事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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(単一セグメント) | 1,172 | 100.0 | 484 | 100.0 | 41.3 |
事業内容
3【事業の内容】
当社の事業は創業時より、飲食業界、宿泊業界、中食業界等を買い手とするインターネット上のオープンマーケットであり、卸販売の無人化を目指すeマーケットプレイス事業を展開しています。
当社は、オープンマーケットを通じて、大手企業から中小企業まで業者間取引のあらゆる要望に対応できる市場やシステムを提供し、生産性が低いとされる流通業界の効率化を図ることを目的に、2000年2月に設立しました。
主な収益源は、出店企業からの定額の出店料と出来高制のマーケット利用料あるいは出品企業からの出来高制のシステム利用料ですが、B to B事業(※)として、売り手、買い手ともに主に企業が対象となっています。
※B to Bは一般的に企業間取引を指しますが、ここでは、当社が仲立ちとなり売り手企業と買い手企業を結び付けるビジネスモデル、Business(売り手) to Business(買い手)を意味します。
当社サイトに出店するか出品するかは、企業側が自由に選択可能です(出店のみ、出品のみ、両方)。いずれの場合も、当社はeマーケットプレイス運営会社であり、売買取引は売り手企業と買い手企業間で成立します。
出店:出店企業は、毎月定額の出店料を当社へ支払って商品を掲載し、マーケット利用料(「Mマート」のみ)を出来高に応じて当社へ支払います。食材を扱う「Mマート」市場と、それ以外を扱う「Bnet」市場に区分しています。
売り手である出店企業にとって、当社サイトへの出店により、実店舗での人件費を含む販管費削減が可能となり、当社サイトに商品が24時間掲載されることによる広告宣伝効果、新規顧客開拓による販路拡大が可能となる等の利点があります。一方、買い手企業側にとっても、安価な商品を仕入れることができ、必要な商品を必要な時に仕入れることが可能となる点や、豊富な商品群から効率的に選択が可能となる等の利点があります。
出品:売り手である出品企業は、出品した商品の売上に応じたシステム利用料を当社へ支払います。
食材を扱う市場を「卸・即売市場他」(「大口一括コーナー」「中米オークション」「アグリ」等を含む)、それ以外を扱う「ソクハン」に区分しています。
出品企業は、当社サイトにおける過去の売買データ等を参考に、商品を通常の卸売価格より安価に販売することも可能であり、余剰在庫の処分等により商品の廃棄ロスの低減が可能です。買い手企業側にとっても、仕入価格を安価に抑え利益の増大が可能といった利点があります。
買い手:買い手企業は原則として無料で利用できます。年会費を支払いプレミアム会員になると、より格安な商品が掲載されている会員限定のプレミアムコーナーを利用できます。
〔事業系統図〕
Mマート
売り手企業は当社に対して出店申込を行い、当社所定の手続きを経た後に、販売したい畜産、水産、農産品等の食材商品が当社インターネットサイトに掲載され、購入を希望する買い手企業からの注文を受けることになります。当社を介さず直接取引することも認めており、販路拡大に効果的なサービスを提供しています。売り手企業は、出品数に応じた毎月定額の出店料と、当社を介して取引した場合は売買代金に一定の率を乗じたマーケット利用料を負担します。
Bnet
売り手企業は当社に対して出店申込を行い、当社所定の手続きを経た後に、販売したい食器、厨房機器等の各種商品が当社インターネットサイトに掲載され、購入を希望する買い手企業からの注文を受けることになります。当社を介さない直接取引が可能な点はMマートと同様です。売り手企業は出品数に応じた毎月定額の出店料を負担します。
卸・即売市場他
売り手企業は当社に対して出品申込を行い、当社所定の手続きを経た後に、販売したい畜産、水産、農産品等の食材商品が当社インターネットサイトに掲載され、購入を希望する買い手企業からの注文を受けることになります。直接取引を禁止していますが、余剰在庫の処分等を目的に多くの企業が利用しています。売り手企業には、定額料金は発生せず、売買代金に一定の率を乗じたシステム利用料のみ負担する完全出来高払いの料金体系となっています。
ソクハン
売り手企業は当社に対して出品申込を行い、当社所定の手続きを経た後に、販売したい食器、厨房機器等の商品が当社インターネットサイトに掲載され、購入を希望する買い手企業からの注文を受けることになります。直接取引を禁止している点は、卸・即売市場他と同様です。売り手企業に定額料金は発生せず、売買代金に一定の率を乗じたシステム利用料のみを負担する完全出来高払いの料金体系であることも、卸・即売市場他と同様です。
業績
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(経営成績等の状況の概要)
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績
