2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
カゴメのサステナビリティに対する考え方
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サステナビリティ基本方針 カゴメグループは創業以来、 「畑は第一の工場」というものづくりの思想のもと、 自然の恵みを活かした新しい食やサービスを提案してまいりました。 この営みを未来につなぐために、 企業理念である『感謝・自然・開かれた企業』の実践と、 ステークホルダーの皆さまとの協働により社会課題の解決に取り組み、 持続的なグループの成長と持続可能な社会の実現を図ります。
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サステナビリティ推進体制
当社では、関連部門で進めてきたサステナビリティへの取り組みを全社での活動として強力に推進するため、2022年10月にサステナビリティ委員会を設けました。委員会は、各分科会での協議に基づいてサステナビリティ課題に対する長期への備えや打ち手について議論し、経営会議や取締役会に報告・付議を行うことで、経営戦略への反映を図っています。
2023年度のサステナビリティ委員会における議題
2023年度においては、計3回のサステナビリティ委員会を開催しました。長期的視点での「持続可能な社会の実現(社会課題の解決)」及び「企業の持続的な成長」に向けて検討を行っています。
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討議内容
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第1回 (4/6)
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● 当社のサステナビリティへの考え方と推進体制について ● 人権方針の策定と今後の対応について ● 2050年ビジョン策定の企画内容について
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第2回 (6/29)
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● 環境分科会の概要、及び、Scope1、2のGHG排出量削減策の更新について ● 人権方針案の修正について
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第3回 (12/13)
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● 2050年ビジョン策定プロジェクト 中間報告 ● 「 ビジネスと人権」の理解(有識者による講義) ● 「 人権デューデリジェンスの実施計画」及び「人権ページの開設」について ● 環境分科会の概要、及び内外環境変化への対応案について ● TCFD/TNFDへの対応について
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サステナビリティ委員会(分科会)の活動ハイライト
① 「2050年ビジョン策定プロジェクト」のスタート
10年を超える長期の取り組みの指針として「2050年はどのような社会でありたいか(=社会像)」「その社会の実現に向け当社は何に取り組んでいくのか(=企業像)」を明示するため、「2050年ビジョン策定プロジェクト」をサステナビリティ委員会傘下の分科会として発足させました。20~40代の社員を対象に社内公募によるプロジェクトメンバーで活動を行っています。ワークショップを開催し、シナリオプランニングや自社の強みの把握などを行いながら、策定を進めています。サステナビリティ委員会では、事前に本プロジェクトの枠組みについて議論し、また2023年12月には策定メンバーとの中間セッションを行いました。
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参加メンバーによるワークショップの様子
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② 人権課題の推進
調達部門・法務部門・サステナビリティ部門からなる「サプライチェーンCSR分科会」を中心に、人権への取り組みを進めました。サステナビリティ委員会では、主に「カゴメグループ人権方針」の内容や、取り組むべき人権課題について議論しています。
SUSTAINABILITY TOPICS
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1 サステナビリティサイトの開設 2023年7月、企業情報サイト内に「サステナビリティ」サイトを新たに開設しました。本サイトではサステナビリティの実現に向けたカゴメグループの活動について、持続的成長と企業価値向上を実現するための7つの重要課題(マテリアリティ)と食育・共助の取り組みなどを掲載しています。今後、ステークホルダーの皆様のカゴメグループへの理解がさらに深まるように、本サイトを通じて、サステナビリティ活動を積極的に発信していきます。
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2 「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄に初選定 当社は「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄に初めて選定されました。「FTSE Blossom Japan Index」は、グローバルインデックスプロバイダーであるFTSE Russellにより、ESGについて優れた対応を行っている企業のパフォーマンスを測定するために設計されたものであり、サステナブル投資のファンドや他の金融商品の作成・評価に広く利用されて います。FTSE Russellの評価はコーポレ
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ート・ガバナンス、健康と安全性、腐敗防止、気候変動といった分野について行われており、「FTSE BlossomJapan Index」の構成銘柄である企業は、ESGに関してFTSE Russellが定める様々な基準を満たしています。なお今回の選定により、当社は、世界最大規模の公的年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が採用する、日本株を対象とした全てのESG指数の構成銘柄に選定されました。
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当社のマテリアリティに対する考え方
当社では、マテリアリティを持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けて、ビジネスモデルを持続させる上で対処すべき課題と位置付けています。これらは、中期重点課題やサステナビリティ課題、また、時間軸によらない課題も包含しています。特定した7つのマテリアリティのうち、3つは当社が事業を通して解決を目指す社会課題、残りの4つは当社の価値創造活動を強化していく上での課題です。これらのマテリアリティを推進していくことで、持続的に成長できる強い企業を目指していきます。
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マテリアリティ特定プロセス
当社では、2019年にマテリアリティを特定して、経営に反映してきました。しかしながら、経営を取り巻く環境は日々変化しており、第3次中期経営計画の検討に際し、外部環境の変化などを考慮した上で、社外ステークホルダーや取締役会での評価も踏まえて、2021年にマテリアリティの見直しを行いました。見直したマテリアリティに関わる課題については、サステナビリティ委員会を通じて推進し、具体的な経営戦略へと反映させています。
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2018年
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社会課題の抽出・整理
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2019年
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社外ステークホルダーからの第三者評価を実施し、マテリアリティを特定
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2021年
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マテリアリティの見直し (マテリアリティを17項目から7項目に整理) • 社外ステークホルダーへのヒアリング • 取締役会での妥当性評価
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2023年~
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サステナビリティ委員会による課題推進
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~2025年
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次期中期経営計画に向けたマテリアリティの見直し検討
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また、現中期経営2026年以降についても、サステナビリティ委員会の分科会を中心に検討し、必要に応じて見直しを実施していきます。
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知財活動 TOPICS
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1 ブランドを守る知財活動 創業より築いてきたブランドを守り、発展させていくために、経営企画・法務・広告・広報部門からなるブランド審議会において、コーポレートブランドの適正利用についての方針・規程・マニュアルを策定し、それらをもとに適正利用を図っています。 2023年は、空間デザインによるコーポレートブランディングの象徴として手掛けた「カゴメビル」がグッドデザイン賞(公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。当ビルの建物低層部の外観や1階のキッチン空間「カゴメ キッチンファーム®名古屋」の内装は、社名「カゴメ」の由来であるトマトを収穫する際の「籠(かご)の目」をモチーフとしており、キッチンの内
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2 技術を守り、活用する知財活動 農業、健康、加工飲食品分野において、各事業部門の戦略とも連携した知財活動を行っています。 2023年は、ナトカリマップ®、SGS(スルフォラファングルコシノレート)含有野菜、野菜だしなどに関連する特許権を取得しました。 ナトカリマップ®は、食品中のナトリウムとカリウムの含量を一目で示すマップです。このマップに関する特許権など※のライセンスを通じ、バランスのとれた食事を推奨しています。当社の技術力の向上を通して、企業価値の向上と持続的成長、さらには食分野の発展に貢献していきます。 ※東北大学との共有の権利
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装は意匠権※の取得をしています。 ※竹中工務店との共有の意匠権
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7つのマテリアリティと主な取り組み
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マテリアリティ
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目指す姿(KPIなど)
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主な取り組み
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貢献できるSDGs
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3つの社会課題
