2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 2,061 100.0 302 100.0 14.7

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社は、LSI(Large Scale Integrated Circuit,大規模集積回路)やFPD(Flat Panel Display, フラットパネルディスプレイ)をはじめとした電子デバイス及び磁気ヘッドやMEMS(Micro Electro Mechanical Systems,マイクロマシン) 等の微細加工部品を設計するための電子系CAD(Computer Aided Design, コンピューターによる設計支援)ソフトウェア製品を自社開発し、販売・サポート・コンサルテーションを行っております。電子系CADソフトウェアは、一般にEDA(Electronic Design Automation,電子設計用CAD)と呼ばれており、電子機器や電子デバイスの設計作業に対して、コ ンピューティングシステムのもとで、設計者の手足となり時には代行者として、設計品質の検証や自動化を支援するものであります。さらに当社は、EDA製品の販売やサポートに加えて、ソフトウェアの受託開発、半導体やFPD等電子デバイスの設計受託、及びEDA環境構築支援等のソリューション・ビジネスも行っております。

 

当社の事業の系統図は、次のとおりであります。

 


 

当社は、EDA製品、保守サービス及びソリューションを、顧客に提供しております。当社の主な顧客は、半導体メーカー、液晶パネルメーカー、電子機器メーカー、マスクメーカー、設計受託会社等であります。国内顧客への販売は、直販が中心でありますが、米国、台湾、中国、韓国等海外顧客への販売は、現地代理店を通じて行っております。

 

 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度における、当社の主要顧客である半導体やFPD(Flat Panel Display)等を始めとした電子部品業界は、中国市場の低迷の回復が予測できない中、スマートフォンやパソコン等の一部電子部品の需要減速が終息し、在庫調整も終え復調傾向の状況を呈しております。さらに省エネルギー化そしてEV化の普及によりパワー半導体の需要が伸長している状況となっております。FPD市場においては、テレビ用の大型液晶パネルの単価下落が一段落し復調傾向の状況となっております。さらに車載用の液晶パネルは大型化及び高付加価値化により需要が高まっております。

こういった状況の中、当社は産官学との協力関係を深めアナログ半導体向け設計環境の効率化を追求し続けており、主力製品であるSX-MeisterにおけるアナログLSIの設計自動化に向けたACC(Analog Chip Compiler)製品及びパワー半導体向け製品の開発力を強化し、6月と2月に最新の自動化機能を実装したバージョンをリリースいたしました。国内の販売促進活動においては、4年ぶりとなる対面式のプライベートセミナーを開催し、また新たな代理販売製品に関するウェビナーを開催し特長を積極的にアピールしました。海外市場においては、半導体市場向けに大規模フォトマスクデータブラウザ:HOTSCOPEの拡販にも注力し売上に貢献しました。デバイス設計受託サービスにおいては、国内の設計委託の活発な需要を受け、大幅に売上を伸ばしました。

これらの活動の結果、当事業年度の売上高はデバイス設計受託が伸長したこともあり20億60百万円(前年比2.1%増)となり、営業利益は3億2百万円(同13.1%増)となりました。経常利益は、助成金収入に加え大幅な円安による為替差益等により3億74百万円(同17.9%増)となりました。当期純利益は、外国税額控除等を適用した結果3億28百万円(同23.4%増)となりました。

 

種目別の売上状況は次のとおりであります。

(製品及び商品売上高)

製品及び商品売上高は11億26百万円前期比3.1%減)となりました。

製品及び商品売上高が減少した主な理由は、第1四半期のFPD顧客向けの売上減少の影響を受けたこと並びに国内顧客の設備投資の延期によるもの等であります。引き続き国内外の市場に向けた積極的な営業活動を展開してまいります。

(保守サービス売上高)

保守サービス売上高は4億20百万円前期比0.4%増)となりました。

保守サービス売上高が増加した主な理由は、国内市場の縮小傾向に逆行するべく、積極的な新機能提案活動に加えて保守契約の締結促進を実施した結果、保守契約の減少を凌駕したことによるものであります。引き続き顧客ニーズに合わせたサポート・サービスの向上に努めてまいります。

(ソリューション売上高)

ソリューション売上高(受託開発等)は5億14百万円前期比17.7%増)となりました。

ソリューション売上高が大幅に増加した主な理由は、アナログICの需要の高まりによるデバイス設計委託需要の拡大を受けて伸長したことによるものであります。引き続き半導体関連の既存顧客の売上拡大に加えて、新規顧客の開拓を積極的に進めてまいります。

 
② キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末に比べて1億63百万円(6.0%)減少25億47百万円となりました。

営業活動の結果使用した資金は65百万円(前期は3億11百万円の収入)となりました。主な内訳は、前受金の減少2億29百万円及び、売上債権の増加1億73百万円であります。

投資活動の結果使用した資金は、48百万円(93.6%)減少して3百万円となりました。主な内訳は、無形固定資産の取得による支出2百万円を計上したことによるものであります。

財務活動の結果使用した資金は、前期比21百万円(28.4%)増加して96百万円となりました。内訳は、配当金の支払額96百万円であります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当社はEDAソフトウェアの開発・販売及びコンサルテーション業であり、生産実績の把握が困難でありますので、記載を省略しております。

 

b. 仕入実績

当事業年度における仕入実績は、次のとおりであります。

 

仕入区分(注)

当事業年度

(自 2023年4月1日

2024年3月31日)

仕入高(千円)

前年同期比(%)

材    料

172,135

186.9

商    品

165,503

76.1

合計

337,639

109.1

 

(注)  当社は仕入実績を売上原価の区分別で記載しております。

 

c. 受注実績

当事業年度における受注実績は、次のとおりであります。

 

受注区分(注)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

受注高
(千円)