当事業年度(2023年2月1日~2024年1月31日)における世界経済は緩やかな回復が続いていますが、金融政策の転換に伴う各国でのインフレ発生、米国・欧州における金融部門の混乱、ロシア・ウクライナ戦争の長期化、中東でのガザ危機、中国経済の成長鈍化等の要因によって成長率が鈍化し、先行きへの不透明感が漂っています。
国内経済を見ますと、金融緩和を当面継続する方針のもと、新型コロナウイルスに関する規制が緩和され、インバウンドを含む国内消費の回復が鮮明となりました。これは外食需要の回復や、鉄道・航空旅客数増加、宿泊業の活況等に現れ、円安による割安感も手伝って、訪日外国人の消費拡大が内需を押し上げています。
他方で、「ゼロゼロ融資」等コロナ関連融資の返済開始や、助成金・補助金の縮小・打ち切りに伴い、企業の倒産・廃業件数が上昇傾向にあります。また、輸入原材料や光熱費等の上昇を理由に「国内小売の7割が2023年度に値上げ」「2023年は記録的な食品値上げラッシュ」といった報道から窺われるように、買い手企業・売り手企業ともに、コストダウンを図り利益を確保することが、喫緊の課題となっています。
さらに中・長期的な視点では、コロナ禍を経て人口減少ペースに拍車がかかり、物流の2024年問題を抱える流通業に限らず、全ての業界で人手不足が深刻化して省人・省力化と生産性の向上が重要な課題となっています。
このような事業環境のもと、「流通変革のためのインフラを創る」ことを使命とする当社は、運営サイトの売り手・買い手双方のニーズを的確に捉えた施策を、矢継ぎ早に実行しています。
具体的には、売り手企業の出品商品の一元管理等を可能とするUX/UI改善を行い、「Mマート」は2023年2月に、「Bnet」は7月にリリースしました。3月に「三方会」を発足させ、創業以来の「売り手よし、買い手よし、世間よし」の理念に基づく、出店社と協働し共に成長する支援・コンサル活動を強化しました。4月には対話型AI(ChatGPT)を活用した出品・販売支援ツールを「Mマート」をはじめ食材の販売サイトで実用化し、日経電子版に記事が掲載される等マスコミからも注目されました。
また、7月に夏商戦に合わせた催事「クラッシュ プライス ウイーク」を開催し、買い手会員には更に安価な購入機会を、出店企業には滞留在庫の処分機会を提供して、当社の売上増加にも寄与しました。その後も9月、11月、2024年1月と2ケ月に1回定期的に開催し、売り手・買い手双方から好評です。
さらに9月には、継続ワンクリック発注の大幅リニューアルで利用者が数十倍になり3ケ月目には4,000万円を記録、eマーケットプレイスの最大の弱点であるワンプライスを克服するため、1商品複数ロット販売も始めたことで、売上が増加しました。
そのほかにも、スマホ用「Mマート」アプリのリリース、円安に伴う海外バイヤーの利用増加に対応した「輸出可能商品コーナー」開設、15時までに発注すれば翌営業日発送を確約する「翌発」サービス開始等も行いました。
なお、8月よりMマート市場の出店料を改定し、新規出店社は月額35,000円とするとともに様々なAI機能(おすすめレシピ、国別レシピ(和仏伊中)等)を提供することで、出店社の利便性の向上を図っています。
以上のような取り組みの結果、買い手会員数は当事業年度末で214,969社(前事業年度末比14,260社増(7.1%増))と、昨年1月に20万社を超え9月に21万社を超えた後も、毎月1千社超の増加ペースは衰えておりません。売り手企業側もMマート市場を中心に、前期末対比3.4%増加しました。
これに伴い、当事業年度における運営サイトの総流通高は、主に「Mマート」市場の伸びが貢献し、11,386百万円と初めて100億円を超えました(前事業年度比19.1%増)。
このように、出店社数・出品社数がともに増加し、総流通高も増加したことに加えて、前事業年度第4四半期末より「Mマート」市場のマーケット利用料率を見直したことにより、出店料収入(月額固定)、マーケット/システム利用料収入(取引高比例)等による営業収益(売上高)は、1,171,668千円(同18.8%増)と増収となりました。
営業費用(販売費及び一般管理費)は、システム技術部門、営業部門等の人員採用に伴い人件費や採用費が増加する一方で、前期に発生したサーバーのクラウド化に関する一時費用がなくなったことから、全体では8.1%の費用増加にとどまったため、営業利益は483,907千円(同38.3%増)、経常利益は482,860千円(同37.9%増)、当期純利益は324,893千円(同38.2%増)と、各利益ともに大幅な増益となりました。利益率も、営業利益率41.3%(前事業年度比5.8ポイント改善)、経常利益率41.2%(同5.7ポイント改善)、純利益率27.7%(同3.9ポイント改善)と改善しています。
なお当社はeマーケットプレイス事業のみの単一セグメントのため、セグメント業績の記載を省略しています。
② 財政状態
当事業年度末における総資産は2,307,903千円となりました(前事業年度末比406,328千円増加)。
順調な事業成長に伴い、流動資産において営業未収入金をはじめとする営業債権と現金及び預金が増加したことが主な要因です。
負債合計は751,991千円となりました(同145,125千円増加)。主に営業未払金やMコインに関する預り金等の営業負債が増加しました。
