2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業を運営するにあたり、発生する可能性のあるリスクを把握し、対策を行うことでリスクの低減に努めております。

当社グループの経営状況(経営成績、株価及び財政状態等)に重要な影響を与えうるリスクには重要項目ごとに以下のようなものがあります。ただし、これらは当連結会計年度末現在において当社グループが判断したもので、将来的に予想を超える事態が発生する場合もあり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

① 経営戦略に係るリスク

当社グループの経営戦略に係るリスクには、次に示すような経営状況(経営成績、株価及び財政状態等)に直接影響を与える可能性のあるものがあります。

番号

リスク区分

リスク内容

主な対策

原材料の調達に係るリスク

戦争やテロ等による地政学的リスク、当該国政府方針の変更、感染症、異常気象、為替変動やサプライヤーの操業停止等により、価格の高騰やサプライチェーンの途絶が発生し、主要原材料や隘路原料が入手困難な状況になると事業に影響を及ぼす可能性があります。

セイフティシステムズ事業ではサプライヤーからの部品供給の途絶により、製品供給が滞り、自動車関係会社の生産停止につながるリスクがあります。

ファインケミカルズ事業領域では原材料の高騰により利益性の低下を招くリスクがあります。特に隘路原料を使う製品では生産に十分な量が確保できず製品を欠品するリスクがあります。

医薬事業では一部の製品の原料を中国、インド等の海外に依存しております。特に輸入製剤は製品のリードタイムが長いため、国際紛争等の影響による原料・原薬の供給が途絶し、製品を供給できなくなるリスクがあります。

 

当社では顧客要求に応えるため、品質・コスト等を考慮して全ての事業領域において複数購買化による原材料の安定調達を図り、安定生産に必要な原材料が確保されるよう努めています。そのためサプライヤーの監査を定期的に実施し、品質や経営状況等を確認しております。異常気象、事故、為替変動等の情報を捉えた際には、早期に収集・共有化を行い、調達リスクをヘッジしております。

セイフティシステムズ事業では仕入先業況説明会等を開催しております。製品及び部品の需要動向等の情報をサプライヤーに積極的に開示することで、生産設備の準備遅れ等の発生防止に努めています。M&A、業務提携、資本注入、融資等も必要に応じて行い、問題発生を回避しております。

ファインケミカルズ事業領域では主要原材料や隘路原料等の調達の際にサプライヤーや商社と密に情報交換を行い、市況動向を注視し、製品の分割出荷、空輸等を活用して原材料の供給不安に対応しております。

医薬品事業では原薬の2ndソース、3rdソースを積極的に活用し、調達リスクを回避します。また、原材料の代替が不可能な製品については、基準を設けて6ヶ月以上の在庫を持つようにするなど欠品リスクの回避に努めています。

製品の品質に係るリスク

品質不良等による不具合が発生した場合、法令に基づく製品の回収、工場の操業停止、製造物責任(PL)法に基づく損害賠償及び社会的信頼性の低下等、当社の経営に影響を及ぼす可能性があります。

セイフティシステムズ事業では当社製品の品質不良による自動車の安全部品の不作動、誤作動及び異常作動等が発生し、製造物賠償責任やリコールが発生するリスクがあります。

医薬事業では医薬品等の製造管理及び品質管理の基準(GMP)等の法規に準拠し製造しており、製造承認書との齟齬、製品の品質不良に起因した健康被害、製品供給途絶が発生するリスクがあります。

アグロ事業では販売した製品に、不具合が発生し、製品回収等が発生するリスクがあります。

当社グループは市場に流通した製品において常に品質不良や不具合品の流出防止に努めています。各事業領域、事業部の品質保証部署と連携を取りながら、品質リスクの高い事象を中心に適切な監視体制が講じられていることを全社品質担当者会議等で共有しております。

セイフティシステムズ事業では自動車産業向けの品質マネジメントシステムIATF16949を適切かつ厳格に運用し、製品の品質の維持管理を強化し流出防止に努めています。項目によって全数検査を実施するなど、品質異常品が発生した場合の対策を行っています。

医薬事業では薬機法、GMP、法令遵守ガイドラインへの対応を強化し、原料・原薬サプライヤーの監査を行い、製造所の製造管理体制の維持向上に努めています。

アグロ事業では農薬の品質維持と品質不良品の漏洩対策に取組んでいます。出荷後の顧客の保管状況を想定した試験を行い、対策を行っています。

 

 

 

