リスク
3【事業等のリスク】
以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となり、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資者の判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。
なお、以下の記載は、当社グループの株式投資に関する全てのリスクを網羅しているわけではないことをご留意ください。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(a) 事業内容について
① コンテンツサービスの企画開発力等について
当社グループが事業領域とするモバイルコンテンツ市場は、スマートフォンやタブレット端末の普及、通信技術等の高度化、利用者の嗜好・ニーズの多様化に伴い、需要の拡大と業界内での競争激化が顕著になってきております。
このような中で、当社グループは利用者の嗜好・ニーズを捉えた魅力あるコンテンツサービスを、より早く企画・提供することを主眼に置いた事業展開を図っております。加えて、同じ嗜好や趣味を持つ利用者に対して、多様なコンテンツサービスを複合的に提供することで、サイトの差別化を図るとともに、利用者の当社グループのサイト間における回遊性の向上を図っております。
しかしながら、モバイルコンテンツ市場の急激な変化や、当社グループの企画力の低下、サービス提供の遅延等により利用者の嗜好やニーズに対応できない場合、あるいは競合他社による優位性の高いサービスの提供等が著しい場合、利用者数の減少等により、当社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
② キャリア及びインターネットサービスプロバイダーへの依存について
当社グループのコンテンツ事業においては、株式会社NTTドコモ(提供する携帯電話端末向けサービスの総称:NTT docomo、以下、各社同様)、KDDI株式会社(au)及びソフトバンクモバイル株式会社(SoftBank)といったキャリアの公式サイトとして、コンテンツを提供し、それらキャリアを通じて利用料の回収を行っております。そのため、当社グループの売上高に占める各キャリアを通じた売上高比率が高い状態にあります。
また、当社グループは、各キャリアとの間でコンテンツ配信及び情報料回収代行サービスに係る契約を締結しており、これら契約は自動更新されることとなっております。しかしながら、各キャリアの経営方針が変更された場合や、当社と各キャリアとの関係が悪化するなど何らかの要因により当該契約の更新がなされない場合、当社グループの事業展開並びに経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 債権の回収について
当社グループは、コンテンツ配信により生じる情報料の回収について、キャリアとの間で情報料回収代行サービスに関する契約を締結し、当該業務を委託しております。このうち、株式会社NTTドコモ及びKDDI株式会社との回収代行の契約においては、情報料の回収が行えないまま代行回収が終了した場合、それら回収代行業務は免責されることと定められております。その場合、当社グループには料金未納者に関する情報が提供され、当社グループは未納者に情報料を直接請求することができますが、1件当たりの金額並びにそれらの合計金額のいずれも少額であり、諸経費を鑑みれば経済的合理性が乏しいことから、未納者からの直接料金回収は行っておりません。今後、このような未納者数及び未納額等が増加した場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、取引先に対する売掛金の回収不能という事態を未然に防ぐべく、情報収集・与信管理、担保権の設定等によって債権保全に努めておりますが、取引先の経営破綻等が発生した場合には、債権の一部又は全部の回収が困難になるほか、法律に基づき清算や再生手続きが行われることにより、当社グループが想定する以上に回収までの期間や手続きに時間を要することになり、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
④ 競合及びモバイルコンテンツの市場動向について
当社グループは、システム業者の協力のもと、NTT docomo、au、並びにSoftBankのそれぞれの公式サイトを通じて、利用者に対する各種コンテンツの提供を行っております。しかしながら、スマートフォンの普及に伴い、コンテンツ配信の方法や提供されるコンテンツの種類は多種多様化しております。加えて、コンテンツの獲得競争も激化し、権利者へ支払われるコンテンツの利用料も上昇傾向にあります。したがって、これら他社との競合関係において、当社グループが迅速かつ優勢的に事業展開できない場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、スマートフォンの普及が進み、コンテンツの流通やその課金形態も多様化するなどモバイルコンテンツ配信市場を取り巻く環境は大きな転換点を迎えていると考えられます。当社グループは、今後もスマートフォン向けアプリなどのコンテンツ、サービスを充実させていくとともに、新たなテクノロジーには柔軟に対応していく方針であります。しかしながら、急激な技術革新などにより新たなコンテンツ分野が創出され、既存のコンテンツ分野が急速に衰退した場合、あるいは当社グループのコンテンツ、サービスの提供が計画通りに進まず、収益の確保ができなかった場合等には、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ システムトラブルについて
当社グループの各事業は、インターネットにより、利用者にコンテンツサービス・商品を提供していることから、コンピュータシステムに相当程度依拠しております。そのため、当社グループでは、利用するホスティングサービス業者のサーバー設置場所の安全性やセキュリティ機能等について、定期的な監査等を通じて確認するとともに、システム上の不具合の有無を必要に応じて確認しております。しかしながら、予期しない急激なアクセスの増加に伴う一時的な過負荷、不正アクセスによるサイトの改ざん、コンピュータウイルスの侵入、自然災害、不慮の事故等によるシステムトラブル及び想定していないシステム上の不具合等に起因して、コンテンツサービス・商品の提供が困難になった場合、コンテンツホルダー、提携先及び利用者から当社グループに対する信用が低下するほか、システムの改善、修復費用やコンテンツホルダーからの損害賠償請求等が生じる可能性があり、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑥ ファンクラブサイトの利用者について