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健康寿命の延伸
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様々な商品や情報により野菜摂取を促進し、人々の健康的な食生活や生活習慣に野菜で貢献する。
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野菜をとる食生活への行動変容に つながる価値開発・情報発信
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野菜摂取に貢献できる商品の 開発・普及
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貢献できる健康期待領域の拡張
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農業振興・ 地方創生
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農事業や品種開発・技術開発などを通して、持続的な農業の確立を目指す。
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野菜の産地形成と加工による 地域農業ビジネスの振興
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農業の生産性・持続性の向上する 技術・サービス
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事業活動を通じた国内農産物の 魅力発信
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持続可能な地球環境
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調達から製品に至るまでの事業活動の環境負荷を低減する。2050年までにカーボンゼロを実現する。
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2050年カーボンゼロに 向けた取り組み
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食品ロスの低減の取り組み
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水・生物多様性の保全
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環境負荷が低い原料・資材調達と 商品展開
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価値創造活動の強化
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安心・安全な商品の提供
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品質第一・利益第二※を実現する。 ※ お客様に安心・安全な 品質を提供することと、利益の創出を、どちらも大事にするというカゴメの考え方
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ブランドへの信頼につながる 品質向上・お客様との対話
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持続可能な サプライチェーンの構築
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環境変化に対応できる安定的な調達基盤と物流体制を構築する。
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環境・社会的に持続可能な 責任ある調達
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お客様に商品を届け続けられる 物流体制の構築
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多様性の尊重・ 人的資本の拡充
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多様性をイノベーション創出、持続的な成長につなげる。
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ダイバーシティ&インクルージョン 推進によるイノベーションを 創出しやすい環境づくり
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健康経営の推進
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コーポレート・ ガバナンスの強化
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「自律」のさらなる強化と「他律」による補完で、自らの意志で時代に適応するコーポレート・ガバナンスを構築する。
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コーポレートガバナンス体制の強化
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適切な情報開示と透明性の確保
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知的財産戦略の 策定・リスクマネジメント
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<持続可能な地球環境>
カゴメグループは、自然の恵みを享受し、お客様に新しい食やサービスをお届けする企業の責任として、「地球温暖化防止」「資源の有効活用」「水の保全」「持続可能な農業」等、持続可能な地球環境への取り組みを進めています。
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1 品質・環境方針
自然の恵みを活かして人々の健康に貢献してきたカゴメのものづくりは、「畑は第一の工場」という考えのもと、野菜の種子や土づくりから取り組み、安全で高品質な原材料づくりを基本としてきました。その自然の恵みを享受し続けるためには、豊かな自然環境のもとでの持続的な農業の営みが欠かせません。地球環境の保全と自然を活かしたものづくりを両立させていくことは、カゴメグループの事業活動が将来にわたり成長し続けるために不可欠なことです。 このような品質(ものづくり)と環境に関する理念の共通性や活動上の関連性から、従来それぞれに「品質方針」「環境方針」として掲げられてきたものを統合し、「品質・環境方針」として2017年10月に制定しました。カゴメが情熱を込めて取り組んできたものづくりと同じ想いで環境保全活動にも注力することで、持続可能な社会の実現を目指す、という経営の意思が込められています。
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1. 野菜による美味しさと健康価値で、大切な人の健康長寿に貢献します。 2. 国内外のパートナーと種子・畑から一貫した安全な農産原料づくりに取り組みます。 3. 野菜を育む水・土・大気を守り、豊かな自然をつくる農業を未来につなげ、得られた恵みを有効に活用します。 4. 法令や自主基準を順守し、しくみや行動をレベルアップし続けることで、安全で環境に配慮した商品をお客様にお届けします。 5. お客様へ商品やサービスの確かさをお届けしつつ、お客様の声を企業活動へ反映します。
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2 カゴメ環境マネジメントシステム
国内カゴメグループでは、「品質・環境方針」に基づき、社長以下全部門・全事業所の役割を明確化したカゴメ環境マネジメントシステム(KEMS)を構築し運用しています。具体的には、「品質・環境方針」に沿って環境マネジメント計画を定め、年度ごとの目標を設定しています。各部門・事業所は、年度目標に沿って環境保全活動を推進し、チェック・アンド・レビューすることで、中長期の取り組み方針・目標の更新、及び次年度の目標設定をしています。
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3 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への対応
当社は、これまで気候変動への対応として、2019年にTCFD提言に基づいたシナリオ分析を実施し、事業におけるリスクや機会の特定、「指標と目標」の見直しなどに着手してきました。2022年にはTCFD提言への賛同を表明し、TCFDコンソーシアムに参画しました。
ガバナンス
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カゴメグループは事業の最大のリスクを原材料調達の途絶と考えています。地球温暖化による異常気象は、原材料産地に大きな被害を及ぼします。このリスクを回避すべく、温室効果ガスの排出量の削減を加速するため、2018年に策定したCO2の中長期排出削減目標を2021年に見直しました。 代表取締役社長は、ISO14001に則ったカゴメ環境マネジメントシステムにおいて、気候変動を含む当社の全ての環境活動を統括しています。また、環境に関する方針を掲げ、年2回のマネジメントレビューを通して環境マネジメントシステムの有効性を評価し、その改善を指示する責任と権限を有しています。
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戦略
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気候変動の顕在化は農作物を原材料とする当社にとって大きなリスクになるとともに、長年蓄積された技術を活用することで機会にもなります。 カゴメグループのリスク対応策及び機会の一例
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リスク項目
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対応策や機会
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短期・中期的
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■ 異常気象、気象パターンの変化 ■ 水ストレスによる生産量減少
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■ 気候変動に対応できる野菜品種の獲得・販売 ■ 最小の水で生産できるトマト栽培システムの開発と利用
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長期的
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■ 炭素価格上昇 ■ 生活者の行動変化 ■ 生物多様性の損失
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■ CO2排出削減目標に向けた取り組み ■ 環境配慮商品や認証品の積極的な開発 ■ 生きものと共生する農業の提案と普及
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※ 詳細については、Webサイトをご覧ください。 https://www.kagome.co.jp/company/csr/environment/activity/globalwarming/ これらの気候変動のリスクと機会は、事業活動そのもののリスクや機会であるため、その他のリスクとともに事業計画に組み込まれています。
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リスク管理
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リスク管理の統括機関として「リスクマネジメント統括委員会」を設置し、代表取締役社長を議長として、リスクの対応方針や課題について、優先度を選別・評価し迅速な意思決定を図っています。特定した気候変動に関するリスク及び機会は環境マネジメント計画の中で課題化し、全社で取り組んでいます。