番号

リスク区分

リスク内容

主な対策

事業環境の変化に係るリスク

米中の貿易摩擦、ロシアによるウクライナ侵攻等、地政学的な国際情勢により、当事国顧客への当社の製品の販売に影響を及ぼす可能性があります。

セイフティシステムズ事業では製品構成の重要な材料となる火薬類の輸送が制限され、製品が顧客に供給できなくなるリスクがあります。

ポラテクノ事業の主要分野であるディスプレイ分野は同業他社との競争が激化しております。また、中国の内製化促進の影響によるリスクがあります。

ファインケミカルズ事業領域は国内外の景気変動、需要低下、競争激化等の影響を受けやすい事業です。主要分野である半導体市場は製品の工程・サプライチェーンが長くリードタイムが長期間に及ぶことに加え、関連する企業が多いため、市場の動向が読みづらく在庫調整等の影響を大きく受けます。また、新技術・新製品の開発の遅れや他社による画期的な技術革新のため、顧客ニーズを満足させる新製品をタイムリーに提供できず、収益低下を招くリスクがあります。

グローバルなマーケティング活動や顧客先との良好な関係づくり、情報交換を行い、市場・技術動向を的確に見据えた研究・技術開発を推進しております。また、入手した情報からサプライチェーンの部品在庫の動きを可能な限り数値化して、適正な在庫管理を行っています。

セイフティシステムズ事業では製品の製造に使用する火薬類を各国、各拠点での現地調達化を進めています。

ポラテクノ事業では中国販社を有効に活用し、主要顧客との良好な関係づくりと情報交換を行っています。

ファインケミカルズ事業領域では中長期的な成長に向けた新規事業創出に向けたテーマ探索・研究開発を継続して推進し、市場の需要が高い製品をタイムリーに販売しております。中国のグループ会社を活用し、中国生産品の原料素材・製品を展開して中国市場での拡大を進めています。

 

事故発生に係るリスク

当社は国内外多数の生産拠点において、生産活動を行っており、設備トラブルやヒューマンエラー等による事故が発生し、生産に影響を及ぼす可能性があります。事故が発生した場合は周辺地域への被害、操業停止等による販売機会の逸失や顧客への供給責任不履行を起こし、社会的信用の失墜等により経営状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。

セイフティシステムズ事業では火薬類を製品に使用しており、製品の製造過程において、火薬の発火事故等が発生するリスクがあります。

ファインケミカルズ事業領域では設備トラブル、ヒューマンエラー等により、事故、化学物質漏洩、品質異常が発生するリスクがあります。工場の有害な化学物質を含んだ廃液が河川に流出し、海産物等を汚染し、漁業関係者に多大な被害を与えるリスクがあります。

アグロ事業では物流事故による、製品の漏洩のリスクがあります。

工場内教育を充実させ、ヒューマンエラーを削減し、技術の継承を重視し、技術者のレベル向上を図ることにより安全を確保しております。また、安全審査・安全診断等を実施し、潜在的不安全箇所を抽出し、事故の防止に努めています。

セイフティシステムズ事業では火薬技術者を社内で独自に育成しております。また、火薬保安委員会にて技術レベルを向上させ安全を確保する活動を継続しております。設備の新設等で実施する安全審査等を通じ、事前に潜在的なリスクを洗い出し対策を行い、事故の発生防止を徹底しております。

ファインケミカルズ事業領域では設備の安全診断時や稼働時に、見落とされている可能性のある危険源の深掘をしております。また、工場から廃液が漏洩した想定での通報訓練を行い、事故発生に備えています。

アグロ事業では物流事故が発生し、製品が漏洩した想定でのBCP訓練を定期的に実施しております。

 

 

 

番号

リスク区分

リスク内容

主な対策

研究開発に係るリスク

新製品の開発の遅れや研究開発テーマが製品化できず、競争力や将来の事業成長、収益の低下となり業績に影響を及ぼす可能性があります。

セイフティシステムズ事業では新規シリンダー型インフレータ、新規ディスク型インフレータ、電動自動車用新規デバイス等の開発が遅れることにより販売数量の未達成となるリスクがあります。現行製品のコストダウンは重要な取組であり技術の向上の遅れは収益への影響があります。

ファインケミカルズ事業領域では主要分野である情報・通信分野の技術革新が速く、製品のライフサイクルが短いため、顧客ニーズを満足させる新製品をタイムリーに提供できず、収益低下を招くリスクがあります。

医薬事業では国内で医療制度改革により医療費抑制として医療薬剤費の引き下げのリスクがあります。毎年の薬価改定により利益に与える影響が大きく新製品のスケジュール通りの開発・上市が必須となっています。