当社グループの運営するファンクラブサイトにおいて、利用者は、匿名性を確保したまま、当社グループが制作、提供するアーティスト、タレントのファンクラブサイトを介し、自由に他の会員と情報交換を行うことが可能です。そのため、利用者同士の意見や情報の交換において、名誉毀損、他人の著作権、知的財産権、プライバシーその他の権利等の侵害が生じる危険性が存在しております。
当社グループは、安心して利用できるファンクラブサイトを提供することが、利用者数の維持・拡大やコンテンツホルダーからの信用獲得に繋がるものと考え、ファンクラブサイトの運営方針や利用者の強制退会の措置等を入会規約へ明記して、利用者からも同意を得ております。
しかしながら、今後、ファンクラブサイトの利用を通じて、利用者間でのトラブルが発生する可能性があり、アーティスト等のブランドイメージの悪化、当社グループの企業・サイトイメージの悪化が発生した場合は、ファンクラブサイトの利用者が減少し、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 著作権料及び著作隣接権料について
当社グループは、コンテンツ事業において、コンテンツホルダーとの間で、音楽原盤や映像・画像原版等に係る著作権及び著作隣接権に関する使用許諾契約を締結した上で、コンテンツを配信し、その対価として著作権料及び著作隣接権料の支払いを行っております。また、著作権料及び著作隣接権料の一部に関して、将来の利用料の前払いが発生する場合があります。当社グループは、現在のところ著作権及び著作隣接権の保有者と良好な関係を構築しておりますが、将来において何らかの理由により使用許諾契約が継続されない場合、利用料率の上昇など当社グループにとって不利な許諾条件の改定が行われた場合、または前払費用が著作権料及び著作隣接権料より回収されなかった場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
また、新たなコンテンツサービス・商品の提供を開始するにあたっては、コンテンツホルダーに対して最低保証額(ミニマムギャランティ)を支払う場合もあります。したがって、新規コンテンツサービス・商品の提供開始に伴って、利用者数が予測を下回り最低保証額が回収されない場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
⑧ コンテンツホルダーとの関係について
当社グループは、ファンクラブ・ファンサイト事業において、コンテンツホルダーとの契約に基づきアーティスト、タレント等のファンクラブサイトを運営しております。それらファンクラブサイトの会員数は、アーティスト、タレント等の活動状況やその人気の趨勢による影響を受けることとなります。万一、ファンクラブサイトにおいて取り扱うアーティスト、タレント等について、グループの解散や活動の停止等が発生した場合、コンテンツホルダーが消滅してしまい、ファンクラブサイトが閉鎖に追い込まれる可能性があります。そのような状況が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
EC事業においては、アーティストグッズやCD及びDVD等のパッケージ商品の販売を行っております。それら商品の発売やそのタイミングは、アーティストをはじめとするコンテンツホルダーの意向により決定されます。そのため、何らかの理由で商品の発売が延期または中止された場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
また、チケット事業では、コンテンツホルダーとの契約に基づき、アーティスト等のライブやコンサート、イベントにおける電子チケットサービス及びチケットトレードサービス、並びにそれに付随する各種サービスを提供しています。そのため、何らかの理由でライブやコンサート、イベントが延期または中止された場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 物流について
当社グループは、EC事業において取り扱う商品の在庫管理に係る業務を外部の倉庫業者に委託しており、内部監査等を通じて定期的に適切な在庫管理が行われていることを確認しております。当社グループのEC事業の商品取扱いの規模は年々拡大するなか、在庫管理業務は主に1社に委託している状況にあります。そのため、万が一、外部倉庫において自然災害等の被害が発生した場合や、在庫の紛失が発生した場合、商品の配送に遅延が生じ当社グループに対する顧客の信用が低下することにより、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(b) 人材について
① 特定人物への依存について
当社の代表取締役である美藤宏一郎は、音楽事業に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定、重要な取引先との交渉、利益計画の策定・推進等、会社運営の全てにおいて重要な役割を果たしております。
当社グループは、今後の業容・人員拡大も視野に入れ、執行役員制度の導入と経営管理組織の強化を図っており、同人に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。
しかしながら、何らかの事情により、同人が当社から離職した場合、または十分な業務執行が困難となった場合には、今後の当社グループの事業展開並びに経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
② 人材の確保、育成について
2024年3月末における当社は取締役6名(うち監査等委員3名)、当社グループ従業員283名と規模が比較的小さい人員構成となっており、営業部門、事業部門及び管理部門もこの規模に応じたものとなっております。
しかしながら、今後の事業の進展に伴い、要員拡充の必要性は高まってくると予想され、新たなコンテンツサービスや商品を企画・運営出来る人材につきましては、特に必要性が高いと認識しております。
したがって、このような人材の採用が適時に行えなかった場合、人材育成が十分に行えなかった場合、または必要な人材の流出があった場合は、今後の当社グループの事業展開並びに経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに重大な影響を及ぼす可能性があります。
