスを評価することで、社員エンゲージメントの向上を図るとともに、組織の前進につなげています。

OKRの導入率は、グローバル72%、国内90%となっています。当社グループ全社員は、システム上で各人のOKRを閲覧可能であり、同じ志を持った社員どうしが自由にコミュニケーションをとり、国や地域、仕事や立場を超え連携することができます。これにより、OKR達成に向けて必要な知識・能力の共有が加速され、ビジネススピードや、イノベーションを通じた生産性の向上につながっています。

2023年の社員意識調査によると、挑戦的な目標に向かって日々活動している社員は2022年に対して倍増しています。特に25%の社員は、周囲の協力を得ながら、着実に挑戦的な目標の実現をめざしており、自己の成長と組織の成長を両立させています。挑戦の解釈に悩んでいる42%の社員に向けては、部門長からの挑戦のかみ砕き発信、挑戦している事例の共有など、挑戦の自分ごと化を支援しています。

 

i.公平な機会の提供:DE&I

DE&I推進活動として、多様な人財一人ひとりが働きやすい環境の中で定着し、公平に機会を得るために必要な支援を行うとともに、一人ひとりが安心して自分の考えを発信し、健全な議論ができる組織風土の醸成に取り組んでいます。

 

〇 体制

人権・DE&Iステアリングコミッティが当社グループ横断で企業活動全体のDE&I推進活動を進めています。その中で社員に向けた活動については、当社の人財戦略部門の全組織が各種人事施策におけるDE&Iを推進すると共に、専任組織であるDE&I推進部が当社および国内子会社全体のDE&I推進活動を計画・実行しています。海外子会社については、現地のDE&I推進責任者が当社のDE&I推進部と連携しながら、それぞれの課題に合わせ各地域で活動を推進しています。

 

〇 花王グループDE&I方針の策定と浸透活動

当社グループグローバルでの議論を経て、ブランド、製品・サービスを通じた事業やすべての企業活動全体におけるDE&Iを進化し続けるため「DE&I方針」を策定し社内外に公開しました。併せて、DE&I方針について社員が理解を深め、実践に繋げるための教育・啓発施策を開始しています。

 

[ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DE&I)方針]

私たちは、企業理念「花王ウェイ」と下記のダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの定義に基づき、取り組みを進化させ続けます。原料開発から家庭用製品の提供まで多様な事業を展開し、人々の暮らしに真摯に向き合っている会社として私たちには、もっとできることがあり、取り組んでいくべきだと確信しています。

花王は、社員をはじめ、ビジネスパートナー、生活者を含むすべてのステークホルダーとさらに協働して、私たちのブランド、製品・サービスを通じた事業やすべての企業活動でダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンを実践し、誰もがありのままの姿で最大限の力を発揮できる、いきいきとした社会をめざします。

 

花王におけるダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの定義

ダイバーシティ

ダイバーシティとは、個人、集団、コミュニティの間で異なる特性が存在するということ。一人ひとりの個性を尊重し、文化、国籍、宗教、信条、人種、民族、性別、性自認または性表現、性的指向、年齢、障がいのみならず、様々なライフスタイルや価値観を含むあらゆる形態のダイバーシティがあると認識します。

 

エクイティ

エクイティとは、誰一人取り残されることなく、ありのままの自分を活かせる環境を整えていくこと。社会や職場環境において、障壁となるものを取り除き、公平な機会を提供することなどを意味します。

 

インクルージョン

インクルージョンとは、一人ひとりが、尊重されている、かつ、自分の居場所があるという実感を持てていること。多様な人たちの関わり合いによって、様々な視点・アイディアが融合し、個人と組織やチームが最大限の力を発揮できている状態をさします。

 

DE&I方針の詳細については、以下を参照ください。

https://www.kao.com/jp/sustainability/walking-the-right-path/inclusive-diverse/dei/

 

〇 DE&I推進活動

<多様性を活かせる環境整備>

2024年より、人財構造改革の一環として、茅場町事業場のオフィス改革に着手しています。茅場町オフィス改革のコンセプトとして、「対話」によって「創造」を生み出す職場環境づくりを目指し、職種に応じて社員が活き活きと働ける職場づくりのため、出社率や業務内容に合致した公平な執務環境、共創スペース・談話室といった対話の場の拡大を行います。今後、建屋の老朽化等の状況や機能の将来的拡張等も考慮して優先順位を設定した上で、他の事業場(国内外)に拡大していきます。