アグロ事業では農薬の新製品開発は、多くの経営資源を投入し製品の有効性・安全性を長い時間を要します。

当社にとって新製品開発は事業の競争力の源泉であり、新製品の開発や新技術の確立に向け、積極的に研究開発、投資を行っています。

セイフティシステムズ事業では開発に必要な工数(要員)を計画的かつ確実に確保します。毎月の開発会議及び定期所属長ミーティング等で進捗を確認し、遅れが見られる場合はその原因となる事柄についての善後策を即時検討し事業部全体で解決しております。

ファインケミカルズ事業領域では研究所の企画担当により、中長期的な成長に向けた新規事業創出に向けたテーマ探索・研究開発を行っています。常に先を読んで新製品を開発することにより、他社より有利な製品構成を心がけています。

医薬事業では開発品、導入品の研究開発計画、スケジュール管理について更なる厳格化を図っていきます。加えて、中長期のパイプラインの充足を図るべくアライアンス活動等も積極的に行っていきます。

アグロ事業部ではテーマの進捗管理を綿密に行いながら、新しい技術導入を図り対応しております。

 

規制・政策の変更に係るリスク

当社グループの社内法規管理の不備等で法令違反等が発生し製品の出荷停止あるいは遅延が発生し、経営に影響を及ぼす可能性があります。

セイフティシステムズ事業では米中摩擦等の地政学的リスクの高まりにより、各国の火薬類・危険物の輸送及び生産、使用に対する規制が中国等で変更となるリスクがあります。

ファインケミカルズ事業領域では各国の危険物・化学物質に関する規制(化審法、REACH規制)が大きく変化した場合、変更等の手続きに時間を要することにより、原材料や当社製品の輸出入が途絶あるいは遅延するリスクがあります。

医薬事業では国内で医療制度改革が進められており毎年の薬価基準の改定をはじめとして、医療制度や健康保険等行政施策の動向によって経営に重要な影響を及ぼすリスクがあります。また、販売情報提供ガイドラインにより医薬品の情報提供に関して適切かつ厳格な活動が求められています。

アグロ事業では様々な農業政策により、環境負荷の低減を図る取組が国内外で行われており既存農薬の需要が縮小する可能性があります。

 

セイフティシステムズ事業では火薬類について可能な限り使用する拠点で製造、調達を行うことにより火薬類輸送に伴うリスクの軽減に努めます。

ファインケミカルズ事業領域では各法令、各種基準の改正動向の把握、輸出先顧客への現地法令に関する適切な情報提供を推進するとともに、法令の遵守及び法改正に確実に対応します。また、必要な費用については、最小化するとともに業績への影響を平準化していきます。

医薬事業ではライフサイクルマネジメントの観点から、市場実勢価格の低下抑制に対して理解を求め、医薬品卸に対して継続的に粘り強く交渉していきます。販売情報提供ガイドラインについて営業支援システムのKIZNAを活用し、MRの業務記録をデータベースに残すことや情報提供資材の審査徹底により販売情報提供の透明性を確保していきます。

アグロ事業では政策内容を把握し、適切に対応し新しい政策に合致した製品を開発や販売戦略を実行します。

 

 

番号

リスク区分

リスク内容

主な対策

為替レート変動に係るリスク

当社グループにおいて海外売上比率が53.6%となり為替差損が発生すると経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの海外連結子会社の財務諸表項目は、連結財務諸表作成のために円換算されているため為替レートの変動により、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

海外での事業や輸出に関連した取引において、為替レートの急激な変動に対して外貨建の売買取引額のバランスを取るなどによりリスクを最小限にすべく努めています。外貨建債権債務のバランスを取り、必要に応じて為替予約を活用しております。

 

知的財産に係るリスク

当社グループでは製品や製造等に関する様々な知的財産権を保有しております。知的財産権の侵害係争により開発中止、製品回収、損害賠償発生、研究開発投資回収の逸失、製品の競争優位性の低下等により、経営状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

海外特許データベース等を活用し、事業部・研究所とともにリアルタイムの他社特許の監視を行っています。研究所と知財部で特許会議を開催し知財リテラシー・感度の向上に努めています。懸案特許(出願)が見出された場合には、その無効化、権利化阻止や回避策を関係する事業部・研究所と対応検討します。研究テーマステージアップ時の知財クリアランスのチェック体制を確立し、確実に運用します。他社による当社権利侵害に対して事業部、研究所と知財部で対応策を検討し、必要に応じ弁護士等と協議を行い適切に対応します。

 

 