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指標と目標
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2050年までに当社グループの温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指して、2030年に向けた温室効果ガス排出量の削減目標を策定し、SBT(Science Based Targets)イニシアチブ※の認証を取得しました。 ※ 企業の温室効果ガス排出削減目標が、パリ協定が定める水準と整合していることを認定する国際的イニシアチブ
項目
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目標(2020年対比)
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2020年度 実績(t)
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Scope1及びScope2
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2030年度までに温室効果ガスの排出量を42%削減
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143,524
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Scope3
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2030年度までに温室効果ガスの排出量を13%削減
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1,315,239
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Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス) Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出 Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出) 当社は温室効果ガス排出量に対して信頼性の高いデータの情報開示が必須と考え、温室効果ガス排出量(Scope1、2、3)について、第三者検証を受け、検証報告書を取得しています。2022年(1月1日~12月31日)の温室効果ガス排出量について、国内外のカゴメグループ工場(Scope1、2)及び国内のカゴメグループ(Scope3)から排出された温室効果ガスの算定方法の妥当性及びデータの検証がISO14064-3:2019に準拠して行われ、検証機関である一般社団法人日本能率協会による検証報告書を取得しました。 (2023年度実績は、第三者検証後にCSRサイトにて公開) 詳細については、Webサイトをご覧ください。 https://www.kagome.co.jp/library/pdf/company/sustainability/data/02.pdf
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4 地球温暖化防止
カゴメグループは安全な原材料を調達し、自然の恵みを活かしたものづくりに取り組んでいます。このため、事業の最大のリスクを原材料調達の途絶と考えています。地球温暖化による大型台風や暴風雨などの異常気象は、原材料産地に大きな被害を及ぼします。このリスクを回避し、将来にわたり事業活動を継続するために、パリ協定※を率先して遂行し、温室効果ガスの排出量削減に積極的に取り組んでいます。 ※パリ協定:2015年12月12日、COP21で採択された気候変動抑制に関する国際協定
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カゴメグループのCO2排出量構成比 (2023年度)
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再生可能エネルギーの利用
カゴメグループでは、温室効果ガス排出量の削減に向けて、太陽光発電の導入やバイオマスエネルギー利用の取り組みを進めています。
●太陽光の利用 国内:小坂井工場(2021年)、茨城工場(2021年)、富士見工場(2021年) 海外:KIUS(米国)(2017年)、KAU(2019年) HIT(ポルトガル)(2023年) ※()は導入した年
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小坂井工場(愛知県)
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●再生可能エネルギー電源に由来する電力を購入して利用 国内:小坂井工場(2022年)、上野工場(2023年)、富士見工場(2023年)、響灘菜園(2013年) 海外:HIT(2021年) ※()は導入した年
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富士見工場(長野県)
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TOPICS バイオマスエネルギーの利用 「カゴメトマトジュース」や「野菜生活100」などの飲料製品の生産や飲料の原材料向けに生野菜を加工している富士見工場(長野県)において、2023年1月から、同工場で発生する野菜の残渣や同工場の隣にある八ヶ岳みらい菜園の出荷できないトマトなどを、再生可能エネルギーとして利用しています。化石燃料の使用量低減により、CO2排出量の削減を実現します。
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5 資源の有効活用
当社はSDGsの目標12の「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」に賛同し、これを目標とした、生産量の精度向上や品質不良品発生の撲滅、賞味期間の長い商品の開発、賞味期限の年月表示化、フードバンクの活用などを行い、食品ロスの削減に努めています。また、環境負荷低減の取り組みとして、プラスチックの使用量削減なども進めています。
プラスチックの使用による環境負荷の低減を目指して、2020年に「カゴメ プラスチック方針」を制定しました。具体的な目標として、2030年までに、紙容器飲料に添付している石油由来素材のストローの使用をなくし、資源循環可能な素材(植物由来素材や紙素材)へ置き換えることとしています。また、飲料PETボトルにおいて、2030年までに、樹脂使用量全体の50%以上をリサイクル素材または植物由来素材とします。このほか、工場でのリサイクルの推進や全国事業所の環境美化活動に継続して取り組んでいます。
カゴメプラスチック方針
プラスチック方針(要約)
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1
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過剰なプラスチックの使用をなくし、使用量の削減を推進する
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2
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リサイクル素材や植物由来素材への置き換えを進める
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紙容器:2030年までに、石油由来素材ストローの使用をゼロに
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PETボトル:2030年までに、50%以上をリサイクル/植物由来素材に
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3
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工場のゼロエミッションを継続
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4
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全国事業所の環境美化活動を継続して実施
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「植物性乳酸菌 ラブレ」全4品のストローの貼付を廃止
カゴメグループは、プラスチック使用量削減を目的に、「植物性乳酸菌ラブレ」(全4品)に貼付しているストローを2023年5月下旬より順次廃止しています。当社は環境負荷の低減を目的に、2020年に「カゴメ プラスチック方針」を制定して、環境に配慮したプラスチックの利用に取り組んでいます。自然の恵みを活かした事業を展開する企業として、今後も石油から新たに作られるプラスチックの使用量の削減など、環境に配慮した活動を進めていきます。
担当者メッセージ
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人にも地球にもやさしい商品を目指して 愛飲していただいている方の約半数の方がストローを使っていないという事実を受け、「カゴメ プラスチック方針」の目標達成に向けてもストロー廃止への検討を進めてきました。その際、単にストローをなくすだけではなくできる限り開けやすいフタにしたいと考えました。主なご利用者層である40~60代の女性の方が最も開けやすい形にするために、フタのタブを女性の親指の大きさに合わせるなどの試行錯誤を重ねましたが、関連部門の協力もあり実現しました。「ゴミの削減にもつながり良いことですね」というお客様からのお声も頂いています。今後も人にやさしいだけでなく地球にもやさしい商品へ進化することで、より多くの皆様にご愛顧いただきたいです。
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飲料企画部 伴 諭
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6 水の保全
カゴメグループは商品の原材料となる作物の栽培に水を使い、加工段階でも多くの水を使用しています。日本は水が比較的豊かと言われていますが、世界では水不足が深刻な地域が存在しています。カゴメグループは活動する地域の水資源を守るため、それぞれの地域に合ったサステナブルな対応を進めていきます。
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<カゴメグループ 水の方針>
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1. カゴメグループおよび主要サプライヤーでの水リスクを把握します
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2. 地域の水資源を守るため、取水量の削減に努め、水を大切に使用します
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3. 使用した水は、きれいにして地域に還します
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4. 水リスクの高い事業所においては、その地域に合った水の対策を推進します
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高リスク拠点への対応 当社は、商品の原材料となる作物の栽培に水を使い、加工段階でも多くの水を使用しているため、その使用量を削減することや環境への負荷などを小さくすることが必要であり、国内6工場と海外7工場を対象に水リスク評価を行っています。水リスク評価は、流域リスクと操業リスクをそれぞれ5段階(1~5)で評価して
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2次元マトリクス化し、優先拠点を特定しています。なお、国内6工場については、AqueductのBaseline Water Stress※による評価では水関連リスクが高くないことから、海外工場に注力しリスク評価を行いました。
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当社は、国際的影響力のある環境非営利団体CDPの水資源管理に関する企業調査「CDP水セキュリティ」において、最高評価の「Aリスト企業」に選定されました。
