リスク
3【事業等のリスク】
(1)リスクマネジメント体制
リスクに関しては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項」に記載の「リスク管理体制の整備」の通りに体制を整備しております。
<リスク管理体制>
特に重要と認められるコンプライアンスやリスクに関しては、これに対応する、環境・安全推進委員会、独占禁止法遵守推進委員会、グループ品質コンプライアンス委員会、安全保障貿易管理委員会、財務報告リスク評価委員会、コンプライアンス推進委員会、サステナビリティ委員会等を組織横断的に設置し、各専門テーマに関する審議・調査・指導・啓蒙活動を行うとともに、各事業部門がそれぞれの部門に応じたリスク管理を行っております。
<発現したリスクへの対応>
新たなリスクが生じた場合、又は生じる可能性がある場合には、速やかに対応責任者となる執行役員を定めることとしております。取締役会は、随時、担当執行役員及び各委員会から報告を受け又は報告を求めることにより、リスクの把握に努め、必要な対策を講じる事としております。そして、ステークホルダーに対して、適時・適切な情報開示を行っております。
(2)事業などのリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当該事業等のリスクについては、当連結会計年度末日現在の判断によるものであり、また、当社グループの事業上のリスクすべてを網羅しているものではありません。
① 経済動向及び販売市況の動向
国内外での経済動向の著しい変化や当社グループの製品を展開する関連業界の動向に伴う販売市況の変動に対しては、随時モニタリングを行い、事業への影響を迅速に把握できる体制を整えておりますが、予期できない程度の変化・変動があった場合、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合他社との競争
当社グループは、多岐にわたる製品の開発・生産・販売を行っており、様々な企業と競合しております。当社グループは今後とも競争力の維持・強化に向けて研究開発及び技術開発の強化など様々な取り組みを進めてまいりますが、競争優位性が確保できない場合、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定分野への依存
当社グループは、既存顧客との更なる関係強化を図ると共に、新規顧客の開拓により、販売先の多様化を推進しておりますが、一部製品の販売では、特定の顧客に依存しているため、当該顧客の投資・販売計画及び資材調達の方針等が当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 海外情勢の変化
海外において、予期しない法令又は規制の変更、政治及び社会情勢の変化、テロ、戦争、感染症、その他の要因による社会的混乱などにより予期し得ない事態が発生した場合、当該地域での事業活動のみならず、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 原材料の市況及び調達
当社グループの製品は重油等、市況変動の影響を受ける原材料や調達先が限られる特殊な原材料を使用しております。原材料の購入価格の低減、並びに原油デリバティブや主要原材料の備蓄を行うなど安定調達に向けた施策を推進しておりますが、市場価格の高騰並びに入手難による調達遅れが発生した場合、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 公的規制
当社グループが事業活動を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けております。これらの法令の予期しない変更や新たな適用により、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 環境規制
当社グループは、様々な環境関連法令の適用を受けております。当社グループはこれら法令に細心の注意を払い事業活動を行っておりますが、過去・現在及び将来の事業活動において、環境に関する費用負担の増加や賠償責任が発生する可能性があり、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
尚、当社グループは、様々なフッ素関連製品を製造・販売しております。炭素とフッ素の原子を持つ化学物質は広い括りでPFASと総称されますが、PFASの中でも、環境や人体への影響懸念から、PFOSやPFOAといったごく一部が規制対象となっており、当社グループではこれら規制対象製品の製造・販売は行っておりません。一方、昨今、欧州などで全てのPFASを一括して規制しようとする動きがあるため、当社は、当社グループのフッ素関連製品が産業上の重要な役割を担っていることを踏まえ、欧州当局へのパブリックコメントの提出や、一部PFASフリー製品の開発も進めておりますが、今後の規制の内容次第では、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 製造物責任
当社グループでは、製造物について、欠陥をなくし、安全性を高め、欠陥によって生じる製造物責任を予防することを目的に規程を設け、品質の確保に取り組んでおりますが、予期せぬ事情により品質問題が発生した場合、賠償金など発生する損失の全てを生産物賠償責任保険によって補填できない可能性があり、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 知的財産権に関する問題
当社グループでは、知的財産権の重要性を認識し、その保護に努めておりますが、予期しない事情により当社グループと第三者との間で知的財産権に関する紛争が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 訴訟