純資産合計は1,555,911千円となりました(同261,203千円増加)。利益剰余金の増加(当期純利益計上による増加324,893千円、株主配当による減少63,576千円)によるものです。
以上の結果、当事業年度末の総資産に対する純資産比率は67.4%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末の現金及び現金同等物は1,703,862千円と、前事業年度末に比べ329,180千円増加しました。
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況と主な要因は、次のとおりです。
営業活動により得られた資金は426,275千円となりました。主な内容は、税引前当期純利益482,860千円、預り金55,434千円の増加、法人税等の支払131,757千円です。
投資活動に使用した資金は33,401千円となりました。主な内容は定期預金の預入30,003千円です。
財務活動に使用した資金は63,693千円となりました。配当金の支払による支出63,580千円が主な内容です。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当社は生産活動を行っていないため、該当事項ありません。
(2) 受注状況
生産実績と同様の理由により、受注状況の記載をしておりません。
(3) 販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりです。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。財務諸表を作成するにあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りが必要であり、経営者は見積りに際しては過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しているものの、見積り特有の不確実性によって、実際の結果が見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
(2) 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の経営成績に関する詳細は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 財政状態及び経営成績の状況 ①経営成績」に記載のとおりです。
当事業年度は、前年対比、計画対比ともに増収・増益を達成しました。これは、コロナ禍等を背景に卸取引のリアルからネットへの移行が進むという「追い風」を受けながら、新市場や新機能を次々と立ち上げて顧客ニーズを深掘りしたこと、また、人材投資を行って営業部門、システム技術部門の人員を強化するとともに、営業部員を再教育して出店社(売り手)の販売支援を強化したこと、さらには販売サイトのUI/UX改善等のDXを一段と進める等のデータ・ドリブン経営を推進したことによるものです。
なお、今後の持続的な成長のため、新サイト構築を担うシステム開発要員や、新規出店社獲得と効果的な販売アドバイスのための営業要員など優秀な人材の採用については、引き続き積極的に行う方針です。
(3) 財政状態の分析
当事業年度末の財政状態については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 財政状態及び経営成績の状況 ②財政状態」に記載しております。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金・設備資金は、主に自己資金により充当しております。当事業年度末の現金及び現金同等物は1,703,862千円となり、将来に対して十分な財源及び流動性を確保しております。また、現時点において重要な資本的支出の予定はありません。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、市場の成長速度、他社との競争力、技術革新への対応度合い、人材の確保や育成度合い、システム障害や自然災害・各種感染症、内部統制等の様々なリスク要因が存在し、当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は、優秀な人材の採用と教育育成、新規サイトの開拓、魅力あるサービスの開発、海外への展開、セキュリティ対策等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分析し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存です。
(7)経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社が今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処することが必要であると認識しております。
当社としましては、戦略面及び組織面の課題を整理しながら、各課題に対して適切かつ効果的な対応を行ってまいります。