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※ Baseline Water Stress : WRI (World Resources Institute、世界資源研究所)が開発した水リスク評価のグローバルツール。
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●流域リスク 「水資源リスク」「水量に関する評判リスク」「水量に関する規制リスク」「渇水リスク」「水害リスク」「水質リスク」「水質に関する評判リスク」を、世界各地の拠点に対して同一の基準で水リスクが評価できるAqueduct及びWater Risk Filter※の該当する指標を用いて調査しました。 ※Water Risk Filter:WWF(世界自然保護基金)とDEG(ドイツ投資開発会社)が開発した水リスク評価のグローバルツール。
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●オペレーショナルリスク 「水源別の年間取水量」や「放流先別の年間排水量」「年間売上」などの情報を収集し、相対的に評価し、その妥当性について社外コンサルタントを用いて確認しています。
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●優先拠点の特定 ポルトガルのHITは、地域の水資源や水質などに関するリスクが高く、カゴメの中で取水量・排水量が多いこと、オーストラリアのKAUは、渇水や水害による調達への悪影響があったことから、水リスクが高い拠点と特定しました。
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水リスクへの対策 ①
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水リスクへの対策 ②
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ポルトガルのHIT
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オーストラリアのKAU
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カゴメの工場で最も取水量が多く、水使用量の削減が特に重要です。2022年にタンクと回収ラインを設置し、濃縮機や殺菌機などで使用後の蒸気由来の温水を回収、タンクに貯湯しボイラー水として再利用するほか、2023年5月にはクーリングタワーを設置し冷却水の再利用を開始しており、今後さらに増設することで、取水量の削減を目指します。
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大雨リスクの高い時期を避けてトマト栽培を行うなどのリスク回避を図っています。また降水量が多い場合、粘土質土壌では収穫機が畑に入れなくなるため、排水の良い砂地の畑を使い栽培する試験を2022年に行いました。干ばつのリスクもあるため、冬に工場で使用した水をダムに貯水し、春に近隣農家に提供することで、水の再利用にも努めています。
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7 持続可能な農業
当社は創業以来、農業によってもたらされる「自然の恵み」を活かした事業活動を行っています。この事業活動を将来にわたって行っていくために、事業における様々な場面で生物多様性の保全に努めていくことを「カゴメグループ 生物多様性方針」で定め、活動を行っています。
カゴメグループ 生物多様性方針
サプライチェーンでの保全
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社内外パートナーとの協働
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1.遺伝資源の維持と利用
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8.社内外への浸透
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2.農業の環境負荷低減
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9.社外との対話
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3.農地と周辺の生態系保全
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10.情報公開
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4.調達品の環境負荷低減
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11.社会貢献
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5.輸送時の配慮
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12.根本原因への対応
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6.工場の環境負荷低減
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7.製品・サービスへの配慮
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少量多頻度灌漑に対応したAI営農アドバイスと自動灌漑制御の開発
水の使用量を削減する栽培手法として少量多頻度灌漑※が一般的に知られていますが、生産者にとっては管理が複雑で作業負荷が大きいことから普及が進んでいません。カゴメと日本電気株式会社(NEC)が設立した合弁会社「DXAS」では、2023年4月より、少量多頻度灌漑に対応したAI営農アドバイスと、作業負荷の軽減につながる自動灌漑制御機能を加えたサービスを開始し、加工用トマト市場に普及させていくことで、持
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灌漑設備と連携し、水や肥料をリモート・自動で制御
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続可能な農業に貢献していきます。 ※ 作物が必要とする量の水や肥料を多数回に分けて少しずつ与え、作物にとって最適な土壌水分量を保つ栽培手法のこと。
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野菜栽培での生物多様性保全
カゴメ野菜生活ファーム富士見に隣接する 1.2ヘクタールの畑に「生きものと共生する農場」を設置し2020年7月に公開しました。この農場は、様々な生きものが畑の周りで生活しやすい環境にする仕掛けや、害虫の天敵など、農業に役立つ生きものを畑に呼び込み、生きものの力を活かした農業を行う仕掛けを設置しています。農場では、生物多様性のモニタリング調査を行い、その結果から各仕掛けの改善や追加を行い、生きものと共生する農業を確立していきます。
生きものが畑の周りで生活しやすい環境を整備(石づみハウス、竹筒マンション)
<安心・安全な商品の提供>
「畑は第一の工場」という考え方のもと、野菜の種子や土づくりから取り組み、安全で高品質な商品の提供に努めています。これを保証する品質保証体制を確立し、海外グループ会社への展開も行っています。
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1 カゴメ品質マネジメントシステム(KQMS)
当社では、「品質第一・利益第二」という考え方があります。これは、お客様に安心・安全な品質を提供することと、利益の創出をどちらも大事にするという考え方であり、品質の向上に全社を挙げて取り組んでいます。品質を保証する体制として、国際規格ISO9001に準拠した独自の品質マネジメントシステム(Kagome Quality Management System:KQMS)を構築し、設計開発から調達・生産・物流・販売にわたる品質活動に取り組んでいます。
2 畑から商品までの安全管理
●フードディフェンスへの取り組み
国内での「意図的な異物や薬品混入」に対する備えとして、フードディフェンスに関するリスク評価を行い、評価結果に基づいて管理しています。自社工場における安心・安全カメラの設置や施錠システムの刷新、工場従業員同士のコミュニケーションの活性化のほか、委託先の工場に対しても当社の管理ガイドラインの準拠を依頼しています。
●放射性物質に対する取り組み
使用する国産の原材料については、行政による放射性物質のモニタリング状況などを確認し、必要に応じて自主検査を行い、安全性を確認しています。
●残留農薬に対する取り組み
使用する原材料は残留農薬を分析し、安全性を確認しています。試験・分析機関としての実力を判定する国際規格ISO17025の認定を取得し、分析精度のさらなる向上に取り組んでいます。
●食品安全文化醸成への取り組み
KQMSで定められたルールに対して、一人ひとりが正しい行動を取れるように、食品安全文化の醸成に取り組んでいます。製造工場では、アセスメントを実施、レビューを行うことで課題形成を進めています。
3 海外グループ会社の品質管理・品質保証体制
2016年に国際事業本部内に設定されたグローバル品質保証部門(東京)は、海外グループ会社で守るべきグループ共通の品質管理基準(Kagome Best Manufacturing Practice:KBMP)を定め、海外グループ会社に展開する活動を継続的に行っています。また、品質保証のみならず、各社で取り組んでいる環境課題や原価低減などの技術課題の成果を把握し、横断的に共有・活用することで、グループ全体の品質保証レベルや生産性の向上を推進するとともに、海外事業におけるCO2排出量の削減や水資源の保全などへも積極的に取り組んでいます。
4 海外グループ共通の品質管理基準(KBMP)の展開と監査による検証・改善
KBMPの展開では、日本の考え方をただ現地に押し付けるのではなく、グローバル品質保証会議などを通して、海外グループ会社の改善事例などを共有し合い、お互いに品質を高める意識を醸成していくことに主眼を置いています。KBMPの導入初期では、異物混入に関する考え方や技術を海外グループ会社に展開し、品質管理レベルの向上に取り組みました。続いて、商品設計由来の品質事故の未然防止活動や、品質事故が起きた場合を想定した対応マニュアルの共通ルール化を行いました。KBMPの定着によって、設計から販売に至るまでの各プロセスにおけるカゴメグループ全体の品質向上につながっています。
KBMPは既存の製造設備のみならず、新工場や新しく導入する製造設備にも設計段階から反映させています。
海外グループ会社共通の品質管理基準(KBMP)のカバーする範囲
5 具体的なグローバル品質保証活動
当社では各グループ会社の成功事例の横展開により、品質保証基盤のさらなる強化を進めています。グループ全体での品質保証会議を2年に一度開催し、2022年11月より、対面での会議を3年ぶりに再開しました。各グループ会社の経営陣や品質保証・製造責任者が集まり、品質、生産、5S、安全、サステナビリティの取り組みなどについて、事例の共有や意見交換を行っています。各グループ会社で切
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グローバル品質保証会議(未然防止トレーニング)の様子 (2022年11月、東京)
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磋琢磨しながら品質マインドを向上させるだけでなく、生産や環境などの課題や目標達成に向けた視点を揃えていくことにもつながっています。 2023年10月には、分科会の活動として、イタリアの Vegitalia S.p.A.に、ポルトガルのHITの品質・製造の責任者・担当者を招き、現場を視察しながら、意見交換を実施しました。工程管理の理解や双方からの改善提案にとどまらず、従業員の品質マインド向上のための施策について、議論を深めることができました。
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製造現場での品質交流会の様子 (2023年10月イタリア)
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<多様性の尊重・人的資本の拡充>