新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、在宅勤務制度に代表されるリモートワークなど働く場所や環境の多様化が定着しました。2023年からは社員間の対話と共創による創造性の発揮をより進めるために、画一的なルールではなく、職務や役割に応じて、それぞれに最適な働き方を推進しています。また、柔軟な働き方を進めるにあたり、在宅勤務における就労実態も可視化できるアプリケーション、SWS(Smart Work Support)を導入しました。これらを通じて、社員が安心しかつ能率的に働ける環境を整備しています。

 

<女性活躍推進>

最も多くの人財に関わり、当社グループの成長に不可欠なDiversity要素として、特に日本を中心に女性活躍推進活動を進めています。取締役会の女性比率を2025年までに30%にするという目標を掲げて改善を進めると共に、意思決定層における女性比率の向上をめざし、そのパイプラインを増やす取り組みとして、2030年までに女性管理職比率を女性社員比率と同じにするという目標をかかげ、3つの重点アクションに取り組んでいます。

 

[トップマネジメントの女性の状況]

 

2021年

2022年

2023年

2024年

男性

(人)

女性

(人)

女性比率

(%)

男性

(人)

女性

(人)

女性比率(%)

男性

(人)

女性

(人)

女性比率(%)

男性

(人)

女性

(人)

女性比率(%)

取締役 ※1

7 (3)

1 (1)

12.5

7 (2)

2 (2)

22.2

8 (3)

2 (2)

20.0

7 (3)

1 (1)

12.5

監査役 ※1

4 (3)

1 (0)

20.0

4 (3)

1 (0)

20.0

5 (3)

0 (0)

4 (2)

1 (1)

20.0

執行役員 ※2

26

2

7.1

27

3

10.0

26

4

13.3

27

4

12.9

 

※ 各年4月1日時点

※1 ()の数字は、全体人数のうち社外取締役、社外監査役の人数

※2 取締役兼務も含む

 

[女性の状況]

 

2022年

2023年

従業員
(%)

管理職
(%)

達成率
(%)

従業員
(%)

管理職
(%)

達成率
(%)

当社グループ

52.9

30.5

57.7

53.1

31.1

58.6

当社及び国内子会社

55.9

22.4

40.1

56.0

24.6

43.9

アジア

44.6

47.6

106.6

44.2

45.9

103.8

欧州

49.9

40.8

81.7

52.4

44.8

85.5

米州

51.2

53.3

104.2

53.0

48.6

91.7

 

※ 各年12月31日時点

※ 従業員は正規雇用の従業員及びフルタイムの無期化した非正規雇用の従業員を含む

※ 達成率は、女性社員比率に対する女性管理職比率の割合

 


 

その中で「意欲高く働くための育児両立支援」に関しては、従来、育児休職からの復職予定者を対象に実施していた仕事と育児の両立体制構築セミナーを、2023年より女性の長期間の育児休職取得により家庭での性別役割分業意識が根付いてしまう前の妊娠報告時に、男女ともに必修で受講する研修として内容を刷新しました。併せて、男性の育児参加を当たり前にすることをめざし、男女ともに取得を必須とする有給育児休暇を新設し、育児休職を取得しやすい環境整備を進めるとともに、育児休職の取得期限である子が1歳4月末より前に復職した社員には、よりフレキシブルな働き方を選択できる制度も導入し、社員が希望する時期に復職することを支援しています。

これらの取り組みの結果、2023年には男性社員の育児休職取得率は当社及び国内子会社で100.3%となっています。また、女性管理職比率は年々向上しており、2023年末時点で当社及び国内子会社の女性社員比率は56.0%、女性管理職比率は24.6%となっています。

 