当社グループでは法令遵守に努めておりますが、事業活動に関連して取引先や第三者から重要な訴訟を提起された場合、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 災害・事故
地震、台風等の自然災害や火災等の事故災害が発生した場合、当社グループの拠点の設備等の損壊や電力、ガス、水の供給困難により、一部または全部の操業が中断し生産及び出荷に影響が及ぶ可能性、並びに損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生する可能性があります。この結果、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではこれらの影響を最小限にするため、自然災害や事故に対する対応策の検討や訓練を継続的に実施しております。
⑫ 為替の変動
当社グループは、世界の各地域にて事業活動を行っております。一般に現地通貨に対して円高は当社グループに悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。当社グループにおいては、為替相場の変動リスクを縮小あるいはヘッジするための対策を講じておりますが、為替相場の大幅な変動は、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 固定資産の価値下落
当社グループでは、既存事業に係る設備について、今後の事業の収益性や市況等の動向によっては、固定資産の減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 感染症の拡大に係る従業員の感染リスクと事業継続リスク
感染症の影響が長期化した場合、個人消費の低迷、国内外のサプライチェーンの停滞などにより、当社グループの事業活動が停滞し、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
感染症の拡大により、当社グループの従業員が罹患した場合、工場の操業停止や営業活動の自粛など、当社グループの事業継続に影響を及ぼす可能性があります。
感染症が拡大した場合は、当社グループの従業員及びその家族の健康に配慮し、国内外の出張を制限するとともに、在宅勤務や時差出勤の推奨、オンライン会議の活用等の感染防止策に取り組み、事業への影響を最小限に抑えるよう努めます。
⑮ サイバーセキュリティ
当社グループは、生産、販売、研究開発などの事業活動において、ネットワーク、システムを利用しております。近年、サイバー攻撃はこれまで以上に技術が高度化し、攻撃手法も多様化・巧妙化しており、このような状況を踏まえ、当社グループはサイバーセキュリティに関しリスクとして認識し、情報システム部門を中心に、ネットワーク及びシステムの監視をはじめとする各種サイバー攻撃対策を講じております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、サイバー攻撃やそれに伴う深刻なシステム障害等により実質的に事業活動が中断した場合、または個人を特定できる情報を含む重要データが逸失、破損、社外流出した場合、当社グループの財政状態と経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑯ 人的資本
当社グループは、競争の激しい市場において、製品やサービスの提供を継続し企業価値の向上のため、多様な技術・知識・視点を融合させてイノベーションを生み出せる高い専門性を持つ人材を獲得する必要があり、また経験豊富な人材並びに業務やプラント運転操作等のノウハウを持った人材確保も重要となります。こうした優秀な人材の確保が困難となる場合や、重要な人材の流出が生じた場合には、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対して、当社は「エンゲージメントの向上」「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進」「健康経営の推進」の3つの観点で人的資本経営を推進しております。
⑰ 気候変動
当社グループが事業展開する各国において、GHG排出量規制や税の賦課が導入された場合や、当社グループの拠点がある地域にて気候変動による自然災害が増加した場合、当社グループの財政状態と経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対して、当社は気候変動が当社事業に与える影響について、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の枠組みに沿って対応しております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、企業価値の最大化を目的とし、投資と資金調達の最適化を重視した資本構成を目標としております。利益配分につきましては、企業体質の強化を図るため、研究開発や設備投資など将来の事業展開のための内部留保の充実を考慮しつつ、長期的視点に立って業績に見合った安定的な配当を行うことを基本方針としております。また、「剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議によって定める。」旨、また中間配当と期末配当のほか、基準日を定めて剰余金の配当をすることができる旨、定款に定めております。
利益還元につきましては、株主総還元性向に加えDOE(株主資本配当率)を指標として設定しております。
これにより、当事業年度の期末配当金は、1株につき101円50銭とし、年間の配当金は中間配当金57円50銭と合わせて、1株当たり159円となります。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年11月6日 |
1,454 |
57.50 |
取締役会決議 |
||
2024年5月24日 |
2,566 |
101.50 |
取締役会決議 |