持続的な成長を実現するためには、多様な知と知の組み合わせによる新たな価値創造が不可欠です。働きがいを向上させる3つの施策と風土づくりに注力し、イノベーションの創出につなげます。
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1 「働きがい」を高め、イノベーションを創出する
持続的な成長を実現するためには、多様な知と知の組み合わせによる新たな価値創造が不可欠です。そのためにはカゴメで働く一人ひとりの自律的な成長が欠かせません。そして自律的な成長を促すエネルギーとなるのが「働きがい」です。
当社では、働く一人ひとりの「働きがい」向上に向けて3つの人事施策と挑戦する風土づくりに注力し、イノベーションの創出につなげていきます。
「働きがい」のモニタリング
2021年から「働きがい」をモニタリングする指標としてエンゲージメントサーベイ(「Wevox」:株式会社アトラエが提供する従業員エンゲージメント測定・支援ツール)を全従業員対象に実施しています。 エンゲージメントサーベイスコアは、2025年
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エンゲージメントサーベイスコア推移
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2021年実績
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2022年実績
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2023年実績
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2025年目標
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総合スコア
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70※1
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70
|
72
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76※2
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※1:目標設定時点(2021年)での「Wevox」利用同規模企業平均スコア「69」 ※2:目標設定時点(2021年)での「Wevox」利用同規模企業上位20%スコア
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までに、同規模企業の上位20%以内の水準を達成することを目標としています。 毎年の調査結果は項目別・部門別に分析し、「働きがい」向上に向けた課題抽出と対応策を進めています。現状、部門間で総合スコアにばらつきがあり(最大差異:12point/2022年調査時点)、差異縮小に向けて部門特性や実態に沿った対応策を展開しています。
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心理的安全性の浸透
2023年は、心理的安全性を浸透させる施策として、ダイバーシティ委員会が主導した「半径5メートルを変えた事例から学ぶ~心理的に安全なチームづくり~」をテーマとした外部ゲストを招いての講演とトークセッション、日頃のちょっとした感謝の気持ちを伝えるための「サンクスバッジキャンペーン」、対話を通じたチ
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ームビルディングをサポートする「よりよいチームづくりのための対話実践プログラム」、また社長と専務が交代で参加者と率直に意見交換を行う「サークルタイム」などを実施しました。
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「心理的安全性」浸透度スコア推移
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2021年実績
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2022年実績
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2023年実績
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2025年目標
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心理的安全性
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67
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71
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72
|
72
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※心理的安全性に関する社内調査スコア
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心理的安全性向上策
対象
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2023年活動
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内容
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組織向け
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よりよいチームづくりのための 対話実践プログラム
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「対話」を通じ職場やチーム内に心理的安全性浸透を図る組織開発プログラム
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役員向け
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役員向け研修
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心理的安全性に関する勉強会
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管理職向け
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選択型マネジメント研修
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管理職自身の組織づくり・人材育成課題に沿って自律的に学ぶ選択型講座を開設
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360°フィードバック
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全管理職を対象にマネジメント行動に関するフィードバックを上長・同僚・部下が毎年実施
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全従業員向け
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ダイバーシティDAY2023
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心理的に安全なチームづくりをテーマに外部ゲストを招き講演とトークセッションを開催
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サークルタイム
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経営トップと従業員とのフラットな対話の場として、社長・専務が交代でホスト役を務める
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サンクスバッジキャンペーン
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社内SNSを通じて組織内外に感謝のメッセージを伝え合う全従業員参画型キャンペーン
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3つの施策 ① 人材開発
当社が人材育成を通じて目指す姿は、「個人の多様な強みを伸ばし、チームで活かし合うことで、イノベーションを起こし、社会課題の解決に資する人材集団」となることです。人材育成を通じて「キャリア・能力の面で多様な人材集団」と「チームで成果を出す組織風土」を実現し、変化の激しい環境の中でもスピーディーに価値を生み出し続け、多くの領域でイノベーションを起こす強いカゴメを創っていきたいと考えています。
「社会課題の解決に資する人材集団」となるため、各自に期待する役割・職務行動を、役割等級の等級要件や職務行動の評価項目として明示し、それぞれの上位等級を見据えた成長につながるよう、チャレンジングな業務課題や教育機会を提供しています。個人がそれぞれの多様な強みを発見して伸ばし、一人ひとりが自律度を高めて仕事に取り組めるように、様々な気づきの場や教育機会を3つの観点(「キャリア開発」「能力開発」「組織風土開発」)から用意しています。最近では特に、個人の多様な強みをチームで活かし合い、働きがいや心理的安全性の向上に役立て、チームとして成果を出せる組織づくりに力を入れています。
また、ビジョンである「トマトの会社から、野菜の会社に」の実現に向けて「野菜マエストロ検定」や「野菜の先生」などのユニークな取り組みを実施し、従業員自らが伝道師として野菜の魅力を伝えられるように育成しています。
加えて、デジタル人材の育成にも引き続き取り組んでいます。研修や、公募型のITによる課題解決の体験などを通じ、デジタルスキルを向上させるとともに、そのスキルを業務やビジネスに適用できる人材を、2025年までに全従業員の20%まで増やす計画です。
このように、一人ひとりが会社からの要請を踏まえた成長と、自分らしさ(アイデンティティ)に基づく成長の両面を実現する状態を目指しています。
TOPICS リスキリング ~実践的なコーポレートガバナンスを学ぶ~
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従業員が自ら企画運営を担う自発型学習プログラムが、4ヶ月間全14回にわたり開催されました。これは、自身のコーポレート・ガバナンスに関する知識不足に危機感を持った一人の従業員が全社に働きかけ、企画実行したものです。社外講師1名に加え、専門領域を担当する社員講師6名が統合報告書を参考書として説明する講義と、参加者のグループワークを組み合わせ、実践的な学びが得られる設計となっています。参加費は有料でしたが、リスキリングの必要性に共感した幅広い層の従業員約270名が参加しました。事後のアンケートでは「初めて経営や財務のことを我がこととして捉えることができた」「目の前の仕事だけでなく、全社視点で物事を考えるようになった」などのコメントが寄せられました。
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最終発表会最優秀グループの皆さんと、 発案者である経営企画室 渋井寛之 (前列中央)
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3つの施策 ② 多様な人材集団
カゴメグループは、国籍・民族・人種・信条・思想・宗教・性別・性自認・性的指向・障がい・年齢・社会的身分などによって差別されることなく、従業員同士が多様な価値観を認め合い、個々の従業員が持てる能力を最大限発揮できることが大切であると考えています。
その上で、持続的に成長できる強い企業になるための経営戦略の一つとして、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んでいます。組織における心理的安全性の確保を重視し、従業員一人ひとりの多様な考えや経験を活かすことで、イノベーションの創出を図ります。
女性活躍の推進においては、2040年頃までに、「社員から役員まで各職位の女性比率を50%に」することを長期ビジョンに掲げて取り組んでいます。
