2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書等に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重大な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。

 また、リスク管理の体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しています。

 

(1)需要・市況変動による影響

 当社グループは、紙・板紙事業、ホーム&パーソナルケア事業及びその他の事業を行っていますが、主力製品である紙・板紙製品及び家庭紙商品の大幅な需要減少、製品市況の著しい下落により販売数量・販売金額の減少が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 紙・板紙事業部門においては、品種毎の需要変動や市況変動に対し、基幹工場である三島工場・可児工場にて柔軟に生産品種のシフトを行うといった生産体制の整備・見直しを実施しています。

 また、ホーム&パーソナルケア事業部門においては、家庭紙商品における大幅な需要減少、製品市況の著しい下落により販売数量・販売金額の減少が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これに対して、特定の商品カテゴリーにおける需要変動又は市況下落が全体に及ぼす影響を極小化できるよう、衛生用紙から吸収体製品まで幅広い商品ラインナップを持ち、それらを複合的に組み合わせた営業戦略を遂行するとともに、生活者から支持される商品を提供することを通じて、市況の変動に負けない強い営業スタイルを確立しています。

 

(2)原燃料価格変動、及び為替相場の変動による影響

 当社グループは木材チップ・古紙・薬品・重油・石炭等の原燃料を国内及び海外から購入しており、原燃料価格の変動に加え、外貨建てで取引されている原燃料の調達に関しては為替相場の変動も、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、為替相場変動については、海外への紙・板紙製品及び家庭紙商品の輸出販売や海外子会社での販売活動にも影響を与える可能性があります。なお、当社グループでは為替相場変動による経営成績への影響を軽減する目的で、一部の取引に為替予約を利用したリスクヘッジを実施しています。また、原燃料価格変動に対する取引先を含めた体制強化や情報交換の活発化の重要性を踏まえ、「SDGs調達」を推進することで、取引先と一体となってCSRやSDGsに配慮しつつ、公平・公正な取引の実現、品質・技術力の向上、事業継続計画の策定による安定供給体制の確保を図っています。

 

(3)海外事業による影響

 当社グループは成長戦略のひとつとして、ホーム&パーソナルケア海外事業部が中心となって中国、韓国、東南アジア諸国、トルコ、ブラジル等での事業展開に取り組んでいますが、海外における事業展開には為替相場の変動や現地政府による規制、外交関係や国民感情の悪化、政治不安等による経済環境の変化等が発生するリスクがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 これらに対し当社グループでは、グループ各社や日本の担当部署が収集した最新情報を関係者間で共有し、適切に対応することで、リスクの最小化を図っています。

 

(4)自然災害及び感染症等による影響

 当社グループの生産、物流拠点等がある地域で災害が発生した場合には、生産設備の破損、操業の中断や遅延、物流機能の停止、原材料・製品・商品の滅失、復旧費用の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、感染症等の拡大が発生した場合には、世界的な景気の悪化により販売数量の減少や原材料価格の高騰、原材料確保の難化、物流機能の低下等が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 そうした中で当社グループでは、災害発生時の被害の極小化、事業の早期復旧を図るため、グループを横断したBCM(事業継続マネジメント)の整備、実効性向上に向けた取り組みを進めています。

 

(5)法的規制・訴訟による影響

① 法的規制に関するリスク

 当社グループは、環境規制、知的財産権、製品及び原材料の品質・安全性、商品の表示に関する法令や競争法、労働法令等その他様々な国内外の法規制等の適用を受けて事業を行っています。

 当社グループでは、海外子会社を含むグループ全体へ「大王グループ行動規範」を周知・教育する等してコンプライアンスの強化に取り組んでいますが、法規制等について遵守できなかった場合や変更・改正が生じた場合には、当社グループの事業又は業績に影響を及ぼす可能性があります。

 リスクを識別・評価するとともに、リスクの重要性に応じた適切な対応策を講じることで、リスクの顕在化を未然に防止し、法規制等を遵守した運営に取り組んでいます。

 