前年同期比
(%)

受注残高
(千円)

前年同期比
(%)

製品及び商品

1,030,705

102.3

1,010,791

91.3

保守サービス

430,793

121.2

350,931

103.1

ソリューション

534,384

126.2

30,745

295.0

合計

1,995,883

111.7

1,392,468

95.5

 

 (注)  当社は受注実績を売上区分別で記載しております。

 

d. 販売実績

当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

販売区分(注)

当事業年度

(自 2023年4月1日

2024年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

製品及び商品

1,126,344

96.9

保守サービス

420,485

100.4

ソリューション

514,061

117.7

合計

2,060,890

102.1

 

(注) 1. 当社は販売実績を売上区分別で記載しております。

   2. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

ソニーセミコンダクタソリューションズ(株)

245,348

12.2

216,684

10.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたり、資産・負債の残高及び収益・費用の金額に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績や現在の状況並びに現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられる見積りを採用しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況」中、「1財務諸表等(1)財務諸表」の「注記事項」の「重要な会計方針」に記載しております。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当事業年度の経営成績等は次のとおりであります。

(売上高)

当事業年度における当社の売上高は、前期比42百万円(2.1%)増加20億60百万円となりました。

種目別の内訳といたしましては、製品及び商品売上高は、前期比36百万円(3.1%)減少11億26百万円、保守サービス売上高は、前期比1百万円(0.4%)増加4億20百万円、ソリューション売上高は、前期比77百万円(17.7%)増加5億14百万円であります。

市場別にみますと、半導体市場においては、アナログICの需要の高まりによるデバイス設計委託需要の拡大を受けてソリューション売上が拡大した結果、前期比71百万円(4.9%)増加の15億24百万円となりました。液晶パネル等のFPD市場につきましては、国内液晶メーカーの撤退や事業縮小の影響を受け、前期比28百万円(5.1%)減少の5億36百万円となりました。

 

(売上総利益)

売上原価は前期比60百万円(8.4%)増加7億72百万円となりました。売上総利益は、利益率の高い自社開発製品に比べて代理販売品の売上比率が拡大したことにより利益率がやや低下した結果、前期比17百万円(1.3%)減少12億88百万円となりました。

 

(営業利益)

販売費及び一般管理費のうち、研究開発費に関しては、引き続き主力製品である「SX-Meister」の開発投資を集中的に行った結果、前期比4百万円(1.4%)減少の3億20百万円となり、売上高比率としては15.6%となりました。その他経費については継続的な見直しを行い、販売費及び一般管理費合計は前期比52百万円(5.0%)減少9億85百万円となりました。

以上の結果、営業利益は35百万円(13.1%)増加3億2百万円となりました。

 

(経常利益)

営業外収益は、助成金収入及び為替差益の増加により、23百万円(47.6%)増加74百万円となりました。

営業外費用は、主に投資事業組合運用損の発生により2百万円となりました。

以上の結果、経常利益は前年同期比56百万円(17.9%)増加3億74百万円となりました。

 

なお、当社が目標とする経営指標は経常利益率10%以上でありますが、助成金収入に加え大幅な円安による為替差益等により、経常利益率18.1%(前年同期は15.7%)となり、目標を達成しております。

 

(当期純利益)

税引前当期純利益は、前年同期比56百万円(17.8%)増加し、3億74百万円となりました。法人税、住民税及び事業税として63百万円(前年同期比0.8%増)、法人税等調整額を18百万円(前年同期比51.6%増)減算したことにより、当期純利益は前年同期比62百万円(23.4%)増加3億28百万円となりました。

 

当事業年度の財政状態の分析は次のとおりであります。

(流動資産)

流動資産は、前期比17百万円(0.4%)増加41億98百万円となりました。その主な要因は、現金及び預金が前期比1億58百万円(4.4%)減少34億85百万円になった一方で、売掛金が1億6百万円(34.0%)増加4億18百万円となったこと及び、電子記録債権が67百万円(40.4%)増加2億35百万円となったことによるものであります。

 

(固定資産)

固定資産は、前期比7百万円(2.4%)増加3億17百万円となりました。固定資産の内訳は、有形固定資産が前期比8百万円(28.2%)減少22百万円、無形固定資産が前期比4百万円(19.5%)減少18百万円、投資その他の資産が前期比20百万円(8.1%)増加2億77百万円となりました。投資その他の資産の増加の主な要因は、繰延税金資産が18百万円(22.4%)増加99百万円となったこと及び、投資有価証券が前期比13百万円(11.2%)増加1億38百万円となったことによるものであります。

 

(流動負債)

流動負債は、前期比2億7百万円(17.5%)減少9億77百万円となりました。その主な要因は、前受金が前期比2億29百万円(26.5%)減少6億37百万円となったこと及び、買掛金が52百万円(45.6%)減少63百万円となったことによるものであります。

 

(固定負債)

固定負債は、前事業年度末と同額の3百万円となりました。内訳は、資産除去債務であります。

 

(純資産)

当事業年度末の純資産残高は、前期比2億32百万円(7.0%)増加35億34百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が前期比2億32百万円(13.9%)増加19億7百万円となったことによるものであります。

この結果、自己資本比率は前事業年度末の73.5%から78.3%となりました。

 

当事業年度のキャッシュ・フローの分析は次のとおりであります。

当事業年度のキャッシュ・フローの分析は、(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況 に記載のとおりであります。

なお当社は、事業の更なる拡大に向けて将来的にM&Aや技術提携ならびにIP調達等を行う方針であり、そのための資金の調達源として当社が現在保有している現預金等を充当する予定であります。それらの資金に関しましては、案件が発生した場合に速やかな資金調達を実現するべく高い流動性を維持しております。