採用においては、多様な採用手法と配置部門の組み合わせにより、多様な人材を確保します。キャリア採用においても広く門戸を開き、当社が目指す「野菜の会社」に向けた人材基盤の強化を図ります。そして、総採用数の2~3割を確保し、中核人材へと育成していきます。
また、多様な経験や知識に応じて、能力を発揮できる機会を創出しています。シニアの活躍の場の創出として、2023年4月から、再雇用制度における契約形態を改定し、最長で70歳まで契約延長を可能としました。65歳以上のシニアの方々も様々な職場で活躍しています。
女性の総合職採用比率・従業員比率・ 管理職比率の推移(カゴメ単体)
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キャリア採用人数と、採用に占める人数の推移 (カゴメ単体+カゴメアグリフレッシュ(株)(以下、KAF))
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補足:2023年の従業員に占める女性比率は32%です。総合職新卒採用比率60%を目標として取り組みを進めていることから、若年層の女性比率は高くなっています。一方、年代が上がるにつれ採用時点の女性比率が低かったことから、年齢構成はピラミッド型の構造となっています。そのため、現状40代・50代が中心層である当社管理職に占める女性の割合は低い水準となっています。
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3つの施策 ③ 働き方の進化
働きやすい仕組みの整備 多様化する働き方の価値観(育児・介護・共働きなど)に応じた働く場所や時間の制約を緩和し、さらに多様な働き方を実現する仕組みを整備します。 働き方の選択肢の拡大 多様な経験機会を得ることでイノベーションにつなげていくために、副業制度や越境学習※など、所属組織の枠を超えた働く場の提供を進めています。現業にとらわれないキャリア開発接点を拡充していきます。
※ 越境学習: 普段勤務している会社や職場を離れ、全く異なる環境に身を置き働く体験をすることで新たな視点を得ること。
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働き方の進化に関連する環境整備
導入年度
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制度
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2019
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フレックスタイム制度
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テレワーク勤務制度
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副業制度
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2020
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フレックスタイム制度のコアタイム撤廃
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2021
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看護休暇・介護休暇の時間単位取得
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在宅勤務手当
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2023
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転居転勤支援の拡充
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リスク管理
当社は、社長を委員長としたリスクマネジメント統括委員会が、グループ全体でのリスクマネジメント活動の
統括をしており、最高人事責任者(CHO)が委員として参画しています。経営戦略に影響する人材リスクは、当
社の重点リスクとして管理し、リスクの顕在化の予防、及び顕在時の対応を行っています。
ガバナンス体制
人的資本に関わる経営陣による審議及び意思決定を伴う専門の会議体として、社内経営陣による人材開発委員会、社外取締役も委員とする報酬・指名諮問委員会を設け、多様な人材が活躍できる人材育成や社内環境、経営人材への適正な処遇を実現できるよう精査・検証しています。 人材開発委員会は、代表取締役社長を委員長とする人事・組織に関わる社内経営陣による審議・意思決定機関で、担当職から役員までの幅広い異動・配置、昇格、キャリア採用、組織改編などに関わる審議を月1回以上という高頻度で実施しています。 報酬・指名諮問委員会は、取締役及び執行役員の報酬、及び取締役の指名に関わる取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するための取締役
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会の諮問機関であり、役員人材・処遇に関わる審議を定期的に実施しています。また、当社の持続的な経営と成長をリードする次世代経営幹部の育成と輩出にも、経営主導の重要課題として計画的に取り組んでいます。 人材開発委員会による人材戦略や人事・組織の幅広い領域に関わる審議を起点として、人材開発委員会が意思決定を行うもの、経営会議でさらに審議・意思決定を行うもの、報酬・指名諮問委員会での審議を経て取締役会で意思決定を行うものと、内容の重要性や社内外への影響度合いによって、段階的に審議を重ね、適正なガバナンスを図っています。 最高人事責任者(CHO)は、人材開発委員会、報酬・指名諮問委員会の委員であり、主管として提言しています。
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指標及び目標
戦略
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指標
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2021年実績
|
2022年実績
|
2023年実績
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目標
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働きがい
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エンゲージメントサーベイスコア
|
70
|
70
|
72
|
76 2025年までに同規模企業 上位20%スコア
|
「心理的安全性」浸透度スコア※1
|
67
|
71
|
72
|
-
|
人材開発
|
キャリア面談人数(人)
|
610
|
645
|
561
|
-
|
成長機会スコア※2
|
67
|
67
|
68
|
-
|
多様な 人材集団
|
総合職新卒採用における 女性割合
|
58.0%
|
71.0%
|
54.5%
|
60%以上
|
女性管理職比率
|
7.4%
|
8.4%
|
9.6%
|
2026年までに12%
|
入社10年以内女性の継続就業状況 (男性比)
|
1.0
|
1.0
|
1.0(見込)
|
男性比1.0以上
|
キャリア採用構成比
|
30.8%
|
27.9%
|
29.8%
|
-
|
男性育休取得率 総合職/技能職
|
総合職
|
62.0%
|
75.6%
|
65.6%
|
42%以上 (2019~2021年の平均)
|
技能職
|
64.3%
|
84.6%
|
81.8%
|
-
|
男女間賃金差※3 (男性の賃金に対する女性の賃金割合)
|
全労働者
|
66.2%
|
65.4%
|
68.3%
|
-
|
正社員
|
68.6%
|
67.3%
|
70.5%
|
-
|
パート・ 有期社員
|
87.8%
|
87.6%
|
86.6%
|
-
|
働き方の 進化
|
有休取得率
|
84.7%
|
86.4%
|
81.7%
|
-
|
総労働時間(時間/年)
|
1,867
|
1,896
|
1,895
|
-
|
※1 心理的安全性に関する社内調査スコア
※2 エンゲージメントサーベイ内の「成長機会」に関する設問のスコア
※3 付記事項及び差異に関する補足説明については、Webサイトをご覧ください。https://www.kagome.co.jp/library/pdf/company/sustainability/data/2310esg_data_book.pdf
Special Feature
人材強化への取り組み
ブランド価値を高めるカゴメの健康経営
カゴメは食を通じた健康寿命の延伸を解決すべき社会課題の一つに掲げ、お客様の健康に貢献する商品やサービスを事業展開しています。そのため従業員が健康であることは、カゴメの事業が説得力を持つことにつながり、カゴメの「ブランド価値」を高めることにもつながります。
●健康経営推進におけるカゴメ独自の取り組み
健康経営推進にあたり、野菜飲料などの商品、食健康研究所や健康事業部、「野菜をとろうキャンペーン」などとの連携を最大限に活用できることが、他社にはない大きな強みです。また当社には「人を大切にする会社」という文化があり、健康経営はカゴメの社風そのものです。
当社は、従業員が、「明らかに」心身ともに健康であると言える状態を目指しています。それにより会社のパフォーマンス向上につながり、お客様の健康増進に貢献する商品・サービスが広がります。同時にカゴメで働く全従業員が、心身ともに健康であることが、働きがいの向上につながると考えています。
●健康経営推進体制
当社では、右記の体制図のように、経営が定める健康経営宣言を土台として、カゴメアクシス株式会社健康経営推進室・カゴメ健康保険組合・各事業所が三位一体となり活動を行っています。 カゴメ健康会議・コラボヘルス推進会議・健康推進委員会の3つの会議体を柱とし、産業保健スタッフとともに、健康課題の抽出や、健康施策の検討・実施を行っています。
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●健康経営優良法人2023(大規模法人部門 ホワイト500)に認定
2017年に「カゴメ健康7ケ条」を制定し、「カゴメ健康経営宣言」を行いました。2023年3月には、 経済産業省及び日本健康会議主催の「健康経営優良法人2023(大規模法人部門 ホワイト 500)」に認定されました。2023年12月には、株式会社日本政策投資銀行が行う「DBJ健康経営(ヘルスマネジメント)格付」において、最高ランクを取得しました。これからも「健康経営優良法人認定制度」の趣旨に則り、健康経営施策を推進することで、従業員の健康と働きがいのさらなる向上を実現し、お客様の健康に貢献します。
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●目標値について
健康診断、ストレスチェック、喫煙率のそれぞれの目標値と各年度の状況は以下の数値となります。目標の達成に向けて各施策に取り組み、健康経営を推進していきます。
健康診断に関する状況 (%)
年度
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2018
|
2019
|
2020
|
2021
|
2022
|
2023
|
2025 (目標)
|
受診率
|
100
|
100
|
100
|
100
|
100
|
100
|
100
|
特定保健 指導実施率
|
58.2
|
72.0
|
84.8
|
88.7
|
86.9
|
85.7
|
100
|
ストレスチェックに関する状況 (%)
年度
|
2018
|
2019
|
2020
|
2021
|
2022
|
2023
|
2025 (目標)
|
受検率
|
92.0
|
95.7
|
93.3
|
92.0
|
93.7
|
94.1
|
-
|
高ストレス者比率
|
6.3
|
7.4
|
7.6
|
8.3
|
7.9
|
7.0
|
安定的に8.0
|
喫煙率
年度
|
2018
|
2019
|
2020
|
2021
|
2022
|
2023
|
2025 (目標)
|
喫煙率
|
23.1
|
20.8
|
19.5
|
16.1
|
15.1
|
14.3
|
12.0
|
野菜をとろう、カゴメ社員も!
