リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。
また、本書提出日現在において、以下に記載したリスクが顕在化する可能性についてはいずれも低いと判断しておりますが、リスクが顕在化する可能性が発生した場合には、早期に財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへの影響にかかる分析を行ったうえで、必要な対応を図ってまいります。
(1)事業環境に関わるリスクについて
① 広告市場の動向について
当社グループにおけるサービスの売上のうち、PIXTA事業においては、インターネット広告を含む各種広告にかかる素材利用が一定の割合を占めております。このため、常に広告市場の動向を注視し、幅広いニーズに対応するための素材の充実及び価格体系や提供プランの最適化に取り組んでおりますが、広告市場の変化や景気低迷による広告制作予算の削減等外部環境の変動により、当初想定していた収益を確保することができない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 家族写真撮影市場の動向について
当社グループにおけるサービスのうち、fotowa事業においては、子ども・家族写真の出張撮影が主な売上を占めております。お宮参りや七五三等の伝統的な子どもの記念日・行事等に加え、ニューボーン(新生児)撮影やハーフバースデー等の比較的新しい撮影ジャンルにおける顧客開拓を進めておりますが、これらの子どもの記念日・行事等に関する消費動向の変化等の外部環境の変動により、当初想定していた収益を確保することができない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、子ども写真撮影市場は、少子化にも関わらず安定した成長を続けておりますが、既に写真館や出張撮影サービスの競合が複数社存在しております。fotowa事業では、カメラマンのクオリティやサービスサイトの使用感向上、周辺サービスの付加価値を高めることによる差別化に取り組んでおりますが、競合他社と比べ当社グループの競争力が低下した場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新等への対応について
当社グループが事業を展開するクリエイティブ業界においては、技術革新や顧客ニーズ等の変化の激しい業界であり、特に近年では、AIを用いた自動画像生成等の制作技術革新が進んでおります。
当社グループでは、業界の動向を注視しつつAI技術の積極的な活用により、サービス価値向上に取り組んでおりますが、当社が予期しない急激な変化が発生し、適時な対応が取れなかった場合には、当社グループの競争力の低下につながり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ システム・セキュリティ対応並びにシステム障害の発生による影響について
当社グループは、主にインターネットを媒介としてサービスを提供しており、システムトラブルの発生可能性を低減するために、安定的運用のためのシステム強化、セキュリティ強化を推進し、トラブルが発生した場合においても、短時間で復旧できるよう努めております。
しかしながら、大規模なシステムの不具合や想定を大幅に上回るアクセスの集中、コンピュータウイルス・サイバー攻撃等当社が予期しない事象の発生によって、開発業務やシステム設備並びにバックアップデータ等に重大な被害が発生した場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業運営に関わるリスクについて
① 優良クリエイター・カメラマンの確保について
PIXTA事業においては、クラウドソーシングにより不特定多数のクリエイターから素材を受け入れ、販売しております。購入者のニーズに合う素材を提供するクリエイター増加のため、専属クリエイター・独占提供素材に関する制度を設け、また、クリエイター向けの情報発信やセミナー・撮影会等のイベントを開催する等の施策を継続的に実施しております。
また、fotowa事業においては、当社独自の審査を経て登録されたカメラマンが、ユーザーの予約申込に応じて指定された場所へ赴き撮影を行っております。
しかしながら、何らかの予期せぬ事象発生により、優良クリエイターやカメラマンが十分に確保できず、購入者やユーザーのニーズに対応できない状況となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 撮影時の事故・トラブル等について
fotowa事業においては、カメラマン登録に際し独自の審査を実施し、ユーザーと円滑にコミュニケーションを取りながら高品質な家族写真を撮影可能なカメラマンを厳選し登録しております。また、撮影が安全・円滑に行われるよう、カメラマン向けのガイドライン整備や情報提供を定期的に実施しております。
しかしながら、万が一、機材不良等による撮影遂行の不可、撮影中の怪我や器物破損等の事故、カメラマンとユーザー間のトラブルその他予期せぬトラブル等が発生した場合には、対応にかかる工数・経費発生や当社サービスの信用低下及びイメージ悪化につながる等、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 新規サービス・新規事業の開拓のための戦略的投資について
当社グループにおいては複数のクリエイティブ・プラットフォームを運営しておりますが、一層の事業拡大のために、既存のプラットフォームの強みを活かした新規サービス・新規事業の開拓及び育成に取り組んでいく方針でおります。
これらにより、システム投資やマーケティング等にかかる追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、予測とは異なる状況が発生し、新規サービス・新規事業の展開が計画通りに進まない場合、投資を回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制について
① 一般的なインターネットにおける法的規制について