② 訴訟に関するリスク

 当社グループは事業活動に関連して各種の訴訟等に巻き込まれるおそれがあり、その結果によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 訴訟等やレピュテーションに悪影響を及ぼす事象が生じた場合には、弁護士事務所と連携し、対応する体制を整備しています。迅速な対応を行い、必要に応じて適切な情報を公表することで、当社グループのレピュテーションの維持に努めていきます。

 

(6)情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、サイバー攻撃による事業停止や情報漏洩を重要なリスクと認識しています。そのため、ファイアウォールによる不正通信の遮断や次世代ウィルス対策ソフトの導入、不正アクセスの監視、メールフィルタリング、セキュリティパッチの適用、セキュリティ診断等を実施しており、復旧計画に基づき定期的なシステム復旧訓練も行っています。

 個人情報漏洩防止に関してはAI機械学習等の最新のウィルス対策の導入やクラウドサービスの利用により特に強化を図っています。教育面では、標的型攻撃メール訓練を毎年実施するとともに、ITセキュリティ管理規則を制定し、外部デバイスの使用禁止等のセキュリティ対策を社員に徹底しています。

 

(7)金利変動による影響

 当社グループは有利子負債の削減に取り組んでいますが、大幅な金利の上昇が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは金利変動による経営成績への影響を軽減するため、主として固定金利の長期借入にて資金調達を行うことにより、短期的な金利上昇リスクへの対応を図っています。

 

(8)財務制限条項の付された借入契約による影響

 当社グループが複数の金融機関との間で締結している借入契約の一部には、各年度の決算期の末日における連結貸借対照表の純資産の部の金額や、各年度の決算期における連結損益計算書の経常損益等を基準として財務制限条項が付されており、これに抵触した場合には借入金の返済を求められ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)投資有価証券の価格変動による影響

 時価のあるその他有価証券は決算日の市場価格等に基づく時価法により評価するため、決算日の株価によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは政策保有株式の縮減を進めており、保有株式を削減することで価格変動による影響も総額として縮小させていく方針です。

 

(10)固定資産の減損会計による影響

 当社グループは、有形固定資産やのれん等の固定資産を保有していますが、これらの資産については減損会計が適用されており、当該資産から得られる将来キャッシュ・フロー又は当該資産の正味売却価額の何れか高い方の金額によって資産の帳簿価額の回収可能性を検証し、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っています。しかし、経営環境の著しい悪化により事業の収益性が低下した場合や市場価格が著しく下落した場合等には、固定資産の減損会計の適用による減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)気候変動に関するリスク

 気候変動に関するリスク内容、対応策については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応」に記載のとおりです。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主への利益還元を経営の最重要課題の一つと認識し、業績の状況や内部留保の充実等を勘案しながら安定的な配当を継続することを基本方針としています。

 当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としています。

 これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会です。

 当事業年度(第113期)は、上記基本方針に基づき1株当たり年16円00銭(うち中間配当7円00銭)の配当を実施しました。

 内部留保資金の使途については、成長分野への先行投資、将来の企業競争力を高める設備投資、財務体質の改善など企業基盤の一層の強化を図るべく有効に活用する所存です。

 当社は、「取締役会の決議をもって、毎年9月30日の最終の株主名簿に記載又は記録されている株主又は登録株式質権者に対し、金銭の分配として中間配当を行うことができる」旨を定款に定めています。

 

 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりです。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月10日

1,173

7.00

取締役会決議

2024年6月26日

1,508

9.00

定時株主総会決議

(注) 2023年11月10日開催の取締役会決議の配当金の総額には、株式交付信託に係る信託口に対する配当金6百万円、「従業員持株会信託型ESOP」の導入に伴い設定した持株会信託に係る信託口に対する配当金0百万円が含まれています。また、2024年6月26日開催の定時株主総会決議の配当金の総額には、株式交付信託に係る信託口に対する配当金8百万円が含まれています。