当社では、従業員の心身の健康のため1日350gの野菜摂取を推奨しています。そのための指標として、従業員自身のベジチェック値※の測定を習慣化させることで、野菜摂取に対する行動変容を促しています。測定された従業員のベジチェック値は、専用アプリを使って社内データベースに集約、自動集計され、組織別の測定の割合やベジチェック値の推移などを確認できるサイトを2023年に社内に公開しました。併せて、従業員が自身の野菜摂取について意識し、摂取量を向上させるために「チーム対抗!ベジ選手権®」を毎年実施しています。期間中は、毎日の野菜量を専用アプリに入力し、 チームで野菜摂取量を競い合っています。 ※ 野菜摂取量の推定値を30秒で測れる「ベジチェック®」を使った測定値
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「チーム対抗!ベジ選手権」アプリ
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「野菜をとろう、私たちも」見える化サイト
担当者メッセージ
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カゴメの特徴を活かした施策で健康経営に貢献します カゴメの従業員は、オフィスで自社商品である野菜飲料を毎日飲むことができます。従業員が自身の野菜摂取について意識し、摂取量を増加させるための社内キャンペーンも定期的に開催しています。対象従業員の約9割がこのキャンペーンに参加し、野菜摂取量も確実に増えています。当社が健康経営の推進を宣言してから5年が経ち、取り組みも年々進化してきました。健康診断結果におけるハイリスク者への事後対応の徹底、就業時間内禁煙・全社敷地内喫煙所廃止、適正体重の維持を目的としたウォーキングキャンペーンの実施など、健康経営に積極的に取り組んでいます。今後もカゴメの特徴を活かした様々な施策により健康経営に貢献していきたいと思います。
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カゴメアクシス株式会社 健康経営推進室 秋山 恭子
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<人権の尊重>
カゴメグループは、人権に関する国際規範に基づいた、 「カゴメグループ人権方針」を策定し、その考え方や活動の社内浸透に努めるとともに、事業における人権リスクへの対応を進めています。
人権に対する考え方
事業活動に関わる人々や、事業を展開する国や地域の人々の基本的人権を尊重することは、企業理念を実践するカゴメグループの責務と考えます。当社では、人権尊重の責任を果たしていくための指針として「カゴメグループ人権方針」を制定し、本方針に基づき活動を推進していきます。本方針は、経営会議で承認され、取締役会でも報告されています。
カゴメグループ人権方針
基本的な考え方
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私たちは、本方針をカゴメ行動規範を補完する方針として位置づけ、併せて以下の国際規範を支持・尊重します。 ●「 国際人権章典」 ●「 労働における基本的原則および権利に関するILO 宣言」「ILO 多国籍企業宣言」 ●「 OECD 多国籍企業行動指針」 ●「 子どもの権利とビジネス原則」 私たちは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を人権デューデリジェンスの実行の枠組みとして、事業活動を行うすべての国や地域で適用される法令を遵守します。万一、国際的に認められた人権と各国の地域の法令との間に矛盾がある場合は、国際的な人権の原則を尊重するための方法を追求します。
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適用範囲
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本方針は、カゴメグループのすべての役員および従業員に適用します。また、私たちは、事業活動における人権尊重の責任を果たすにあたり、カゴメグループの製品・サービスに関係するすべてのビジネスパートナーに対しても、本方針を理解・支持いただくとともに、人権を尊重するように働きかけ、協働して人権尊重を推進します。
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ステークホルダーの人権尊重
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私たちは、事業活動全体において、直接または間接的に人権に影響を及ぼす可能性があることを認識し、カゴメグループの事業活動に関わるステークホルダーの人権を尊重します。 ●職場環境の整備 安全で衛生的かつ健康的に働き続けられる職場環境を整備します。 ●適正な賃金支払いおよび労働時間の管理 法令に従い、適正な賃金の支払いと労働時間の管理を行います。 ●労働基本権の尊重 結社の自由と団体交渉をはじめとする労働基本権を尊重します。 ●強制労働・児童労働の禁止 強制労働や児童労働、人身取引を含むあらゆる形態の現代奴隷を行いません。 ●差別・ハラスメントの禁止 国籍・民族・人種・信条・思想・宗教・性別・性自認・性的指向・障がい・年齢・社会的身分等を根拠とする、あらゆる差別を排除し、個人の尊厳を傷つけるハラスメント行為を行いません。 ●個人情報の適切な取り扱いとプライバシーの尊重 個人情報の保護に関する法令を遵守し、個人情報の適切な取り扱いに努めるとともに、プライバシーを尊重します。
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人権デューデリジェンス
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人権デューデリジェンスの実施を通じて、自らが社会に与える人権に対する負の影響を特定し、その防止、または軽減に取り組みます。
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救済
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コンプライアンス連絡・通報窓口の運用により、人権に対する負の影響の早期発見および未然防止に努めます。自らの事業活動が人権に対する負の影響を直接的に引き起こした、あるいはそれを助長したことが明らかとなった場合、適切な手続きを通じて、その救済に取り組みます。
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対話・協議
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本方針を実行する過程において、独立した外部からの人権に関する専門知識を活用し、ステークホルダーとの対話と協議を真摯に行います。
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教育・研修
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本方針がすべての事業活動に組み込まれ、効果的に実施されるように、役員および従業員に対して適切な教育と研修を行います。
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情報開示
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人権尊重の取り組み、および人権デューデリジェンスの実施状況について、ウェブサイトや統合報告書等のコミュニケーション手段を通じて、定期的に報告します。
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人権デューデリジェンスの実施
国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を実行の枠組みと捉え、「カゴメグループ人権方針」に基づき、事業活動における人権への負の影響の特定・評価を行い、評価結果に基づく適切な対応策、モニタリング、並びに情報開示に取り組んでいます。 また、人権を尊重した持続的な事業活動の実現に向けて、社内外のステークホルダーとの対話・協議を通じて、これらの一連のプロセスを継続的に推進できる体制を構築していきます。
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2 カゴメ CSR調達方針
安心・安全な原材料の調達はもとより、ビジネスパートナーである調達先とともに持続可能な社会の実現に貢献するために、「カゴメ CSR調達方針」を制定しています。本方針では、公正・公平・透明な取引を実践し、法令・倫理の遵守や人権・労働、環境へ配慮した調達活動の推進を定めています。
「カゴメ CSR調達指針」の詳細については、Webサイトをご覧ください。
https://www.kagome.co.jp/company/sustainability/sustainable-supply-chain/01/
3 カゴメ サプライヤーCSR行動指針
「カゴメ CSR調達方針」を推進していく上で、調達先と協働していくことが重要と考え、国内外の調達先に対して具体的事項である「カゴメ サプライヤーCSR行動指針」を制定しています。本行動指針は、人権の尊重、適切な労働環境の確保、環境への配慮など、国際的重要性が認められている項目で構成されています。「カゴメ サプライヤーCSR行動指針」の遵守に向けて、説明会などを通した調達先への周知や、セルフチェックシートを活用した調達先の自己チェックや現地訪問を行い、理解・浸透に努め、CSR調達活動の実効性をより一層高めています。
「カゴメ サプライヤーCSR行動指針」の詳細については、Webサイトをご覧ください。
https://www.kagome.co.jp/library/company/csr/supplier/pdf/supplier_csr_guidelines.pdf
4 社内の啓発活動
「カゴメグループ人権方針」や人権尊重に対する理解を深めるため、従業員を対象とした「ビジネスと人権」をテーマとする公開講座、役員やサステナビリティ委員会メンバーを対象とした社外の人権有識者による勉強会の開催などをその施策としています。これらの施策を継続的に実施することで、「カゴメグループ人権方針」の浸透や人権リスク低減のための取り組みを進めており、直近においては、右記を実施しています。