(c) 法的規制について
当社グループが事業を展開するにあたり、主に「著作権法及び著作権法施行令による規制」、「特定商取引に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定電子メールの送信の適正化に関する法律」並びに「個人情報の保護に関する法律」「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」の規制の対象となり、それら法令に対する遵守体制を構築しております。
しかしながら、法令等が改正され規制強化が行われた場合、または新たに当社グループの事業活動に係る法令等が制定された場合には、追加的な対応や事業への何らかの制約が生じることにより、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
① 知的財産権について
コンテンツ事業を展開する上で、当社グループは音楽原盤や映像・画像原版に係る著作権及び著作隣接権等の知的財産権を、保有者から使用許諾を受け使用しておりますが、第三者から意図せずに権利侵害を受ける、または、第三者の権利を意図せずに侵害してしまう可能性も否定できません。当社グループでは、このような権利侵害等に備え、当該権利の保有者からの事前の情報収集、当社グループの権利確保のための契約条項の明示等に努めております。
しかしながら、万一、損害賠償責任問題等の事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
② 個人情報の保護について
EC事業及び電子チケット事業を展開するにあたり、当社グループは個人情報を取り扱う場合があります。そのため、当社グループでは、利用者及び従業員等の個人情報の取り扱いを社内規程に定めるとともに、社外セミナー等への参加による遵法意識の喚起、社内ネットワークシステム及びオフィスのセキュリティの強化等に努めております。
しかしながら、個人情報の流出が発生する可能性は否定できず、当社グループに対する信用の失墜、損害賠償の請求、訴訟による責任追及等が発生する場合、または、個人情報の保護に関する法律の改正によって規制強化が行われた場合は、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(d) 機密情報の取り扱いについて
コンテンツ事業においては、アーティスト、音楽事務所及びレコード会社等のコンテンツホルダーから、著作権法で保護される音楽原盤や画像・映像原版を取得、加工し、利用者に提供しております。そのため、当社グループは、コンテンツホルダーとの契約において機密保持に関する規定を定めるとともに、全ての当社グループ従業員からも当該機密保持に関する誓約書を得ております。
しかしながら、故意または過失により、使用許諾契約に関連し知り得たコンテンツホルダーの業務上の秘密、ノウハウ等が流出した場合、当社グループに対する信用失墜、損害賠償の請求、訴訟による責任追及等が発生する場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(e) 外部経営環境に関するリスクについて
電子チケット事業では、アーティスト、スポーツ等のライブ、コンサート又はイベント等のチケットを、一次流通及び二次流通の各段階において取り扱っており、取扱手数料が当社グループの収益となります。そのため、それらコンサート等が、感染症の発生や流行、天災または悪天候、テロ攻撃等により中止または延期となった場合、当社グループの電子チケット事業の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。また、コンサート等が中止または延期となった場合、払い戻しに係る手数料を当社グループが負担する場合があり、今後も感染症等の流行によりコンサート等が開催されない場合は、その影響が拡大する可能性があります。
(f) 営業権について
当社グループは、営業権を350百万円計上しており、総資産の1.8%を占めております。営業権は、アーティストの商標権等を使用する権利及び関連する業務受託権の取得を目的として協賛契約に基づき対価を支出した際に発生したものであります。
営業権は、主として当該アーティストに関連するファンクラブ・ファンサイト及びECの運営から生じる将来キャッシュ・フローを源泉としております。減損の兆候が認められ、かつ、割引前将来キャッシュ・フローの総額が営業権の帳簿価額を下回った場合には、減損損失が認識され、営業権の価値を減少させることがあります。2024年3月31日現在において、当初想定した計画から乖離が見られるため減損の兆候はあるものの、今後のファンクラブ会員数などを前提とした割引前将来キャッシュ・フローの総額が営業権の帳簿価額を下回らないため、当連結会計年度には減損損失を認識しておりません。しかしながら、今後当社グループが想定したファンクラブ会員数の水準を下回るなどの状況が続く場合、減損損失を計上する可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社グループは、株主の皆様に対する安定的な利益還元を経営上の重要課題としてとらえており、将来の事業展開に備えた財務基盤の強化や今後の業績等を勘案の上、長期的視点に立ち、配当政策を進めてまいります。
当社グループは剰余金について、配当性向30%以上を目安とする、業績に連動した配当の実施を基本方針としております。当連結会計年度(2024年3月期)の期末配当につきましては、1株当たり13円50銭の配当を実施させていただきます。次期(2025年3月期)以降につきましても、上記の基本方針に基づき、利益還元をさせていただく予定であります。
内部留保資金につきましては、将来における当社の業容拡大を通じた企業価値の向上と、株主の皆様の利益確保に向けて、優秀な人材の採用や将来の新規サービス展開等のための必要運転資金として活用していく方針です。
なお、当社は、期末配当として年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としておりますが、会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。これらの剰余金の配当の決定機関は、取締役会であります。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2024年5月30日 |
485 |
13.50 |
取締役会決議 |