当社グループが展開する事業分野においては、「特定商取引に関する法律」「資金決済に関する法律」等をはじめとする法規制が存在しております。また、インターネット上のプライバシー保護の観点からの議論等、インターネット利用の普及に伴う法的規制の在り方については引き続き検討が行われている状況にあります。
このため、今後インターネット関連分野において新たな法律の制定や既存法令の改正による規制強化等がなされた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 個人情報取扱事業者であることについて
当社グループは、サービス利用者に関する個人情報の取扱事業者であり、これらの個人情報を電磁的方法により記録し、管理しております。このため、当社グループでは社内規程やルールの整備、社内管理体制の強化、社員教育の徹底、情報システムのセキュリティ強化等により、個人情報を保護するための管理機能の向上を図り、「個人情報の保護に関する法律」の遵守、個人情報の漏洩防止に努めております。
しかしながら、これらの個人情報が漏洩した場合、社会的信用の失墜、対応にかかる多額の経費発生等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 知的財産権、肖像権等について
当社グループのサービスにおいてはいずれも、デジタル素材に係る著作権等の知的財産権を適切に管理し、その利用許諾をすることが事業の根幹であると認識しております。例えばPIXTA事業については、クリエイターに対し、デジタル素材のアップロード時に権利に関する確認を行う、また特定の個人を識別することが可能な人物素材に関しては肖像権使用同意の取得を必須とするなどの対応を行っております。fotowa事業についても、サービスの性質に合わせて適宜必要な措置を講じております。
また、新規事業・新規サービスの開発にあたっても、弁護士等専門家と協議検討の上、権利侵害が発生しないよう、細心の注意を払ってサービスの設計にあたっております。
しかしながら、そうした対応にも関わらず、権利侵害が発生し、訴訟等の紛争に至った場合、社会的信用の失墜、対応にかかる多額の経費発生等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ デジタル素材の不正使用等について
PIXTA事業においては、利用規約及び関連するサイト内の表示により、デジタル素材の利用可能範囲及び禁止行為を明確に購入者に提示しております。万一不正使用が発生した場合、速やかな通報が可能なように不正使用報告専用フォームをサイト内に設置し、各案件について、迅速かつ適切な対応にあたるよう努めております。
しかしながら、不正使用による訴訟等の紛争に至った場合、社会的信用の失墜、対応にかかる多額の経費発生等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスクについて
① 人材確保・育成について
事業拡大及び経営体制の強化のため、優秀な人材の確保及び育成を継続していくことが必要であると考えており、特に、当社グループ理念に共感する優秀な人材を獲得するための採用施策及び企業理念や行動指針であるピクスタウェイの共有等に取り組んでおります。
しかしながら、当社グループの求める人材が必要な時期に十分確保・育成できなかった場合や想定外の人材の流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び新規事業の拡大等に支障が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 自然災害等の影響について
地震、風水害等の自然災害によりシステム等の設備、社員等への被害が発生し、事業運営に支障をきたした場合、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、感染症の流行等については、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、国内拠点を対象にリモートワークを原則とした勤務制度を速やかに導入し、緊急事態宣言発令等オフィスでの事業活動が困難な状況となった場合にも通常通りの事業活動を継続できる体制を整備してまいりました。
しかしながら、このような感染症拡大等により経済状況が著しく悪化し、(1)に記載した事業環境が影響を受けた場合、当社グループの事業及び業績へも影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
(1) 配当政策
当社は設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元は重要な経営課題であると認識しており、将来における安定的かつ継続的な利益還元を行う前提として、事業基盤の整備状況、今後の事業展開、業績や財政状態などを総合的に勘案した上で配当を検討していきたいと考えております。
内部留保資金につきましては、中長期的に安定的な成長モデルを構築するための投資財源として、また既存サービスの拡充及び社内体制やシステム環境の強化を行うための資金として、有効に利用していく予定であります。
また、当社が配当を行う場合には、株主総会の決議によって、期末配当として年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。その他、取締役会の決議によって、毎年6月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。なお、今後の配当実施の可能性、実施時期については未定であります。
(2) 自己株式の取得
当社は自己株式の取得も株主に対する利益還元の一つと考えており、株価水準や市場の動向を考慮しながら適宜実施します。なお、2024年2月14日開催の取締役会において、株主還元及び資本効率の向上を目的として、320,000株(2億3千万円)を上限とする自己株式の取得を決議しました。取得期間は2024年2月28日から2025年1月31日までを予定しております。