情報漏洩に係るリスク

当社グループでは守秘性の高い情報を取扱っており、強力なサイバー攻撃を受けた際には、情報が外部に漏洩し、当社の企業価値に影響を及ぼす可能性があります。また、在宅勤務の定着化に伴い、PCや機密情報を社外(自宅)で閲覧、活用する機会が増えており、移動中の紛失リスクがあります。

 

自社ネットワークと外部ネットワークとの間にファイアウォール等を設置し、不正なアクセスを防止するとともに、外部からの不審なメールをチェックし排除するなどリスク管理に努めています。設定したファイアウォールを超えるような強力なサイバー攻撃に備え、常に新しい情報を入手し、システム面での情報セキュリティを高めることにより、対応しております。情報を扱う従業員に対し情報セキュリティや適切な情報の取扱い等に関して教育を実施し機密情報、PCの管理の徹底を図り情報漏洩のリスクの低減を努めています。

 

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コンピュータシステムの停止に係るリスク

当社はコンピュータシステムを使用して、購買・生産・出荷及び決算の業務を行っています。そのため、コンピュータシステムの予期せぬ障害や災害発生等により、コンピュータシステムが一時的に使用不能な状態になってしまう場合があります。その場合、購買・生産・出荷・決算の業務が滞り、経営成績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

事業活動において、機密データを含む財務情報、技術情報、個人情報等を、電子情報を含む様々な形式で蓄積・利用しております。そのため、ハッカーやコンピュータウイルスによる攻撃、情報を管理するシステム及びネットワークにアクセスできる者による不正使用・誤用等によって、機密データの漏洩、業務の中断、それに伴う法的請求、訴訟、賠償責任等が発生し、経営成績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社のコンピュータシステムは、ハードウェアを専用のデータセンターに設置し、二重化や仮想化及び遠隔地へのデータ退避等により可用性を高め、万が一システム障害が発生した場合でも、コンピュータシステムに大きな影響を与えないようリスク管理に努めています。

アンチウイルスソフトを導入するとともに、自社ネットワークと外部ネットワークとの間にファイアウォール等を設置し、不正なアクセスを防止するとともに、外部からの不審なメールをチェックし排除しております。また、情報を扱う従業員に対してもセキュリティ教育を行い、適切な情報の取扱いをするよう指導しております。

今後のデジタル化を進める事で新たに生じる情報セキュリティリスクに対しては、段階的にその対応を進めることを計画し、導入していきます。

情報セキュリティ全般を新たに設立された情報リスク管理部会を中心に活動を強化していきます。

 

 

 

自然災害・気候変動対応に係るリスク

 当社グループの自然災害・気候変動対応に係るリスクには、次に示すような人的、物的被害が生じ、事業  

 継続に影響があり、経営戦略に著しく影響を及ぼす可能性のあるものがあります。

番号

リスク区分

リスク内容

主な対策

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自然災害に係るリスク

地震や台風等による大規模な自然災害の発生した場合、工場・研究所・事業所等当社の施設の稼働が停止するリスクがあります。また、物流の途絶等により製品の供給に影響を及ぼす可能性があります。

ポラテクノ事業の上越工場は豪雪地帯にあり、冬季の豪雪災害による操業停止のリスクがあります。

ファインケミカルズ事業領域の厚狭工場、東京工場及び研究所は河川に面しており、河川氾濫による水害のリスクがあります。さらに、厚狭工場では豪雨による土砂災害が想定されます。また、福山工場は臨海の工業団地にあり、工業団地のライフライン停止や地震による津波被害が想定されます。

 

地震や台風等による自然災害に備え事業継続(BCP)マニュアル等を策定しております。国内の各事業部、事業所や海外グループ会社においてもBCPマニュアルを策定し、定期的な見直しや計画的に訓練を実施しております。また、災害等の発生に備え適正安全在庫や調達先との緊密な連携による原材料の確保や複数購買化を推進してまいります。

セイフティシステムズ事業では全世界に生産拠点を持ち、グローバルな供給保管体制を確立しております。

ファインケミカルズ事業領域では製造委託先とのアライアンス等による複数生産拠点化を行い、製造委託先のリスク管理を行っています。各工場の設備老朽化対策を計画的に実施しており、東京工場では耐震問題への対策を実施しております。

医薬事業では2022年に大阪に物流センターを設置し東西の物流センターを効率的に運用し災害発生時の安定供給に備えています。

 

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気候変動対応に係るリスク

気候変動(地球温暖化)対策は当社グループで対応すべき課題です。しかしながら世界的に広がりを見せている炭素税導入による原材料費高騰や外部支払費用のアップ、CO2削減義務の強化に伴う設備投資費アップ等による利益圧縮は、経営状況に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動対応に関して顧客からの要望に応えられないことによる信用失墜や、投資家から取組不足と判断されることによるイメージダウンを招く可能性があります。更には地球温暖化による物理リスクとして、洪水や水ストレス増加に伴う渇水の影響で工場の操業停止があります。