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2023年度 ●「カゴメグループ人権方針」の役員、従業員への周知 ●「 ビジネスと人権」、「カゴメグループ人権方針」をテーマとした社内公開講座実施(2回) ●サステナビリティ委員会での社外の人権有識者による勉強会実施(1回)
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担当者メッセージ
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継続的に人権リスクの評価・対応を進めていきます これまで当社では行動規範の中で人権の尊重を掲げていましたが、国際的な人権の潮流に対応していくべく、今回、新たに人権方針を策定しました。 企業の人権尊重の責任は、人権に関する法令、ガイドラインの動きを背景として、その重要性が増しています。幅広いバリューチェーンを持つカゴメにとって、事業活動に関わるあらゆるステークホルダーの人権を尊重することは、事業継続や企業価値を高めていく上では不可欠な要素であると言えます。 今後は、社内外のネットワークを活用して、継続的にカゴメの事業における人権リスクの評価・対応を進め、環境の取り組みと併せて、広くバリューチェーン全体の最適化を図っていきたいと考えます。
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経営企画室 サステナビリティグループ 石井 僚一
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<持続可能なサプライチェーンの構築>
持続的にお客様に商品を届け続けるために、気候変動、水不足、労働力不足、原材料高騰などのリスクに対し、サプライチェーン全体の最適化に取り組んでいます。
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1 サプライチェーンを途切れさせない、カゴメ特有の物流環境
自然の恵みを原材料とした商品をお届けするカゴメにとって、世界中の畑からの原材料輸送に始まり、お客様の食卓に至るまで、モノの流れを止めないことは、事業継続に必要不可欠です。カゴメのサプライチェーンの特徴を図解します。
調達拠点
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工場
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物流センター
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得意先
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世界中から農作物を 集める
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生産地に近く、 消費地から遠い
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1,000を超える商品 複数の温度帯
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多様な販売チャネル
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カゴメグループは世界中に調達拠点を持っています。海外の調達拠点から送り出された原材料は、長い道のりを経て日本に到着し、国内工場に運ばれます。そして、工場で生産された商品は、工場から出荷された後、物流倉庫、卸先、小売店と、たくさんの人の手を経て、お客様に届けられます。このサプライチェーンの長さは、大きな特徴です。
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国内の工場は、加工用トマトの産地の近くに建設されてきました。この立地は「畑は第一の工場」というものづくりの思想を持つ、カゴメの考え方が背景にあります。物流においては高速道路のICや主要幹線道路まで距離があることで、工場から消費地までの輸送距離が、他の食品メーカーに比べて長くなっています。
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カゴメには1,000を超える商品があり、温度帯は調味料やPETボトル飲料などの常温、ホームパック飲料や乳酸菌飲料などの冷蔵、業務用商品などの冷凍と、3つにわたります。温度帯ごとに保管場所や輸送方法、そこに携わる人員が必要になり、マネジメントも複雑です。幅広いアイテムを展開することは、カゴメの強みであると同時に、物流においては管理が広範囲となっています。
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多様化した販売チャネルも、大きな特徴の一つです。DtoCと呼ばれる通販においては、卸や小売店を経由せずに流通しております。お届け先に合わせた最適な物流ルートをSCM本部が企画し、常にアップデートしてF‐LINE株式会社※を通じて配送しています。 ※ F-LINE(株): 2019年4月に食品メーカー5社共同による効率的で安定的な物流体制の実現を目的に設立した共同物流会社です。食品物流の諸課題の解決に向けて、食品メーカー協働での取り組みを進めています。
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<CASE>サプライネットワーク構想の具現化
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調達・生産・荷造り・輸配送の効率化、最適化 コスト上昇が見込まれる物流の効率化は、大きな経営課題となっています。工場から得意先までの輸配送に加えて、原材料の調達先も含めて物流の川上から川下まで一元的に在庫を把握し、輸配送の効率化、最適化を進める「サプライネットワーク構想」の具現化に取り組んでいきます。
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「2024年問題」※への対応について
※ 2024年4月から働き方改革関連法施行により自動車運転業務の時間外労働の上限(休日を除く年960時間)規制等が適用され、ドライバー不足などにより、これまでと同じように物を運ぶことが難しくなるおそれがあります。
1 工場との連携 現場の声を聞き、細かく見直し
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当社の物流企画部は、工場とF-LINE株式会社の協力を得て、コスト増やドライバー不足、待機時間削減などの問題解決に取り組んでいます。例えば、上野工場では、作業導線や保管ロケーションの見直し、ネステナー(パレットに載せたまま収納できる棚)の追加導入によって、場内保管物量を拡大しました。外部倉庫での保管費用削減に加え、工場から外部倉庫までのトラック使用台数の平準化も進めることができ、安定的な輸送網の確保につながっています。工場敷地内の物理的な制約がある中でも、現場の創意・工夫によって改善を続け、「選ばれる荷主」を目指して前進しています。
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2 営業との連携 納品先の理解と協力を求めて
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ドライバーの働き方の適正化に向けて取り組むべき課題の一つに、「納品時の長時間待機と付帯作業の撤廃」があります。これには、納品先である得意先の理解と協力が必要です。これに対して、需要対応部ではF-LINE株式会社からの改善要望をもとに、課題のある納品先をリスト化しました。その情報を営業部門と共有し、対象の得意先に対して、改善に向けた協力をお願いしています。特に、2024年以降も安定して商品を運ぶ体制を維持していくためには、ドライバーの労働時間の短縮が必須であり、法令遵守に向けて協働して課題解決する必要があることを、営業担当者から丁寧に説明しています。
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3 F-LINEの取り組み 北海道地区の共同配送を再構築
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北海道は、消費地が広範囲にわたり分散しており、かつ物流センターから各地への配送距離が長いことから、他の地区以上に物流効率化が求められます。それに対応するために、当社を含む食品メーカーで協働し、2016年から共同配送を行っています。2023年10月、さらなる改善を目指し、2ヶ所あった物流センターを1ヶ所に集約しました。物流拠点が1ヶ所になることで、配送車両1台当たりの積載効率が高まり、配送件数を約21%減らすことができます。それによってCO2排出量も約16%削減できると見込まれ、環境面においてもメリットが生まれます。
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担当者メッセージ
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持続可能な物流を目指し、選ばれる荷主へ 物流企画部では、サプライチェーンの川上から川下に商品を安定的にお届けするための物流基盤を設計しています。生産部門と連携した取り組みは4年目となり、全ての工場に展開され、作業性の向上・保管スペースの創出、BCP体制の構築など新たな業務改善を生み出しています。 2024年は働き方改革関連法によりドライバー労働時間に上限が課され、今まで通りにモノが運べなくなるなど、物流面で大きな転機を迎えます(2024年問題)。これまでもモーダルシフトをはじめとした輸送の複線化や食品メーカーとの共同配送など、持続可能な体制づくりに取り組んできました。しかし、物流部門だけでは解決できない課題も多く、全社一丸となって物流危機に立ち向かい、運送会社から「選ばれる荷主」を目指します。また、「2024年問題」を過去からの課題を解決するチャンスと捉え、さらなる効率化・止まらない物流の実現への足掛かりとしたいと考えています。
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物流企画部 水野 律
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