女性活躍の一つの指標である男女の賃金格差は当社グループで87.0%となっています。当社グループでは、同じ役割であれば男女で賃金の差は設けていないため、この差は、主に日本において給与が高くなる傾向にある勤続年数の長い社員における男性比率が高いこと、また、給与の高い職群の社員における男性比率が高いことによるものと考えています。そのため、男女の賃金格差の解消の方針として、女性活躍推進の取り組みにより、女性の定着をさらに向上するとともに、管理職や上級管理職、役員の女性比率を女性社員比率に対して適正に上げることを実行していきます。

 

<多様性を組織の力にする風土醸成とスキル向上>

多様性を強みとし、対話を通じてチームで成果を上げる組織風土づくりに向け、心理的安全性とアンコンシャスバイアスを啓発の重点テーマとしています。2023年は、心理的安全性を組織に根付かせるために、e-ラーニング「心理的安全性の基礎知識」を当社及び国内子会社すべての管理職向け必修プログラムとして開始しました。また、e-ラーニング「アンコンシャスバイアスの基礎知識」のトライアル実施を行いました。

これらの取り組みの結果、社員エンゲージメントサーベイにおける「インクルーシブな組織風土」に関するスコアは62となっています。2027年にスコア70を目標として引き続き活動を展開します。

 

j.公平な機会の提供:健康開発

当社グループの事業活動の源泉は、いきいきとしたGENKIな社員であり、そのベースは社員の健康です。当社グループは、健康経営®を推進し、社員とその家族が健康支援を公平に受けられる機会を提供しています。また、社内外の健康基礎情報の解析とヘルスケア知見から生まれた商品やヘルスケアソリューションを自社の健康開発に取り入れ、社員と家族が参画する実践型の活動を進めています。自社の取り組みのうち優れた事例や知見については、地域・他の職域・生活者の皆さまに積極的に展開し、すこやかで心豊かな生活の実現を支援しています。また、「花王グループ健康宣言」を行い、企業として健康経営®に取り組むことを社内外に公表するとともに、健康中期計画「KAO健康2025」を設定し、取り組みを推進しています。

※ 「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

 

[花王グループ健康宣言]

私たちは、日々いきいきと
健康づくりに取り組むとともに
社内外のエビデンスに基づいた確かなヘルスケアを
社員・家族だけでなく
地域・職域・生活者のみなさまへ展開し
すこやかでこころ豊かな暮らしをともに実現していきます。

 

〇 健康中期計画 KAO健康2025

KAO健康2025では、一人ひとりのより良い状態の実現を通じて、ヘルスケア意識の高い社員と家族が、活気ある職場、社会づくりを推進していくことを目指します。主な取り組みとしての6つの取り組み(生活習慣病・がん・禁煙・メンタルヘルス・女性・シニア)に加え、治療と就業の両立支援や有害業務者管理とリスクアセスメントにも取り組んでいきます。また社員だけでなく家族や友人もともに参画できる健康づくりを提案していきます。

 

〇 組織体制

社内の健康経営®を推進するため、花王健康保険組合と健康開発推進部のコラボヘルスにより、健康施策の立案を行っています。また、事業場・支社には「健康実務責任者」及び「健康実務担当者」を配置し、産業医・看護職とともに担当エリアの健康施策に取り組んでいます。海外子会社へは日本の推進状況を情報共有したうえで、各国・地域の方針に沿った健康施策を推進しています。また、当社グループ内で取り組んだ優良事例を地域へも展開するためGENKIプロジェクトを設置し、社外向けの健康ソリューションの提供を行っています。

 

[組織体制]


 

 

③ リスク管理

会社の事業活動において、多様な人財が集い、一人ひとりが持てる能力と個性を最大限発揮できることが重要です。人財の流動性が高まる中、採用競争力が低下して計画通りの人財獲得が進まなくなること、社員の離職により組織の総合力が低下することが最大のリスクと考えています。社員に成長の機会を提供し、活躍しやすい環境を整えることで、リスク低減に努めています。

 

④ 指標と目標


※ 特に記載がない限り、当社グループで集計

※ 従業員は正規雇用の従業員及びフルタイムの無期化した非正規雇用の従業員を含む

※1 回答者数は当社グループの一部非正規雇用の従業員を含む 27,460人

※2 日本の連結対象会社のみ

※3 社員意識調査

※4 日本の連結対象会社のうち、伊野紙㈱含まず