 

気候変動に関する国際的な最新の動向を把握するとともに、投入資源のムダや、使用エネルギーのムダを見える化し削減するための手法(MFCA)を展開して、温室効果ガスの排出の削減や、太陽光発電や高効率コジェネ等の分散化電源の導入を行い、Scope2の排出削減を推進しております。

また、パリ協定に整合した目標設定と様々な気候変動関連開示プラットホームへの適切な開示を行い、ステークホルダーからのレピュテーションリスクの低減を図っています。物理リスクに対しては、洪水シミュレーション結果に基づく適切な洪水対策の立案を推進するだけでなく、水ストレスの高い地域の生産の節水対策についても検討を進めています。

 

 

 

 

③コンプライアンスに係るリスク

 当社グループのコンプライアンスに係るリスクには、次に示すような企業の予期せぬ損失や信用の失墜を

 招く可能性のあるものがあります。

番号

リスク区分

リスク内容

主な対策

13

法令違反等コンプライアンスに係るリスク

当社グループは、事業を営む各国の法令等に従って、事業活動を行っています。将来における法令、規制及び政策等の制定及び変更による当社グループの事業活動の制限やコストの増加により、経営又は事業に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、事業活動は多岐にわたるため訴訟、係争、その他の法的手続きの対象となる可能性があります。重要な訴訟等が提起されることにより、経営又は事業に重要な影響を及ぼす可能性があります。一方で事業環境の厳しさ等により製品の差別化要求、販売スケジュールや製品納期の切迫、業績目標達成圧力等に関連した不正につながる要因が高まることが懸念されます。また、世代間や従業員の多様性による価値観の相違によりハラスメント等の発生するリスクが増加する可能性もあります。当社グループ及び委託先等で不正行為を含め重大な法令違反が発生した場合、取引の中止や信頼の低下により経営に影響を及ぼす可能性があります。

 

官報等の定期的な確認と社内やグループ会社への周知、顧問弁護士及びコンサルティング会社との緊密な相談並びに各国のグループ会社の担当者との連携を通じて、法令の制定及び改正に係る情報を迅速に入手可能な環境を整備しており、法令遵守に応じた組織体制を構築しております。

事業活動に関わる各種法令の遵守、契約条件の綿密な検討及び内容の明確化並びに相手方との誠実な協議等により、紛争の発生を未然に防ぐように努めています。また、重要な訴訟の提起や状況に関する報告が迅速かつ確実になされる仕組みを構築し、各国のグループ会社の担当者や弁護士等と連携し、訴訟等に対応する体制を維持します。訴訟に備えて、リスクをカバーする適切なPL保険や会社役員賠償責任保険等に加入しております。

倫理委員会の活動を通じてコンプライアンス違反を未然に防ぐよう努めております。またコンプライアンス・ホットライン(内部通報窓口)の設置、コンプライアンス研修等を実施し事業活動に関連する法令等が遵守されるよう徹底しております。また、お取引先からのコンプライアンス・ホットラインを設置し会社のホームページ上で公開し業務上の取引等に関してコンプライアンス違反の早期発見・未然防止に努めています。

 

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主の皆様への利益還元を重視しております。2022年度からスタートした4ヵ年中期事業計画(KAYAKU Vision 2025,KV25)期間では、安定的かつ継続的な利益還元と内部留保レベルを勘案し、配当性向は、連結当期純利益の40%以上を目標といたします。さらに、内部留保を十分確保しながら、利益還元の一環として自己株式取得を機動的に実施いたします。内部留保は、将来の発展に向けて持続的に成長するために研究開発投資・設備投資・投融資などに充当いたします。KV25最終年度においてROE 8%以上の達成を目指し、引き続き企業価値を高めてまいります。

当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当金については株主総会、中間配当については取締役会であります。なお、当社は「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる」旨を定款に定めております。当連結会計年度は2023年9月30日を基準日として中間配当を実施しました。

当連結会計年度の期末配当金は、1株当たり22.5円とし、先に実施した中間配当金(1株当たり22.5円)と合わせて、年間配当金は1株当たり45.0円となり、連結での配当性向は181.4%となりました。

(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額
(百万円)

1株当たり配当額
(円)

2023年11月7日

取締役会決議

3,731

22.50

2024年6月26日

定時株主総会決議

3,732

22.50